緩慢刀物語妖夢章英 後編-4


 一瞬の困惑、長い沈黙。
この場で、誰がこのような本当の素直な気持ちを言うなどと思ったのであろうか。幻蝶はそれが出来る男だった。
 自らの想い人が遠くに行くことに幻蝶といえども耐えることが出来なかった。
だからこのような力手段に出た。みょんなら自分の攻撃に耐えきりそして自分の言葉を聞き入れてくれるという自信があった。
 しかしそれら全てが無となった。みょんがあの小娘のために戦ったからだ。
だから憎い、だから殺す。単なる嫉妬だがそれで良い。影である自分を誰が縛るというのか。
「……………………………………………その」
 長い沈黙を破ってみょんが口を開く。
否定してもまだ許せる。承諾してくれたら御の字だ。みょんは静かに言葉を紡ぐ。
「ゆっくりに告白って…………………まじないわー」
「…………………………………………………………」
「きしょっ」
 この行為自体を否定された。その上みょんだけでなく憎い小娘が自分を完璧に侮蔑している。
「は、なに?こんな酷いことやっておきながら告白って頭狂ってるの?ばかなの?しぬの?」
「うわっ目が合いそうになった、目見たら懐妊されちゃうよぉ(笑)ゆっくりと付き合おうだなんてきもちわるぅい(蔑)」
「……………………………………………………………き、き、き、き、き」
 怒濤の暴言ラッシュに幻蝶は肩を震わせる。確かに自分はド外道だがここまで酷い仕打ちを与えるのか。
憎い、憎い、憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 そして、壊れるはずのなかった感情の堤防があっさりと壊れた。
「…………………………………殺す、殺してお前と添い遂げるうううううううううううううううううう!!!」
「マジ気持ちの悪いこと言ってるうううううううううううううう!!!!!!やべえええええええええええええええええ!!!」
 幻蝶は全て吹っ切れ、弓剣を振り回しありとあらゆる物を切り裂いていく。
もう今までの作戦じみた攻撃ではない。感情にまかせて全てを破壊していっている。
「ああ、そうだ、お前を殺してその死体を家に飾ろう。そして一生懸命愛でてやる、一生愛してやる!!」
「キャラ変わりすぎ!!!みんな困惑してるみょん!」
「もうやだあああああああ、こんな気持ちの悪い奴と戦いたくないよおおお!!!!!」
 トンデモ展開でみょんも彼方も今の自分の感情や思考が全く把握できない。
出来る事と言えばただ自分の身を守ることだけだ。それほどの衝撃だったのだ。
「なんだ!?こんな俺が人を愛して悪いか!!それを根幹から否定しやがって!!!」
「…………………酷いことを言うでござるが、貴様に人を愛する資格など無い。好かれたこちらは気味が悪い」
 今まで幾多の人間をおぞましい手段で血の池に沈めてきたか、みょんは一種のトラウマ気味に覚えている。
だからこそ、みょんはこの男に対して人間以下、ゆっくり以下のゲスという認識しかしてこなかったのだ。
 その男からの愛の告白など、このみょんがまともに受け取れるはずがない。
「………………………殺す」
 幻蝶はぽつんとその言葉だけを呟き、弓剣を振るう。
もう目の前の愛した饅頭を殺す以外幻蝶に道はない。それが今まで犯した悪行のツケなのかもしれなかった。
「かなた殿!大丈夫でござるか!?」
「あ、うん、大丈夫。糸はこっちに来てないよ」
 殺意が彼方からみょんに変わったおかげで攻撃も同じ様にみょんだけに対して向けられるようになった。
その分攻撃頻度は多くなった。しかし自分一人だけを守ればいいので寧ろ防御に集中することが出来たのだ。
「………………………何が夢だ、何が菓子剣だ!!!そんな物でお前は国を出るというのか!?!?!」
