「なんなんですか?何で彼方しゃんは、噛んだ。あの刀でいきなりおしょいきゃかって、噛んだ。さくやさんもみょんしゃしゃしゃしゃ!!!」
「落ち着くでござる!ゆっくり!とにかくゆっくりしていってね!あれこれしかしかで…………」
「訳が分かりませんよ!」
逃げ出した二人は宿屋からちょっと離れた所の路地裏で腰を下ろしている。
みょんは彼方を落ち着かせようとしているがみょんもかなり焦っているためか全然意味が無く結局グダグダになり
状況そのものが落ち着くまで結構な時間が掛かった。
「………………………そんな、そんなことってあるんですか!?さくやさんが………そんな!」
「ほんとの話みょん。ほら、口の中を見るでござる。あの刀で貫かれた穴があるみょん」
「……………うわっ酷い…………死んでもおかしくない傷ですよ」
重はみょんの口の中から塗り薬を取り出し、みょんの傷の内部と外部の両方にその薬を塗ったくった。
「苦い!」
「……………………それで、なんで、何で彼方さんは刀持って私に襲いかかってきたんですか!?
あの刀…………昨日さくやさんが見せてくれたものと同じ装飾が………」
「……………………………え………………」
みょんは、迷った。今からこの事を重に伝えていいものかと。
でも伝えなくてはならないだろう。伝えなくてもどうせ知るのなら少し余裕のある今知らせた方が良いとみょんは考えた。
「………………………いま、かなた殿は、あの刀に操られているでござる
今までの通り魔事件。さくやはあの刀を他の人間に持たせて殺していたみょん」
「…………………………………えと、それは…………………………」
最初よく分からないと言うような表情を見せる重。けれど次第にその表情は何処かぎこちなくなり、そして青ざめていった。
「…………………い、い、い、いま、いままでの、通り、通り魔事件ってき、きの、きのうの、昨日のも……?」
「……………………辛いこと聞くけどみょん………かさね殿。あの刀を…………昨日見たという事は……」
あの刀はさくやが出すまでずっとあの地下室に入れられていた。
なら、さくやが出した時、すなわち殺人を決行する時にしかあの刀を目にすることは出来ない。
「……………………私が…………蘭華さんを?」
恐らく厨房に居た時に重はあの刀を受け取ったのだ。これで厨房が傷だらけだった理由が分かった。
けれど、そんな事はもうどうだっていいのだ。本当にこんな事、重の心を抉るだけでしかないのに。
「い、いやだいやだいやだいやだ!!!!!!うそだうそだうそだうそだ!!!!いやだああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
「かさね殿!そんな騒いだら」
「うー……………」
一瞬だけ空気が凍ったかのような感触に襲われ、みょんは辺りを見回すも人影は全く見あたらない。
辺りを警戒すると同時に重も落ち着かせなければいけない。もうこの状況で正常な行動が出来る方が異常のように思えた。
「ひ、ひっぐ、ひっぐ。ごめんなざい。ごめんなざい。もういやでず。こわいでず。だずげでくだざい」
「…………………かさね殿!!!!!」
焦りが頂点に達したみょんはついに声を荒げて怒鳴ってしまった。
「……………みょんはかさね殿とかなた殿をあんな奴に殺されたくないでござる!
辛いのは知っているけど!知っているけど…………」
そこから先の言葉が思いつかない。知っているから何なんだ。
そして思いついた言葉を喋ろうとしたその瞬間、二人にほんの僅か降り注いでいた月光が消え去った。
「………………あ、あぶなァーーーーーーい!!!!!上から襲ってくるッ!」
「うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
屋根の上から刀を振り上げながら落ちてきた彼方に気づき二人は間一髪それを躱す。
もしみょんが怒鳴っていなかったら重は心神喪失状態のままあの刀の餌食になっていたことだろう。
「あ、あ、あ、あ、や、やめ……………」
「沓破流!鋸鋸!!」
重に刀を振り落とそうとする彼方に向かってみょんは丸鋸のように縦回転しながら突撃していく。
彼方はそれを簡単に刀で弾き、みょんの方を向いた。標的を重からみょんへと変更したようだ。
「うう、つらいみょん。はぁ!!!」
お決まりの弾性を使ってそのまま突っ込んでいくみょん。それを防ぐように彼方は鉄血を目の前に構え振った。
「鍵山流!流し雛!!」
その動きを再び利用して彼方の懐に飛び込もうとするみょん。しかし
「うーーーーーーー!!!!!!!!」
彼方は片方の手を鉄血から放しその手で拳を作ってみょんを殴りつけた!
