ナレーション | スペースフォールド。人類の銀河進出を可能にした夢の超空間航法。 |
だが、その夢の航法も決して万能ではなかった。 | |
フォールド断層と呼ばれる障害の存在や、距離に伴う幾何級数的なエネルギー消費の増加が、 | |
大きな壁として立ちはだかったのだ。 | |
それが人類の、いや、プロトカルチャーに由来する文明の限界だった。 |
社長 | 妹さんを私にください! |
私思うんですよぉ。あの不幸な第1次星間戦争の時、武力でなく、始めから歌で分かり合おうとしたらぁ。 | |
歌は文化、文化は愛~。つまり、歌は愛なんです。そして、ランカさんにはその愛を伝える力がある。 | |
ですからど~か、お兄様~。 | |
オズマ | ……。 |
ライブスタッフ | じゃ、ここ場見っとくね。 |
シェリル | えぇお願いします。あと、そことそこもよろしく。 |
ステージ監督 | 張り切ってますねぇ、彼女。 |
グレイス | 長かったツアーもこれでラスト。ようやくギャラクシーに帰る…。 |
あ、ちょっとすみません。 | |
グレイスです。はい……え? |
トライアングラー(オープニング)
ミハエル | 彼女へのプレゼントか? |
アルト | 違う。これは。 |
ミハエル | 隠すなって。やぁお見逸れしましたよアルト先生。まさかあのシェリルとデートとは。 |
アルト | え? |
ミハエル | スナイパーの目は誤魔化せないぜ。 |
アルト | くっ。言っとくが、あれは一方的に引き回されただけで、デートでもなんでもない。 |
ミハエル | キスまでされたのに? |
女学生 | キスだってぇ。 |
女学生 | えースキャンダル。 |
アルト | それはッ! |
ミハエル | 照れんなよ。つーか、お前にしちゃ良くやったと褒めたいくらいだ。 |
だが、一つだけ聞いておきたいことがある。お前、ランカちゃんとはどういう関係だ。 | |
アルト | …なんでランカが出てくる。 |
ミハエル | いいから答えろ!この色男!! |
アルト | …貴様! |
ミハエル | さぁ言え。 |
女学生 | どういう関係? |
女学生 | ヒソヒソ。 |
ナナセ | 早乙女君、ミシェル君。大変です。ランカさんが! |
アルト | &ミハエル あぁ? |
レオン | ご決断は変わりませんか? |
大統領 | どちらにせよ、もう隠し立てはできまい。いつか誰かが。それが今この私だったとはな。 |
レオン | 連中に歌でも聴かせてみますか? |
大統領 | それが分かる相手なら、まだマシだったさ。 |
ミハエル&ルカ | おめでとう、ランカちゃん。 |
ナナセ | おめでとうございます。ランカさん。 |
ランカ | ありがとう。みんなのおかげだよ。 |
ミハエル | にしても、ビックリしたよ。ナナセが血相変えてくるからさぁ。 |
ナナセ | だって大事件じゃないですか。ランカさんがスカウトされたんですよぉ。 |
アルト | ベクタープロモーションなんて聞いたことも無いけどなぁ。 |
ナナセ | んっ!どうして水を差すようなこと言うんです?早乙女君。 |
ミハエル | ホント。空気読めよな。 |
アルト | なんだとぉ! |
ルカ | さぁ先輩。とにかくお祝いしましょう。ね、ナナセさん。 |
ナナセ | えぇ。 |
ルカ | 何てったって、あのオズマ隊長…あ、お兄さんも認めてくれたんですから。 |
ランカ | う、うん。 |
オズマ | 妹を、よろしくお願い致しますぅ! |
社長 | ……はい。 |
ミハエル | ホント驚きだよなぁ。槍でも降ってこなきゃいいけど。 |
アルト | 親とか兄貴なんざ鼻から無視すりゃいいんだ。どうせ言っても分かりゃしない。 |
ミハエル | ちゃんと通じたけどな、ランカちゃんの場合は。 |
アルト | クッ。 |
