つばさゴースト ◆0UUfE9LPAQ


 001

……迷ったにゃ、ここはどこにゃ?
あ、今の俺は鼻がきくんだから地図にゃんかに頼ってにゃいでいーさんかあの男を探せばよかったにゃ。
俺は鼻をひくつかせる――が覚えのある臭いはにゃい。
…どうやら風上の方じゃにゃいようにゃ。
ん?違う方からにゃんか臭うにゃ。
ここからは見えにゃいけど行ってみるかにゃ。
無理に跳ぶ必要も飛ぶ必要も無いし歩くにゃ。
そして歩いていった先には。
二本の刃物を持った一人の女がいたにゃん。

 002

怪異の俺が言うのもにゃんだけど気持ち悪いやつだにゃ。
でももっと気持ち悪いのはあいつが持っている黒い刃物―ご主人の知識によると日本刀とか言うやつにゃ。
俺としちゃーとっととあいつらを探して殺したいところにゃのににゃあ…
一応話しかけてみるかにゃ?

「お前、誰にゃ?」
「ぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ…私は西条た…ゆらぁり…まもちゃんで…ゆらぁり…すよお」

気持ち悪いにゃんてもんじゃにゃかったにゃ…
「ゆらぁり」にゃんていうわけのわからにゃい言葉を抜いて考えるにゃらこいつの名前は西条玉藻でいいんだろうけど、こいつは人間にゃのにこれ以上会話はできにゃい気がするにゃ。
いーさんやあの男を見たか聞いても無駄だろうにゃ。
だったら―とっとと逃げるにゃ。
思うが早いか俺は跳んだ。
にゃんかいつもより跳べにゃいにゃあ…でも人間にゃんかにゃ追いつけにゃい距離だし心配にゃいにゃ。
そう思い俺は振り向く。

「にゃ、にゃあ!?」

振り向いた先にはあいつがいたにゃ。
目を輝かせにゃがら追いかけてきてたにゃ。
いにゃ、輝かせるとは違うにゃ。
こいつの目は獲物を追いかけるときの目にゃ…どうやら俺はやり方を間違えたらしいにゃ。
にゃら、さっきよりも強く跳んでやるにゃ。
俺は足に力を込める。

「これにゃら大丈夫だろーにゃ」

わざと戻るように跳んでやったから、俺が消えたようにしか見えにゃいだろうにゃ。
この俺が人間ごときにびっくりさせられるにゃんて本来あってはにゃらにゃいことにゃ。
さて、とっととあいつらを探しに行くにゃ。
にゃんか後ろがうるさいにゃあ…後ろ?
恐る恐る振り向いた先には――

「だからにゃんであいつがいるんだにゃ!」

あいつは変わらず追いかけて来てたにゃ。
顔がさっきより嬉しそうだにゃ…もっと気持ち悪いにゃ。
もうめんどくさいにゃあ、動けにゃくするかにゃ。
ご主人の知らにゃい顔みたいだし殺しても問題にゃいだろ。
とりあえずエニャジードレインすればたいていのやつは動けにゃくにゃるはずにゃ。
ナイフや刀は怖いが斬られにゃきゃいい話だにゃ。
俺は立ち止まりあいつが来るのを待つ。
あいつは俺がその場から動かにゃいことに多少の疑問は持ったようだが結局突っ込んで来たにゃ。
動きが気持ち悪いがそれだけのことにゃ。
怪異の身体能力で対応できにゃいわけじゃにゃい――むしろのろく見えるくらいだにゃ。
さっきはちょっとびっくりしただけにゃんだからにゃ!
猫の敏捷性を使って俺はあいつの後ろに回り込む。
ゴールデンウィークのことがあるから刀には一応警戒しておくにゃ。
あのときの刀とは全然違うがそれにしたって切られたら痛いにゃ。
そして俺は後ろから思いっきり抱きついてやったにゃ――

