雑草とついでに花も摘む ◆xzYb/YHTdI
「ふむ。ではこの技は『荒廃した腐花狂い咲きバージョン』とでも名付けようか」
「はいぃ。2人の愛の結晶ですねっ!」
「そうだ。俺たち2人の愛の結晶だ。この技は」
「は、はうぅぅ♪」
舞台はC‐8。
2人はこの技の練習として森が茂るこの場所に移動した。
しかしこの技は本来、安心院なじみがいうところの生徒会選挙で
球磨川禊から教えてもらい初めて使用した技である。
時系列がとてもじゃないがあっていない。
だが安心して欲しい。
これ技は今、この殺し合いが始まってから貝木泥舟に教えてもらったのだ。
これはとある人類最悪が唱えるところの代替可能(ジェイルオルタナティブ)や時間収斂(バックノズル)が
作用したとみても問題ないであろう。
球磨川禊の代替として貝木泥舟が選ばれて、
江迎怒江がこの技を覚えるのは必然であったがゆえに少し早いが使えるようになっただけである。
木が暴れる。草が乱れる。土か腐り、樹木が漲る。
そんな技。
と。
アバウトな説明だが次に進ませてもらおう。
「でだ。もう一回聞くが俺の言うことにはちゃんと従えよ。もちろん金は払わんからな」
「もちろんですよぉ。私のこの身はあなた様の物ですぅ。私はあなた様の奴隷です!」
なんてとても夫婦漫才には程遠い漫才みたいな会話劇を広げるは、
改めて紹介させてもらうと、
《ゴーストバスター》こと貝木泥舟と
-13組が指揮する新生徒会会計候補の江迎怒江。
さて。
と。
この2人の前に最悪なペアが近い内登場する。
それまでは2人の心に天国がありますように。
□
ほぼ同時刻。
踊り山と地上の境界線にいるは
匂宮出夢と鑢七実。
現段階でおそらく最凶最悪の組み合わせである。
「ぎゃはははは!豪く遅くなっちまったな。しかしまさかあんたが方向音痴だなんて夢にも思わなかったぜ。
名前は出ずる夢って書いて出夢なんだけどな!こりゃ傑作か!?ぎゃははははは!」
なんて面白くもないし、なんもかかっていない。
もはやギャグですらないなにかを披露する出夢に
七実は、
「……」
何もしなかった。
◇
さてさて、この2人の目先の目的は七実の『弟』探し。
ようするに七花探しである。
しかしその七花といえば今頃箱庭学園に向かい一本の感情無き刀として歩いている。
そんなことはもちろん知らず弟探しに勤しむ彼女らの周りに異変が起こる。
「森が――――動いてます?」
「おう。そうかもな」
このことに全然動じていない彼女らが異常なだけで
これは異常も異常でいいとこである。
森が動くと言っても風でさざめく訳ではなく。
枝も不自然に、幹も異様に、葉も不思議と、根も異端に。
動くというよりは蠢くなんて表現の方が案外良いかもしれない。
動じないとはいってもこの異変を見過ごすほど彼女らは機械染みていない。
「ぎゃはははは!こりゃおかしいなぁ!見に行くか?」
「ええ行った方がいいでしょう――――いえ。悪いのかしら」
出夢は愉快そうに笑い、
七実は不敵そうに笑った。
□
場面戻って江迎&貝木ペア。
彼らは練習は既に終え、次の目的を決めているところだった。
「ほう。ではお前が通っているはずの箱庭学園とやらがここにあるってことだな?江迎」
(江迎フィルター:ほう。怒江が通っているはずの学園がここにあるんだね。怒江)
「は、はいぃぃ」
「ではそこに行くとするか。なにか金になるものが…ここでは意味無いな。そうだな…、命乞い用の物でも探すか」
(江迎フィ(ry:じゃあそこに行こうか。怒江。そうだなぁ2人の結婚費用用のお金があるかも…。ここでは意味無いね。まずは生きるための道具を探そうか)
「はい!泥舟さん愛してますぅ」
「…?ああ。俺もお前の事を愛しているぞ」
(えむ(ry:…?ああ。俺もお前の事を愛しているぞ)
「(あぁ幸せぇ)」
「まぁなんでもいいのですけど」
「――――――――っ!」
と。
不意に訪れた謎の声に反射的に身を退く江迎。
そこにいたのは、七実と出夢
「ぎゃははは。おいおいあんたよぉ。なんで声掛けるなんて面倒なことしてんだ?
あんたの性格だったら後ろからザクザクザクゥゥゥっとやっちまいそうだったのによぉ」
「そんなお宝掘りみたいなノリでいわれても…」
「まぁ僕はなんだっていいんだからあんたが殺すんだろう?なら僕に口を出す義理は無い」
「既に結構出してますけどね」
「そうだったかな」
ぎゃははと笑う。
ふふ。と笑う。
はっきりいって襲われている江迎やかい…あれ?貝木は?