ナナセ | とにかくこれでランカさんは夢に一歩近づいたんです。私、全力で応援しますから。 |
目指せ銀河の歌姫!打倒シェリルです! | |
ランカ | ……。 |
ミハエル | 俺も応援するよ。ランカちゃん。 |
ランカ | え? |
ミハエル | あんな素敵な歌を聴かされちゃあねぇ。つまりファン第1号ってことで。 |
ナナセ | 1号は私です。 |
ミハエル | じゃぁ2号。 |
ルカ | ぼく3号になります! |
アルト | …わ、分かったよ。はぁ。応援してやるさ。すればいいんだろぉ。 |
ナナセ | ではここに、ランカ・リーファンクラブの結成を宣言します! |
ミハエル&ルカ | オーッ! |
アルト | ……。 |
ランカ | ん? |
シェリル | …いつなの?どうして今まで…。 |
グレイス | フォールド断層で通信が遮断されていたんです。 |
シェリル | ……。 |
グレイス | シェリル…。 |
ナナセ | きっとこんなのが似合いますよぉ。 |
ミハエル | あぁ?もっとこうさぁ。 |
ルカ | あー、ナナセさんの絵になんてことを。 |
ナナセ | そうですよぉ。 |
ミハエル | やっぱ、これくらいアピールが必要でしょ。 |
ランカ | ごめんねアルト君。 |
アルト | ん? |
ランカ | …ホントはね。ホントは…一番に知らせようと思ったの。だけど…。 |
あの、邪魔しちゃったらとか、うるさくしたらダメかなって。 | |
アルト | なぁに今さら遠慮してんだよ。それに、実は俺もあの時ゼントラのモールにいたんだ。 |
ランカ | あ、そ…そうなんだ。えっと、買い物とか? |
アルト | ……まぁ、そんなとこだ。 |
ランカ | ひ、一人で? |
アルト | あぁ。 |
盛り上がって良かったな。あそうだ。これやるよ。 | |
ランカ | これ、シェリルさんの。 |
アルト | 別に誘ってるわけじゃないからな。そ、祝いだ。スカウトの。 |
ランカ | ありがとう…。 |
ミハエル | バカめ。 |
アナウンス | 番組の途中ですが、大統領の緊急声明を発表いたします。 |
大統領 | フロンティアの皆さん、ハワード・グラスです。 |
大統領 | 今日は皆さんに重大なお知らせがあります。ご覧ください。 |
アルト | 何だ? |
ナナセ | あれってこの前の。 |
アルト | …バジュラ。 |
ランカ | ……。 |
大統領 | 見覚えのある方もいらっしゃるでしょう。そう、これは先日、我がフロンティアを襲った生体兵器です。 |
我々はこの物体を「バジュラ」と呼称することに致しました。 | |
そしてバジュラによって、我が同胞であるマクロス・ギャラクシーが大規模な攻撃を受けたのです。 | |
ギャラクシー統合軍 | メーデー、メーデー!あのクソ蟲どもがメインランドに取りついた!頼む!ぁ…。 |
大統領 | この事態に伴い、我々が同胞ギャラクシーを救うため、そして我々自身も守るため、 |
私は大統領権限において非常事態宣言を発令いたします。 |
オズマ | 大統領声明は見てるな? |
ミハエル | はい。 |
オズマ | 現時刻をもって、S.M.S全隊員に対し特例条項Bが発動された。速やかに隊に復帰せよ。 |
ミハエル | …はい。了解しました。すぐに戻ります。 |
槍どころか、反応弾が降ってきやがった。 |
大統領 | 救援部隊の派遣は…。 |
キャシー | シェリルさんの会見は30分後にセッティングしました。 |
レオン | 彼女には精々役に立ってもわらないとねぇ。 |
ところでキャッシー。君にたってのお願いがある。 | |
キャシー | え? |
レオン | 後で正式な辞令が下りるんだけどね。 |
キャシー | えぇ? |
ランカ | だから…だったんだ。戦いが始まるかもしれないから。 |
オズマ | 安心しろランカ。何があっても俺は絶対に死なない。アルト達も、誰一人死なせたりはしない! |
