王様は最強メイド ◆F9bPzQUFL.
「 聞 い て く れ た ま え とりさんッッッ!!」
白銀の長髪を舞わせながら、右手に握り締めた携帯電話を高々と掲げて叫ぶ。
当然、通話口は口から遠く離れているのだが、気にすることなど無く。
携帯電話という物の本来の用途から大きく離れた手段で通話を続ける。
「急に大量のオーダーが来て夜を徹する覚悟で作業をしていたのに、僕としたことがふと眠りに落ちてしまってねえ!
そうそれはまるで眠れる森の美女や白雪姫など比べ物にならないほど鮮やかに眠りこけてしまってね!
目が覚めたら多くの人間が一室に集められていていたんだ、僕なんかは大事な商品を着たままだというのに!!
しばらくして出てきた慊人が何を言うかといえば、「今から殺し合え」だなんて流石のボクでも少し驚いたのだよ!
どこで知り合ったのかは知らないが、金髪の男は「巫女を選定する儀式」だとか言っているし。
そして間もなくしてぐれさんの首がまるで映画のように飛ん――――」
そこで、ふと止まる。
そうだ、紫呉は死んだのだ。
さっき、あの場でいとも容易く。
あんなにも簡単に目の前で死んだのだ。
当然、通話口は口から遠く離れているのだが、気にすることなど無く。
携帯電話という物の本来の用途から大きく離れた手段で通話を続ける。
「急に大量のオーダーが来て夜を徹する覚悟で作業をしていたのに、僕としたことがふと眠りに落ちてしまってねえ!
そうそれはまるで眠れる森の美女や白雪姫など比べ物にならないほど鮮やかに眠りこけてしまってね!
目が覚めたら多くの人間が一室に集められていていたんだ、僕なんかは大事な商品を着たままだというのに!!
しばらくして出てきた慊人が何を言うかといえば、「今から殺し合え」だなんて流石のボクでも少し驚いたのだよ!
どこで知り合ったのかは知らないが、金髪の男は「巫女を選定する儀式」だとか言っているし。
そして間もなくしてぐれさんの首がまるで映画のように飛ん――――」
そこで、ふと止まる。
そうだ、紫呉は死んだのだ。
さっき、あの場でいとも容易く。
あんなにも簡単に目の前で死んだのだ。
「聞いているかい? とりさん」
通話相手などいないことは分かっている。
携帯電話は圏外を示しているのだから。
それでも、口を開き続けることしか出来なかった。
「ぐれさんが、死んだ」
誰かに聞いてもらいたいのに、通話口の向こうには誰もいなくて。
ただ、前だけを見つめ。そのまま通話を切るフリをした。
通話相手などいないことは分かっている。
携帯電話は圏外を示しているのだから。
それでも、口を開き続けることしか出来なかった。
「ぐれさんが、死んだ」
誰かに聞いてもらいたいのに、通話口の向こうには誰もいなくて。
ただ、前だけを見つめ。そのまま通話を切るフリをした。
電話を切った後、まずは心の中の何かを取り除きに行く。
まず、自分の中で引っかかるのは慊人の態度。
女性として十二支の面前に現れた彼女のとはかけ離れていて、それ以前の横暴だった頃の慊人にそっくりだ。
紫呉に対する態度だってそう、あの他人を見るときの冷たい眼差しだってそう。
「……となると、次に引っかかるのは」
まず、自分の中で引っかかるのは慊人の態度。
女性として十二支の面前に現れた彼女のとはかけ離れていて、それ以前の横暴だった頃の慊人にそっくりだ。
紫呉に対する態度だってそう、あの他人を見るときの冷たい眼差しだってそう。
「……となると、次に引っかかるのは」
あの場に居た金髪の男。
何でも願いを叶える等と素っ頓狂なことを口走っていたあの男。
しかし、そんなことが本当に出来る世界があるのだとしたら。
夢物語や御伽噺のような世界が、自分達の世界に干渉して来ているのだとしたら。
「……やめよう」
何でも願いを叶える等と素っ頓狂なことを口走っていたあの男。
しかし、そんなことが本当に出来る世界があるのだとしたら。
夢物語や御伽噺のような世界が、自分達の世界に干渉して来ているのだとしたら。
「……やめよう」
動揺しているのかもしれない。
親しかった身内が、目の前でゴミのように死んでいったのだから。
まともな思考を働かせる方が、普通の人間にはムリだ。
親しかった身内が、目の前でゴミのように死んでいったのだから。
まともな思考を働かせる方が、普通の人間にはムリだ。