「人の夢を、みくびるなあああ!!!!これがみょんの夢、みょんの希望、みょんの生き甲斐みょん!!!」
「なら、なら夢とほざくその剣をへし折ってくれる!!!」
 今まで一歩も動かなかった幻蝶は自ら作った糸の結界のスキ間を難なく通り抜けみょんとの距離を一瞬に詰める。
懐に入れば弓剣も効果はない。糸という形を取った剣の特性上そう思うのは当然のことだろう。
「!!!」
 だが幻蝶という男はその常識が全く通用しない。
幻蝶は長い糸を結界を張ると同時に両手の間に糸を綾取りのように展開させた。
普通だったら張力で即座に指が取れてもおかしくない行動だ。しかしこの男はそれをいとも簡単にやってのけた。
「はっ!!!ゆっくりにしては力が強いというがやはり人間の力には敵わないな!!」
「こ、この!!」
 超近距離戦となって逆にみょんは思うように回避し辛くなり、力の差もあって防戦一方となってしまった。
その上みょんの廻りには依然糸の結界が張り巡らされて一旦引いて体制を整えることすら出来ない。
「こうしているのもつまらん!それでは折らせて貰う!!!」 
「みょんッッ!!!」
 幻蝶の糸が手の中で爆発するように一気に広がり、みょんは慌てて後ろにのけぞる。
廻りに展開されていた糸で後ろ髪を切ってしまうも体に対しての攻撃は間一髪避けることが出来た。
「ぎゃああみょんの後御髪がぁぁ!!」
 ゆっくりにとっては髪は四肢のような物、別になくても生きていけるが戦いにおいては武器や防具を持つなどどうしても必要な器官なのだ。
後ろ髪は主に飛び跳ねるための補助機関。もうこれで先ほどまでの機動力を使うことは出来なくなった。
「みょ、みょ、みょ」
「ふん……………………………絡んだ」
 みょんは何とか立ち上がりすぐさま幻蝶に羊羹剣を突き立てようとするが、羊羹剣は幻蝶に突き刺さる直前で不意に止まってしまった。
先ほどの攻撃で羊羹剣の先端がギチギチに弓剣で巻き付かれてしまっている。外そうとしてもみょんの力では外すことが出来ない。
「こ、このっっ!!!こんな事すれば………!!貴様の指だって危なかろうにみょん!!!」
「………………貴様の、傍にいられるのなら。指くらい」
「ぶえええん!きしょくわるい!!!」
 羊羹剣を固める力は次第に強まり、いつしか幻蝶の指からも血が出始めた。
だがそれでも幻蝶は羊羹剣を折る事を止めない。その信念の源が嫉妬なのか、憎しみなのか、悲しみなのか、彼の心は誰にも推し量れない
「折れろおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「みょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
 日元最高の切れ味を持つこの弓剣に巻き付けられればどんな刀だってへし折れる。
硬度10の固い剣でも、硬度0の柔らかい剣でも全てねじ切ってやった。だからこんなちんけな剣もあっと言う間に切れるはずだ。
幻蝶はそう確信しつつも自分自身の力の入れ具合に疑問を感じつつあった。
 ここで気付けば良かったのだ。どうしてあんな剣で今まで弓剣と張り合えたのか、どうしてあの剣で頭を攻撃された自分がこうして生きているのか。
そして思い出すべきだった。みょんのあの誇らしいセリフを。知っておくべきであった、あの台詞の二つの意味を。
「一つ………………‥言っておくみょん。この羊羹剣!!!斬れないものはほとんど!!!!!!!」
「ふ、ふざけるなあああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」
 幻蝶はとにかく羊羹剣をへし折ろうと、全ての感情を込めて指に力を入れた。
これが指が切れない程度の限界、これ以上力を込めたら指が使い物にならなくなってしまう!

