「ねえ」
「うん」
「聞いてる?」
「うん」
絶対聞いてない。
「聞いて……」
「あの人絡まれてるよね。俺ちょっと行ってケリつけようか。」
電車に揺られる私たちの前方にある優先席で、怒鳴るおっさんと怒鳴られるおっさんがいた。ジャージかスーツかの違いしかない。ジャージはスーツが携帯で通話していたことが気にさわったらしい。確かに、先程まではスーツの声が車内に響いていた。
「出たよお節介精神。見守るってことができないの?」
「見守って何かいい方に変わる?裏返せば無関心じゃないか。それって罪だと思う」
「確かに働きかけて起きる変化の方が大きいと思うけど、なんでそこまで変化にこだわるの?」
「別に変化にこだわってる訳じゃないよ。人の道に外れた事は認めないだけ」
「人の道って何よ」
「人道だよ。人が守るべき道。ルールであり正義だ」
「正義!誰にとっての正義よ?」
「誰……」
「例えばだけど、いじめられたくないが為にクラスメイトをいじめている子どもに、正義に反するから止めなさいって言うの?社会には不利益でも、自分たちの利益優先で動いてる企業の正義って何よ?ジャージのおっさんとスーツのおっさん、どっちに注意すんのか見ものだわ。行ってくれば?私見守ってあげるよ」
ジャージのおっさんは怒鳴るのを止めた。
車内は平和を取り戻した。
「うん」
「聞いてる?」
「うん」
絶対聞いてない。
「聞いて……」
「あの人絡まれてるよね。俺ちょっと行ってケリつけようか。」
電車に揺られる私たちの前方にある優先席で、怒鳴るおっさんと怒鳴られるおっさんがいた。ジャージかスーツかの違いしかない。ジャージはスーツが携帯で通話していたことが気にさわったらしい。確かに、先程まではスーツの声が車内に響いていた。
「出たよお節介精神。見守るってことができないの?」
「見守って何かいい方に変わる?裏返せば無関心じゃないか。それって罪だと思う」
「確かに働きかけて起きる変化の方が大きいと思うけど、なんでそこまで変化にこだわるの?」
「別に変化にこだわってる訳じゃないよ。人の道に外れた事は認めないだけ」
「人の道って何よ」
「人道だよ。人が守るべき道。ルールであり正義だ」
「正義!誰にとっての正義よ?」
「誰……」
「例えばだけど、いじめられたくないが為にクラスメイトをいじめている子どもに、正義に反するから止めなさいって言うの?社会には不利益でも、自分たちの利益優先で動いてる企業の正義って何よ?ジャージのおっさんとスーツのおっさん、どっちに注意すんのか見ものだわ。行ってくれば?私見守ってあげるよ」
ジャージのおっさんは怒鳴るのを止めた。
車内は平和を取り戻した。
「本当にさ、無関心は罪だと思ってる?」
「俺はね。時と場合にもよるけど」
電車が終点駅のホームに滑り込む。窓の外は折り返し電車の到着を待つ客でごった返している。車内の乗客は、そわそわと降りる支度をする。
「自分に一番、無関心だったりして」
「ん?何?」
「いいよ別に」
「言えよ。気になる」
「大したことじゃないもん。そういうとこばっか聞いてるんだから」
ドアが開いた。
「俺はね。時と場合にもよるけど」
電車が終点駅のホームに滑り込む。窓の外は折り返し電車の到着を待つ客でごった返している。車内の乗客は、そわそわと降りる支度をする。
「自分に一番、無関心だったりして」
「ん?何?」
「いいよ別に」
「言えよ。気になる」
「大したことじゃないもん。そういうとこばっか聞いてるんだから」
ドアが開いた。