「まあ、案ずる事は無いッ。待っててくれたまえ! 迷いに迷い疲れた子羊たちよ!!」
今は深く考えるのはやめることにした。
頭が働かないのもある、仮定に頼ることしか出来ないという現実もある。
考えても考えても、どこかにいってしまいそうだというのもある。
ただ、そのどれよりも辛かったのは、紫呉の事だ。
紫呉のことを思うと、あの感情が心のそこからあふれ出して。
自分の器では支えきれなくなって、ヒビが入って壊れてしまいそうだから。
頭が働かないのもある、仮定に頼ることしか出来ないという現実もある。
考えても考えても、どこかにいってしまいそうだというのもある。
ただ、そのどれよりも辛かったのは、紫呉の事だ。
紫呉のことを思うと、あの感情が心のそこからあふれ出して。
自分の器では支えきれなくなって、ヒビが入って壊れてしまいそうだから。
「このボクが、救い出して見せよう!!」
思考に溺れるぐらいなら、動いた方がいいじゃないか。
その方が気も楽で、何か起こりそうな気がする。
その方が気も楽で、何か起こりそうな気がする。
あり得ない。あり得てはいけない。
自分自身、嘗て経験したから言える。
こんなことは、あり得てはいけないのだ。
人が人を殺して、上に上り詰める遊戯など。
そっくりだ。何もかも、そっくりだ。
最後の一人になるまで殺し合えということ。
まるでゴミを見ているようなあの冷たい眼差し。
あの蒼の王がやっていたことと何もかもがそっくりだ。
「……止めなきゃ」
自然と拳に力が入る。
「こんなの、止めなきゃいけない」
拳に掛かる力は増すばかり。
どうしようも無い怒りだけが込み上げてきてもぶつける場所も無く。
我慢しきれず、近くの壁を力いっぱい殴りつけた。
僅かに皮が擦り切れ、じんわりと血が滲む。
そして、ゆっくりと伝わってくる痛み。
そうだ、人はこの痛みを持っている。
傷つくことの痛さを知っている。
死ぬことの怖さ、苦しさ、辛さを知っている。
残されたもの、奪われたものの辛さを知っている。
だから、止めなきゃいけない。
誰かがどこかで辛い思いをする前に。
ここにいる皆が、痛みを知っているうちに止めなければいけない。
ゆっくりと、かつ確実に更紗は歩き出す。
痛みを知る人と共に、「こんなこと」を止めさせるために。
自分自身、嘗て経験したから言える。
こんなことは、あり得てはいけないのだ。
人が人を殺して、上に上り詰める遊戯など。
そっくりだ。何もかも、そっくりだ。
最後の一人になるまで殺し合えということ。
まるでゴミを見ているようなあの冷たい眼差し。
あの蒼の王がやっていたことと何もかもがそっくりだ。
「……止めなきゃ」
自然と拳に力が入る。
「こんなの、止めなきゃいけない」
拳に掛かる力は増すばかり。
どうしようも無い怒りだけが込み上げてきてもぶつける場所も無く。
我慢しきれず、近くの壁を力いっぱい殴りつけた。
僅かに皮が擦り切れ、じんわりと血が滲む。
そして、ゆっくりと伝わってくる痛み。
そうだ、人はこの痛みを持っている。
傷つくことの痛さを知っている。
死ぬことの怖さ、苦しさ、辛さを知っている。
残されたもの、奪われたものの辛さを知っている。
だから、止めなきゃいけない。
誰かがどこかで辛い思いをする前に。
ここにいる皆が、痛みを知っているうちに止めなければいけない。
ゆっくりと、かつ確実に更紗は歩き出す。
痛みを知る人と共に、「こんなこと」を止めさせるために。
自分が今いる王宮を探索しながら、更紗は二つ考え事をする。
まず、一つ目はまともな武器が欲しいということ。
歩きながら配られた袋の中身を確認したが、金属で出来た長い筒ぐらいしか武器になりそうなものは無かった。
欲を言えば刀、最低限でも刃物は確保しておきたい。
もう一つは、いざこの殺し合いを覆そうと思っても、一人ではどうにもならないことは分かっている。
同じ考えを持ち、痛みを知る者と戦わなければならない。
「さっきあの部屋には朱理と浅葱がいた……だったら」
あの二人なら、一緒に戦ってくれる。「こんなこと」には、乗らないはずだ。
そして、もう一つの気になること。
「揚羽と……四道も、いた」
死んだはずの人間が、二人も居たのだ。
あれが本当に揚羽と四道だったのか? それを今確かめることは出来ない。
が、もし本当に本人だったとしたら?