「うぎゃぶぅぅぅ!!!!!」
そんな叫び声を上げながらみょんは近くの壁に突き刺さった。
さくやの時とは勝手が違う。さくやは両手で刀を構えていたのに対して彼方は片手で刀を持っている。
妖刀だとしても重さはそう普通の刀と変わりはないのにそれを片手で持つなんてどんな少女だ。あ、妖夢がいたわ。半人半霊のくせに。
それに腕の長さ、力、胸の大きさ、持続力、その他諸々がさくやを上回っている。あと速さ。そして
「…………………本気が出しにくいでござるな」
羊羹剣は斬れないものは殆ど。それでもみょんは彼方に対して何処か躊躇いの感情があった。
けれどみょんは壁から這い出て体中傷だらけになりながらも戦闘態勢を維持し続けた。
「うーーー!!!!」
彼方はみょんに向かって刀を縦横無尽に振り回す。みょんはそれを羊羹剣で受けるがやはり力の差のせいで押し負けていた。
それに刀の長さのせいでこちらは常にギリギリで受けなければならなかったのだ。刀の先端がみょんをぐれいずさせた。
「ぎゃああ!!みょんの前御髪がぁ!!!」
「うー………………」
射程距離。それさえ乗り越えられれば。
しかし今みょんが持っている菓子剣の中で羊羹剣以上長い剣は存在しない。
「…………………が無ければ……ケーキを………」
「うーーーー!!!!」
「も、も、もうやめてくだひゃあああああああああああい!!!!!!!!!」
刀を振り回そうとする彼方に向かって重は涙を流しながら突っ込んでいく。
しかし彼方はその紅い目で冷たく重を睨み、振り返って一気に鉄血を重に向かって振り落とした!!
「か、か、かさねどのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」
「あ、あ、あ、か、体がき、き、斬らりぇて………なかった。エプロンだけでよかった……」
「うーーーーーー!!!!!!!」
ほっと胸をなで下ろすも彼方はそんな事お構いなく振り下ろした刀を振り上げる。
重は急いでその場から這いつくばって逃れ、その隙を狙ってみょんは彼方に攻撃を仕掛ける。
しかし今度は後ろ足で蹴られみょんはまた壁に突き刺さった。
「うーーー…………」
「………はぁ………はぁ………こ、これ、罰なんですか!?わたしが!!蘭華さんを殺したから!!?」
彼方は質問に一切答えない。そんなこと怨念が知っているはず無いから。
「答えて下さいよぉ!!わだじ、わだじ!こんなぁ………」
「うー………………………にんげん…………」
「え………………………?」
「にんげん……………にくい!!」
そう呟いて刀を振り上げた瞬間彼方はいきなり体勢が崩れ、今まで見せたことの無かった苦痛の表情を浮かべて地面に倒れた。
「う、う、うああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
「みょ、みょんさん…………」
彼方の太ももに羊羹剣が突き刺さり、その彼方の上でみょんは息を荒げながらその羊羹剣を握っている。
みょんはすぐに羊羹剣を抜くが重の視線に耐えきれなくなりついしどろもどろに弁解する。
「し、仕方なかったみょん!かさね殿!むしゃくしゃしてつい………」
「酷いですよ!それは!」
彼方は起き上がろうとするもみょんは思いっきり跳ねて彼方の頭の上に着地し、彼方は顔を地面にぶつける。
「かさね殿!今すぐ用件を言うでござる!!ケーキの菓子剣を!今!作って欲しいみょん!」
「え…………………………」
「もう殆ど出来ているでござろう!!この状況を打破するためには新しい力が必要なのでござるよ!!」
みょんは口の中から昼間見せて貰った金槌を取り出し重に向かって投げる。
それを受け取った時すぐに走って作ればいいものの重はそれが出来なかった。
体が小刻みに震えはっきりとした怖気が襲いかかってきたせいで重は一歩も動けなかったのだ。
「い、嫌です!!こんな!私に人殺しの剣を作れと言うんですか!!!!」
「かさね殿!!!」
「私は料理人です!!!料理は人を生かすためにあるんです!!!お菓子の剣だってそれみたいに人を殺せるんでしょう!!
