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  • キズナのキセキ・ACT1-27:未知との対峙

武装神姫SSまとめ@wiki

キズナのキセキ・ACT1-27:未知との対峙

最終更新:2023年02月05日 11:18

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キズナのキセキ

ACT1-27「未知との対峙」


◆

 その夜のことを、桐島あおいは忘れたことがない。

 裏バトルで敗北し、最愛の神姫を失い、絶望に打ちひしがれた、あの夜。
 裏バトル会場の裏口を出た壁に身を寄せてうずくまり、身体を震わせていた。泣いていた。握りしめた手の中には、もはや動くことのないパートナーの残骸。
 身動きもとれなかった。泣くことしかできなかった。今夜ここで、神姫マスターとしてのすべてを奪われた。夢や希望は言うに及ばず、プライドも闘志も、装備も神姫も、すべて。
 何のために神姫バトルをやってきたのだろう。
 その意志すらも、彼女は失いかけていた。
 圧倒的な絶望の前に、過去など意味を持たない。輝いている思い出も、今は絶望の厚い雲に蓋をされて、あおいの心の底まで、その光が届くことはなかった。
 声を押し殺していても、しゃくりあげる声が、真夜中の路地裏に響く。
 それほどに孤独な静寂。
 そこに。

「……力が欲しいか?」

 しわがれた声がはっきりと聞こえた。
 あおいは力なく顔を上げる。瞳からはいまだに涙の滴がこぼれていて、目の前の小さな影をはっきりとは判断できない。
 ただ、闇から滲み出してきたようなその小さな姿は、神姫だと思った。
 しわがれた声が落ち着いた口調で続ける。

「力が欲しくはないか? そなたの神姫の仇を取る力が」
「ちから……?」
「そうだ」
「……そんなこと……できるわけない……」

 相手は金にものを言わせ、カスタムも改造も思うさま行った違法神姫だ。
 目の前の神姫は明らかに素体のまま。あおいがまだ残している少々の武装で勝てる相手ではない。
 だが、目の前の神姫は言い切った。

「できる。わたしならば、あの程度の神姫、雑魚に過ぎぬ」
「そんな……そんなこと……」
「力を望むなら、我が手を取れ、桐島あおい。我が力で、そなたの大切な神姫を奪った連中に復讐するがいい。わたしは絶対の勝利を約束しよう。そのかわり、そなたはわたしの復讐に手を貸すのだ」
「ふくしゅう……?」
「そうだ、復讐だ。あのバトルで、そなたの神姫……ルミナスは破壊されるいわれなどなかった。あのような外道……神姫を破壊して悦に入っているような輩には、同じ地獄を味あわせてやればいい。あのバトルに歓喜していた連中も同様だ。そなたには復讐する権利がある」

 復讐。
 その言葉に、あおいの両の眼が開かれる。
 そう、復讐だ。
 ルミナスには、あの子には何の罪もない。愚かなわたしに命じられて、必死に戦っただけなのだ。
 破壊される理由などありはしない。完膚なきまでに破壊し、殺す理由などありはしない。
 自分の快楽のためだけに、優しい神姫を殺す……それは罪ではないのか。そんなことを平気でする連中が今日も高笑いしながらはびこっている。ルミナスのように破壊される神姫が、そしてわたしと同じように絶望に打ちひしがれるマスターが、これからも現れるかも知れない……いや、確実に現れる。
 ならばどうする?
 ルミナスの無念を誰が晴らすのか。これから絶望に落ちるかも知れない神姫とマスターを誰が救うというのか。

 あおいは目の前の神姫と視線を合わせた。
 なんと昏い眼をした神姫だろう。
 しかし、その昏い視線から、底知れぬものをあおいは感じ、身震いした。

「勝てるの、あなたなら?」
「言ったであろう。絶対の勝利を約束しよう。ただし、そなたの復讐の後は、わたしに力を貸せ」
「……わたしの復讐は、あいつを倒すだけじゃ終わらない。このエリアの不良マスターたちを根絶やしにする……それができる?」
「造作もない。思う存分やるがいい」
「……わかったわ」

