てゐ魂第二十九話-2


~☆~


「ハイハイ!ゆっくり乗り込んでね!」

「スペースはあるよ!押さない押さない!」


操舵手まりさ達の誘導でう~戦艦に乗っていたゆっくり達はもう一つの船に移動していく。

「…とりあえず、貴方達のお陰で助かったわ、ありがとう。」

その光景を戦艦の看板から見下ろしながらCAぱちゅりー達は横に立っているゆっくりに向かってそう言った。

          ,ヽ/{   }ヽノヽ
          ノ ノ' ヽ / )  } ,
         'ヽi )ヽoOo ノ /{ V}
         < ''V'o. '''' .oノ ノ ノ
        /.''-' ' ヽ__ノ.-:'':: ' ヽ.
     、_/.::'' r '{:{ \..  ':. ヽ {;ヽ.__,
     >-{./ /:: 人::ヽ ヽ::ヽヽヽ:} } (':ノ
    ,.' ノ( (:(::(-ー)ノ '')/''--:、ノ: ノ: 入. `ヽ
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   i  i .ノノi:|'"   ,___,   "' |:ノ 入) i  l
   {  { ,)/'人.  ヽ _ン   ,イノV '' ,}  }
    ゝ ゝ、 リノ>.、____ ,.イYノ  ,ィ´  .ノ
    `ー、, `ー,八ヽ ヽ、_ン´ /7`ヽノ  ,.-´
       ヽλ ! `{>・<}´  i  .入ノ
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       /    トーー───イ   .ヘ
      i    1ニ≫◎≪ニニ〈    i
      i   ,「二二二二二コ    i


「イエイエ、私は大した事をしていませんよ。」

横に立っていたトラ娘っぽいゆっくりはさも当然のようにそう答えた。

「何言ってるのよ貴方達が来てくれなかったら、私達は大往生よ。」

「私はこの馬鹿を回収しに来ただけですよ。」

そのゆっくりはそう言って右手でつかんでいたゆっくりを持ち上げた。

                        ,ヽ/{   }ヽノヽ
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            ./ !:: ̄:::::/'´ !
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           ,くヽ、〉--:〈 .____.!
           `し'/:::i::::::::!__ン

「せいちゃん、仮にも上司に対してこれは酷くないのか~?」

首根っこをつかまれている状態のるーみあはその掴んでいるゆっくりの方を振り向いてそう言った。
そのゆっくりは牙をむき出しにしてるーみあを睨み付けながらそう言った。

「…そう思っているなら少しは上司らしくしてください!後私はしょうであってせいじゃないです!
 部下の名前くらいすぐ覚えてくれませんか!」

「は、はい…。」

睨み付けられて思わず身を縮こまらせたるーみあであった。

「…あの~。」

と、しょうの後ろから何者かが話しかけてくる。
しょうが振り向くと、そこにはてゐ、れみりゃ、てんこときめら丸の姿があった。.