 ずぱん、そんな音がした。
羊羹が切れる音はこんな音をするのだろうか。だが羊羹をあまり食べない幻蝶はこの音を良く知っていた。
そしてこの時流れた臭いも鼻が覚えている。
覚えようとして覚えた訳じゃない、知ろうとして知った訳じゃない。
「……………………………だから、言ったみょん」
 幻蝶の指が四本ほど弓剣によって切り落とされていた。感情が力の制御なんて出来るはず、無かったのに。
「ぐ、ぐ、ぐあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」
 幻蝶は予想外の状況と指の痛みで惨めに辺りをのたうち回り、みょんはその様子を神妙に見つめていた。
「…………………この羊羹剣、確かに斬れるものはあんまり無いと言うように殆どの物は斬れず、特定の物だけが斬れる刀………
 だが、この『羊羹剣を斬れないもの』もほとんどなんだみょん」
「う、お、お、お、お、お、お、お、お、お、お」
「………………………これで終わりみょん。さっさと逃げるか、それともここで殺されるか!今決めろ!!!」
「……………う、う、ううううううううう!!!!!!このおおおおおおおおお!!!!」
 こんな惨状になりながらも幻蝶はみょんから距離を取り残った指で糸を操る。
だが残り六本の指では曲弦糸もまともに扱えるはずが無く、糸も今までのキレをすっかり無くしていた。
「………………………こんなのでみょんを殺せると?」
「……………………………………………曲弦糸はまだ貴様が知らぬ世界、これからが『幻死』の世界だ!!!!」
 そう言って幻蝶は懐から何枚もの蝶型手裏剣を取り出し辺り一面に投げつける。
だが垂平に投射された蝶型手裏剣は途中で空中に静止した。
「…………………………なるほど、糸で手裏剣を浮かせて………」
「……………………………………この手裏剣は通称『反魂蝶』触れたら死ぬ。それは分かっているよな」
「承知してないはずがないみょん…………………掛かってこい」
 空中で静止していた蝶が幻蝶の廻りで本物の蝶のように舞い始める。
そしてその蝶は空中で不規則な動きをしながらみょんに襲いかかってきた!!!
「みょ、みょ、みょん!!!!」
 今までの直線攻撃、結界とは違った攻撃。そして蝶に詰まった死の概念。
触れれば死ぬ。それだけでもみょんに相当な圧力が掛かった。
「このっ!!!」
 みょんは近寄ってきた蝶に羊羹剣を突き立てる。だがその瞬間蝶は一瞬にして崩れ去り空中で爆ぜた。
「みょおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
 その欠片欠片が死の概念であると気づきみょんは大きく回避するが糸の結界に気付かず右頬を抉ってしまった。
「ぐぎゃぎ!!!」
「…………………………無様だぞ、真名身四妖夢」
「……………………………ふ、ふう、ふう、まだ負けないみょん」
 みょんはそう余裕さを繕うが後ろ髪という機動力を失った今、射程距離まで進むことが出来ない。
それに、怖い。
目の前に迫る『死』が本当に怖い。
 触れただけで死に至らしめるあの蝶が怖い。
死んだら自分はきっと忘れ去られる。どうでもいい武勇伝を残して自己が喪失する。
そんな恐ろしいことを、この蝶は触れただけであっと言う間にやってのける。躊躇躊躇い無くあっさり。
だから、怖い。今自分は紙一枚挟んで死の隣にいる。
「……………………………」
「……………………………………なあ、妖夢。今からでも良い。国に戻れ」
「…………………………………………」
 今の状況、相手を倒すことは出来なくても逃げることは出来る。
死んでしまったら夢も何も無いじゃないか。いつか良い機会があるはず。
「何て言うと思ったかあああああああああああ!!!!!!!」
「!!!!!!!!!!!!!!!!」
「いま、みょんがここに立っている理由は夢だけじゃない!!!かなた殿の思いを叶えるためにもここに立っているみょん!!!」
「みょ、みょんさん」
「夢、そしてかなた殿のために立ち続けているみょんが!貴様の攻撃で怯むと思うかぁ!!!みょん!!!!」
 自分一人の力で立っている訳じゃない。皆に支えられて自分はここまで来たのだ。
だからみょんは絶対に引かない。クサレ外道とこの場所で決着を付ける!!!!
「黄霊風流!!『時傷二十五』!!!」
 みょんは頭頂部を地面に付けその場で回転をし、羊羹剣で勢いよく風を起こす!
弓剣の本体である糸はそれほど影響を受けない、だが宙を舞うために軽く平べったい形に造られた蝶は風の影響を受けみょんから離れていった。
「ぐっ!!だがそれが命取りだッ!!!!」
 幻蝶はその動きにあえて糸の張力を緩め糸を振動させる。
その振動に会わせ蝶も激しく動き、単調かつかなりの速度で全方位からみょんに襲いかかった。
「みょ、みょおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「みょんさん!!!!」
 みょんは間一髪蝶に触れることはなかったがその代わりに全方位から糸の攻撃を受け全身傷だらけになる。
その光景を彼方は居ても立ってもいられず、足を大木から引き抜き立ち上がった。
「か、かなた…………殿」
「………………………………私も戦う、見てるだけじゃずるいから」
 彼方は腰に差してある覇剣を鞘から抜き、幻聴に向けて構えた。
輝きも今となっては眩しいだけ、今必要とされるのは殺傷力と破壊力だ。
「……………………………………一緒に死ぬか?ガキ」
「死ぬべきはお前だよ、名次さんのカタキだ」
 蝶はみょんの体から離れ再び幻蝶の廻りを優雅に舞う。幻蝶は蝶を動かすことなく糸を彼方に投げつけた。
「……………………輪切りにしてやるぞ小娘」
「この刀を…………………舐めるなあああああああああああああああ!!!!!!」
 彼方は自分の体を切り裂こうと向かってくる糸に対して、ただ何の策もなく覇剣を振り下ろした!!!