 あおいは一つ頷いた。
 目の前の神姫は、変わらず昏い眼のまま、表情一つ変えず、生真面目な口調で言った。

「……契約成立だ。証にこれを」

 黒い神姫が抱えていたのは、小さなワイヤレスヘッドセットだった。
 あおいはもはや何の疑問も持たず、そのヘッドセットを受け取り、耳に付けた。

 この日、桐島あおいとマグダレーナ、二人の復讐は始まったのだ。


◆

 二人はお互いの得物をぶつけ合い、再び鍔迫り合いとなった。
 ミスティは正面にある神姫の顔を見る。
 マグダレーナの顔は、怒りと焦りに歪んでいる。
 ミスティは今まで、裏バトル会場などで何度かマグダレーナの姿を見てきた。けれど、これほどに追いつめられた彼女を、ミスティは見たことがない。
 そして、未だかつてないほどにマグダレーナを追いつめているのは、紛れもなく自分だった。
 交差した剣と槍の向こう側から、マグダレーナがしわがれ声を発する。

「絆など……何の実体もないただの思い込み……そんなものに何の価値があるっ!」
「寂しい奴ね、あんたは」

 ミスティはふっと優しく微笑みかけた。

「絆ってのはね、双方向なのよ」

 ミスティは思い浮かべる。
 自分と菜々子、自分とティア、自分と他の神姫マスターや神姫と繋がっていく絆。
 それはまた、繋がった先の人や神姫からも伸びて、また繋がっていく。
 広がっていく絆の軌跡は、まるでシナプスのように描き出される。
 あるいは蜘蛛の巣のように。
 ウェブ。
 そう、それは……

「絆ってのはね、ネットワークなのよ」
「ネットワーク……だと?」
「誰かと誰かが繋がって、またその先の人と繋がって、またさらに先の誰かと繋がって……どんどん広がっていく。しかも双方向。お互いがお互いのことを考える、助け合う。そしてみんなが幸せになれる。それが絆だわ」
「言っただろう……そんなもの……幻想に過ぎん!」
「幻想じゃないわ。その証拠に、みんなとわたしの絆が力になって、こうしてあんたを追い詰めてる」
「……思い上がるな!!」

 マグダレーナは槍をはじき、間合いを取る。
 ミスティは間髪入れずにダッシュする。
 漆黒の修道女型は、間合いを保たん後退する。

「あんたは遅いのよ!」

 叫びとともに、ミスティがダッシュ。両脚のホイールを回転させ、地面を滑りながら間合いを詰める。

「あんたの機動は、ティアにも、リンにも、シルヴィアにも及ばない!」

 いとも簡単にミスティは間合いを潰して、斬りかかる。
 マグダレーナはかわせず、エアロヴァジュラの一撃を捌く。続いて、ミスティの副腕による連撃。これも捌くが、ビームトライデントだけでは限界がある。腕やブルーラインの装甲が少しずつ削られる。
 後退し続けてはジリ貧だ。マグダレーナは無理矢理踏み込んだ。
 ミスティも踏み込んでくる。
 力任せに得物をぶつけ合った。
 また鍔迫り合いとなり、ミスティと視線が絡む。

「……弱い踏み込みね。ねここの突進に比べたら、蝿が止まったようなもんだわ」

 嘲りの言葉に、マグダレーナは苛立つ。
 力任せに押し返すと、今度は三つ叉槍を構え、連続突きを繰り出した。
 速さは神速、狙いは正確。
 あやまたず急所を貫くはずの槍はしかし、すべて刀と副腕によって捌ききられた。

「そんな連続技、フェフィーやランティスのコンボに比べたら、全然ぬるいわよ!」

 マグダレーナは攻撃の手を止めない。
 しかし、三つ叉槍一本の攻撃には限界があった。
 ミスティはマグダレーナの連続攻撃を捌ききってなお、攻撃を当ててくる。
 そう、攻撃が当たっているという事実が、マグダレーナに屈辱を与えていた。
 亀丸重工の軍事研究所謹製のMMSボディは特殊な素材でできており、市販品の武装神姫の攻撃でダメージを受けることはない。あのファーストランカー『街頭覇王』の必殺技すら凌いでみせたのだ。
 目の前の神姫からダメージなど喰らうはずがない。
 はずだった。