「お陰で助かりました、どうもありがとうございますだど。」

れみりゃがしょうに向かってぺこりと頭を下げる。

「…貴方達がるーみあの友達ですか。
 私はこの馬鹿の部下のしょうといいます、ゆっくりしていってください。」

しょうはそう言ってるーみあ以上に頭をぺこりと下げた。

「おぉ、なんとも礼儀正しいねぇ、定番の台詞も丁寧語だし。」

てゐはその姿を見て感心する。

「あの、上司を馬鹿扱いしている時点で丁寧語も糞も無い気がするんだけど。」

るーみあが呟くと、しょうはるーみあをキッ!と睨み付けた。

「…どの口が言う台詞ですか?あんたの尻拭いに私はいつもいつも苦労してるんですよ。」

「うぅ、これが所謂いじめなのか~。」

るーみあは涙目でそう呟いた。

「それにしても、るーみあがこんな立派な船を持ってるなんて始めて知ったよ。」

そう言っててゐはしょう達が乗ってきた船の方を見る。
大きさといい、武装の立派さといい、うー戦艦とは比べ物にならないサイズだ。

「まぁ、ネットの海を又にかける仕事をしているからね~。
 このくらいでかい戦艦は持って無いとね。」

るーみあは自慢げにそう答えた。
「ネットの海を又にかける仕事ってどういうものだど?」
今度はれみりゃがるーみあにそう問いかける。

「え~と、具体的には…。」

「ネット回線を通して色々な者を貿易したり、
 ネットで起きるトラブルを解決したりするのが私達「人類は二進法を採用しました」略してジンニの仕事ですね。」

るーみあの言葉を遮る様に、しょうがそう説明した。
「…私が説明しようとしたのに…せいは意地悪なのかー。」
るーみあは凄い勢いで落ち込んだ。

「…説明するならちゃんと私の名前を覚えてからにしてくださいよ。」
しょうはあきれた口調でそう返した。

「あのさ、ネットでおきるトラブルを解決したりしているって言うけど、具体的にはどんな事やっているのさ?」

てゐはしょうにそう問いかける。
「…いつの間にか質問タイムに突入していませんか?」
しょうはそんな事を呟く。
「まぁまぁ、細かいことは気にしなさんな。」
そんなしょうにてゐはそう返す。
しょうは「まぁせっかくだし教えてあげましょう」というと、説明を始めた。

「具体的にはウィルスの駆除や不正プログラムの削除、
 ハッカーからのデーター防衛でしょうか。
 後は限度を超えた荒らし行為を繰り返す人物に対する制裁行為とか。」

「荒らし?」

ネットなんてやらないため、こういう事には無茶苦茶疎いてゐ達は首をかしげた。

「荒らしって言うのは掲示板のようなコミュニテイで迷惑行為を繰り返す人達の事ですよ。」

この疑問に答えたのは、何ときめら丸だった。

「具体的には、意味不明な文章を大量に送り込んだり、
 エロ絵と称して見るだけでウイルスに感染するサイトにつながるリンクをアップしたり、
 酷いのになると複数と協力して大量の情報をサーバーに送り込んでパンクさせたりしますね。」

こう言った説明を、非常に流暢な言葉で続けていくきめら丸。
「…きめら丸、妙に詳しすぎやしませんか?」
てんこがちょっと驚いた表情でそう答えた。

「昔、少しかじった事があるだけです。」

きめら丸はそう答えるが、どう見ても今の説明はネットにかなり詳しくないと出来ない説明だった。
万屋の中で一番経歴がはっきりしないゆっくりは間違いなくこいつです。

「…まぁとにかく、そんな連中にちょっと制裁を加えるのも私達の仕事です。」

しょうはとりあえず説明を続ける。
「制裁を加えるってどういう事ですか(興味あります)。」

「私達はネット回線を使えば簡単にパソコンの中に潜り込めますからね、
 だからその荒らしが使っているパソコンに工作部隊を送り込んで…
 ログのような証拠になりそうなデーターを抑えてからクラッキングを仕掛けるんです。」

「クラッキン…グ?」
またも聴きなれない言葉だ。

「パソコンのデーターを破壊するプログラムを送り込むんですよ。
 まぁ、あまり大事になっても仕方が無いので、
 私達が使うのは、しばらくの間起動できなくなる程度のものなんですけど。」

「そ、そう何だどか…?」

しょうの説明を聞いても、今一何をしているのか解からないれみりゃ達だった。

「ま、要するに悪人達を懲らしめる、ネット版必殺仕置き人みたいな仕事って事?」

「大正解なのかー。」

てゐの言葉に、るーみあがコクコクと頷きながら答えた。

「今となってはこの荒らし退治は、ネット貿易に告ぐわが社のメイン業務となっています。」

「へぇ、そんなに荒らし退治の依頼が多いわけ?」

「多いですよ?PIXIVとか2ちゃんとかの大型のコミュニティから特に。
 彼らからすればそういう迷惑行為でユーザー数を減らす事になりますから。
 一度に100人の荒らしに制裁を加えたこともありますよ。」

