忍者装束と機関銃 ◆ARe2lZhvho


砂漠と土の境目付近を北上しながら宇練銀閣は苛立っていた。
見つからない。
弾を当てる相手が見つからない。
球磨川禊という奇妙な洋装の少年と鑢七実という虚刀流の姉だったか――を殺し(たと思っ)て以降一向に獲物に出会えない。
いっそ人間でなくてもいいから試し撃ちでもしようかと銃を取り出してみるも周囲に動くものは見当たらない。
ならば、と空に銃口を向けるも雲が浮かんでいるばかり。
鳥は疎か虫すらいない状況に違和感を覚えるも大したことではないと切り捨てた。
しかし、一度出してしまった銃をそのまま仕舞うというのも癪に障る。
たまたま目についた木に照準を定め、引き金に指をかける。
機関銃であるため当然発射される弾丸は一発ではない。
何度かの衝撃の直後、響く軽快な音。
なるほど、一挺だけで撃つとこういう感触か、と納得しかけた瞬間――

「に、にゃあああああ!」

悲鳴にしては変な声が聞こえ、

「い、いきにゃり何するんだにゃ!」

白髪で本来人間には無い場所に耳が生えた女が落ちてきた。


 *


掲示板への書き込みを廃墟の屋上で済ませた後、ランドセルランドがある方向――北東だにゃん――に向かおうとした俺に刀野郎が声をかけてくる。
声と言っても俺の頭の中で響いているだけにゃんだけどにゃん。

「俺を消し去る方法だが、無いわけじゃあねえぞ」

またもや出鼻を挫くように言われたけどこれももう慣れたにゃん。
……悲しい話だよにゃあ。

「ただ、今ここで教えちまってもすぐ実践できるわけじゃねえし、確証もない。そうだな……まずは一人殺せたら教えるってのでどうだ?」
「殺したら……って簡単に言ってくれるよにゃあ。そもそも誰でもいいから出会わにゃいと始まらにゃいにゃん」
「確かにその通りだな。というわけで、だ。東に向かうぞ」
「俺の意見は無視かにゃ」
「別に無視をしてるわけじゃねえ。ランドセルランドに行くなら北東に突っ切るのが最短距離だろうよ。ただ、その道を通ったところで誰かに出会えると思うか?」
「……可能性は低そうだよにゃあ」
「だが、一旦東に向かってそれから北上したらどうだ?大きい通りに出られる上、地図に乗った施設も近い。それに……」
「それに?」
「あそこに見える赤い点、あれって車ってやつだろ?中に乗ってるのが強いか弱いか、一人か複数かはわからないが確実に人はいる」

言われて目を細めると確かに赤い点が右から左に向かって動いてるにゃん。
右左ってのは俺から見てってことにゃんだけど。

「そう言われても移動手段が違いすぎるにゃ。向かったところで引き離されるのがオチにゃん」
「普通ならそうだな。だが、進行方向を見てみろ。こっからじゃよくわらねえが行き先は診療所かスーパーマーケットってとこのどっちかだろ。
 どちらも立ち寄ったらしばらくは出て来ねえ場所だ。だったら今行けば間に合うんじゃあないのか?
 もし診療所を通り過ぎてランドセルランドに行くようだったら諦めろ。そうでなくても当初の目的地なんだから損はないと思うがね」
「……わかったにゃん」

また言い包められたようにゃ気もするけどにゃあ。
診療所はともかくスーパーマーケットがどんにゃとこにゃのかこいつわかってて言っているのが嫌らしいにゃ。
でも人間とは違う原理で体を動かしてる俺にゃん、ちょっと遠回りしたくらいじゃご主人の体が筋肉痛を起こすにゃんてことはにゃいにゃ。
屋上の端でしゃがみ込む。
目標、できるだけ遠くまで。
ぐっ、と足に力を込めて一気に跳躍したにゃん。


 * *


着地。
地面が土だったのは助かったにゃん。
アスファルトじゃあ俺は無事でもご主人の体を痛める可能性は無きにしも非ずだったからにゃあ。
そのまま、歩き出そうとして――