そんなことを考えながら、更紗はドアを開ける。
まず、一つ目はまともな武器が欲しいということ。
歩きながら配られた袋の中身を確認したが、金属で出来た長い筒ぐらいしか武器になりそうなものは無かった。
欲を言えば刀、最低限でも刃物は確保しておきたい。
もう一つは、いざこの殺し合いを覆そうと思っても、一人ではどうにもならないことは分かっている。
同じ考えを持ち、痛みを知る者と戦わなければならない。
「さっきあの部屋には朱理と浅葱がいた……だったら」
あの二人なら、一緒に戦ってくれる。「こんなこと」には、乗らないはずだ。
そして、もう一つの気になること。
「揚羽と……四道も、いた」
死んだはずの人間が、二人も居たのだ。
あれが本当に揚羽と四道だったのか? それを今確かめることは出来ない。
が、もし本当に本人だったとしたら?
そんなことを考えながら、更紗はドアを開ける。
ドアの先に広がっていたのは、途方も無く広い調理場だった。
そこに、一人の男が立っていた。
「あ……」
両者の声が重なり、更紗は思わず俯いてしまう。
「こんにちは」
青年は臆することなく、笑みを浮かべながら更紗に話しかけてきた。
更紗もそれに応対し、青年に微笑みかけながら返事をする。
「一つ聞きたいことがあるんですが、これくらいの身長の倉田紗南っていう女の子を見ませんでしたか?」
青年は胸の辺りに手を当て、背丈を表しながら更紗へと問う。
更紗はゆっくりと首を横に振り、否定を表す。
青年は少し肩を落として落胆した後、少しだけ微笑み更紗に返答する。
「そうですか、それが聞きたかっただけです」
言葉と共に、銃口を突きつけて。
「では、さようなら」
突きつけられているものが銃だと更紗が理解する頃には。
引金は引かれ、銃の内部構造が次々と作動し、弾丸が射出されて。
そこに、一人の男が立っていた。
「あ……」
両者の声が重なり、更紗は思わず俯いてしまう。
「こんにちは」
青年は臆することなく、笑みを浮かべながら更紗に話しかけてきた。
更紗もそれに応対し、青年に微笑みかけながら返事をする。
「一つ聞きたいことがあるんですが、これくらいの身長の倉田紗南っていう女の子を見ませんでしたか?」
青年は胸の辺りに手を当て、背丈を表しながら更紗へと問う。
更紗はゆっくりと首を横に振り、否定を表す。
青年は少し肩を落として落胆した後、少しだけ微笑み更紗に返答する。
「そうですか、それが聞きたかっただけです」
言葉と共に、銃口を突きつけて。
「では、さようなら」
突きつけられているものが銃だと更紗が理解する頃には。
引金は引かれ、銃の内部構造が次々と作動し、弾丸が射出されて。
更紗の身体を一直線に貫く。
「ハーッハッハッハッハッハ!」
はずだった。
「いやはや驚かせて申し訳ない、たまたまドアが空いている部屋があったものだから何事かと思い近づいてみたらこの状況じゃないか!
