| オペレータ | シェルに直撃です! |
| 司令 | くそっ、大統領はまだなのか。このまま手を拱いていては…。 |
| レオン | バトルフロンティアを出航させろ。 |
| 司令 | 補佐官風情が何を! |
| レオン | 11分前、大統領の死亡が確認されました。バジュラの仕業です。 |
| 司令 | ……。 |
| レオン | よって、現時点において政府機能を持つこのバトルフロンティアにいる最高位の文官、 |
| すなわち私が大統領の全権限を受け継ぐことになります。すみやかに命令を実行してください。 | |
| 司令 | し、しかし……。 |
| レオン | このバトルフロンティアが落ちればすべては終わりだ。それすら分からないのですか、あなたは。 |
| 司令 | くっ……。Sir, Yes Sir!。 バトルフロンティア、緊急切り離し。出航シーケンス開始! |
| キャシー | 急いで。彼がもし権力を掌握したら、すべてに……。 |
| アナウンス | バトルフロンティア出航。繰り返す。バトルフロンティア出航。 |
| レオン | さぁ、僕のターンだ。 |
ライオン(オープニング)
| アルト | アイランド3に行けばなんとかなるんだな。 |
| ルカ | はい。 |
| アルト | クラン、準備はいいか。 |
| クラン | ミシェル……。 |
| おらぁぁぁーーー!! | |
| くらえぇーーっ! | |
| ミシェルっ。 |
| アルト | よし、行くぞ! |
| ルカ | はい。 |
| モニカ | 17区画に敵機接近、数7。続いて2-1より空母級。 |
| ラム | 主砲発射体制、来ます! |
| ボビー | そなくそ[?]! |
| モニカ | 後方から熱源!?これは……バトルフロンティアです! |
| レオン | さすがにこの艦の主砲はまだ通用するようだねぇ。 |
| 司令 | 確かに。これで外の敵には対処できるかもしれません。ですが、それではなんの解決にもなりませんぞ、臨時大統領。 |
| レオン | 少し黙っててくれるかな、准将。 |
| 司令 | ……。 |
| 三島の部下 | ……。 |
| レオン | この作戦をルカ君が? |
| 三島の部下 | はい。秘匿回線で。 |
| レオン | よし、本艦はこのまま外部から襲来するバジュラを撃退する。クォーターと回線を繋げ。 |
| アルト | これが…。 |
| ルカ | リトルガール。半径50キロの空間を切り取って食い尽くす L.A.I が開発したフォールド爆弾です。 |
| アルト | 50キロって、船団ごと飲み込んじまうじゃないか。 |
| ルカ | だからバジュラをどこか一箇所に集め爆発させる。 |
| アルト | どうやって。 |
| ルカ | ……。 |
| ランカ | …。 |
| アルト | ルカ! |
| ランカ | アルトくん! |
| アルト | まさか…おいルカ、貴様! |
| ルカ | 僕は決めたんです、絶対に守るって。なのに……。 |
| アルト | だからってランカを囮にしようなんて。 |
| ルカ | 死んだんですよ、ミシェル先輩が! |
| アルト | ……。 |
| ルカ | 船だってボロボロ。生態系だってムチャクチャだ。これ以上被害を受けたらフロンティアはおしまいなんです! |
| これはもう生存を懸けた戦いなんですよ。僕らか、バジュラかの。 | |
| アルト | ……。 |
| ランカ | 歌うよ、私。みんなのために…。 |
| 司令 | 本当におやりになるのですか?アイランド3は最も被害が少ない島だというのに。 |
| レオン | もともと、ゼントラーディ用の農業、観光島だからねぇ。マイクローン化させれば収容は容易だ。他の島では時間が足りないよ。 |
| ルカ | ランカさんが歌を歌い始めたら、バジュラがすべての艦から集まってくるはずです。 |
| 移動が確認された時点でアイランド3を切り離し、安全圏まで離れたところでこれを爆発させます。 | |
| ランカ | そのギリギリの瞬間まで、私はここで歌い続ければいいんだね。 |
| アルト | それまで絶対にバジュラには近寄らせない。脱出も必ず成功させる。だから……だから安心して歌え。 |
| ランカ | うん。今度はちゃんとできると思う。 |
| アルト | 頼む……。 |
| ブレラ | 歌いたくないなら歌わなくていいんだぞ、ランカ。 |
| ランカ | 酷いよブレラさん、どうしてそんなこと言うの……。 |
| ブレラ | 歌はお前の心だ。それも、お前だけの物だから。 |
| ランカ | ………。 |
| アルト | くっ……。 |
| ランカ | ありがとうブレラさん。でもいいの。 |
| シェリル | 歌……。 |
| オペレータ | アイランド1内のバジュラ、続々とアイランド3方面へ移動中です。 |
| アルト | くっ! |
| ルカ | よくもナナセさんをー! |
| ジェフリー | 今だ。攻撃の手を緩めるな! |
| カナリア | なぜ襲う、我々を! |
| クラン | ミシェル、ミシェルーッ! |
| ランカ | (痛い…痛いよ……) |
| グレイス | 見事よ、リトルクイーン。11年前とは違うのね。 |
| 司令 | アイランド3をパージ! |
| オペレータ | ランカ・リーの脱出を確認! |
| レオン | やりたまえ! |
| ランカ | うぅっ! |