「おい猫、ちょっと待て」

また止められたにゃん。
これで何度目かにゃあ……

「おいおい、俺はお前のためを思って止めたんだぜ?お前の頭じゃ時間がかかりそうだしちょっとそこの木に登れ」
「つーことはにゃんにゃ?説明したいことでもあるのかにゃ?」
「察しがいいじゃねえか、その通りだ。襲われるか話し合いになるかはわからねーがそのときに俺の話を聞く余裕なんてないだろう?」
「返す言葉もにゃいにゃん。一応聞いておくけどお前はあいつを知っているのかにゃん?」

あいつってのは遠くに見えた灰色の着物に身を包んだ長髪の(多分)男のことにゃん。
ここで話が長くにゃりそうだって言っていた以上知ってる可能性は高そうだったからにゃあ。
そしたら予想通り、

「おそらくは、だがな。違ってたところでさして困ることでもねえ」

返事が来たにゃん。
このまま突っ立って場合によっちゃ変にゃ独り言呟いているの見られたらたまったもんじゃにゃいからにゃあ。
俺は近くに生えてた木に登る。
それにゃりに大きい木で葉もちゃんと生い茂っているから外からは見えにくいだろうし地面で話すよりかは幾分とマシにゃん。
俺も外の様子を確認しにくくにゃるけどそこまで困るもんでもにゃいだろう。
話がとっとと済んでしまえば関係にゃいことだしにゃあ。
というわけで俺はさっさと質問に移る。
その方が刀野郎にとってもいいだろうからにゃあ。
癪に障る話だが。

「で、あいつは誰で、どんにゃやつにゃんだにゃん」
「十中八九宇練銀閣だな。支給品を見た感じだとこの時代はお前らの時代に生きてる人間が大半のようで俺達の時代からの人間が少数派みたいだ。
 俺――つっても元は鳳凰の記憶だが見知った名前は真庭忍軍のやつらに幕府関係者のとがめに否定姫、昔とは違う名前だが左右田右衛門左衛門、それにその宇練銀閣。
 俺の息子についてはさっき話したからもういいだろう?そうでなくても今は関係ない話だしな。
 まずは真庭忍軍だが、こいつは頭領の中の頭領みたいな位置にいた男だ。そうでなくても全員互いに把握していたし装束も違うからこいつらじゃあないことは明らかだ。
 んで、とがめと否定姫だが髪色がそれぞれ白髪と金髪だから違うだろう。そもそももう死んじまってるしな。
 左右田右衛門左衛門は仮面をつける前か後かは知らねえが鳳凰とは一番関わりが深かった男だ、違うと断言してやる。となると消去法で宇練銀閣になるわけだ」

急に出てきた鳳凰って俺の知らにゃい人間だにゃん。
まあ俺には関係にゃさそうだからいいけどにゃあ。
今ここで聞いても俺の頭が情報処理の限界を迎えてオーバーフローを起こしそうにゃだけににゃりそうだし。

「そいつがその銀閣ってやつだったところで俺が困ることでもあるのかにゃ?」
「無いな、全く無い。そいつは元は斬刀・鈍って刀を持っていたが俺の息子に斬られたやつだ。
 今から俺の息子に会ったところで勝てる気はしないし殺したところで全然困らねえ」
「一応聞いておくけどもしも違う人間だったらどうするんにゃ?」

着物ってだけで決めつけるのは危にゃっかしいよにゃあ。
人間野郎の小さい方の妹は普段は着物を着てるらしいし。

「そのときはそのときだな。まあ、弱そうなやつなら殺してしまっても構わねえし、利用できそうなやつならお前が俺の代わりに話せ。
 考える頭はなくても伝える口はあるだろう?」
「今さりげにゃくひどいこと言われた気がするにゃ」

悔しいことに否定はできにゃいんだけど。
それにゃら、と時間も結構経ったし外の様子を確認をしようとしたときにゃ。
ガガガッ!という音と共に木が揺れる。
覗くために変にゃ体勢ににゃっていたからバランスを崩して手が枝から離れてしまったにゃ。

「に、にゃあああああ!」

足で踏ん張ってみたが虚しく滑り落ちたにゃ。
慌てて四つ足で着地。
にゃんだかんだ言っても俺猫だからにゃあ。
着地で失敗するとかありえにゃいんだにゃ。
銃声のした方向をきっ!と睨みつける。

「い、いきにゃり何するんだにゃ!」

そこにいた男は機関銃を携えてたにゃ。
あれ?これ今撃たれたら俺危にゃくにゃいか?