「……なにぃっ……!?」

 ミスティから繰り出される、すくい上げるような副腕の一撃を、からくもかわしたマグダレーナが声を上げた。
 爪がかすめた腹部に、薄い裂傷ができていた。
 気づけば、腕にも肩にも小さな傷ができている。
 いずれも、ミスティの副腕の攻撃が当たったところだ。
 ダメージ自体は微々たるものだが、自分を傷つけることが可能、という事実に、マグダレーナは驚き、そして……恐れを抱いた。
 なぜだ、なぜ奴は私に傷を負わせることができる!?
 マグダレーナの問いは口に出す直前で消えた。
 ミスティは誇るようにマグダレーナに告げる。

「あんたは弱い……マイティや雪華の方がよほど手強かったわ」

 ミスティは今、実感している。あの特訓が……みんなとの絆がわたしを支えてくれている、と。


□

「すげぇ……ミスティが押しまくってるぜ……!」

 大城の感嘆に、俺は小さく頷いた。
 今のマグダレーナは見るからに余裕がない。
 彼女は下がらざるを得ない。なぜなら、ミスティの攻撃が当たれば、自らのボディが損傷する恐れがあるからだ。
 『街頭覇王』三冬の必殺技の直撃を喰らってもボディは損傷しなかった。並外れたボディ強度も、彼女の余裕に繋がっていたはずだ。
 だが、ミスティの副腕の爪は特別製だ。人工ダイヤモンドの欠片を研磨し、仕込んである。いくら丈夫な素体とはいえ、この世で最も硬い鉱物の爪で鋭く攻撃されれば、無事では済むまい。
 それに、特別製のボディは丈夫だろうが、装備は違う。ボディよりも注意を払わなくてはならない。特にブルーラインはマグダレーナの機動を支えるものだ。破壊されれば、逃げようがなくなる。

 マグダレーナにとっても、これほどに押し込まれて後退を強いられる戦いは初めての経験に違いない。
 バトルの主導権はこちらが取った。あとはこのまま押し切って勝てればいいのだが。


◆

 ミスティの猛攻が続く。
 滑るように前に出ながら、マグダレーナに対し、次々に攻撃を繰り出す。
 マグダレーナは下がる。
 「ブルーライン」の浮遊機能を最大限に利用しながら、ミスティの攻撃を捌き続ける。
 マグダレーナは防戦一方だ。
 表情は苦しく、いつもの余裕はまったく見られない。
 マグダレーナは苦し紛れに、攻撃予測スキル「スターゲイザー」を起動する。この短いバトルの間に入手したミスティの戦闘データを元に、この先の攻撃を予測、視界にその軌跡を赤いラインで表示する。
 瞬間、無数のラインが表示され、視界が赤く染まった。
 攻撃が絞りきれない。
 迫るミスティからは、あらゆる方向から攻撃が来る可能性がある。
 どうすればいい。
 スキルなしに、どうやって相手の攻撃を見切り、攻撃に転じればいい!?
 マグダレーナはその疑問に行き着き、そして愕然とする。
 そう、彼女は今まで自分のスキルに頼りすぎていた。
 だから、想定外の相手と戦うことはほぼなかった。未知の相手に対し、反撃の機会を掴むことさえ、マグダレーナはできない。
 ならば、他の神姫はどうやって戦っているというのか。行動予測もなしに、どうやって未知の相手と対峙する?
 マグダレーナがそう考えた時、戦場に声が響いた。

「ミスティ、三連撃から連続突き! 下から上へ、攻め上がりなさい!」

 声の主は、久住菜々子。
 ミスティはマスターの指示を忠実に守りつつ攻めてくる。それはマグダレーナが分析したミスティの行動パターンを逸脱したものだ。
 久住菜々子の指示は「女の勘」に頼ったものだと言う。その場の閃きや感覚による指示はパターン化できない。今までの戦闘データの蓄積があればともかく、データなしの今の状況では、法則を導くことはできない。
 久住菜々子こそがミスティの戦闘行動に無限の可能性を与えているのだ。

