人は変わる、ただし一部を除く ◆VxAX.uhVsM
「……よし」
西条玉藻から逃走して、三十分後。
貝木の疲労は取れていた。
彼の方針は変わらず、箱庭学園に行く事である。
しかし、少しだけ考えなければいけなかった。
(もし、あの女がいたら…すると道をどうするか…)
先ほどは、どうにか逃げ切れる事は出来た。
しかし、次に会ったら危険である。
だから確実に、行く道を選ばなければならない。
地図と睨めっこをして、道を探す。
先ほどいたと思われるエリアはC-5。
このエリアにはまだいる可能性がある。
念のために、付近エリアも警戒するとしておく。
少し考えた結果、B-4から南東に進むと言った簡単なものだった。
先ほどの動きを思い出せば、30分ではそこまで動けてないだろう。という考えだった。
肩をぐるん、と回し、貝木は小走りで走りだす。
目指すは、箱庭学園である。
◆ ◇
「はぁ……はぁ……」
所変わってここはD-5東端である。
江迎怒江は殺し名第一位と最強の女から逃走して、木に寄り添って休んでいた。
水分補給、と行きたいところだったが。
「あ…」
手元には何も無い。
そう、支給品はすべて貝木泥舟にパク……持ってもらっていたのだ。
もちろん、そのため水もない。
「どうしよう…ここの近くに何かないかな…」
先ほどまで来た道を思い出す。
彼女は地図も持っていない。貝木に持たれているので当然だが。
「……そういえば、さっき…」
D-6の途中で見かけた施設。
現在
無桐伊織、
玖渚友の二人がいるネットカフェの事を思い出した。
彼女は考える。
もしそこならば、水分を補給できるだろう。
しかし、最愛の人が待っている。
彼女はすぐに決めた。
早く貝木泥舟と合流したい。
彼女は自分の事より、愛する人を取った。
「これくらい…泥舟さんと早く会えるなら…!」
疲れも残った体で彼女は箱庭学園に向かっていく。
◆ ◇
「……さて、着いたな」
貝木泥舟は箱庭学園の目の前に立っていた。
中に入り、周りを見渡す。
これほど巨大な施設、これなら何かあるだろう。
そこで、ふと人を見つけた。
江迎ではない事は一瞬で分かる。
巨大な体に袴と変った男だ。
そこで貝木は思う、こいつを引き入れられないか、と
「……む?」
少し近づいて感じた殺気。
これが誰から出されている物か分かった。
そう、その男から出されている物だと貝木は気付いた。
これだと近付くのも危険だと判断して、そのまま見送る。
「さて、どうしたものか」
先ほどの事は頭の隅に置いて、目の前の事を考え始める。
この施設のどこから探せばいいのか。
それを考え始める。
彼は確実に自分の得をする道を選ぶタイプだ。
下手に探しまわって良いものが得られなかった時の損失は大きい。
まずは確実に何かを得られる場所を考える。
学園で確実に武器や食料などが得られる場所。
それは何処なのか。
「……中で地図が無いか見るか」
貝木は昇降口に入る。
異常に広い事を除けば、一般的な物だった。
その昇降口から奥に進み、階段を昇る。
まず、すぐに見つけたのは職員室だった。
職員室、この場で手に入れられるのはこの学園の鍵程度だろう。
まず職員室に入り、右を見ると鍵の束が壁に掛かっている。
それを全て取り、職員室を後にする。
「さて、どこに向かえばいいものか」
鍵のタグを見る。生徒会室、食堂、他諸々。
これだけ広い学園なのだから当然どこかには武器や貴重品があるはずだ。
タグを見て、行く候補を何個か立てる。
まず、貝木はとある場所に向かった。
◆ ◇
「はぁ…はぁ……やっと、着いた…」
江迎怒江はやっとのことで箱庭学園に到着した。
すぐに周りを見渡しても、貝木泥舟の姿は見当たらない。
「はぁ…きっ、と…私を探して…はぁ、はぁ…くれてるんだわ」
なら、私も探さなきゃ。
とでも言わんばかりに、止まっていた足が再び動き始めた。
◆ ◇
「……ふむ、こんなものか」
風紀委員の拠点から出てきた貝木。
その手に持たれていた物は、手錠三つと没収されたように見られる貴重品。
それらをデイパックにしまい、歩き始める。
「ふむ…どうしたものか」
何かを探す、とはいってもどこに何があるかは不明だ。
命乞いのための道具だけではなく、強力な武器も手に入れるべきだろう。
そのためにどこを回るのが吉だろうか。
「泥舟さーん!」
後ろから声が聞こえる。
「江迎か、無事だったのだな」
「はいっ!」
「ふん、それはよかったな」
(江迎側翻訳:良かった、心配していたんだよ?)
「あぁ、感激です!わざわざ心配してもらえていたなんてっ!」
「…?」
貝木は少し疑問に思うがすぐにそれを無かった事のように流す。
そして、一つの質問を江迎に投げかけた。
「そういえば、お前に聞きたい事がある」
「は、はぃぃ!…なんでしょうか?」
「不気味な刀を持った女を見かけたか?」
「不気味な…刀、ですか…?」
「ああ、そうだ」
「いや、私はあの後走ってきましたが…誰にも…」
「そうか、なら良かった」
「……(ま、まさか…私をこんなにも心配して…)」
「……?(一体何を考えているのか、まあいいだろう)」
微妙な空気になるが、再びここで貝木が口を開く。
「江迎、お前はここの学園に通っているんだったな」
「はいぃ、泥舟さん」
「放送まで少し時間がある。だから少しこの場を探索しておきたい。
お前は何か使えそうなものの有りそうなところを知っているか?」
「え…どうでしょう…一応、探してみますぅ」
「ああ、とりあえず頼むぞ」
(江迎側翻訳:ああ、頼りにしているよ)
「は、はううううううううううう!!」
「…?(なぜ奇声を上げるんだ…まあいいが)」
江迎が先に行く形で、二人は箱庭学園の探索を始める。
放送の時間まで、刻一刻と迫っている。
【1日目/早朝/D-4箱庭学園】
【貝木泥舟@化物語】
[状態]健康
[装備]
[道具]支給品一式×2、ランダム支給品(1~5)、「箱庭学園の鍵、風紀委員専用の手錠とその鍵、貴重品諸々」(「」で括られている物は現地調達の物です)
[思考]
基本:周囲を騙して生きのこる
1:箱庭学園で使えそうなものを探す
[備考]
※貴重品が一体どういったものかは以後の書き手さんにお任せします。
※取得した鍵は、『箱庭学園本館』の鍵全てです。
【江迎怒江@めだかボックス】
[状態]身体的疲労(中)、貝木泥舟に会えたことによる喜び、若干の水分不足、七実に対する恐怖(少しだけ薄れた)
[装備]無し
[道具]無し
[思考]
基本:泥舟さんを守る
1:泥舟さんと一緒に使えそうなものを探す
2:もう泥舟さんから離れたくない
[備考]
※『荒廃する腐花 狂い咲きバージョン』使用できるようになりました。
最終更新:2012年10月02日 08:37