 * * *


以上、これが俺が木から落ちてきた理由にゃん。
猿も木から落ちると言うが猫も木から落ちるというのも当てはまりそうだよにゃあ。
でも、難にゃく着地できるあたり俺たちは落ちる前提でいるから諺にはにゃらにゃいのかにゃ?
って悠長にこんにゃこと言ってる場合じゃにゃかったにゃ。
目の前にいるそいつ――刀野郎が言うにはおそらく宇練銀閣――は機関銃の銃口を俺に向けたままにゃんだから。
いきにゃり俺が落ちてきたことで呆気にとられていたようだが我に返られたらやばいにゃ。

「あー、お前、宇練銀閣でいいんかにゃ?」

先手必勝じゃにゃいけど会話の主導権ってのは握っておいた方がいいことくらいはわかるにゃ。
問題は俺に握れるだけの会話をする頭がにゃいことにゃんだけどにゃあ。

「あ?その通りだよ。お前は確か……真庭忍軍とか言ったか」
「服はそいつらの借りてるだけで俺はその真庭忍軍とかじゃにゃくてブラック羽川だにゃん」

あ……刀野郎の言う通りだったもんだからつい反射的に俺の名前言ってしまったにゃん。
よくよく考えてみれば名簿には俺の名前じゃにゃくてご主人の名前ににゃってるはずだしやっちまったかにゃ。
でもそんにゃ心配はどこ吹く風だったにゃん。

「ぶらっく羽川……ね!」

そいつの取った行動――機関銃を迷うことにゃく撃ってきたこと――に比べれば。

 * * * *


宇練銀閣がブラック羽川との会話に応じた理由、それは単に気まぐれからだった。
殺すなら名前くらい聞いておいてもいいだろう――それだけの理由で。
だから、相手の名前を聞いてしまえばそれで用件は済むし一々名簿にあった名前かどうかを思い出す必要もない。
聞いた名前を復唱してから引き金を引くのに躊躇はなかった。
一挺で撃っても申し分ない威力。
先程の砂漠とは違い、大地は多少湿って重くなっているにも拘わらず土煙を巻き起こす。
永遠にも思われるような、しかし実際は10秒すら経過していない時間の末、カチンッという音と共に弾幕が止む。

「ああ、やっぱり撃つのは最高だ」

銀閣の顔は恍惚の表情を浮かべていた。
かつての彼を知る者なら人違いではないかと思ってしまうほどに。
それくらい、銀閣にとって衝撃的だったのだ。
『兵器』との出会いは。

「せっかくだから死体を確認しておくか。さっきの球磨川禊と鑢七実ってのは確認し忘れちまったからなあ」
「球磨川禊と鑢七実――お前今そう言ったのかにゃ?」

避けられる可能性を全く浮かべられなくなるくらいには。


 * * * * *


「ありゃあやべえな、少しでもまずいと思ったらすぐ上に跳んだ方がいい」

俺が馬鹿にゃ頭を使いにゃがら銀閣と話しかけようとしてる(つってもすぐ終わったんだけどにゃ)間、刀野郎は何も言わにゃいと思ってたら思うことがあったらしい。

「俺の時代じゃあ主な武器は刀で銀閣も剣士だったはずだ。それなのに機関銃なんて物騒なもん持ってしかも半ば使いこなしてやがる。
 何の素振りで撃ってくるかわからねえし一瞬でも危ないと思ったら上に跳んだ方がいい。できるだけ高く跳んでついでに後ろに回り込め」

