地獄とは神の在らざることなり(中編) ◆JvezCBil8U
デイパックを確認し終えたところで、長い、長いため息を結崎ひよのはゆっくりと吐く。
結局、この仏さんからは重要そうな情報を得る事は出来なかった。
当然のことながら、デイパックの中身もよく分からない文書と手配書という外れであろう組み合わせだ。
もしかしたら武器も入っていたのかもしれないが、たとえそうだとしても持ち去られたのだろう。
当然のことながら、デイパックの中身もよく分からない文書と手配書という外れであろう組み合わせだ。
もしかしたら武器も入っていたのかもしれないが、たとえそうだとしても持ち去られたのだろう。
「まあ、完全な無駄足ってわけでもないという事にしておきますか」
少なくとも柳生九兵衛という人物の性格や行動傾向、
そして、ヴァッシュ・ザ・スタンピードという人物の顔と、『平和主義者』という備考が分かったのは確かなのだ。
まあ、ヴァッシュという人物は平和主義者という割に何故か高額の賞金首だという意味不明な矛盾が存在してはいるが。
そして、ヴァッシュ・ザ・スタンピードという人物の顔と、『平和主義者』という備考が分かったのは確かなのだ。
まあ、ヴァッシュという人物は平和主義者という割に何故か高額の賞金首だという意味不明な矛盾が存在してはいるが。
「……600億、ですか。ハイパーインフレの国のご出身なんでしょうか?」
いずれにせよ、だ。
わざわざこれらが支給されたということは、彼らがこの殺し合いに巻き込まれている可能性は決して少なくない。
罠かもしれないという疑いがある以上どこまで信頼できるかは怪しいところだが、情報は武器である。
そして結崎ひよのは情報を扱う事に関してはエキスパートだ。
伝手が出来れば、人の繋がりを作れれば、それだけで取れる手段は大きく増える。
わざわざこれらが支給されたということは、彼らがこの殺し合いに巻き込まれている可能性は決して少なくない。
罠かもしれないという疑いがある以上どこまで信頼できるかは怪しいところだが、情報は武器である。
そして結崎ひよのは情報を扱う事に関してはエキスパートだ。
伝手が出来れば、人の繋がりを作れれば、それだけで取れる手段は大きく増える。
そしてもう一つ得たものといえば、故人の握っていた携帯電話。
そこに示されていた名前はとりあえず要注意だろう。
この少年を殺した人物の可能性は低くないし、そうでなければ間違いなく縁者なのだろうから。
そこに示されていた名前はとりあえず要注意だろう。
この少年を殺した人物の可能性は低くないし、そうでなければ間違いなく縁者なのだろうから。
もしこの電話が使えれば、その人物と連絡が取れるかもしれない。
そう思ってリダイヤルしようと画面を開いてみれば。
そう思ってリダイヤルしようと画面を開いてみれば。
「……あら?」
血に濡れたのがまずかったのか、それともバッテリーでも切れたのか。
携帯電話はいつの間にかうんともすんとも言わなくなっていた。
ショートでもして壊れてしまったのなら直しようがないし、バッテリー切れでも充電する道具がない。
携帯電話はいつの間にかうんともすんとも言わなくなっていた。
ショートでもして壊れてしまったのなら直しようがないし、バッテリー切れでも充電する道具がない。
「あっちゃぁ、マズりましたね。仕方ないですからとりあえず保留、と」
自分のデイパックにそれを放り込み、パンパンと手を叩く。
「それではあちらさんの方も確認しておきますか。
死体漁りなんて趣味の悪い事せざるを得ないとは、なんて私は不憫なんでしょう。
まあ、それもある意味では献身的に尽くしてる事になるんですかね?」
死体漁りなんて趣味の悪い事せざるを得ないとは、なんて私は不憫なんでしょう。
まあ、それもある意味では献身的に尽くしてる事になるんですかね?」
相変わらず警戒は怠らず、静かに、だが迷いなくもう一つの肉塊ににじり寄っていく。
見れば、どことなく中華風の服を着た少年のようである。
すぐ側に転がっているボールが印象的だが、まずは少年の方からだ。
見れば、どことなく中華風の服を着た少年のようである。
すぐ側に転がっているボールが印象的だが、まずは少年の方からだ。
「少年二人が赤い空間で一緒に寝ている、なんて言うとなんか耽美な雰囲気ですねー、私にはそっちの趣味はないですけど」
と、寝ている少年の横まで近寄り、あらためて検分を開始する。
「凶器は……やっぱり38口径弾ですか。