包丁は刃物ですが人を殺すための物じゃないんです!私の料理の腕を殺人に使うんですね!!」
大粒の涙を流し、感傷的になりながら重は叫び散らす。もう時間は殆ど無い。彼方が起き上がろうとしている。
「…………もう時間はないでござる。かさね殿は料理人として立派でござる。料理に誇りを持っている。
でも一つ誓わせて、みょんは殺さない。かさね殿が作った剣で誰も殺さない」
「………………………う、そ」
「信じて欲しいみょん!!!うわわっ!」
とうとう彼方が起き上がり彼方の上に乗っていたみょんは転げ落ちてしまう。
「………………コンナニツキガアカイカラ………コロシテシマイソウ………」
怨念が行き着く先は死という概念だけだ。彼方は刀を持っていない方の手で頬や頭をガリガリに引っ掻き始め、流れ出た血を鉄血で吸わせた。
いつか刀で自分の口の中を突き刺してしまいそうな。そんな狂気を携えてる。
「…………………分かりました。私の………みょんさんに託します」
そう言ったあと重は眼が赤くなるほど涙を拭き、彼方に背を向けて宿屋の方へと走っていく。
彼方もそれを追おうとするも再び足に激痛が走り、転ばないにしてもその場で蹲ってしまった。
「…………貴様の相手はこのみょんみょん。」
「うーーーー…………………………………」
「来いッ!!レミリア・スカーレット!!!!」
「はぁ………はぁ…………」
全速力で走り重はようやく宿屋へと辿り着く。ケーキがあるのは厨房。
既にクリームとスポンジは作ってあるから、スポンジにクリームを塗って苺を載せれば出来上がりだ。
そこからが不安。果たしてこんな弱い自分が良い剣を作れるだろうか。
「えっと…………厨房はこっち、だよね」
もう真夜中なので月明かりも差し込んでないところは手探りで行かなければならない。
何回か転びながらも重はようやく厨房へと辿り着いた。
「………置きっぱなしだったけど大丈夫だよね、あ、でもエプロン斬れちゃってりゅ」
時間がないことは分かっている。でも出来れば最高のケーキで作り出したいというこだわりもあったのだ。
「手を洗って、エプロン着替えて…………」
エプロンを脱ぐ時重は気付く。エプロンだけでなく下の衣服まで斬れていたのだ。
もしエプロンを着けてなかったと思うと重にまた怖気が走った。
そこからは無言で装飾に取りかかった。
ケーキ用の刀で手早くスポンジを横に切りその間にクリームと苺を挟む。
挟み終わったらスポンジの廻りをクリームで綺麗に塗ったくる。きちんとした正円になるように。少しづつ少しづつ塗ったり削ったり。
そしてスポンジの廻りをクリームで塗り終えたら上の装飾だ。
なるべく大きさが変わらないようにクリームを載せる。これが辛い。
一個でも形が崩れたらまたやり直しだ。って急いでるのに何しているのだ自分は!
「………………でも、やりこんでみたい」
とりあえず一個も大きさを崩さずに載せることが出来た。あとは苺を載せるだけ。
「一個、二個、三個、四個、五個、六個!完成!!!」
さて、ここからだ。みょんさんはこの金槌を一気に叩きつけて剣を作っていた。
「……………出来るだけ中心に…………」
重はケーキの中心に向かって金槌を振り落とそうとする。しかしその照準がうまくいかない。
普通に振り落とすとクリームが手に付くかもしれない。そんな事になったら景観が台無しだ。
「普通に6等分しよ………」
そう考えて重は先ほど使った料理用の刀を取ろうとする。しかし手に取ってみるとそれは料理用の刀ではなくいつの間にか銀色の小刀になっていた。
「あれ?どうすぃて………」
「うごくな」
後ろから声がしたと思うと重の首筋に冷たい感触が走る。
「え、え、え……………」
「うごいてもいいですけれど、しにますよ」
目を動かして首もとを見てみると小刀が首に当てられてる。そして重はこの声に覚えがあった。
「さ、さくやさん………?」
「あのみょんは絶対にころさなくてはなりません。あいつをころさなければ………おぜうさまがっ!!」
重の背中にしがみつきながらさくやは西洋小刀を首元に当てているようだ。しかし重に焦りの表情はない。
「さくやさん………………なんで、なんで…………私に……………蘭華さんを殺させたのですか?」
「……………………ころしたのは………おぜうさま。あなたは関係ない……」
「ふざけないでッッ!!!」
声に驚いたのか少し小刀がぶれほんの少し首から血が出る。重はその痛みを我慢して言葉を続けた。
「…………私はさくやさんが優しいことを知っています。蘭華さんが死んだ時本当に悲しんでいたし今も殺そうと思えば殺せるのにただ脅してるだけです。
でもそんな優しさいりませんッ!!その優しさを受け取ったら私は蘭華さんから逃げることになるんです!
罪を背負うよりもっと辛いものをこれから先背負わなくちゃならないんですっ!そんなの嫌!!」
「………………………く……………」
「もう嫌なの!罪を背負うだけでも嫌ッ!今もすぐ死んでしまいたいくらいなんですっ!
でも私助けなきゃいけない!彼方さんとみょんさんを!」
「お、おだまりなさい!!!」
「嫌ぁ!!!放してぇ!!」
重は身体を動かしてさくやを振り落とそうとする。その衝撃で残りのケーキは全部床に落ちてしまった。
何回か小刀が顎の皮膚を斬ったがその痛みに耐えて重はさくやを地面に叩き落とした。
「げはっ!!!ぎゃ…………………あ、あ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
口から赤みがかったプリンを流すように吐き出すさくやだが、重はそんなさくやから目を逸らしながらケーキを六つに切り分けた。
さくやの悲鳴が耳にこびり付きそうだった。でももう突き進むしかない。
「……………………よしっこのサイズなりゃ」
そして重は金槌を持って狙いをつける。
扇形の中心は分からない。でも狙うべき目標は一つあった。
「紅く目立つ苺に!振り落とすッ!!!」
金槌は勢いよく苺に振り落とされ、そしてケーキからまばゆい光が放たれて辺りを照らしていく!