それにお前ももう16。来年には成人だ。いつまでも過保護じゃいかんだろう。 | |
あ、だからって何をしてもいいワケじゃないぞ。妙な事が起きたら、歌手なんかすぐにやめさせるからな! | |
ランカ | ……うん。お兄ちゃん。 |
ミハエル | 入隊早々、運が無かったな。 |
入隊契約。特例B項! | |
SMSが主契約を結ぶ政府が、戦争、もしくはそれに準ずる状態となった場合、 | |
命令拒否権及び期間終了までの脱退の自由を喪失する。 | |
契約書を読んじゃいたが、まさか本当になるとはね。ま、本番はまだ先の筈さ。肩の力を抜いとけよ。 |
アナウンサー | 続いて、先ほど行われたシェリル・ノームさんの会見の模様です。 |
シェリル | 私はギャラクシー、私の故郷が無事だと信じます。 |
そしてこのフロンティアが、彼らを助けるために行動を起こしてくれることに感謝を申し上げます。 | |
記者 | ですがフォールド断層のせいで、あの映像は5日前のものだと。 |
それどころか、いたずらに手を出せば、あの化け物、バジュラの注意を引くだけという見方もありますが。 | |
シェリル | つまりこう仰りたいんですか? |
ベッドにもぐって息を殺して、バジュラが見逃してくれるのを待つべきじゃないのか。 | |
ギャラクシーなんか見殺しにして。 | |
記者 | そうは言ってはませんが…。 |
シェリル | そうですよね。この艦ももうバジュラに襲われているんですから。 |
記者 | …と、ともかく、こういう事態です。今夜のLIVEは中止だと思いますが、ファンに向けて…。 |
シェリル | 中止!?誰がそんなことを決めたの? |
記者 | …で、ですが。 |
シェリル | LIVEはやるわ。そして私は、私はギャラクシーに帰る! |
ミハエル | おい、どこいくんだよ。 |
アルト | 野暮用だ。 |
ラム | 新統合軍機、先行偵察に出ました。 |
ジェフリー | 艦の状況は。 |
ミーナ | 現在、チェックリストEの1620まで消化、残りは15%です。 |
ジェフリー | レーダーシステムは全面改装された。慣れる時間を与えられずに心苦しいが、しっかり頼むぞモニカくん。 |
モニカ | ハイ!艦長。 |
ミーナ | セクハラだよねぇ?アレ。 |
ラム | 本人が喜んでるから良いんじゃないですか? |
ボビー | 艦長、例の件本当なんですか? |
ジェフリー | 猫の鈴さ。この艦について、ビルラー氏と政府の話し合いはそれで手打ちになったらしい。 |
キャシー | 失礼します。新統合軍幕僚本部の命で着任いたしました、キャサリン・グラス中尉です。 |
ボビー | お客様1名ごあんな~い。 |
ファン | シェリルかわいそぉ。 |
ファン | だから私達が応援するのよ。 |
グレイス | 今から中止してもいいのよ。 |
シェリル | 心配はいらないわグレイス。やれる。やってみせる。 |
スタッフ | 何だコイツ! |
誰が通した。 | |
アルト | 離せよ。俺はシェリルに用があるんだ! |
スタッフ | どこから入った。 |
アルト | 離せッ! |
シェリル | 通して。彼は私の友人よ。 |
グレイスお願い。 | |
シェリル | ごめん!すっかり忘れてたわ。 |
アルト | なんて奴だ。わざわざ届けに来てやったのに。 |
シェリル | 律儀なのね。意外と。 |
アルト | まあな。 |
新統合軍 | リレーポッド射出します。 |
新統合軍 | 断層が無けりゃ、こんな風にチマチマ飛ばずに済むんだが。 |
新統合軍 | フォールド反応!? |
新統合軍 | バジュラか? |
新統合軍 | ……いえ、それよりもっと。 |
さらに複数、間もなくデフォールドしてきます! | |
新統合軍 | これは……ギャラクシー所属デネブ級カイトスです! |