無茶苦茶にゃこと言うよにゃあと思ってたけどこのときばかりは万々歳だったにゃ。
この助言をもらっていにゃきゃ銃身が動いた時点で跳ぶことができずに今頃蜂の巣ににゃってたかもしれにゃいんだから。
とっさのこととでそんにゃに高くは跳べにゃかったけど、後ろに回り込むことができたから上出来かにゃ。
いつの間にか銃声は止んでいたし後ろから見る限り隙だらけで最高だにゃんて暢気に言ってたから殺そうかと思ったとき――

「――球磨川禊と鑢七実ってのは確認し忘れちまったからなあ」

鑢七実。
俺がらしくもにゃく俺の意思で殺したいと思っている相手。
そして今聞いた球磨川禊という男。
こいつはあのときにいた「三人目の男」じゃあにゃいのか?
その考えに至ったとき俺は思わず質問してたにゃ。

「球磨川禊と鑢七実――お前今そう言ったのかにゃ?」

振り返った銀閣の表情には少にゃからず驚きが混じってたみたいだにゃ。
銃弾を避けられるとは思いもしにゃかったんだろう。
実際無傷で済んで俺もびっくりしてるんだからにゃあ。
ん?いつの間にこいつ機関銃をしまったんだにゃ?

「てめえ……どうして無傷で……まあいい、冥土の土産に教えてやる。球磨川禊と鑢七実の二人組はさっき俺がぶっ殺してやったよ」

二人組――一緒に行動してたってことは「三人目の男」はその球磨川でほぼ間違いにゃさそうだにゃ。
もう聞きたいことは聞けたし用済みだよにゃあ。
自然、足に力がかかる。
それを知ってか知らずか、

「おい、猫。今すぐ跳べ!」

と刀野郎の声がして、反射的に跳ぶ。
それとほぼ同時に、

「こう……やってなぁぁぁあああああーーーー!!!!」

まるで手品の様に出現した機関銃を銀閣が構え、引き金を引く瞬間には――

「う る さ い」

俺の手がやつの体を真っ二つにしてたにゃ。
いつか人間野郎に対してやったのと同じように綺麗に上半身と下半身に別れて。
普通の人間が刀を丸飲みにゃんて大道芸人でもにゃけりゃそうそうできることでもにゃいからにゃあ。
背筋も真っ直ぐって感じじゃにゃかったし警戒はほぼゼロだったにゃ。
下半身とお別れした上半身はぶっ飛んで木――俺がさっきまで登っていた木にゃ――に叩きつけられている。
さすがに即死だったみたいで何も聞こえにゃいにゃ。
人間野郎とは違ってやっぱそうにゃるよにゃあ。
吸血鬼もどきだからあいつは切り離されても長々と生きていられたんだろうが。

「俺は上に跳べと言ったつもりだったんだがどうしてそっちに跳んだんだ?」

感慨に耽る暇もにゃく刀野郎は俺に聞いてくる。
仮にも殺したんだし他にかける言葉があってもいいと思うんだけどにゃあ。

「聞きたいこと聞いたから用済みににゃっただけにゃん。それにあれ以上話を聞くのは不快だったにゃ」

刀野郎の話から考えれば宇練銀閣が鑢七実より弱いことにゃんて考えるまでもにゃくわかったにゃん。
だからこそ、俺は話の途中であるにも拘わらず殺しに行ったんだからにゃあ。

「期せずして鑢七実のことを聞けたんだからなあ。で、お前は鑢七実が死んだと信じるのか?」
「わかってて聞いてくるのはやめて欲しいにゃ。お前はそう思っていにゃいだろうに」
「ご名答。銃なんかじゃ殺せやしねえよ。忍法足軽でも使ってれば掠りもしないだろうからな」
「仮に殺してたとしたら俺は結果的に鑢七実を超えたことににゃるんだろうけど全然実感が湧かにゃいにゃ」
「ならその感覚を信じておきな。賭けてもいいが次の放送で鑢七実と球磨川禊……だったか?の名前が呼ばれることはない」
「だろうにゃあ。こればっかりは俺も全面的に賛成にゃ」
「まあ、なんだかんだ言っても一人殺したんだ。教えてやるよ、俺を消し去る方法」