一時は目も開けられないほどであったが光が収まるとケーキのあった場所に一つの小刀が存在していた。
その小刀は西洋の彫刻のように美しくそして刀とは思えないほど純白であった。
「……………き、綺麗………………」
苺のあった部分には紅い水晶のような物が眩きを放っている。小刀と言うよりまるで芸術品のように見えた。
重は一時その美しさに見蕩れていたが、手にとって眺めているうちに何かに気付いたように震えた。
不安なのだ。本当にみょんはこの小刀を殺傷目的で使わないのかと。
信じていたい。でも今は心が激しく揺らいでいるからとてつもなく怖いのだ。
「……………信じなきゃ信じなきゃ信じなきゃ」
そう心に暗示をかけ続けるも震えがまだ止まらない。
そしてその震えは手にまで伝わり重はついその小刀を落としそうになってしまった。
「うわわっ!………………あえ…………」
何とか受け止める重であったがあまりにも慌てていたせいで刃の部分を握ってしまう。しかし不思議なことに痛みはなかった。
「……………………この……………ナイフ………刃が無い」
手のひらを見ても傷一つ無い。何とも奇妙なことだがこの小刀に刃と呼べるような部分は存在していなかった。
いつの間にか震えは消え、重の心に間欠泉のようにドバドバ自信がわいていく。
刃が無ければ人は斬れない。その事実だけが重の不安を取り除いていったのだ。
「………………でも斬れない刀でどうやって…………」
しかしもう無駄に考えてる暇はない。一刻も早くこれをみょんに届けなければ。
そう考えてすぐさま厨房から出ようとする重。しかしさくやのことが少し気になって途中一回振り向いた。
「……………………………」
そこは音も動きもない静止の世界。生気はなく一人のゆっくりだけが床に転がっていた。
「………………さくやさん。ごめんなさい」
重はその一言だけ言って再び走り始める。不安が無くなり心の陰りはある程度無くなった、そのはずなんだけれど重の目元に微かな涙が浮かんだ。
「はぁ………はぁ………みょんさん……彼方さん………大丈夫ですかね………」
重は先ほど作った小刀を大事そうに抱え海がよく見える大通りを走っていく。
いつの間にか夜も終わりそう。闇に煽られ冷えきった空気が肌を切り裂いていきそうだ。
「みょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「ぎゃおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」
そんなゲテモノみたいな声が港の方から響いてくる。
でもゲテモノであればあるほどあの二人がまだ生きているという実感に繋がる。
重はその声を頼りにとにかく足を動かしていく。
辛い気持ちで一杯だけど、これをやり遂げるまでそれを表に出しちゃ行けない気がするから。
「みょんしゃあああああああああああああああああああああああああん!!!剣が!!!できましたよおおおお!!!」
重はあらん限りの声で叫ぶも返事は無い。反応が無くても重は何回も何回も叫びながら走り続ける。
そして、冷たい何かが頬を斬っていった。
「………………………………え?」
その冷気はあまりにも一瞬ですぐに頬に別の何か生暖かい感触が伝わる。
何か前から飛んできたのかと振り向いてみると月に照らされた銀色の小刀が地面に突き刺さっていた。
「……………………………血?」
前を向くとほんの二尺程離れた所にいつの間にかさくやが立っていた。手に何本のナイフを持ちながら。
「さ、さくやさん…………………」
「こんな事で………しぬわけには………いかない」
あのこぢんまりとしてフリルの付いた可愛い羽織は真っ赤に汚れている。
内臓器官と呼べるものはもうズタボロだ。それでも彼女は立ち上がった。
ここであの鉄血が折られでもしたら全てが無に帰ってしまう。それは今まで人を殺し続けた自分、そしてその生涯を全否定すること。
あの時流した涙も、あの時した後悔も、あの時感じた悲しみも全てが消え去ってしまうのだ。さくやはそれだけを頑なに厭がった。
「だからっ!あなたをここから先にはいかせません!!げふっ!!」
「…………………ダメです。通らせて貰いみゃす」
そう言って重は一歩踏み出す。しかし踏み出した直後重の目の前に小刀が現れる。
「きゃっ!!」
「………………う、うううう。すすまないでくだざい」
あまり威力がなかったからか何とか手で弾くことが出来たがその際手が切れてしまった。
しかし重は怯むことなくまた一歩一歩と歩み進んでいく。
「なんで!なんでよけようともしないんです!」
「……………………分かりませんか?」
歩みを続けながら冷たく言葉を呟く重。さくやはその妙な威圧感に少し恐怖を感じ始めていた。
「私、この戦いが終わったら死ぬつもりなんです」
「………………………」
カランカランとさくやのに小刀が地面に落ちて乾いた音をたてる。
「だってそうでしょ?殺人を行った人間が料理を作れますか?