まあ芸術的なほどに胸のド真ん中をブチ抜いてます、ね……?」
まあ芸術的なほどに胸のド真ん中をブチ抜いてます、ね……?」
と、そこまで確認したところで疑念の唸りを上げた。
「んー?」
腕を組み、眉をひそめる。
「んー……」
こくり、と可愛らしく首をかしげる。
「んん?」
軽く額に指を当てる。
「えいや」
肉塊に適度な力加減で蹴りを入れる。
「のわっ!」
肉塊が気の抜ける叫び声を上げた。
「おはようございます」
にこにこと、百点満点の笑みを浮かべる。
「…………」
肉塊はまた沈黙して、面倒臭そうにごろりと体の向きを変える。
「お、は、よ、う、ございますっ!」
にこにこにこにこと、百二十点リミットオーバーな笑みを突きつける。
「……う、うむ。おはよう」
肉塊がちょっぴり面食らったような顔で挨拶を返した。
「……どうして、わしが死んでおったのではないと分かったのだ?」
肉塊――、もとい、少年が疑問を呈す。
それに対する答えは女のカンが第一なのだが、そう答えるのもいま一つ芸がないのでこう答える事にした。
それに対する答えは女のカンが第一なのだが、そう答えるのもいま一つ芸がないのでこう答える事にした。
「企業秘密、です♪」
「あー……、うむ。成程な、うむ」
「はい♪」
「…………」
「…………」
「はい♪」
「…………」
「…………」
絶句。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「さて、聞かせてもらえますよね?
……貴方たちは何者で、一体何があったのか、を」
……貴方たちは何者で、一体何があったのか、を」
貴方たち、の、たち、という部分に反応してほんの少しだけ少年――太公望は顔を歪める。
本来は72歳ととても少年などと呼べない年齢なのだが、それはこの際気にしない事にしておこう。
本来は72歳ととても少年などと呼べない年齢なのだが、それはこの際気にしない事にしておこう。
「あやつは……、いや、その口調ならば問うまでもないことであったな。
……そうじゃよなあ」
……そうじゃよなあ」
悔しそうに歯噛みし、だが立ち止まってはいられない。
骸の方に敢えて顔を向ける事はせず、太公望は僅かに眼を閉じ、うなずく。
骸の方に敢えて顔を向ける事はせず、太公望は僅かに眼を閉じ、うなずく。
普賢が、わしを護ってくれたのかもしれんのう。
そう心の中で呟く。
銃、という概念は太公望にはない。
だが食らった一撃からどのような攻撃かは類推する事が出来る。
おそらくは金属製の弾丸が、何かの推進力により高速飛翔してくる武器だろう。
殺傷力は高いが直線的で、単発だ。
だが食らった一撃からどのような攻撃かは類推する事が出来る。
おそらくは金属製の弾丸が、何かの推進力により高速飛翔してくる武器だろう。
殺傷力は高いが直線的で、単発だ。
だから、太極符印の斥力場を直感的に展開させる事でどうにか生き延びられた。
直線的な攻撃ならば、軌道を逸らしてやればいい。
特に急所に正確に向かってくるならば尚更だ。少しズラすだけで急所から外れるという事なのだから。
『心臓狙い』のはずが、『胸のど真ん中』を貫いたのはその為だ。
直線的な攻撃ならば、軌道を逸らしてやればいい。
特に急所に正確に向かってくるならば尚更だ。少しズラすだけで急所から外れるという事なのだから。
『心臓狙い』のはずが、『胸のど真ん中』を貫いたのはその為だ。
後は死んだフリをしてどうにかやり過ごす事が出来た。おそらく敵は心臓に命中したと思っていることだろう。
隣でデイパックをガサゴソやられていた時は冷や汗物だったが。
うつ伏せのまま動く事も出来ないのは中々の苦痛だったとはいえ、死よりはよっぽどマシだ。
結局何一つ持っていかれなかったのは、武器らしい武器もなかったからか。
隣でデイパックをガサゴソやられていた時は冷や汗物だったが。
うつ伏せのまま動く事も出来ないのは中々の苦痛だったとはいえ、死よりはよっぽどマシだ。
結局何一つ持っていかれなかったのは、武器らしい武器もなかったからか。
とにかく、だ。
どうにかしてあの音なき攻撃に対処せねばなるまい。
足音や衣擦れ、飛来物が風を切る音すら聞こえないのはあまりに危険すぎる。
攻撃のタイミングが、つかめないのだ。
その上で死角から攻撃されたとあっては反応する術がない。
どうにかしてあの音なき攻撃に対処せねばなるまい。
足音や衣擦れ、飛来物が風を切る音すら聞こえないのはあまりに危険すぎる。