覇剣が糸に振れる瞬間、覇剣のヒビがさらに深くなるのを彼方は認識したが、それと同時に金属が千切れる音がささやかに聞こえた。
「………………………な、なに?」
 糸はアイツの刀に触れ、ガキの体に巻き付き輪切りにしているはずだった。
だが現実は彼方の体は繋がったまま、ただ遠くの方で茂みの音が聞こえただけだ。
「………………………………………ウソ、だ。この剣が、斬れるなどと」
 幻蝶が困惑していると幻蝶に廻りで舞っていた蝶の何枚かが力なく地面に落ちた。力を緩めた覚えはない。糸が切れた故に維持が出来なくなったのだ。
「か、かなた殿!それでは覇剣が!!」
「じゃかあしい!!!小娘なめんな!!!覇剣がこんな糸で斬れるものか!!」
「ぐ、ぐ、ぐぐぐぐ!!!死ね!!!小娘!!!」
 焦りによって幻蝶は冷静な思考が出来ず、懐に隠していた蝶型手裏剣を彼方に向かって投げつける。
「!!かなたど、」
「うらっっっっしゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
 彼方は幻蝶にいち早く反応し、投げつけられた手裏剣を覇剣ではじき返した。
「…………………………………………………あ」
 限界に達していた覇剣は刃の中辺りで折れ、残りの刃が宙を舞い地面に突き刺さる。
 はじき返された蝶は真っ直ぐ幻蝶に還り、幻蝶の首に突き刺さった。
この瞬間、この戦いが全て終わった。
「………………………………………………が、がああああぁぁ……………」
「あ、あ、ああああああああああああああああぁぁぁぁ」
「……………………………かなた殿、そして幻蝶」
 みょんは突き刺さっていた覇剣の欠片を拾い集め、泣き崩れている彼方に全て渡した。
そして彼方を頭を撫でたりと慰めながらも幻蝶を視界の中に入れていた。
「うあああああああん!!!!!!!!!!!覇剣がああああああああ!!!!」
「…………………大丈夫みょん。みょんたちの目的はその覇剣を直すこと。折れていようがいまいが関係ないみょん」
「ううう………………………………」
 彼方はみょんからその覇剣を受け取り綺麗に破片と覇剣を鞘に収めた。
だが治癒の力は感じられなかった。破片で手を傷つけても自分の体が回復したようには思えない。
「…………………幻蝶」
「……………………………………ふん」
 弓剣も反魂蝶も全て地に付いたにもかかわらず、幻蝶は余裕の表情を見せ始めた。
死はどうやっても逃げられない。それを知っているからだろう。
「この俺を殺したぐらいで気にしたりするんじゃ…………ないぞ………………これから始まる旅では………そうも言ってられん………からな」
「だ、誰が気にするもんか!!!バーカ!!」
「………………くそ、生意気な、ガキだ……………殺しとけば、よかった、かなぁ………………」
 未だ彼方に対して悪意を向けるものの、幻蝶の気味の悪い瞳から一粒の涙がこぼれ落ちた。
不器用で、下劣で、一人のゆっくりを愛した男、そんな男は何も成さずに死ぬのだろう。あまりにも虚しいことではないか。
「……………名次、素直な男だったな………死ぬことに、躊躇いが、なかった……………」
「お前が名次さんの、名次さんの名前を出すなぁーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
「おい、ガキ……………これも言っておく、が、人一人、死んだぐらいで、そんな悲しんでいたら……………これからの旅……………身が持たんぞ」
「うるさいうるさいうるさい!!!!!お前はとっとと死ねッッッ!!!孤独に死んじまえええええええええええええ!!」
「…………………………………………ではな、妖夢。俺はその子の言うように、孤独で、死んで、やる…………………」
 そう言って幻蝶は二人に背を向けて何処かへ立ち去ろうとしている。
そんな寂しげな背中を見つめて、みょんは一歩前に出て幻蝶に話しかけた。
「……………………………そう言う一途で素直の所、早く見せれば良かったのにみょん」
「…………………おれ…………は、さくら、ばにんぐん……頭領だ、忍者である以上、そんなこと、できん」