私の誇りはもうダメなんです。包丁なんて握れそうもありません」
「でも先ほどは………」
「………………夢中でしたから……………誇りなんて所詮頭の中での問題なんですよね。
けどもう嫌なんです。これ以上私を苦しめないで下さい」
そして重は呆然としているさくやを通り過ぎてまた走り出した。
「………………う、う、う、うああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」
さくやは頭を抱え髪を掻き毟り、血反吐を地面にぶちまけて蹲る。
意思が、意思の気高さが全然敵わなかった。自分の優しさが全てを傷つけてしまった。
自分の悲しみがあまりにも小さく見えた。自分の誇りが浮いてしまいそうなくらい軽くなったように感じた。
そして、彼女の何かが壊れた。
「い、い、い、いyがあああああああああああああああああ!!!!」
そう怒鳴り声を上げてさくやは落ちていた自分の小刀を掴み後ろから重に襲いかかった!!!
「!!!?」
「こむすめがああああああああああ!!!あいじだものをうじなっだごどがないのにぎいだようなごどいうんじゃないわよぉぉ!!!
もうわだじにはなにもないの!!!おやもふるさとも!あいしたひともあいしてくれるひとも!!!
それなのになに!?そんなことぐらいでいのちたつなんで!!わだじがいきてることがばがみだいじゃない!!!」
始めからこうしてれば苦しみを味あわずに済んだのだ。躊躇いや優しさ、悲しみを恨みに変えてさえいれば。
さくやはそれが出来なかった。だから事件を起こし続けた。
「い、いや!」
「あいだい!!おぜうざまだぢにあいだい!!だからしね!!しぬというのならしんでじまえ!!!
おまえがらんがをころじだんだ!ぞうだ!にんげんだぢがわだじからずべてうばったんだ!」
もうさくやはあの刀と同じ怨念だけで動くゆっくりになってしまった。愛も悲しみも失った彼女はもう二度とゆっくりできないだろう。
「あ、あああ、あああああああ」
そのさくやの狂気に似た怨念にあてられて重は恐怖に震える。
そして立ち尽くしていた重の足を狙ってさくやは小刀を突き立てた!
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
「あはははははははははははははははははははは!!!!いたい?いたいでしょ!わたしもずっといたかったのよ!」
「いだい!!!いだい!!!!いだいぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
突き刺さった小刀は筋肉と皮膚を突き破り重の足を貫通した。
それだけにとどまらずさくやはその小刀を一度抜き今度はもう片方の足に突き刺していく。
痛みが限界を超えて思考が出来ない。足から流れ出る血の感触すら分からない。そのまま重は地面へと倒れていった。
「………………このくらいの痛みにたえられないくせに、しぬ。ばかなの?」
さくやは落ち着きを取り戻したようだがもうその心には悪意と殺意しか残っていない。
冷たい目をしながら足に刺さったナイフを再び引き抜き、さくやは重に馬乗りになって小刀を両手で振り上げる。
重はもう泣くしかなかった。自分の心の弱さ、そしてこの恐怖に押しつぶされ他の感情を出すことが出来なかったのだ。
死にたくない。けどこれから生きて行くにあたって恐怖を乗り越えることが出来ない。
「もういやぁ!だれか………だれかたすけて!!!」
重は心を救って貰いたかったから、泣きながら叫んだ。
「みょおおおおおお!!!!!!!!!」
「!!!」
そして心は救ってくれないかもしれないけど、この物語は救えないけど、大切な者を守る主人公が今やってきた。
「鍵山流!護割り!!」
横回転を縦回転に移行させみょんは羊羹剣をさくやに向かって振り落とす。
しかしあまりにも適当に放った技なので簡単に躱されみょんは重の背中に着地した。
「かさね殿!ご無事でござるか!!」
「みょんさああああああああああああああああん!!!!!!!!!」
重は泣きながらみょんに抱きついた。昨日より強く、そしてより感情を込めて。ゆっくりが苦手だったあの頃が嘘のようであった。
「何とか逃げまくって時間を稼いだみょん!それより!剣の方は!?」
「え、ええと、これです!!でも…………これ刃が無いんですけど」
重から純白の小刀を受け取りみょんはその小刀をまじまじと見つめる。
そしてゆっくり独特の太々しい表情をしながらみょんは視線を重に戻した。
「ふむ、使い方は理解したでござる」
「ええっ!?でも刃がなくちゃ」
「刃が無いのは…………かさね殿が大人しくて優しい人だからでござるよ。でもこれで勝てるみょん」
そしてみょんはさくやとみょんを追いかけてきた彼方の方に視線を動かす。
「…………………うーーーー!!!!!!!!!!!」
「………………おぜうさま、もう手加減はいりません。みなごろしです」
「ずいぶん物騒になったでござるな…………」
みょんは羊羹剣を仕舞い両方のもみあげで純白の刀を構えた。
「泡剣『升斗形鬼』いざ参る」
この静かな夜、まず始めに動いたのは彼方だった。
あまりにも真っ直ぐに、しかし力強くみょんの方へと走り出していく。
そして次に動いたのはさくや。
さくやは姿を消してそして何もない空間から小刀が現れる。
恐らく同時にみょんへと辿り着くことだろう。しかしこれらを同時に受け止めるだけの力と素早さをみょんは持っていないはずだ。
それにも関わらずみょんはまだ太々しい笑顔をしている。
「………泡剣の力、かさね殿の思い、今見せるでござる!!」
みょんは小刀の方を向きその場で勢いよく泡剣を振る!
