バンシー

バンシー

  • 登場:長編および『焼相』
  • 搭乗者:ライザ・ラードナー


・概要

  • "一点の曇りもない純白のボディ。フィアボルグやバーゲストと比べてもはるかに細身のフォルム。全体のラインには優美とさえ言えるゆるやかな曲線も含まれる。だがその白い機体は見る者に決して天使の無垢を思わせない。『バンシー』とはアイルランドの民間伝承に云う<死を告げる女精霊>のことである。その名をコードネームにもつ機体に不吉な印象が漂うのは、むしろ当然かもしれない"(『完全』p.43)
  • "ライザ・ラードナー警部専用機『バンシー』。全長約3メートル。従来の機甲兵装より一回りは小さい龍機兵の中でも、最も繊細でスリムなフォルム。ゆるやかな曲線で構成された優美な機体は、天使の彫像のようでありながら魔女とも見える。純白の全身に漂う死の気配は、バンシーが本来有するものか、あるいは搭乗するラードナー警部の印象ゆえか"(『自爆』p.243)
  • "コンテナから歩み出たバンシーが、トレーラーに近寄って背面を向ける。トレーラーに格納されていたオプションが油圧式アームによって自動的に押し出され、バンシーの背面に接続、固定される"(『完全』p.43)


・装備

・銃器

フランキ・スパス15コンバット・ショットガン

アキュラシー・インターナショナルAS50アンチマテリアル・ライフル


ナイフ

  • "バンシーの右大腿部にテープで貼り付けていた細身の特殊合金ナイフを引き剥がす。細身といっても人間用に比べると相当に太い"(『未亡』p.129)

対戦車ミサイルFGM-148ジャべリン

  • "純白のローブのような肩部装甲の下から覗く不吉の先端――対戦車ミサイルFGM-148ジャべリン。(中略)ターゲット捕捉。ダイレクト・アタック・モードを選択。緒元入力。ロック・オン。(中略)発射。バンシーの左右肩部装甲の下に組み込まれたCLU(発射指揮装置)から二基のミサイルが放たれる。画像赤外線シーカーによる自律誘導。二本の<天翔ける(ジャべリン)はまっすぐ空を走り、ホッブゴブリンを直撃する。タンデム成型炸薬弾頭により跡形もなく消し飛んだ鋼鉄の巨人を、ライザはうらやむ"(『完全』pp.308-310)

・特殊オプション

『一号装備』

  • "特捜部のトレーラーから油圧式アームによって押し出された換装式特殊オプション『一号装備』の主装置が、バンシー背面の接続装置に向かって伸びる。やはり換装式である接続装置は、機能も重量も異なるオプションごとに用意されたユニットで、機体にかかる負荷やデータリンクを最適化するためのものである。一号装備用のユニットは搬出前のバンシー本体にあらかじめセットされていた。重い音を立てて楕円型の主装置がバンシーの背中に固定される。<主装置の接続を確認>続けて主装置尾部にステルスカットされた多角柱型の薬液タンクが接続される。<ポンプの作動を確認>主装置にパリレン系ポリマーを主成分とする薬液が注入される。技術者達は主装置左右に折り畳まれた鋼線内に薬液が充填されるのを固唾を飲んでじっと待つ。(中略)<薬液充填100パーセント。循環サイクルの確立を確認>緑も手許のディスプレイに表示された各数値を確認する。薬液温度、濃度、鮮度いずれも適正値。「廃液フィルターのチェックに移ります」<了解>主装置からシュッと霧が吹かれるように水分が排出される。異常なし。<全ユニット接続、連携を確認>バンシーの搭載ECUが変化した重量バランスのキャリブレーションを開始。<キャリブレーション完了>「滑空翅を展開してください」<了解。滑空翅展開>折り畳まれていた鋼線束がパンタグラフのように伸び広がる。電圧をかけることによって変形する無数の鋼線が翅脈(ベーン)となり、それらが構成する隙間部分に循環する薬液がミクロン単位の薄膜を形成していく。(中略)蜉蝣を思わせる淡く儚いその翅こそが『一号装備』のVG翼である。電圧、液圧によって翼平面形状やアスペクト比、上反角等が変化し、その都度液膜(セル)に反射する光の色もシャボン玉の表面の如く夢幻の相を見えて変化する"(『自爆』pp.243-244)