てゐの問い掛けにしょうはそう答える。
てゐはそれを効きながら、うー戦艦の看板のふちから遠くを眺めていた。

「そんな事をやってればさ、結構な数の荒らしにも恨まれてるでしょ。」

「ま、そうでしょうねぇ。荒らしから見れば、いきなりパソコンを駄目にされてしまった訳ですから。
 でもまぁ、荒らしの大半は一度制裁を加えれば大人しくなりますよ。」

「…中にはとんでもない仕返しを考えるやつも居るんじゃない?」

「まぁ居るかもしれませんけど、って言うか何故そんな事を問いかけてくるんですか?」
しょうの問い掛けに、てゐは一歩も動かないまま、こう言った。

「いやぁ、だってさぁ…。」

てゐの視線の先、
地平線以外何も無いはずの風景のはるか向こう。
そこから激しい砂煙を上げて、こっちに向かってくる何かが居た。


「るうみぁあああああああああああああ!俺はお前を生きて帰すつもりはぁあああないぜぇええええええ!」


ものすごい恨み節を叫びながら近づいてくるそれは、うー戦艦の中で戦ったものとは比べ物にならない程巨大なミミズだった。

「うわああああ!何だあれ!」

「で、でかいミミズ!でかいミミズがこっちに向かってくるぜぇええ!」

るーみあの船に移った乗客達からも、そんな叫び声が聞こえてくる。
「やばい、またパニックになったら…私、行って来る!」
再びパニックになるのを防ぐため、CAぱちゅりーはるーみあの船に向かって走り出す。

「るううううみああああ!出で来いいいい!この俺が作り出した最強最悪のウィルスで潰してやるぜぇええええ!」

巨大ミミズは音速さえ超えかねない勢いでこっちに向かってくる。

「るーみあ、あんた結構もてるんだねぇ、熱烈ラブコールでこっちに向かって来てるよ。」

てゐはるーみあに向かって皮肉交じりでそう呟く。

「いやぁ、もてるゆっくりは辛いのかー。」

るーみあは悪びれも無くそう答える。

「…そして、三又四又の末に女に刺されるんですね、解かります。」

そのるーみあの言葉に続いてしょうがボソリとそう呟いた。
「…せいちゃん、お前私に何か恨みでもあるのかー?」
るーみあはちょっと涙目でしょうに訴える。

「おいぃ!お前達幾らなんでも呑気過ぎやしませんか!」

相変わらずのグダグダ振りにてんこが思わずそう叫ぶ。
いや、ホントに今はのんきなことやっている場合じゃない。何故なら。


ドゴァアアアアアン!


うー戦艦が巨大ミミズの体当たりをもろに受けたからだ。

「どわあああああ!?」

うー戦艦がモロに傾き、てゐ達は看板から落ちそうになる。

「フハハハハハ!見たか見たか見たかぁあああああ!」

ハッカーはうー戦艦が傾く様子を見て、非常に喜んでいるようだ。
「ちょ、ちょとこれシャレにならないでしょ…。
 船の上から地面に落下しそうになったゆっくりの気持ちを考えた事があるんですかねぇ…。」
看板の柵に捕まりながらてんこが愚痴をもらす。
「考えてたらこんな事しないでしょ。」
てゐがてんこにもっともな答えを返す。

「まずいな…うー戦艦のほうは何とかなるが、もし我々の船の方に体当たりしてきたら…。」

「そうか、あっちには沢山のゆっくりが乗っているんだったど!」

「船の修理費が高くつく、赤字だけは塞がねば!」

「って、家計の心配!?」

思わず突っ込んでしまったれみりゃを無視してしょうが通信機を取り出す。

「おい!お前達!あいつを砲撃しろ!」

『ゆっくり了解したよ!』

通信機からそんな声が聞こえてくると同時に、るーみあの乗る船の大砲が動き出す!
その標準は寸分の狂いも無く大ミミズの頭に合わせられた!

ドガアッ!