新統合軍 | どういうことだ。何だこの有様は! |
ミーナ | 艦長、大統領府より最優先です。 |
ジェフリー | 回してくれ。 |
一級の管制免許をお持ちだそうですな、グラス中尉。 | |
キャシー | キャシーと呼んでください。1300時間の実務経験もあります。 |
ジェフリー | ではキャシー、早速だが働いてもらう事になった。よろしいかな? |
キャシー | はい! |
ジェフリー | 総員起こし、コンディション2を発令。本艦はこれより発進準備を開始する! |
シェリル | 他の人には内緒よ。それはね、私のお守り。母の形見なの。それ以外顔も知らないけどね。 |
ねぇアルト。あなたこの船は好き? | |
アルト | 嫌いだ。つーか、俺は都市宇宙船そのものが嫌だな。 |
シェリル | どうして? |
アルト | ここには、空が無い。 |
シェリル | らしい答えね。 |
アルト | 俺はパイロットだからな。お前は?ギャラクシーのこと。 |
シェリル | 私は……。 |
アルト | …ごめん。 |
ミハエル | どこをほっつき歩いてる!この馬鹿野郎!!とっとと戻れっ!! |
ギャラクシーの生き残りの艦が発見された。バジュラの大群付きで。クォーターが発進する。 | |
遅れたら営倉入りだぞ。今の俺たちは軍人扱いなんだからな! | |
シェリル | 出るの?あなたも。 |
アルト | 言ったろ。俺はパイロットなんだ。 |
受け取れよ。そのために来たんだから。 | |
シェリル | 持っていて。言ったでしょ。それ幸運のお守りなのよ。だから…。 |
アルト | シェリル…。 |
シェリル | 私、ギャラクシーが嫌いだったわ。身寄りの無い私が暮らすには、あの船は最低だった。でも…。 |
アルト | 勘弁しろよ。お前にそんなしおらしい顔されると、反応に困る。 |
シェリル | …何よ、偉そうに。 |
アルト | 借りとくぜ。お前の幸運。 |
シェリル | 貸すだけだからね。必ず返しに来るのよ。いいわねアルト。 |
アルト | あぁ。 |
ミーナ | 艦内設備、オールグリーン。 |
ラム | 反応炉、定格出力で安定。 |
モニカ | 対バジュラアンチESA仕様弾装填開始。 |
ルカ | 行くよ、ヨハネ。 |
オズマ | 遅いぞアルト! |
アルト | すいませーん! |
オズマ | スカル小隊、スタンバイ完了。 |
キャシー | 了解しました、オズマ少佐。 |
オズマ | …キャシー!?何でお前が? |
キャシー | 私語は慎んでください少佐。 |
オズマ | ふ、また親父さんの命令で貧乏くじか。 |
キャシー | 大きなお世話よオズマ!! |
ったく。全小隊スタンバイ完了しました。 | |
ラム | 新統合軍司令部より発進許可出ました。 |
ボビー | 艦長、発進準備完了! |
ランカ | はぁはぁはぁはぁ…。 |
ジェフリー | フロンティアとの全コンジットをパージ。スタビライザー解除! |
ミーナ | 了解! |
ジェフリー | 反応炉出力5分の1。微速前進! |
ボビー | 微速前進。 |
ジェフリー | S.M.S、マクロスクォーター発進! |
ジェフリー | フォールド安全エリアに到達次第、本艦は直ちに12光年の短距離フォールドを行う。総員フォールドに備えよ! |
カナリア | どう話した?ランカに。 |
オズマ | 絶対に死なないと約束した。だから万一の時はよろしく頼むぜ、メディック殿。 |
カナリア | 当たるな、ならば。 |
オズマ | あぁ。お前等も聞け!いいか。誰一人死なせはしない。必ず生きてフロンティアに帰ってくるぞ! |
ダイアモンド クレバス(エンディング)
予告 | 開始されるバジュラへの初の攻撃作戦。その最中、アルトは命の選択を突きつけられる。 |
次回「ファースト・アタック」祈りの歌、銀河に響け。 |