いつのまにか消えていた。
「あら。先ほどまでいらした男の方はどこに行かれたんでしょう」
「あの約束の地で待っているって言ってくださいましたよ」
もちろんそんなことはいっていない。
では<俺の為に>頑張ってあいつらを止めてくれ。先に俺は箱庭学園とやらに向かっているからと言って去っていった。
「そうでしたか。でもよかったですね。いえ悪いのかしら。大事な人に自分の醜い肉の塊になる姿を見せることが無くなって」
その声はとても静かでより、恐怖を引きたてる。
しかし声だけで戦意を喪失するほど、江迎の貝木に対する忠誠心は緩くはなかった。
「ぎゃははは!ホントおもしれえ。今日はなんか笑ってばっかだ。
なぁなぁ相手変わってくれよ。七実ちゃんよぉ」
「あなたにちゃん付けされる覚えはありませんしきっとあなたとは
相性悪いですよこの方。空気を見た感じ、腐ってますね。腐敗する能力…ですね」
「へぇ。そりゃ呪い名かぁ!?まぁなんだっていいんだけどなぁ!」
「――――――いい加減ごちゃごちゃ言ってないでください!」
「ん?」「はい?」
突然。
無視されていたのが嫌だったのか。
貝木と早く合流したいからなのか。
突如江迎が攻撃を開始した。
膝をつけ、手を地面に当て、土を腐らす。
そして、
植物が動き出す!
「なるほどそれがあなたの強さですか。いえ弱さですか」
「ごちゃごちゃ言ってないでさっさと死ねぇ!」
ある樹木の枝が、2人に向かい振りかかる。
が。
別になんのこともなく
特になんていうこともなく、避ける。
「あなたの力はもう分かりました。もう死んでもいいですよ」
次の瞬間。七実の爪が不自然に伸びた。
「な!?」
一瞬怯むがすぐに立て直す。
しかし江迎の目的は変わった。
「埋まれ!」
数々の木の根っこが地表に現れ、アーチを作り、ドームを作る。
そして見事に出夢と七実は閉じ込められる。
簡易的な閉じ込め技。
江迎の目的。
それは殺すことから逃げること。
江迎は見てしまった。
七実の目を。
あの雑草を見る目を。
腐った自身の視界何て比べられないほどのものだった。
だから逃げた。
怖くて。怖くて。仕方がなくて。
だから江迎は逃げたのだ。
【1日目/黎明/C‐7】
【江迎怒江@めだかボックス】
[状態]七実に対する恐怖
[装備]無し
[道具]無し
[思考]
基本:泥舟さんを守る
1:逃げて泥舟さんと合流する
[備考]
※『荒廃する腐花 狂い咲きバージョン』使用できるようになりました。
□
暗い暗い根っこの中。
あの2人が話していた。
「ぎゃははは!しかしまぁこういうのを粋っちゅうのかぁぁ!」
「違うと思いますよ」
そして何気なしに七実は爪を伸ばし
根っこを切り裂いた。
「さて出ましょうか」
「そうだな」
「あの人追うか?」
「いえ追うまでしなくていいでしょう。それよりも弟です」
「あっそ。であのスキルはいただいちゃったりするのかなぁ!」
「いえ、あの力は必要ありません。私を制御するのに負なものはいりません」
「あっそ」
同じ言葉を繰り返す出夢。
そしてそう。七実は「強さ」を真似することで弱くなれる。
「強さ」を真似できても、「弱さ」は真似できない。
いや、そもそも七実に引き算など通用しない。
既に負の境地に入っている彼女には。
足し算をしなければ、弱くなれない。
そして2人は歩き始める。
【1日目/黎明/C‐8】
【鑢七実@刀語】
[状態]健康
[装備]双刀「鎚」
[道具]支給品一式、ランダム支給品(1~3)
[思考]
基本:七花を探す
1:七花を探し、七花ととがめ以外は殺すようにする。
【匂宮出夢@戯言シリーズ】
[状態]健康、若干興奮気味
[装備]
[道具]支給品一式、ランダム支給品(1~3)
[思考]
基本:七実の弟探しを手伝う
1:七花を探し、襲ってくる奴は適当にあしらう
[備考]
※殺戮残り1時間
□
貝木は走っていた。
といってもさすがにもう5割程度の力でだが。
さすがはあの神原を追いぬかすだけはあり、その速さはピカ1だった。
「はぁはぁ。はぁはぁ」
彼は走る。
ひとまずは箱庭学園に。
【1日目/黎明/C‐5】
【貝木泥舟@化物語】
[状態]疲労(小)
[装備]
[道具]支給品一式×2、ランダム支給品(2~6)
[思考]
基本:周囲を騙して生きのこる
1:箱庭学園に行き、江迎と合流できたら合流する
最終更新:2012年12月27日 15:35