今の小刀とみょんの距離はかなり大きい。もちろん泡剣の長さで届く距離ではなかった。
しかしみょんが泡剣を振るとその刃と思われる部分から勢いよく泡が飛び出した!
「!!!!!!!!!」
「はぁぁぁぁぁ!!!!」
その泡は一丈(約三m)以上伸びさくやが投げた小刀を一気に薙ぎ払う。そしてみょんはそのまま一回転し、その泡は彼方の体さえも吹き飛ばしていった!
「うーーーーーーーーーーーーーー!!!」
泡の圧力で吹き飛ばされた彼方は勢いよく地面に転がっていく。
みょんは彼方が倒れている間さくやの行方を探した。
「………………これはかさね殿の優しさみょん。貴様のような悲しみで彩ることしかできない優しさとは全く違う!!!」
「みょん………さん」
重は自分の作った剣を見て嬉しく思う。そして自分を褒めてくれたことも。
けど彼女はもう進むことが出来ないと自分で決めてしまった。だから少し悲しくなった。
「……………!!!みょんさん!!!」
「シネエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!」
いつの間にかみょんたちの遥か上方にさくやが小刀を構えながら落ちてくる。だがみょんはその姿を見るやいなや
泡剣を振るって泡でさくやの体を覆いそのまま思いっきり地面へと叩きつけた!!
「ぎゃああああああああああああああ!!!!!!!!!」
「うーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!」
「これで終わらせる!!!秋山流!浮羽浮和時間!!!!」
みょんは泡剣を横に構えてその場で何回も回転し始める。そして泡の揚力によってみょんは宙に浮かび上がった!!
「う、う、ううーー!?」
「いっけええええええええええええええええ!!!!!!!!!!」
宙に浮いたみょんは彼方に向かって一直線に突撃していく!!
それと同時に彼方も同じ様に突撃していくが刀を構える前からその泡剣の泡が彼方の腕を薙ぎ払った!!
「うーーーーーー!!!!」
泡の圧力を受けてその場でよろめく彼方。しかし体勢を整える暇もなく次の泡が再び彼方を薙ぎ払っていった!
「くっ!なかなか刀を放さないみょん!!」
「うーーーーーーーーーーー!!!」
何度も薙ぎ払われながらも愚直なほど真っ直ぐにみょんの方へと向かっていく彼方。
取り憑いてるれみりゃが馬鹿というわけではない。しょせん刀に残ってるのは怨念でしかないのだ。
「うぎゃっ!!!」
そして五回ほど薙ぎ払われ彼方は腕から地面に倒れ込む。その拍子に鍔に付いていた羽のような装飾が壊れた。
「……………………そうか、あれが手に食い込んでるみょん」
あの羽の装飾は所持者に刀を放させないためにネズミ取りのような仕組みになっているようだ。
それさえ破壊すれば容易にあの刀を吹き飛ばすことが出来るだろう。勝利の兆しが見える。
「みょおおんん!!!!!!!!!!!!!」
みょんは最後と言わんばかりに全力をかけて彼方に向かって転がっていく。
今まで受けた傷からあんこがこぼれ落ちていくがもうそんな事が気にならなくなるくらいみょんは希望に満ちあふれた。
「う、う、うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」
「みょおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
彼方はみょんに向かって横一閃に刀を振るがみょんは泡剣の泡を使って一気に空中に吹き飛んだ。
そして隙だらけになったその手を狙って泡剣を振り落とす!!
「う、うああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
「清泡剣『天界圧』!!!」
もう片方の羽の装飾を破壊したみょんは泡剣を重力と己の力を持って振るい泡を彼方の腕に叩きつける!!