 003

あれ?
にゃんであいつと離れてるんだにゃ?
あいつがエニャジードレインから逃れようとしたにゃらまだわかる。
一瞬触れただけで動けにゃくにゃるくらい疲れるから振りほどくことにゃんてできにゃいけど、まだわかる。
でも、俺が離れた。
俺の方から離れた。
にゃんでにゃ?
……そうだにゃ、いつものエニャジードレインと違ったからにゃ。
にゃんか気持ち悪いもんが流れてきたにゃ。
あいつがおかしいんかにゃ?
それともその刀かにゃ?
まあいいにゃ。
我慢できにゃいわけでもにゃいし。
さっき服を脱いでおいてよかったにゃ。
濡れて動きにくいったらにゃいし、エニャジードレインもやりやすくにゃるにゃ。
そういえば俺はパジャマを着てたけど、にゃんでブラジャーもつけてるんだにゃ?
普通パジャマの下にブラジャーはつけにゃいもんだが。
……考えても仕方にゃいにゃ。
エニャジードレインにびっくりしたのかそうじゃにゃいのかわからにゃいけどあいつは俺を不思議そうに見てるにゃ。
にゃら好都合にゃ。
一瞬で距離を詰め、俺はあいつに真正面から跳びかかる。
まずは両手首を掴む――それだけでナイフは地面に落ちた。

「ゆ、らぁ…りぃ!」

が、こいつ刀を動かそうとしているにゃ!
触れてる部分が狭いとはいえたいしたやつだにゃ…
でも、エニャジードレったから動きがのろのろにゃ。
こんにゃの普通の人間でも対応できるくらいだにゃ。
みゃあ、こんにゃの足を使えば楽勝にゃ。
刀の峰に足を乗せ、地面に叩き下ろした――つもりだったにゃ。

 004

「6時間以上も毒刀を持っていて発狂してるだけなんて本当に人間か?
「西条玉藻っつったか、あいつは人間のふりした現象だろ
「あ?俺が誰だって?
「変体刀を作った刀鍛冶、四季崎記紀って言やわかるだろ
「知らない?おいおい、いくらなんでもそりゃないぜ
「旧将軍も尾張幕府も聞いたことがないだと?で、江戸幕府ならあると…
「つまり、ここは改変に失敗した未来ということか
「大体四百年後の世界ねぇ…炎刀や微刀の技術を仕入れたのは確かこの辺だったな
「絶刀なんかはもうちょっと先になるんだが
「おおっと、今のはただの独り言だ
「それにしてもなかなか興味深いな…
「毒刀の毒に冒されてちゃんと自我があるとは初めて見る
「怪異…か、刀作ってばっかりだったがそういう話は朧気ながら聞いたことはあるぜ
「四季崎の家系にそういうのを相手していたやつもいたようないなかったような
「どっちだったところで俺には関係無いんだけどな
「ま、毒刀には技術云々はともかく怨念は一番こもってるから…何?
「三行以上の会話は理解できない?
「要約してやると、俺は刀の怪異でお前の言うエナジードレインとやらで吸収されたってことだ
「吸収されてお互いなんともないというのは不思議だが詳しいことは俺にもわからん
「怪異ならではの親和性とかじゃねーの?
「そして殺し合いとは最高の状況じゃねーか
「虚刀の完了はこの身をもって確認したがあいつがどう立ち回るのか気になるところだ
「っと、そもそもいないと話にならねえ
「名簿見せろ、途中までしか見てねえじゃねえか
「どうやって見せるか?いや、普通にお前が見ればいいだけだ
「…やっぱりいるな
「よし、俺がお前を手伝ってやるからお前が俺を手伝え
「よろしく頼むぜ、子猫ちゃん」