 それこそがミスティの強さの秘密なのか。
 いや、違う。
 マグダレーナは気付く。
 普通の武装神姫ならば、当たり前の関係……神姫とマスター、二人でバトルに挑むということ。マスターは戦況を分析し、敵の動きを見ながら、作戦を立てて指示を出す。神姫はその指示の元に戦う。
 マスターのバックアップがあるということは、なんと心強いことだろう。

 それでは自分はどうだ。
 人間を憎み、マスターは持たず、自分の力のみで戦ってきた。背後を守ってくれるマスターはいないし、必要性も感じていなかった。
 だが、今や頼りにしてきたスキルは無効化され、実力をまったく発揮できない。
 しかも、相手神姫の武装は未知、相手マスターはパターン化できない思考の持ち主。相性は最悪だ。

 負けるのか。
 このまま押し込まれ、目の前の神姫に倒されてしまうのか。
 人間との絆を憎悪してきたわたしが、絆を肯定するこの神姫に敗れるというのか。
 この不敗を誇るマグダレーナが。

「……くそっ」

 吐き捨てた短い言葉は、マグダレーナが初めて発した弱音だった。
 その時、

「マグダレーナ! 十二時方向にコーン発射、同時に四時方向に後退、距離二!」

 聞き慣れた声で指示が飛んできた。
 マグダレーナは反射的に、その指示を忠実に実行していた。


◆

「ミスティ、後退! 避けて!!」

 菜々子の焦る声がミスティの耳に届く。
 マグダレーナを追い詰めている最中だというのに何を言い出すのか、と思いもしたが、ミスティもまた反射的にその場を飛び離れる。
 次の瞬間。
 二人が攻防を繰り広げていた地点にミサイルが着弾、爆発した。

「な……」

 轟音とともに広がる爆炎が、黒い神姫の姿を覆い隠す。
 菜々子の指示を聞いていなければ、ミサイルはミスティに直撃していただろう。
 そもそも、ミサイルはどこから飛んできたのか?
 ミスティが思考を巡らせていると、

「動きなさい、攻撃が来るわ!」

 またしても菜々子の鋭い指示。
 攻撃? 何の?
 ミスティの一瞬の逡巡。それが彼女の行動を遅らせた。
 突如、爆炎を貫いて、銃弾が飛来した。
 避ける間もなく、銃弾は背後のアサルトカービンの片方に直撃した。

「な、なに……!?」

 ミスティは焦る。
 マグダレーナが持っている武装は、ビームトライデントだけだったはずだ。なのになぜ、銃撃が来るのか。
 爆炎が晴れていく。
 機動を続けながら、ミスティは見た。
 爆炎の向こう、相対するマグダレーナの手には、ハーモニーグレイス型のデフォルト装備「クロス・シンフォニー」が握られている。
 それはマグダレーナのサポートメカに装備されていたものだ。

 ミスティは理解する。
 ミサイルもサポートメカに装備されていたものだ。独立して行動することはできなくなったが、マグダレーナが直接装備を使う機能は生きているのだろう。先ほども遠野にミサイルを撃っていた。
 ミサイルは距離を取るための布石。
 案の定、ミスティとマグダレーナは飛び離れた。爆炎で姿が見えない隙に、サポートメカの残骸に残された「クロス・シンフォニー」を拾い上げたのだ。

 クロス・シンフォニーの銃口はミスティに向けられている。
 マグダレーナの態度にも少し余裕が戻ったように見える。
 何があったの?
 自問自答する。
 ミサイル攻撃の前、飛んできた声。指示があった。マグダレーナのマスターから。
 つまり……桐島あおいから。


◆

 久住菜々子は軽く突き飛ばされた。
 たたらを踏んで、二三歩後ろに下がる。

「お、お姉さま……?」

 突き飛ばした本人……桐島あおいは、頭を押さえながら、ふらふらと立ち上がる。
 いまだ吐息は荒いまま。
 しかし、戦場を見て、また菜々子を見つめる瞳は、はっきりとした意志が宿っていた。