『二号装備』


『三号装備』

  • 登場:『無印』
  • "コンテナから歩み出たバンシーが、トレーラーに近寄って背面を向ける。トレーラーに格納されていたオプションが油圧式アームによって自動的に押し出され、バンシーの背面に接続、固定される。接続と同時にパーツがスライドして左右に大きく展開した。『三号装備』。蝶の羽のような形状のそれは、任務の性格に応じて換装されるバンシーの特殊オプションの一つである。本体と同じく純白に塗装された背面の羽が、優雅にして冷酷というバンシーの屈折した印象を一際強める"(『完全』p.43)
  • "『三号装備』。バンシーが背にする蝶の羽は、優美な外見とは裏腹に恐るべき火力を秘めたウェポン・ラックである。天に向かって左右一基ずつ装備されたAGM-114Lロングボウ・ヘルファイア。全長一七六センチ。ミリ波レーダーシーカー。九キログラムのタンダム配列HEAT弾頭。完全なるファイア・アンド・フォーゲットミサイル。ライザは淡々とデータを入力、確認していく。ディスプレイには大原橋の映像。ロック・オン。<地獄の炎(ヘルファイア)>が天に向かって放たれる。垂直に上昇したそれは、北側のビルを越え、はるか上方で放物線の弧を描く。(中略)次の瞬間、大原橋は粉微塵に吹き飛んでいた"(『完全』pp.313-315)

『四号装備』

  • 登場:『焼相』
  • "バンシーの背面に接続された、キスリング型の背嚢にも似た横長のオプション『四号装備』。その左右の端からは、菱形の金属板がそれぞれやや外側向きの角度で突き出ている"(『焼相』p.52)
  • "「四号装備、モードE、展開」ライザの宣告と同時に、鈍い銀色に光る左右の金属板がたちまち大きく展開する"(『焼相』p.52)
  • "四号装備は本来、哨戒及び索敵用の翼で、複雑に折りたたまれた可変翼を翼面がフェイズド・アレイ・レーダーになっている。レーダーのモードを変えることで、ADS(アクティブ・ディナイアル・システム)に転用可能。(中略)波長三・一ミリ(九五ギガヘルツ)のミリ波を照射することにより、皮下〇・三ミリにある痛点を刺激。二、三秒のうちに火傷のような激痛を引き起こし、戦意を喪失させる。電子レンジの原理と同じ誘電加熱で、実際に体内の水分を加熱するのである。九五ギガヘルツのミリ波は、皮下〇・四ミリ程度しか浸透しないため、非殺傷兵器とされている。この周波数を変えることによってさらに殺傷兵器へと転用する。『四号装備』は当初からそうした利用法をも想定して設計されたものであるという"(『焼相』p.49)

手槍

  • "バンシーの左の手槍は溶接されたものではなかった。相手の隙を衝いて射出する隠し武器。油圧式で腕のアクチュエーターからバイパスして作動させる。特捜部が前年押収した改造武器を参考に、技術班で試作したオプションである"(『暗黒』p.49)

その他

  • "爆発現場に急行したラードナー警部のバンシーが、機体に装備した液体火薬でコンクリートの瓦礫を吹き飛ばし"(『完全』p.67)
  • "バンシーの左マニピュレーター先端部――人体でいうと小指と薬指の先――にあるディスペンサーから二種類の液体火薬を送出し、混合しながら壁面に塗布する。(中略)最後に信管を接合させる。(中略)点火信号を送信する"(『暗黒』p.325)

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最終更新:2015年06月01日 19:47