その衝撃と圧力は彼方の腕に多大なる打撃を与えそして拳を作れないほどに麻痺させた。
それで十分だった。紅刀『鉄血』は彼方の手から離れ、彼方は眠ったかのようにその場に倒れた。
みょんは一息ついて鉄血に乗っかりそして羊羹剣で鉄血にヒビを入れる。そのまま鉄血を彼方がもう二度と触らないような距離まで弾いた。
「………………………はぁ………………はぁ……………」
「ああ~…………………もうケーキ食べられない…………むにゃむにゃ」
体が解放されたばかりというのにそんな腑抜けた寝言を言う彼方。みょんは一気に緊張の糸が切れまるでつきたての餅のようにその場で伸びきった。
「…………………みょん?」
ふと微量の風の流れを感じみょんは地面に落ちている鉄血を泡剣を振るって遠くまで吹き飛ばす。
そしてそれと同時に鉄血の近くにさくやが姿を現した。
「…………もう終わり、と言うことが分からないのかみょん?」
「う、う、う、この、この!!貴様ぁ!!!」
さくやはいきり立ってみょんに向かって小刀を投げつけるがあっさりと羊羹剣で弾かれてしまう。
そしてみょんは体を元のまん丸に戻し、泡剣で再びさくやを吹き飛ばした。
「うあああああああああ!!!」
さくやは頭から地面に落ちてそのまま地面に倒れる。そして最後に致死量とも思えるようなプリンを吐き出しそのまま動かなくなった。
「……………………あ、し、しまったみょん。殺しちゃいけないんだったみょん!!
………………………ま、ゆっくりはタフでござるからな。」
そしてみょんは彼方の服の裾を引っ張って宿屋に向かう。重も足をやられて動けないためみょんは二人分運ぶこととなった。
「……………………さくやさん…………」
重は少し切なくなった。愛に、優しさに、悲しみに生き過ぎた人は狂うよりも恐ろしいことになる。
一筋の涙を流したあと瞼が重くなって重はそのまま目を閉じた。
「あああっ………げふっ!がっ!」
みょんたちが大分離れていったあとさくやは残る力を振り絞って鉄血まで歩み寄っていく。
彼女にもう思考する余裕なんて無い。ただ目に映った自分の『おぜうさま』と近くにいたいとしか考えてなかった。
「お、ぜうさまぁ……さくやは……さくやは……あいとうございました……」
そしてあと一歩と言うところまで近づいた時、突然さくやの目に光が差し込んだ。
「!!!も、う、あ、さ?あ、あ、ああああああああああああああああああああああ!!!」
水平線の向こうから差し込む朝日に照らされ紅刀『鉄血』はジリジリと音を出して灰になっていく。
血を吸うのが吸血鬼だというのなら、太陽の光に当たって灰になるのも吸血鬼。鉄血にもその特性が引き継がれていた。
「おぜうさまぁぁぁぁ!!!!!!!!!おぜうさまぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
地面に灰となって残った鉄血をさくやは手に取ろうとしたが、奇妙なことに山の方から海の方向へと風が吹き、灰も海へと吹き飛ばされてしまった。
「おぜうさまぁ………そちらにいくというのなら……このさくやもおつれください………待って下さい、ねぇ待って………」
みょんは何か何かが水に落ちる音を聞いた。気のせいだと思って再び二人の体を引きずった。
「むきゅ!!!その二人の傷!!もしかして………」
「そうでござる。このみょん、見事通り魔を征伐いたしましたみょん」
翌日、みょんたちは二人の怪我を治すためには宿屋の設備じゃ足りないと思い、医者に行くついでに町長屋敷へと立ち寄った。
「で!!!通り魔は!通り魔はどうなったの!?」
「……………あそこまで痛めつけたからきっと、いや絶対二度と現れることはないみょん」
この部屋にいたゆっくり達は一斉にどよめきはじめ、そしてぱちゅりーが涙を流したのをきっかけにこの場にいるみょん以外のゆっくり達は大声で泣いた。
喉が枯れそうなくらい、全ての悲しみを吐き出すかのように。
「むぎゅううう!!!蘭華ぁぁぁ!!」
「蘭華様ぁぁぁぁぁぁぁ!!可夫様ぁぁぁぁぁぁ!!」
「刀にもヒビを入れてやったみょん。もうあれで物を斬ることも出来ないみょん!」
「むきゅう……私たちは………ずっと耐えてきた!もう悲しまなくていいのね!!」
それにしてもこのぱちゅりー。自分が体験したわけでもないのに他人のことを自分のように話す癖はどうにかならないものか。
まぁ感情移入するタチなんだろう。蘭華もさくやも居ない今この町を引っ張っていくのはこのぱちゅりーだからそれはそれで良いのかもしれない。
「はぁぁ………全然昨日のこと覚えてない。通り魔いつの間にやっつけちゃったの?」
「…………………はい」
いつもと変わらないように尋ねる彼方。それとは対照的に重の声はもう抑揚すらない。
「……………ケーキ、また床に落とされて台無しにされちゃったんだって?もう許せないね!全く!!また作ってくれない?」
「………………………流石に、もう材料もありませんし、私、もうこの町から出ようと思うので………」