 005

……とみゃあ、こんにゃ感じで頭の中で話しかけられたにゃ。
ちにゃみに俺がエニャジードレった結果、西条玉藻は俺の目の前で倒れてる。
刀に触れたときに流れ込んできたのに反射的に手を離してしまったからにゃ。
驚いたとかそんにゃんじゃにゃくて本能的にゃものだったけどこうやって声がする限り意味はにゃかったみたいだけどにゃ。
融合や同化とは違うみたいだけどこれをにゃんて言うかは俺にはわからにゃいにゃ。
少にゃくとも視覚は俺のものを使ってるみたいだしにゃ。
それと、俺と同じでご主人の知識も共有してるみたいにゃ。

「共有じゃねーよ、ちょっと頭の中見せてもらってるだけだ」

…俺の考えてることも丸わかりみたいにゃ。
俺の喉を使ってにゃいあたり、他のやつらには聞こえにゃいのかにゃ?
頭の中で考えるだけで会話が成立するというのはありがたいが変にゃことまで聞かれるのは勘弁にゃ。
見られたところで俺馬鹿だからそんにゃ関係にゃいけどにゃあ。
さっきの話で俺がわかったのは二つ。
一より大きい数がわからにゃい俺にしては上出来にゃ。
まずはさっき言ったように、俺の中に四季崎記紀とかいう変にゃ奴が入って来たこと。
そして、お互いがお互いのことを手伝うこと。
俺がこいつの目的はわからにゃいのはともかく俺の目的が何にゃのかわかるんかにゃ?

「結局は一緒だよ。この殺し合いの促進だ」

物騒にゃこと言いやがったにゃ。
さっきまで殺そうとしてた俺が言うことでもにゃいけどにゃ。
でもそもそもの俺の目的はご主人のストレスを解消することだしにゃあ…

「だからこの殺し合いに乗ればそのストレスとやらも解消できるって言ってんだ」

どうやらまたこいつのターンが始まるみたいだにゃ。

 006

「そのストレスってのは色恋沙汰だろ?
「それでお前のご主人とやらは恋する男がいる、と
「いやー、いい青春してんじゃねーか
「でもその恋する男にはすでに女がいた
「一番の理想はお前のご主人とやらとその男が好き合うこと
「だがそれはあくまで理想、叶わない可能性もある
「ならば亡き者にして永遠の片思いをしようという腹づもりだった
「そして幸か不幸かその男は死んじまった!
「さてここで問題だ
「ストレスの原因はすでに消え去った
「さらにお前はそれを知ってしまっている
「ならなんでお前は引っ込んでない?
「存在が薄れてるわけじゃないみたいだがそれにしたっておかしいだろ
「そこで、一つ仮説を立ててみる
「ストレスの原因は他にもあったんじゃねーか?とな
「言うまでもなくその原因とはこの殺し合いだ
「こんな状況に放り込まれて正常でいられる方がおかしいよな
「さあお前ならどうする?
「一番いいのはこの会場からの脱出だ
「ところがお前らの命はその首輪に握られている
「となると次善の策として優勝を狙う、ってのが妥当な策だ
「ついでに優勝の褒美としてその男を生き返らせて恋仲になるってのも悪くねーぞ
「そうすれば綺麗さっぱりお前はご主人とやらのとこに帰れるんだ
「というわけでだ、お前が殺し合いに乗る理由がわかっただろ?
「俺の理由?
「さっきちょろっと言ったろ
「ここには俺の息子がいるからな
「完了は確認したがそっから先どうなったのかってのに興味がある
「殺し合いに乗って動き回れば遭遇しやすくなるだろ?
「ただそれだけさ
「ここまで長かったけどわかったか?」