「悪いわね、菜々子……絆よりも何よりも、強さを望んだのは……わたし。ルミナスの復讐のために、操られていると知りながら、それでもマグダレーナの無類の強さを望んだのは、わたし自身の意志なのよ!」
「そんな……」
「強くなければ、自分の意志も貫けない。それどころか、外道な連中にいいように弄ばれるだけ。
 ……そう、弱さは罪。すべてを失い、絶望に落ち込み、たどり着いた……それがわたしの真理」
「……」

 一瞬の沈黙。
 あおいは脂汗を流しながらも、口元で微笑んだ。

「わたしとマグダレーナのコンビは不敗。……でも不思議ね。追い詰められている今この状況に、今までで一番ドキドキしてる」
「お姉さま……」

 菜々子は確信する。あおいは強さの権化となり果てたわけではない。互いの死力を尽くすギリギリのバトル、その緊張感をも楽しむことこそ、菜々子が追い求めてきたバトルの形だ。

「そういう気持ちも尊いと教えてくれたのはお姉さまですよ?」
「そうだったかしら」
「そうですよ」
「だとしたら、この気持ちも否定しなくちゃならないけれど……少しもったいないわね」
「別に否定する必要なんてありません。その気持ちには価値があるんです。バトルの勝敗以上に」
「残念だけど認められないわ」
「認めさせてみせます……わたしたちが勝って」
「させないわ……行け、マグダレーナ!」
「走れ、ミスティ!」

 二人のマスターから指示が飛ぶ。
 ミスティとマグダレーナは同時に地を蹴った。


◆

 バトルは一進一退の攻防となった。
 マグダレーナはミスティに比べて手数が少ない。しかし、火力に勝り、盾としても機能するクロス・シンフォニーを手にしたことが大きい。
 銃撃で接近を図るミスティを牽制し、接近戦でもビームトライデントとクロス・シンフォニーを巧みに使って、ミスティの格闘攻撃を捌ききる。

 逆にミスティは攻め手を欠いていた。
 マグダレーナの銃撃は裏バトルでのリアルバトルを想定しているから、破壊力は段違いだ。迂闊に飛び込むことはできない。
 それでもなんとか格闘戦に持ち込んでも、十字架状機関銃をシールドがわりにして、マグダレーナ本体に攻撃を当てさせない。
 しかも、今まで後退一方だったマグダレーナが攻めに転じてきている。攻撃パターンの変化の理由は明らかだった。
 桐島あおいの指示だ。
 彼女の指示は的確で、神姫マスターとしての実力が伺える。その指示をマグダレーナは忠実に実行している。
 マスターがいるといないとではこれほどに戦闘力が変わるものなのか。今更ながらに理解したその事実に、ミスティは戦慄した。


◆

 決め手を欠いているのはマグダレーナも同じだった。
 あおいの指示が来るようになって、互角の立ち回りができるようになったとはいえ、戦況はむしろ不利である。
 ミスティのレベルアップは著しく、なおかつこちらの絶対有利なスキルは封じられたままだ。
 装備の差も大きい。
 ビームトライデントもクロス・シンフォニーも火力の面では申し分ないが、連続使用には心許ない。
 クロス・シンフォニーは弾切れした一丁を捨て、残る一丁を拾って入れ替えている。
 ビームトライデントの出力はもうすぐ限界だ。ビーム装備は電気をやたら食うのがネックである。
 元々、マグダレーナは短期決戦が前提の装備だから、バトルが長引くほどに不利になるのは当然のことだった。もちろん、今まで残弾を気にするほどバトルを長引かせたことはなかったが。

「くそ……」

 マグダレーナが短く吐き捨てる。戦況を好転させる手段がない。焦りばかりが募ってゆく。
 その時だ。

「マグダレーナ、あれを使うわよ!」

 あおいからの指示に、マグダレーナは目を見張る。

「あれをか!? こんな市販品ごときに……!」
「だけど、このままじゃ勝てないわ。わかるでしょう?」

 あおいに言われるまでもない。このまま戦闘を続けてもジリ貧なのは、彼女が一番分かっていた。

「……仕方あるまい!」

 マグダレーナがミスティの猛攻を避けながら後退する。

「させないわ!」

 ミスティは追いすがる。
 何が来るかはわからない。しかし、このバトルでこれ以上相手に有利な要素を与えるわけには行かなかった。
 距離を詰めるミスティ。
 そこに、