しかし、二人とも安心したまえ。このボクがこの場は穏便に済ませてあげよう。
なあに、その程度のこと日常茶飯事さ。愛しの弟の由希とキョン吉のいつもの痴話喧嘩だって華麗に止めて見せることが出来るんだ。この僕に不可能は無い!
というわけで、そこのお嬢さんはこのボクの後ろまで下がっていたまえ」
そう、「それ」は嵐のごとくやってきた。
対峙していた両者の思考を一瞬にて奪い去るほどの衝撃。
他の追随を一切許さない破天荒な行動。
風のように美しく舞う銀の長髪。
かわいらしく整った黒を基調としたメイド服を纏い。
長身の「男」は、その場に現れた。
「おっと、銃の引金を引くつもりかい? やめておいた方がいい」
まともな思考を取り戻した青年を、長身の男は一喝する。
そして、ゆっくりと指を突きつけて再び口を開き始める。
「ボクの先祖は古代メユトナハ帝国の王族に代々仕えていたとある一族の末裔でね。
主君の邸宅を守ることに関しては特にはかなり定評があったんだ。
邸宅を傷つけることなく、侵入者を迅速にかつ華麗に退治する。
まさに、蝶のように舞い蜂のように刺すだねっ。ボクにもぴったりさ。
そして何よりボクの一族は――――」
たっぷりと息を吸い、一気に吐き出すように言葉を続ける。
はずだった。
「いやはや驚かせて申し訳ない、たまたまドアが空いている部屋があったものだから何事かと思い近づいてみたらこの状況じゃないか!
しかし、二人とも安心したまえ。このボクがこの場は穏便に済ませてあげよう。
なあに、その程度のこと日常茶飯事さ。愛しの弟の由希とキョン吉のいつもの痴話喧嘩だって華麗に止めて見せることが出来るんだ。この僕に不可能は無い!
というわけで、そこのお嬢さんはこのボクの後ろまで下がっていたまえ」
そう、「それ」は嵐のごとくやってきた。
対峙していた両者の思考を一瞬にて奪い去るほどの衝撃。
他の追随を一切許さない破天荒な行動。
風のように美しく舞う銀の長髪。
かわいらしく整った黒を基調としたメイド服を纏い。
長身の「男」は、その場に現れた。
「おっと、銃の引金を引くつもりかい? やめておいた方がいい」
まともな思考を取り戻した青年を、長身の男は一喝する。
そして、ゆっくりと指を突きつけて再び口を開き始める。
「ボクの先祖は古代メユトナハ帝国の王族に代々仕えていたとある一族の末裔でね。
主君の邸宅を守ることに関しては特にはかなり定評があったんだ。
邸宅を傷つけることなく、侵入者を迅速にかつ華麗に退治する。
まさに、蝶のように舞い蜂のように刺すだねっ。ボクにもぴったりさ。
そして何よりボクの一族は――――」
たっぷりと息を吸い、一気に吐き出すように言葉を続ける。
「キッチンでは負けたことが無い」
どこまでも、信じることが出来ない話を男は続ける。
それも、自分自身が持っている自信を自身にたっぷり染込ませながら。
もはや、更紗はこの男の世界についていくことすら難しくなってきていた。
「ご覧の通りここはキッチンだ、先祖の加護を受けている僕がこの場所で負けることなどありえないのだよ。
ボクは優しいからね、悪いことは言わない。だから大人しく銃を捨てて降伏したまえ。
………………おやおや、ここまで言っても抵抗するのかい?」
青年は眉一つ動かさず銃を男へと突きつけたままである。
男は動じない。いや、動じるはずが無い。
勝ち誇ったように、男はゆっくりと口を開く。
言葉の器からあふれ出しそうな、余裕を盛り付けながら。
それも、自分自身が持っている自信を自身にたっぷり染込ませながら。
もはや、更紗はこの男の世界についていくことすら難しくなってきていた。
「ご覧の通りここはキッチンだ、先祖の加護を受けている僕がこの場所で負けることなどありえないのだよ。
ボクは優しいからね、悪いことは言わない。だから大人しく銃を捨てて降伏したまえ。
………………おやおや、ここまで言っても抵抗するのかい?」
青年は眉一つ動かさず銃を男へと突きつけたままである。
男は動じない。いや、動じるはずが無い。
勝ち誇ったように、男はゆっくりと口を開く。
言葉の器からあふれ出しそうな、余裕を盛り付けながら。
「その銃、安全装置が掛かっているよ」