放たれた砲弾は大ミミズの頭に直撃!
「ぎゃあああああ!」
咆哮を揚げる大ミミズ!
「て、てめぇ!俺のウィルスに何してくれてるんだ!」
ついでにハッカーの悪態も聞こえてきた。

「うるさい!貴様こそこんなもんを送り込んで一体何のつもりだ!」

しょうはハッカーに向かってそう怒鳴りつけた。
すると、ハッカーから返事が返ってきた。

「何のつもりか?…だと?てめぇら、俺の人生を滅茶苦茶にしておいてそんな事を言うのかよぉ!」

「…は?」

いきなりのハッカーの告白にてゐ達は目を点にさせる。
「お前達がなー!お前達があんな事しなければなー!俺は今頃…。」
ハッカーは明らかに涙声でてゐ達に訴える。

「…あの~ワタシラオマエニナニカワルイコトシマシタカ?」

るーみあがハッカーに問いかける、なぜか片言で。
ハッカーはその問い掛けに無茶苦茶大声で答える。

「半年前だ!もっと正確に言えば三月の下旬ごろだ!思い出せ!」

「…半年前?」

そう言われてるーみあとしょうは顔を見合わせる。

「お前はあの時、一人の荒らし行為をした男のパソコンの回線を破壊してネットを出来なくしたよな!?」

ハッカーに言われて二人のゆっくりは思い出そうとする。

「…三月の下旬ごろねぇ…。」

「その頃は荒らしへの制裁依頼は結構あったから覚えていないのかー。」

春は浮かれた馬鹿が調子に乗る季節です。
と、いうかるーみあの態度に腹を立てたハッカーはこう叫ぶ。

「俺は三月の下旬ごろ貴様達のクラッキングのせいでパソコンが使い物にならなくなったんだ!」

「おぉ、そうなのかー。」

「しかし、使えなくなったと言ってもあれはあくまで警告程度のもので、
 一日たてば復旧するようになっている筈ですよ?
 それなのに何でそんなにいきり立っているんですか?」

しょうがハッカーにそう問いかける。

「あの時お前達がフリーズさせたパソコンはなぁ…。」

ハッカーが一息すって大声でそう叫んだ。

「俺が勤めていた会社のパソコンだったんだよー!」


だよぉおおおお…。

だよぉおお…。


ハッカーの叫び声が辺りに響き渡る。
てゐ達の目は完全に点になっていた。


「あれのせいでな…会社のパソコンで遊んでいることがばれてなぁ…しかもパソコン駄目にしたことを攻められて
 会社を首に…グッ。」


ハッカーは涙目で思いっきり愚痴り始める。
要するにこういう事だ。
このハッカーは自分が勤める会社のパソコンで掲示板の荒らしを続けていた。
その度重なる荒らし行為についにキレた掲示板の依頼人はるーみあ達に荒らしの制裁を依頼。
るーみあたちは荒らしの使っているパソコンにクラッキングを仕掛け、パソコンを停止、
その結果、ハッカーはパソコンを使って遊んでいたことが発覚、そのことを上司に責められ、
最終的に仕事をクビになってしまったと言うことらしい。

「…完全に自業自得だど…。」

「聞くだけ無駄だった気がするんですが…。」

「ばかだねぇ、あんた、馬鹿すぎるよ…仕事中に遊んでいた事も、その後逆ギレした事も…。」

てゐ達は完全にあきれ返っている。

「うるせぇ!うるせぇ!うるせぇ!みんなそこに居るるーみあってゆっくりが悪いんだ!
 俺の人生を滅茶苦茶にした代償はお前のゆっくり生で補ってもらうぜぇえええええ!」


グォオオオオオオッ!


ハッカーの叫びと同時に大ミミズは再びうー戦艦に体当たり!


ドガアアアアアッ!


「う、うわあああああっ!」

う~戦艦が更に傾き、てゐ達はまたも看板から転げ落ちそうになる!
「び、びっくりした…みんな無事!?」
何とか立ち上がったてゐは周りのゆっくりに向かって大声で呼びかける。

「だ、大丈夫だど…。」

「な、何とか…。」

「…!?おい、るーみあはどこに行ったのですか!?」

しょうが辺りをきょろきょろ見回しながらそう叫ぶ!
言われて見れば、るーみあの姿がどこにも見えない。

「わ、私はここなのか~?」

と、てゐ達の頭上からそんな声が聞こえてくる。
「え?」
てゐたちは嫌な予感を覚えながら上の方を見て見た。


        ,. '"´ ̄ ̄`"'' ヽ、/ヽ、__
       /          //`ー∠
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          │       │
          ├       ┤
          │       │