嘘をついた。嘘しか言ってなかった。
やろうと思えば料理だって作れるしこの町から出たいとも思ってない。でもそれは嫌だと頭の中でしか考えてない。嘘ばかりだ。
「むきゅ!!二人の傷のこと忘れてたわ!!むっきゅー!!医者ー!医者よー!」
悲しい日が終わり、新しい朝が来る。そしてその日の午後。
何とか午前中に歩けるほどまで治療も終わり、重がこの町から出たいというものだから二人は重の言うとおりにしようとした。
「じゃおおおん!!!このまちはいいところだったでしょ!いつかまたきてね!」
「うん、いい所だったよ!でも不満があるというなら………「港や海が紅く染まる町『暮内』」って所だね………
夕日が山の方に沈んじゃったよ!!!どういうことなの!!?てっきり海側に夕日が沈むと思ったよ!詐欺じゃん!!」
この暮内の町はどちらかと言うと日元の東側に位置する。まぁ夕日が山側に沈むなんて事は地図を見れば分かることなのだが。
「じゃおっ!?時々あかくそまるよ!!赤潮で!」
赤潮:海にプランクトンが異常発生することによって海が紅く見える現象。
プランクトンによって酸素が無くなったりするので大体魚は死ぬ。
「見たくねぇよ!!!そんなもの!!!」
そうして和気藹々?とした雰囲気の中三人は門をくぐり多くのゆっくり達と別れを告げた。
この紅く染まる町もお別れか、そう思って三人は少し感慨深くなった。
「さて、この町に良い刀鍛冶が居なかったなぁ。ちぇっみょんさんだけずるい」
「ふふふ、良い刀みょん!かさね殿!この度は本当に感謝するでござる!」
みょんはゆっくり式土下座とあまり変わらないように見えるゆっくり式感謝を深々とする。
しかし重の表情はやはり何処か浮かない顔をしていた。
「ね、重さんはこれから何処へ?」
「…………………………………………」
俯いて彼方の質問に返事もしない。
彼方は不満に思って耳元で怒鳴ってやろうかと思ったがみょんに制止された。
「さて、お別れでござるな。みょんたちは旅を続けたいと思うでござる、それでは」
そしてみょんと彼方は重とは別の道を歩き始める。
そして去り際、みょんと彼方は重に向かってこう言った。
「「また、会おうね」」
その一言だけ残し二人は重の視界から消えていった。
重は泣いた。頭が真っ白になるくらいに泣いた。
また会おうだなんて、重はそれがしたい、したくてたまらない。
でも死の決心はそれを頑なに拒絶する。もしかしたらその思いが死の決心を拒絶しているのかもしれない。
重は涙を拭きながらその道をずっとずっと歩き続ける。答えなんて出ない。きっとこれから悩み続ける旅になるだろう。
紅魔章 終劇
~あとがき~
もし、貴方がこのSSを見て「どこがゆっくりSSだよ!ゆっくり死ね!」と思うことがあるかもしれません。
その感情は大切です。是非心の奥底に大切に仕舞っておいて下さい。
何というか90Kb超えてしまいました。というわけで後書きです。
とりあえず前半は推理っぽく、そして後半はバトルパートという感じにしてみたらそれはもう大変なことに!
そしてやたら複雑な心理情景。書くの凄く大変で上手くいってるかすら分かりません。
やたら無駄にシリアスにしてしまいましたが次からはちゃんとコメディ爆発で言ってみたいです。と言うかしたい。やりたい。しなくちゃいけない。
重は蘭華を殺したことについて激しく後悔してる。けれど立ち直ることは出来た、考えがそれを拒否してるだけなのです。
言ってしまえば「出来ない!」じゃなくて「やりたくない!」のことで。でも精神的ダメージは結構大きいんですよ。
升斗形鬼を作ったあとからまるで別人のようになっちゃってますね。流石に反省。
書いててよく分からないことで。キャラ設定とかは聞かれたら答える。重がやたら噛むのは特に理由はありません。舌が大きいんでしょうか?
この話はれみりゃたちが居ないワケの真実を説明した前日談、そして蘭華がさくやに殺される幕間があったりします。
前日談は淡々と書くとして、幕間はいい話にしたい。割とマジで。
というわけで緩慢刀物語第『二』話紅魔章でした。
次回は緩慢刀物語第『一』話妖夢章Aを書きたいと思ってます。それでは「また会おうね」
- どこがゆっくりss〜と作者さんはおっしゃってますが、
ゆっくりはAAネタではこういった時代劇調の話や暗い話も多いので、
ある意味とてもゆっくりssらしいと思いますよ
重さんは多分死ねないんだろうなぁ
あの人今までも色々あったらしいけど、今現在ああして生きてるし
重さんは今回の一件によってこれから先死んだように生きるのではなくて、
せめて強く生きていって欲しいと思いました -- 名無しさん (2009-09-03 22:05:22)
- 時代劇風でも、終わってめでたやなTVドラマ型ではなくどちらかと言えば解決されない悩みが残る劇画調なんですね。 -- 名無しさん (2011-05-01 13:41:59)
最終更新:2011年05月01日 13:41