青年が慌てて銃を見つめなおす。
その瞬間に生まれた隙を男は見逃さない。
瞬時に懐から一本の筒を青年へと放つ。
そのまま流れるように後ろへと振向き、更紗の右手を掴み調理場から颯爽と駆け出していった。
青年が銃から目を離し、再び前を向きなおした時。
男の投げた筒が煙を吹きながら、既に眼前にまで迫っていた。
コツンと、小気味のいい音を立てながら筒は青年の額へと当たる。
痛みに我を取り戻し、銃を咄嗟に構えた。
が、その頃には調理場は煙一色で染められていて、青年の視界から二人の人間の姿は立ち消えていた。
その瞬間に生まれた隙を男は見逃さない。
瞬時に懐から一本の筒を青年へと放つ。
そのまま流れるように後ろへと振向き、更紗の右手を掴み調理場から颯爽と駆け出していった。
青年が銃から目を離し、再び前を向きなおした時。
男の投げた筒が煙を吹きながら、既に眼前にまで迫っていた。
コツンと、小気味のいい音を立てながら筒は青年の額へと当たる。
痛みに我を取り戻し、銃を咄嗟に構えた。
が、その頃には調理場は煙一色で染められていて、青年の視界から二人の人間の姿は立ち消えていた。
「逃がしちゃった……か」
青年、相模玲はなんとか煙が立ち込める前に他の部屋へと移ることが出来た。
逃げ込んだのは食材がところ狭しと並べられている保冷室だ。
若干肌寒いが、無理は言っていられない。
「僕は感謝している、感謝しても仕切れないぐらいに」
己の手に握り締めている銃をもう一度見つめなおす。
アレだけ最初に説明書を読み返したはずなのに、たった一言で動揺してしまった。
普段、握り締めたことのないものというのもある。
初めて持った銃を使いこなせるほど、自分は戦闘のプロではない。
「僕は、どうしても君に生きていて欲しいんだ」
決心したはずなのに、心はまだ揺れ動いている。
でも、そうしなければいけない。
「だから、僕は人殺しになるよ」
なぜなら、たった一人しか生き残れないのだから。
「ごめんね、紗南ちゃん」
一人の少女のために、玲は罪を背負うことを選んだ。
それでどうなるかは分からない。
青年、相模玲はなんとか煙が立ち込める前に他の部屋へと移ることが出来た。
逃げ込んだのは食材がところ狭しと並べられている保冷室だ。
若干肌寒いが、無理は言っていられない。
「僕は感謝している、感謝しても仕切れないぐらいに」
己の手に握り締めている銃をもう一度見つめなおす。
アレだけ最初に説明書を読み返したはずなのに、たった一言で動揺してしまった。
普段、握り締めたことのないものというのもある。
初めて持った銃を使いこなせるほど、自分は戦闘のプロではない。
「僕は、どうしても君に生きていて欲しいんだ」
決心したはずなのに、心はまだ揺れ動いている。
でも、そうしなければいけない。
「だから、僕は人殺しになるよ」
なぜなら、たった一人しか生き残れないのだから。
「ごめんね、紗南ちゃん」
一人の少女のために、玲は罪を背負うことを選んだ。
それでどうなるかは分からない。
しかし、この首輪がある限り。
そして、あの絶大な力を持つ金髪の男がいる限り。
生きて帰ることなど、ムリに等しいのだ。
そして、あの絶大な力を持つ金髪の男がいる限り。
生きて帰ることなど、ムリに等しいのだ。
自分は死んでも構わない。
その代わり、あの子だけは命に代えてでも守り抜かねばならない。
あの日、助けてもらったのだから。
今度は、自分がこの手で助ける番だ。
その代わり、あの子だけは命に代えてでも守り抜かねばならない。
あの日、助けてもらったのだから。
今度は、自分がこの手で助ける番だ。
一滴の涙が、頬から流れ落ちる。
それが、最後の涙だと言わんばかりに。
ゆっくりと、ゆっくりと時間をかけて地面へ落ちた。
ゆっくりと、ゆっくりと時間をかけて地面へ落ちた。
【E-5/王宮内、冷蔵室/朝】
【相模玲@こどものおもちゃ】
[状態]:健康
[装備]:ワルサーPP@現実
[道具]:基本支給品、不明支給品(0~2)
[思考]
基本:倉田紗南の護衛、最終的には優勝させる。
1:体勢を立て直し、辺りを散策する。
2:できれば積極的に殺していく。が、深追いはしない。
3:紗南の友達といえど――――?