「………………………そう、じゃあゆっくり、死ねみょん」
「……………………………………これからの旅、その強さを、見せつけてやれ………………」
 そう言い残して、幻蝶は力なく倒れかける。しかし突如現れた忍者達が幻蝶の肩を抱えそのまま幻蝶と共に闇の中に去っていった。
「……………………………………………相変わらずタチの悪い奴みょん」
「……………………………………………」
「かなた殿………………行くみょん」
「うん………………分かった」
 やりきれない思い、訳の分からない思いでいっぱい。彼方は腰に差した覇剣を鞘上から力強く握りしめ立ち上がる。
「……………………さて!目指すは東!!とにかく東みょん」
「こ、根拠は?」
「幻想は極東にあり!これはこの世界でよく言われてるみょん!」
 夢を、人の思いを背負ったみょんはこれからも走っていける。
みょんは嬉々として跳ね回りそして地面にこけてしまった。
「ふふっ…………………………東、名次さんの言うところだと…………『くれうち』って所かな」
 彼方はあの自分の味方でいてくれた男の顔を思い出す。
恨みも晴れて、そこには悲しさが残る。だが彼方の前には道がある!だから悲しみを抱えても彼方は歩ける!!
「……………それじゃいきますか!!!」
 彼方は地面に伏しているみょんを拾い上げ道を駆け逝く。
目指すは『暮内』!初めての旅の通過点!!!!

 彼らは特別な人じゃないけれど、彼らなりの道がある。
世界を救わなくても、彼らは彼らの物語がある。
 進め!進め!!己の希望と夢と共に!!




  妖夢章・英 終劇









~後書き~
 もし貴方がこのSSを見て『何処がゆっくりSSだよ!ゆっくりしね!!!』とか『90Kb以上とか何処がSSだ!ゆっくり死ね!!』
などと思うかもしれませんが、その感情は大切です。大切に心の中で思っていて下さい。
 と言うわけで妖夢章・英。彼方とみょんの会合編でした。また90Kb超えました。スミマセン。
相も変わらず整合性がきちんととれず語彙の少なさにとにかく苦心しました。
前回コメディ爆発と言っていましたが……………ありゃあウソだ。………………ごめんなさい。シリアス度は前回とあまり変わりません。
 この話は緩慢刀物語の構想を考えたとき初めて思いついたシナリオでした。
ただ思いついてから書き終わるまで非情に長いタイムラグがあったせいで始めに書こうとした物とちょっと違ってしまったのかもしれません。
 長い物語でしたけれど、二人の物語はまだ始まったばかり!
妖夢章・椎、永夜章・英、永夜章・微意、風神章・微意、地霊章・微意、最終章、番外編と一応アイデアはあるけれど全部書ききれるがどうか………
自分の道もこれから、という感じで。それでは。また!!

  • これ読んだ後だと、またすぐ紅魔の話も読みたくなりますね
    お疲れ様でした -- 名無しさん (2010-01-31 14:40:22)
  • 中々ハードな展開でしたが、これから先、二人はもっと辛い目に巻き込まれていくんでしょうね…
    それでも、気持の良い二人には、前回の様に乗り越えて夢をかなえていって欲しいです

    そして、 -- 名無しさん (2010-01-31 22:11:27)
  • 失礼。
    全部描ききれる日を祈っております -- 名無しさん (2010-01-31 22:12:01)
  • 西尾作品で例えるなら絶刀・鉋VS姫ちゃんって感じかしら
    切れないのは殆どって台詞がまさか真面目な意味を持つとはびっくりです -- 名無しさん (2010-02-01 01:00:12)
  • 当初は二人とも同じようなテンションだと思っていましたが、
    内包した強さからかライト的なみょん・その弱さゆえかややヘビーがちな彼方、
    という違いが見えてきましたね。 -- 名無しさん (2011-05-01 16:49:35)
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最終更新:2011年05月01日 16:49