そういえばそんにゃ話もあったよにゃあ。
随分と鑢七実は俺の中でウエイトの大きい存在ににゃっていたらしい。


 * * * * * *


「そもそも俺は四季崎記紀とは言っても所詮は毒刀に込められた本来の記紀の怨念みたいなもんだ。
 わかりやすく言ってしまえば刀の毒ってやつだな。
 そして、お前はその毒に冒された状態ってわけだ。
 俺を消し去るってのはとどのつまり解毒してしまえばいい。
 解毒と言っても薬を飲んではいおしまい、とは行かないけどな。
 ただ、うってつけのもんが一つある。
 それが王刀・鋸って刀だな。
 毒刀の対極、毒気を抜くことに特化した刀だ。
 そいつを探し出して握ればあっという間に俺は消え失せるだろうな。
 但し、今すぐ使うってのはオススメしないぜ。
 鑢七実との対決のときに俺がいないと困るんだろ?
 そうでなくても王刀の効果を考えるとお前まで引っ込めてしまう可能性も十分にある。
 もしもそうなってしまったらお前のご主人様の生存確率は格段に下がるだろうな。
 仮に王刀を手に入れても使うのは終盤だろうな。
 さあ、どうするんだい子猫ちゃん?」

刀野郎のうっとおしい講釈がやっと終わったにゃん。
俺には三行以上の長い話は理解できにゃいって設定を忘れたのかにゃあ。
それでも大体言いたいことはわかったにゃ。
要はその王刀ってのを探せばいいんだろう?
鑢七実を俺が殺すと宣言した以上、まだこいつの力というか知識は借りにゃきゃいけにゃいんだし、優先順位としては鑢七実を探す方が上にゃ。
幸い球磨川禊という手がかりも手に入ったんだしにゃ。

「一応言っておくがその球磨川ってのは要注意人物だからな。鑢七実と同行してる時点で只者じゃねえんだからよ」

そんにゃこと言われるまでもにゃくわかってるにゃ。
どうすると聞かれても俺のやることは変わらにゃいからにゃあ、ご主人のために尽くすだけにゃん。
だから、ちょっとだけわがままを聞いてもらうにゃ。
鑢七実を殺してあの大男より上に立ちたいっていう俺のわがまま。
そうと決まれば移動するにゃん。
ここで方向転換するのは癪だからこのまま真っ直ぐ東へ。

「おい、行くのはいいが支給品は回収しないのか?機関銃がいらないってのはわかるが他にもいいもんあるかもしれねえだろ」

言われて気付く。
すっかり忘れてたにゃん。
そそくさと歩いて落ちていたデイパックを拾い上げる。
中をまさぐってわかったけど機関銃は二挺持っていたみたいだにゃん。
通りで撃った直後にゃのにも拘わらず弾丸を装填しにゃいで撃てた理由はこれかにゃ。
まあ、二挺目は撃たせる前に俺が真っ二つにしてやったんだが。
俺には到底使えそうににゃいけど放置して拾われるのも嫌だしいただいてやるかにゃ。

「んにゃ……」

地図や食料とは違う堅い触感。
取り出してみる。

「これはトランシーバー……かにゃ?」

他の人間とやり取りできるアイテム。
一つしかにゃいってことはもう片方を誰かがおそらく持ってるってことにゃん。
使うか、使わにゃいか。
その選択も含めて前途多難だにゃん。

ああ、そういえば。
どうして俺がらしくもにゃく不快ににゃったのか、やっと理由がわかったにゃん。
鑢七実があんにゃやつに何もできずに死ぬにゃんてありえにゃいって分かっていたからにゃ。
それくらい、俺はまだ見ぬそいつを高く評価してしまってるってことにゃんだろうにゃあ。