【相模玲@こどものおもちゃ】
[状態]:健康
[装備]:ワルサーPP@現実
[道具]:基本支給品、不明支給品(0~2)
[思考]
基本:倉田紗南の護衛、最終的には優勝させる。
1:体勢を立て直し、辺りを散策する。
2:できれば積極的に殺していく。が、深追いはしない。
3:紗南の友達といえど――――?
「さて、と。もうこの辺でいいだろう。説明書によれば数分は煙を吹き続けるようだし。ここまでは追って来れないだろう」
走り出してから数分後、二人は正面玄関に来ていた。
更紗の息は荒く、肩を使って呼吸をしているというのに。
男は一切疲れを見せず、先ほどと同じように振舞っている。
「あ、あの。ありがとう……ございます」
走っている間、ずっと言えなかった感謝の言葉を口にする。
男は微笑みながら、更紗へと語りかける。
「当然のことをしたまでさッ、そう案ずることは無い。
……そうだ、キミの名前をまだ聞いていなかったね」
「……更紗です」
「ん? それは源氏名か何かかい? もっとこう、名前らしい名前は無いのかい?」
男も更紗も、それぞれ別のことで疑問を抱く。
「苗字……って、何?」
更紗のその発言に、男は初めて驚愕の表情を見せる。
「……驚いたな、ひょっとして君は日本人ではないのかい?」
どこか、微妙に話が通用しない。
自分は日本人だし、目の前の男も今の発言からすると日本人なのだろう。
多少、信じれない話ではあるが日本人同士ならば会話がかみ合わないというのはおかしい。
更紗は、自分の知っている出来事を掻い摘んで男に伝えた。
「なるほど……お互い、同じ日本出身だ。でも、それは同じ日本じゃない。
つまり、俄かには信じがたいけれど日本が"二つ"あるということになる。
でも、ボクは自分の住んでいる日本以外に日本を知らない。
まず……君の日本について、話を聞かせてくれないかい?
あー、もちろん端折って簡潔に分かりやすく話してくれたまえ!」
よく喋る人だな、と心の中で思いながら更紗は口を開こうと思ったその時である。
「そうだ、うっかり忘れていたよ。
ボクは綾女、草摩綾女だ。ヨロシク頼むよ、更紗君」
思い出したかのように男、草摩綾女は自己紹介をする。
更紗の表情が一瞬だけ曇ったのを、綾女は見ていたのだろうか?