攻撃のタイミングが、つかめないのだ。
その上で死角から攻撃されたとあっては反応する術がない。
……すまんのう、ハヤテ。
口には出さずとも何度も何度も謝罪する。
助けられなかったという重い事実は太公望の心に確かに刻まれる。
――何度経験しても、死の別離というものには慣れる事はない。
助けられなかったという重い事実は太公望の心に確かに刻まれる。
――何度経験しても、死の別離というものには慣れる事はない。
だが、彼のおかげで打開の糸口は少しだけ見えつつある。
それを実行するためあらためて太極符印を手に取り、密かに命令を入力する。
それを実行するためあらためて太極符印を手に取り、密かに命令を入力する。
「……と、自己紹介がまだであったの。
わしはとりあえず太公望と名乗っとく。他の名前もあるがの」
わしはとりあえず太公望と名乗っとく。他の名前もあるがの」
ニョホホ、と笑い、目の前の少女に名乗りを促してみれば。
「そうですねー、それも企業秘密ということでお願いできませんか?」
またも必殺スマイルで回避された。フレンドリィに接したつもりだったのだが。
自分が向こうに転がっている死体を作った犯人でない保証がどこにある?
まあ、信用されないのも無理はない。
少女が自身について迂闊に話さないのは実に鉄則通りと言える。
そこまで修羅場慣れしているようにはとても見えない外見なのが末恐ろしい。
まあ、信用されないのも無理はない。
少女が自身について迂闊に話さないのは実に鉄則通りと言える。
そこまで修羅場慣れしているようにはとても見えない外見なのが末恐ろしい。
「……食えんのう、お主。どこぞの女狐を思い出させるわい。妲己という名前なんじゃがな」
「あら、そんな傾城の美女に喩えられるなんて、貴方は分かっている人ですね」
「あら、そんな傾城の美女に喩えられるなんて、貴方は分かっている人ですね」
――あやつめ。後世にまで存分に悪名を伝えおって。
服装からハヤテと同年代の人間だと充分解るだけに、そんな未来まで残った悪行三昧に嘆息を隠し得ない。
思い切り、息をついた。
思い切り、息をついた。
「……まあ、信用を得るのは一苦労なのは分かっておるしな。
当面は聞かぬ事にしておくよ」
「ふむ。当面、という事は人を集めてらっしゃるわけですか。
どうやら少なくとも、殺し合いを積極的に肯定している立場ではないようですね」
「……中々回転は速いようじゃな。
おぬしの様な相手に一体どこまで語っていいものやら」
「さぁて、それを決めるのは貴方自身ですからね。
ただ、出来る限り多くを話してくれた方が、私が貴方を信用する確率は高いですよ?」
当面は聞かぬ事にしておくよ」
「ふむ。当面、という事は人を集めてらっしゃるわけですか。
どうやら少なくとも、殺し合いを積極的に肯定している立場ではないようですね」
「……中々回転は速いようじゃな。
おぬしの様な相手に一体どこまで語っていいものやら」
「さぁて、それを決めるのは貴方自身ですからね。
ただ、出来る限り多くを話してくれた方が、私が貴方を信用する確率は高いですよ?」
にこり。
少女の笑みに、仕方なしに太公望は語り始める。
とりあえず出来る限り多くのことを語らねば信用を得ることはできないようだ。
下手すればハヤテ殺しの下手人として吊るし上げられる可能性すらある。
ここは正直が一番だ。
少女の笑みに、仕方なしに太公望は語り始める。
とりあえず出来る限り多くのことを語らねば信用を得ることはできないようだ。
下手すればハヤテ殺しの下手人として吊るし上げられる可能性すらある。
ここは正直が一番だ。
仙人界を揺るがす、一世一代という言葉すら矮小に思える、演義という名の大河の流れを滔々と、滔々と。
そして、僅かな時間だけの同道者であった、健気な少年に関する口伝を。
全てを伝えるために、語っていく。
全てを伝えるために、語っていく。
【B-8/博物館 外周ギャラリー/1日目 黎明】
【太公望@封神演義】
[状態]:胸部に貫通銃創、貧血(大)
[装備]:太極符印@封神演義
[道具]:支給品一式、ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書×1@トライガン・マキシマム
[思考]
基本:殺し合いを潰し、申公豹を倒す。
0:……おぬしの死は無駄にはせん。
1:目の前の少女の信頼を得る。
2:申公豹の目的は……?