| ごめんね。 | |
| アルト | お前はよくやったさ。ありがとう、ランカ。 |
| ランカ | ……。 |
| ルカ | でも……。 |
| ジェフリー | 犠牲はあまりに大き過ぎた。 |
| レオン | とても傷ましい厄災でした。我々は敬愛するハワード・グラス大統領を失い、また、多くの人々が友人を、 |
| 家族を、愛する人を失いました。みなさんは怒りとともに、あるいは悲しみとともに問いたいことでしょう。 | |
| 何故と。なぜ我々なのだ、なぜ私の家族が、恋人が、なぜ傷つかなければならなかったのか。 | |
| 残存兵力を総動員し、生き残っていたバジュラもほぼ掃討され、ようやく事態は沈静化していますが、失った人、失った物は二度と戻らず、 | |
| みなさんの心も取り返しのつかない傷を負ったことでしょう。そう、傷は、傷はあまりにも深い。今はただ祈りましょう。失われた命のために。 |
| レオン | ミス・ランカ。あなたのお兄さん、オズマ・リー少佐も行方不明です。お辛いとは思いますが歌ってくださいますね、 |
| 追悼と明日への希望の歌を。我々がバジュラとの戦いに勝利し、生き残るために。 | |
| ランカ | ごめん…なさい……。 |
| レオン | ランカさん。 |
| ランカ | ごめんなさい。もう……歌えません! |
| アルト | ランカ!? |
| シェリル | ランカちゃん。 |
| ランカ | もうイヤだよ。どうして私なの?どうして私の歌、バジュラたちに……。 |
| あい君?キャァー! | |
| あい君、どこ行ってたの?こんなに大きくなって。ずっと心配してたんだから。 | |
| ん?え?あい君……。 | |
| アルト | 誰だこんな夜中に。ランカ!? |
| アルト | はぁはぁはぁはぁ……。 |
| ランカ! | |
| ランカ | アルト君。 |
| アルト | ランカ、お前どうして歌を…。 |
| ランカ | お願いがあるの、アルト君。 |
| あの……そうだ、アルト君がいつも折ってた紙ヒコーキ、折り方教えてくれる? | |
| アルト | あ、あぁ。 |
| ランカ | ねぇ、聞いてもいい? |
| アルト | ん? |
| ランカ | アルト君はどうして空を飛ぼうと思ったの? |
| アルト | それは…。俺のおふくろは体が弱くて、いつも空ばかり見てる人だった。 |
| 俺も一緒に見てて、そんな時おふくろが言ったんだ。本物の空が見たいって。 | |
| ランカ | 本物? |
| アルト | あぁ。青く果てしなく続く水平線と白い雲、そんな本物の自由な空。 |
| おとぎばなしみたいだったよ、この船で生まれた俺にとっては。 | |
| ランカ | 素敵だね。 |
| アルト | ありがとう、ランカ。 |
| ランカ | アルトくん……。 |
| でーきた! | |
| アルト | あぁ、ちょっと貸して。 |
| よし、これでバッチリだ。 | |
| ランカ | うわぁ。ねぇ、飛ばしていい? |
| アルト | 好きにしろよ。 |
| ランカ | うん。 |
| えいっ! |
| ランカ | みんな自由に、自由に生きたいんだよね、きっと。 |
| アルト | そうだな。 |
| ランカ | アルト君、お願い! |
| アルト | え?あっ。 |
| ランカ | 私と一緒に…。 |
| アルト | バジュラ! |
| ランカ | やめてアルト君! |
| アルト | なんで止める。そいつはバジュラなんだぞ、ミシェルを殺した! |
| ランカ | でもこの子じゃないよ!この子はまだ脱皮したばかりで何も悪いことしてないじゃない!なのに殺すの? |
| アルト | バジュラがいる限り空は戦場になる。俺達が生き残るにはこいつらを殺すしかないんだ! |
| うわぁっ!っく!貴様っ。 | |
| ランカ | ブレラさん。 |
| ブレラ | ランカ、望みを言え。 |
| ランカ | え? |
| ブレラ | お前の望みを俺が叶えてやる。 |
| アルト | ……。 |
| ランカ | あい君。 |
| アルト | ランカ、お前……。 |
| ランカ | 私ね、最近少しずつだけど、昔のこと思い出してるんだ、怖いけど。 |
| でもきっと私は知らなくちゃいけないんだって、そんな気がして。だから私、行くね。 | |
| アルト | 行くって。 |
| ランカ | せめてこの子だけでも仲間の所に帰してあげたいの。 |
| アルト | ……。 |
| ブレラ | 分かった。 |
| アルト | ランカ! |
| ランカ | アルト君……。 |
| アルト | 馬鹿、行くなランカ! |
| ランカ | ホントはね…アルト君と行きたかった……ずっと一緒にいたかったよ! |
| アルト | ランカ……。 |
| ランカ | アルト君……。さよなら、大好きでした……。 |
| アルト | ランカ! 行くな、ランカーーッ! |
| オズマ | なんだっ。 |
| オペレータ | アイランド1上部エアロックB-9[?]に異常発生。何者かに強制解除されています! |
| アルト | (ランカ……) |
| ランカ | (アルト君……) |
| アルト | ランカーーーーッ!!! |
青のエーテル(エンディング)
| 予告 | ランカの旅立ち。生じる不協和音。背く者たち。触れ合う者たち。 |
| 次回「ノーザン・クロス」唇の歌、銀河に響け。 |