いや、気にも留めていないだろう。何故なら、彼は草摩綾女だから。
走り出してから数分後、二人は正面玄関に来ていた。
更紗の息は荒く、肩を使って呼吸をしているというのに。
男は一切疲れを見せず、先ほどと同じように振舞っている。
「あ、あの。ありがとう……ございます」
走っている間、ずっと言えなかった感謝の言葉を口にする。
男は微笑みながら、更紗へと語りかける。
「当然のことをしたまでさッ、そう案ずることは無い。
……そうだ、キミの名前をまだ聞いていなかったね」
「……更紗です」
「ん? それは源氏名か何かかい? もっとこう、名前らしい名前は無いのかい?」
男も更紗も、それぞれ別のことで疑問を抱く。
「苗字……って、何?」
更紗のその発言に、男は初めて驚愕の表情を見せる。
「……驚いたな、ひょっとして君は日本人ではないのかい?」
どこか、微妙に話が通用しない。
自分は日本人だし、目の前の男も今の発言からすると日本人なのだろう。
多少、信じれない話ではあるが日本人同士ならば会話がかみ合わないというのはおかしい。
更紗は、自分の知っている出来事を掻い摘んで男に伝えた。
「なるほど……お互い、同じ日本出身だ。でも、それは同じ日本じゃない。
つまり、俄かには信じがたいけれど日本が"二つ"あるということになる。
でも、ボクは自分の住んでいる日本以外に日本を知らない。
まず……君の日本について、話を聞かせてくれないかい?
あー、もちろん端折って簡潔に分かりやすく話してくれたまえ!」
よく喋る人だな、と心の中で思いながら更紗は口を開こうと思ったその時である。
「そうだ、うっかり忘れていたよ。
ボクは綾女、草摩綾女だ。ヨロシク頼むよ、更紗君」
思い出したかのように男、草摩綾女は自己紹介をする。
更紗の表情が一瞬だけ曇ったのを、綾女は見ていたのだろうか?
いや、気にも留めていないだろう。何故なら、彼は草摩綾女だから。
同じ日本。だけど違う日本。
それぞれに住む二人は出会い、会話を交わす。
話が進むにつれて、全く違う次元の日本というものが現実味を帯びてくる。
その存在を認めざるを得ないのか? もし、そんなものが存在するなら――――――
それぞれに住む二人は出会い、会話を交わす。
話が進むにつれて、全く違う次元の日本というものが現実味を帯びてくる。
その存在を認めざるを得ないのか? もし、そんなものが存在するなら――――――
【E-5/王宮、正面玄関/朝】
【更紗@BASARA】
[状態]:健康
[装備]:バールのようなもの
[道具]:基本支給品、不明支給品(0~2、更紗が扱うことの出来る武器ではない)
[思考]
基本:慊人、心宿には絶対に屈さず、「痛み」を伝える
1:綾女と会話、情報交換。
2:朱理、浅葱との合流。
3:なぜ四道と揚羽があそこにいたのか……?
[備考]
※参戦時期は本編終了後
【更紗@BASARA】
[状態]:健康
[装備]:バールのようなもの
[道具]:基本支給品、不明支給品(0~2、更紗が扱うことの出来る武器ではない)
[思考]
基本:慊人、心宿には絶対に屈さず、「痛み」を伝える
1:綾女と会話、情報交換。
2:朱理、浅葱との合流。
3:なぜ四道と揚羽があそこにいたのか……?
[備考]
※参戦時期は本編終了後
【草摩綾女@フルーツバスケット】
[状態]:いつものアレ
[装備]:メイド服(私物)
[道具]:基本支給品、不明支給品(0~2、確認済み)
[思考]
基本:慊人の考えを読むため、まずは生き残る。
1:とりあえず、更紗と情報交換。
2:透、由希、夾との合流も視野に入れておく。
[備考]
※参戦時期は本編終了後
※当然ですが、古代帝国云々の下りはハッタリです。
[状態]:いつものアレ
[装備]:メイド服(私物)
[道具]:基本支給品、不明支給品(0~2、確認済み)
[思考]
基本:慊人の考えを読むため、まずは生き残る。
1:とりあえず、更紗と情報交換。
2:透、由希、夾との合流も視野に入れておく。
[備考]
※参戦時期は本編終了後
※当然ですが、古代帝国云々の下りはハッタリです。
ぼくの/ウチのアリスを守って | 時系列順 | 出会い |
投下順 | ||
本編開始 | 相模玲 | [[]] |
更紗 | [[]] | |
草摩綾女 | [[]] |
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