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**最新の技術──あるいは公式の武装
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さて、我が店“ALChemist”はMMSショップである。ともなれば、当然
一般流通している神姫や、時には一部の限定品も販売せねばならん。
が、ただ売るだけでは面白くない。客のオーダーに合わせて、武装を
寄せ集めて全く別の神姫に見立てたり、改造や調整もこなしている。
『というわけで、晶さんにはウチのサオリに着せる第六弾の装甲を!』
『公式の武装をメインフレームにしつつ戦闘法に合わせた調整を、か』
『そそ。そもそもサオリ自身を調整してくれたのも晶さんだしね……』
こういう経緯で私・槇野晶が引き受けた仕事も、その一環である。一応
アフターケアの意味も兼ね、私に武装調整のお鉢が回ってきたのだな。
そして眼前には、梱包から取り出した第六弾の武装パーツが存在する、
今からコレを、神姫・サオリに適したデザインと能力に改造するのだ。
ちなみにサオリとは、突撃癖のあるエセ中華娘の限定版ストラーフだ。
「……むぅ。新作公式パーツの検分は、毎度の事だが驚きの連続だな」
「マイスター、お茶が入りましたよ~♪……って、それは第六弾の?」
「む、その通りだアルマや。客の依頼で、これを弄る事になってなぁ」
「確か、ティグリースは白兵戦特化でしたっけ?ほら、この剣は……」
「有無。通常型とはいえジョイント満載で変形もする、なかなかだな」
“朱天”を初めとした十一に及ぶ“寅の爪”は、そのまま彼女の戦法を
表現している。一方で背に背負うブースターも、素晴らしい飛行性能と
高い防御性能を備えた業物であるらしい。二種類の合体形態……即ち、
小型パワードアーマー“真鬼王”とヴィークル“ファスト・オーガ”を
思えば必然とも言える前のめりな性能であるが、技術に驚かされるな。
「一方でウィルトゥースは……なんだ、やけに重火器が豊富だな?」
「脚部は電磁推進ポッドですし、戦い方としては空中砲台ですの♪」
「お、起きたのかロッテや。見ろコレを、粒子ビーム砲まで有るぞ」
「実弾・エネルギー、両方とも充実してて……にしても物騒ですの」
「有無……粒子ビームを大気中に発射出来るとは、凄まじい技術だ」
何らかの形……恐らく保護フィールドか……で放射線や直進性等の問題を
解決しているのだろう。原子力発電や物理学実験等からのスピンオフか?
単純な威力だけでなく技術面からも、彼女の“インフェルノキャノン”は
驚嘆に値する特殊兵器だった。それは同時に『改造出来ない』装備という
証左でもある。精々、ジェネレータの出力を推進機関に融通させる位か。
「……で、これらの合体で誕生するのが“巨人”と“鉄騎”なんだよ」
「む、片付けは終わった様だなクララ……そうらしい、合体機構だぞ」
「公式にミキシング……というか合体をサポートするのは初めてかな」
「“ファスト・オーガ”では、全出力をホバー走行に注ぎ込めますの」
「“真鬼王”は、浮遊移動の俊敏さとパワーを両立させた、巨人……」
私と三人の“妹”達は、試しに忌むべき“神姫の王”を見立ててみた。
そこから見えてきたのは、まざに神姫をコアとした戦闘モジュールだ。
二人分のパーツを要する為に、軽量級のレギュレーションだとなかなか
お目には掛からないだろうが、そのカタログスペックは非常識だった。
「このパワーは、チーグルをも上回るなッ!持続時間は短いが……」
「疲弊した所にこれで攻め込まれたら、大半の神姫は苦戦するもん」
「そう言う意味ではわたし達の“アルファル”も、近い設計ですの」
「コレと戦えるのは、“ギガノイド・フィギュア”しかないですね」
「驚愕だな……一方の“ファスト・オーガ”も組み立ててみるか!」
もう一方の合体形態“疾く走る鬼”は、神姫素体との連動機能を必要と
しないので、そのままダイレクトに組み立てて、ロッテを乗せてみた。
「よし、では火を入れてみてくれ。これでブースターの性能が分かる筈」
「はいですの~♪……お、おっとととっ!なかなか速いですの~ッ!?」
「凄い小回りと飛行性能なんだよ。公式でこれだけの物は初めてだもん」
「でも噂だと、地表走行では第七弾の二機種が更に上を行くそうですよ」
「技術は日進月歩と言われるが、ここまで先鋭化するとはな。流石だ!」
そして、ロッテの姿を見て私は思いつく。この莫大な推進力と防御力を
活かして、突撃戦に特化した走行を見立ててやるのもいいかもしれん。
それと同時に、私は“妹”達への新たな欲望……誓いを思い立つのだ!
「有無。この案件で習得した技術等は、お前達に反映せねばならんな」
「新しい装備ですの?“重量級”なら分かりますけど、軽量級は……」
「分かっている、新しい物を増やす訳ではない。マイナーチェンジだ」
「……つまり外見や基礎機能を変えずに、能力を向上させるのかな?」
「日々進歩する“姉妹”達に打ち克つには、そういうのも大事ですね」
「そう言う事だ。お前達の修練と私の技術革新、それが勝利の鍵だ!」
──────歩みを止める時は、まだ来ないからね?
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