[備考]
※殷王朝滅亡後からの参戦です。
※手配書は渡されただけで詳しく読んでいません。
※ハヤテと情報交換をしました。
※ひよのと情報交換をしました。ひよのと歩について以外のスパイラル世界の知識を多少得ています。
[状態]:胸部に貫通銃創、貧血(大)
[装備]:太極符印@封神演義
[道具]:支給品一式、ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書×1@トライガン・マキシマム
[思考]
基本:殺し合いを潰し、申公豹を倒す。
0:……おぬしの死は無駄にはせん。
1:目の前の少女の信頼を得る。
2:申公豹の目的は……?
[備考]
※殷王朝滅亡後からの参戦です。
※手配書は渡されただけで詳しく読んでいません。
※ハヤテと情報交換をしました。
※ひよのと情報交換をしました。ひよのと歩について以外のスパイラル世界の知識を多少得ています。
【結崎ひよの@スパイラル ~推理の絆~】
[状態]: 健康 おさげ片方喪失
[服装]:
[装備]:
[道具]:支給品一式×2、不明支給品1、手作りの人物表、若の成長記録@銀魂、
ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書×3@トライガン・マキシマム、綾崎ハヤテの携帯電話(動作不良)@ハヤテのごとく!
[思考]
基本: 『結崎ひよの』として、鳴海歩を信頼しサポートする。
0: 言ってる内容がいちいち胡散臭いですねー……。
1: 鳴海歩がいるか確かめ、いるなら合流したい。
2: あらゆる情報を得る。
3: 2の為に多くの人と会う。出来れば危険人物とは関わらない。
4: ヴァッシュ・ザ・スタンピードと柳生九兵衛に留意。
[備考]
※ 清隆にピアスを渡してから、歩に真実を語るまでのどこかから参戦。
※ 不明支給品1は、少なくともミッドバレイには役に立たないと判断されたアイテムです。
※ 手作りの人物表には、今のところミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク、太公望の外見、会話から読み取れた簡単な性格が記されています。
※ 太公望と情報交換をしました。
殷王朝滅亡時点で太公望の知る封神計画や、それに関わる人々の情報を大まかに知っています。
ハヤテが太公望に話した情報も又聞きしています。
※ 太公望の言動を疑っています。
[状態]: 健康 おさげ片方喪失
[服装]:
[装備]:
[道具]:支給品一式×2、不明支給品1、手作りの人物表、若の成長記録@銀魂、
ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書×3@トライガン・マキシマム、綾崎ハヤテの携帯電話(動作不良)@ハヤテのごとく!
[思考]
基本: 『結崎ひよの』として、鳴海歩を信頼しサポートする。
0: 言ってる内容がいちいち胡散臭いですねー……。
1: 鳴海歩がいるか確かめ、いるなら合流したい。
2: あらゆる情報を得る。
3: 2の為に多くの人と会う。出来れば危険人物とは関わらない。
4: ヴァッシュ・ザ・スタンピードと柳生九兵衛に留意。
[備考]
※ 清隆にピアスを渡してから、歩に真実を語るまでのどこかから参戦。
※ 不明支給品1は、少なくともミッドバレイには役に立たないと判断されたアイテムです。
※ 手作りの人物表には、今のところミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク、太公望の外見、会話から読み取れた簡単な性格が記されています。
※ 太公望と情報交換をしました。
殷王朝滅亡時点で太公望の知る封神計画や、それに関わる人々の情報を大まかに知っています。
ハヤテが太公望に話した情報も又聞きしています。
※ 太公望の言動を疑っています。
【綾崎ハヤテの携帯電話@ハヤテのごとく!】
博物館の展示物である執事服のポケットから転がり落ちてきた携帯電話。
動作不良を起こしており、現在は使い物にならない。
少なくともロワに参加したハヤテの持ち物ではないが……?
博物館の展示物である執事服のポケットから転がり落ちてきた携帯電話。
動作不良を起こしており、現在は使い物にならない。
少なくともロワに参加したハヤテの持ち物ではないが……?
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