「コーン発射! 十二時方向!」

 またしても桐島あおいの指示。先ほどと同じだ。四発目……最後のミサイルが来る。

「くっ……!」

 そうと分かっていては、ミスティも方向転換せざるを得ない。
 ミスティは進行方向を横にスライドし、マグダレーナから距離を取る。
 果たして、ミサイルは来た。
 マグダレーナの正面、追い続けていれば、ミスティがいたであろう地点に着弾、爆発する。
 紅蓮の炎と漆黒の煙が、再びマグダレーナの姿を覆い隠した。
 この煙幕の向こう、マグダレーナはいったい何をしようとしているのか?


◆

 あおいはコートの内ポケットに右手を差し入れ、何かを取り出す。
 そして、そのまま広場の中へ……戦場へと放り投げた。
 菜々子は見ていた。それは剣だ。長い、神姫の身長ほどもある長大な剣。
 このバトルで装備の追加はルール違反ではない。元より、そんな規定はリアルバトルにはない。
 その長剣は、マグダレーナのすぐそばに落ち、地面に突き立つ。
 マグダレーナは手にした三つ叉槍と十字架銃を捨てた。
 間髪入れずに長剣の柄を握り、地面から引き抜きながら加速する。
 突撃。

「ミスティ! 奴の武器は剣よ!」

 菜々子の言葉より早く、マグダレーナは爆炎の中へ飛び込んだ。


◆

 菜々子の言葉がミスティの耳に届くのと同時だった。
 炎と煙が巻き、突如空気のトンネルが出現した。そう思う刹那、漆黒の神姫がその中を弾丸のように突き抜けてくる。
 瞬足にして無音、フィールド発生を利用して炎の壁に穴を開け、低空を飛翔する……ブルーラインの真骨頂とも言える使用法だ。
 ミスティは思わず足を引いた。黒い弾丸を回避しようと後退する。
 マグダレーナは瞬く間にミスティの目前に着地、長剣を上段から振り下ろした。
 ミスティは上半身を下げ、回避の姿勢。
 早めの回避が功を奏した。長い剣ではあるが、その間合いは見切れた。鈍色に光る鋼の長剣の切っ先はミスティに触れることはなかった。
 続けて、マグダレーナの切り返し。
 ミスティがさらに間合いを取ろうとする。
 その時。

「!?」

 長剣が、うねり、伸びた。
 ミスティが掴んだ間合い、タイミングを覆し、長剣の切っ先が上に伸びたところで横薙ぎに変化する。
 精一杯にかわしたミスティの頭上を刃風が舞う。
 いやな音と共に、背部にマウントされていたアサルトカービンが、接続部からごっそりと奪われた。

「な……なにあれ……」

 銃器が破壊された以外のダメージはない。
 しかし、その結果以上に、ミスティの意識を引き付けたのは、マグダレーナの鋼の長剣だった。
 その姿は異形。
 一本の鋼と思っていた刃はいくつもの節に分かれ、動力パイプによって一本につながれている。今はまるで鞭のようにしなり、地面に垂れていた。
 まるで鋼でできた蛇だ。
 ミスティは先ほどの攻撃を見誤った理由も理解した。
 蛇腹になった分、剣の全長が伸び、ミスティの間合いを狂わせたのだ。そして、蛇腹の剣は鞭のように動き、縦から横へ自在の動きを見せて、ミスティの想像を超えた。
 今、その鋼の蛇は、先端を持ち上げ、鎌首をもたげている。まるで、ミスティを威嚇するように。
 しわがれた声がミスティの耳を叩く。

「断罪剣……ソリッドスネーク……これを使わせたのは、貴様が初めてだよ……もう、楽には殺さん……」

 それは地の底から響く魔女の声のよう。
 ミスティは戦慄しながらも、手にした刀を構え直した。






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