 007

「……つまり、俺がこの殺し合いに乗ればそれがご主人のためににゃるのかにゃ?」
「それだけわかりゃ上出来だ、俺の目的はあくまでついでだからな」
「にゃら、まずはこいつどうするかにゃ?」
「あーそいつはほっとけ」
「にゃんでにゃ?」
「こいつはおもしろいからな、俺の息子と会ったときどうするか気になる」
「すぐ殺せるのにもったいにゃいにゃ」
「そうやって見境無く殺してたらつまんねーだろ」
「つまんにゃい?」
「強い奴殺して回ったら俺の息子に勝てる奴いなくなんだろ」
「俺がいるにゃ」
「お前のそれはいささか反則的だからな、俺は傍観者として戦いを見たいんだよ」
「……しょうがにゃいにゃ。わかったにゃ」

せっかくの獲物にゃのにほっとくことににゃりそうにゃ。
にゃら、突っ立ってにゃいでとっとと行くかにゃ。
いーさんがいたのはあの学習塾跡だったよにゃあ…
それってどっちに行けばいいにゃ?

「地図見せろ。それと方角示すやつくらいあるだろ」
「…これかにゃ」
「そっちだ、右だよ。ああ、後毒刀持ってけ」
「……あれは気持ち悪いにゃ。触りたくもにゃいにゃ」
「その気持ち悪さの原因は俺だからな、他の奴がもう持ったって問題ない。なんだったら袋に入れればいいだろ」
「そういうことにゃらわかったにゃ」

俺は刀を拾い上げ袋に入れる。
確かに持っても何も感じにゃかったにゃ。
今度こそ用もにゃいし出発するにゃ。
臭いもにゃいし歩くかにゃ。
無駄にゃ体力使いたくにゃいし見えるか臭うかしたら走ればいいにゃ。
そうして俺は歩き始めたにゃ。

(こいつはおもしろいことになってきたな…こんな人間がいるとは他にも期待できるぜ、次はどんな奴に会えるのかねぇ)

【1日目/午前/F-4】
羽川翼@物語シリーズ】
[状態]ブラック羽川、四季崎記紀と一体化?、体に軽度の打撲、顔に殴られた痕、下着姿、騙された怒り、学習塾跡に移動中
[装備]なし
[道具]支給品一式、毒刀・鍍、ランダム支給品(1~3)
[思考]
基本:ストレスを発散する
 1:いーさんを殺すために学習塾跡まで戻る
 2:絶対にあの男(日之影空洞)をぶち殺す
 3:結局こいつは何にゃんにゃ?
[備考]
 ※化物語本編のつばさキャット内のどこかからの参戦です。
 ※全身も道具も全て海水に浸かりました。
 ※阿良々木暦がこの場にいたことを認識しました。
 ※四季崎記紀の言ったことをどこまで理解したかは後続の書き手さんにお任せします。

【四季崎記紀@刀語】
[状態] ブラック羽川と一体化?
[装備]
[道具]
[思考]
基本:息子(鑢七花)がどうなったのか見てみたい
 1: 他にはどんなおもしろい奴がいるのか会ってみたい
[備考]
 ※新真庭の里で七花と戦った後からの状態です。
 ※ブラック羽川を通じて羽川翼の知識や記憶を見れるようです。
 ※ブラック羽川の体を完全に乗っ取れるかは不明です。

 008

「…………すぅ」

見逃してもらうような形になった西条玉藻は道端ということを気にもせず熟睡していた。
所詮は女子高校生の体躯。
いくら狂戦士と言えども、エナジードレインされてしまっては体力を回復させざるを得ない。
しかし、眠ったままでも愛ナイフを放さないところはさすが狂戦士というべきか。
次に彼女が目覚めるとき、目の前に広がる景色は何なのか。
次に彼女が目覚めるとき、目の前に待ち受けるは誰なのか――

【1日目/午前/F-4】
【西条玉藻@戯言シリーズ】
[状態]身体的疲労(大)、熟睡中
[装備]エリミネイター・00@戯言シリーズ
[道具]支給品一式×2、ランダム支給品(1~3)
[思考]
基本:
[備考]
※「クビツリハイスクール」からの参戦です。
※毒刀の毒が残っているかは不明です。


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最終更新:2013年02月21日 22:46