【宇練銀閣@刀語 死亡】

【1日目/午後/F-4】
羽川翼@物語シリーズ】
[状態]疲労(小)、ブラック羽川、四季崎記紀と一体化?、体に軽度の打撲、顔に殴られた痕、騙された怒り、強い敗北感
[装備]真庭忍軍の装束@刀語
[道具]支給品一式×2(食料は一人分)、携帯食料(4本入り×4箱)、毒刀・鍍@刀語、 タブレット型端末@めだかボックス、黒い箱@不明、トランシーバー@現実、「ブラウニングM2マシンガン×2@めだかボックス、マシンガンの弾丸@めだかボックス」
[思考]
基本:ストレスを発散する
 0:トランシーバー……どうしようかにゃあ
 1:一度診療所かスーパーマーケットに立ち寄ってからランドセルランド近辺を主に探索する
 2:球磨川禊の匂いを手がかりに鑢七実を探す
 3:鑢七実、いーさん、黒神めだかを探し出して殺す
 4:戦場ヶ原ひたぎを見つけ出して話を聞く
 5:四季崎記紀を消し去るために王刀を探す(王刀については半信半疑)
[備考]
 ※化物語本編のつばさキャット内のどこかからの参戦です。
 ※全身も道具も全て海水に浸かりましたが、水分はすべて乾きました。
 ※阿良々木暦がこの場にいたことを認識しました。
 ※四季崎記紀がいた歴史についておおまかには聞きましたが、四季崎がどの程度話し、羽川がどこまで理解したかは後続の書き手さんにお任せします。
 ※トランシーバーの相手は哀川潤ですが、使い方がわからない可能性があります。また、当然ですが相手が哀川潤だということを知りません。
 ※道具のうち「」で区切られたものは現地調達品です。他に現地調達品はありませんでした。


 * * * * * * *


自分で持ちかけておいて何だがここまでうまくいくとは思わなかったぜ。
しかし、宇練銀閣――元々鳳凰の知識が元とはいえこんなやつだという情報なんて聞いたことなかったんだが。
子猫ちゃんのご主人の知識を借りるなら生粋のトリガーハッピーってやつか。
まあ、どんなやつだったところで俺の息子にはふさわしくないから死んでくれて助かった。
報酬代わりに教えた王刀のことだって強ち間違いじゃあないしな。
ただ、一つだけ教えていないことがあるが。
王刀を使えば俺は消えるしおそらく子猫ちゃんだって消える。
そうなった場合、この会場で起こったことを覚えていられるかどうかってのは五分五分なんだよなあ。
覚えていれば愛しの恋人が死んだことも自分が人を殺しちまった記憶も全てそのまま襲いかかってくる。
運良く忘れられたとしても殺し合いの会場に何も知らないまま放り出されて恋人が死んだってことも後から降りかかってくる。
どっちに転んだとしても面白そうではあるんだよな。
いやいや全く、どちらだったところで俺はいなくなってるから確認できないのが残念でたまらねえ。
おっとっと、危ねえ危ねえ。
俺の本来の目的は俺の息子の成長を見ることだった。
うまく誘導したからしばらくは大丈夫そうだな、このままゆっくり居候させてもらうとするか。


【四季崎記紀@刀語】
[状態] ブラック羽川と一体化?
[装備]
[道具]
[思考]
基本:息子(鑢七花)がどうなったのか見てみたい
 1: 他にはどんなおもしろい奴がいるのか会ってみたい
 2: 今は羽川翼のやりたいようにやらせておく
[備考]
 ※新真庭の里で七花と戦った後からの状態です。
 ※ブラック羽川を通じて羽川翼の知識や記憶を見られるようです。
 ※ブラック羽川の体を完全に乗っ取れるかは不明です。


鏡に問う 時系列順 ――かもしれない何かの話
鏡に問う 投下順 ――かもしれない何かの話
猫の首に鎖 羽川翼 みそぎカオス
トリガーハッピー・ブレードランナー 宇練銀閣 GAME OVER

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最終更新:2013年10月05日 12:04