「いやぁ、予想通りの展開なのか~。」

「る、るーみあ!?」

下半身をミミズに丸呑みにされているるーみあを見ててゐは思わず叫んでしまった。

「るーみあさん!また食われてるど!」

「…ホントによく食われるゆっくりですね。」

「てんこさん、れみりゃさん、のんきな事言ってる場合じゃありませんよ。」

きめら丸がそんな事を言うと、お前が言うな、と言いたくなってしまう。
しょうはというと、ミミズに捕まっているるーみあを見てこんな事を呟いた。

「確かに、丸呑みはちょっと困るな・・・触手プレイならギリギリ許せるんだが。」

「ちょ、しょうさんの基準がわからないど!」

思わずしょうに突っ込んでしまったれみりゃだった。


         , \, -─-- 、.,_
        ,.i (ヒ_]    ,___, `ヽ,. /
       ./        ヽ _ン   ヒ_ン )
     _,./__,,. -‐ ''"´ ̄ ̄`"'' .、`ヽ,ー:'
  ,. ''"´ /´ / ;'     !     ;`ヽ,ヽ、
  '.、  .;'   ', i ´ハ_ _ハ  ノ メ !,!ヽ,.ヽ.
    `Y    i Vレ'7;__,.!/ V !__ハ ハノ., ',ノ';
   _ノ     i=ハ -‐‐    ー- ハ.ノi   i
   `.>'    iX|///  .,___,///ノ!レノ
  ∠._   ノ |=ヽ、    ヽ _ン  ノ!i レ
      ,.ヘ,) | |>,、 _____, ,イ| |
        ' | !>;`ヽ、「、,ハ.| |


「触手プレイは私も好きだねぇ。」

「てめぇはもう黙ってろ。」

もう、当たり前のようにてゐは艦長を看板から突き落としていた。
「あぁあ~…。」と言いながら落下していく艦長に、てゐたちはもはや何の関心も示さなかった。

「…お前ら、少しはこいつの事を心配しろよ…。」

あまりの緊張感の無さに思わず突っ込んでしまったハッカーであった。
「お前は自分の心配をしたほうが良いんじゃないのか~?」
と、るーみあがハッカーに向かってそう言った。
「自分の心配だと?その言葉、そっくりお前に返してやろうか?」
ハッカーのその言葉とともに、ミミズが下半身を食われているるーみあを睨み付けて来る。
睨まれただけでも金縛りに会いそうな眼力だがるーみあは実に平然としている。

「やれやれ、あんまり喧嘩は好きじゃないんだけどな~。
 みんな、あまり私に近づかないでね?」

るーみあはそう言って懐から一枚のカードを取り出した。
カードは真っ暗で、表にも裏にも何にも書かれていない。

「なんだぁ?弾幕かぁ?そんなもんで俺の自慢のウイルスがどうにかなると思うなよ!」

ハッカーはるーみあに対して凄む様にそう叫ぶ。


「…別にこれはスペルカードじゃないのかー?ホレッ。」

プスッ。

るーみあはそう言って大ミミズにカードを突きたてた。
「おいおい、そんなことしても俺のウィルスは痛くも痒くも…。」
言いかけて、ハッカーは表情を変える。
モニター越しに映し出されるウィルスに、明らかな異変があったからだ。

「ぎゃああああああ……。」

分解されていく。
巨大ミミズの体が、まるで砂細工のように崩れ落ちていく。
るーみあは半呑まれ状態から開放され、地面に着地する。

「て、てめえ、一体俺のウイルスに何をしやがったぁあああ!?」

ハッカーがるーみあに向かってそう叫ぶ。
るーみあはのほほんとした表情でこう言った。

「別に大した事はしてないよ、ウィルスを破壊するウィルスを送り込んだだけだよ。」

「う、ウイルスを…!?」

「ウィルスだってプログラムなんだからそのプログラムを破壊するウィルスだって作れないことは無いでしょ?
 ワクチンとかと違って正常なデータを破壊するからあんまり使いたくないんだけどね。」

言われて見れば、そう言うのもありなのかもしれない。
だが、ハッカーにとってるーみあの説明は、理不尽以外の何者でもなかった。

「ふ、ふざけるなぁあああああああ!」

ゴォァアアアアアアアア!

ハッカーの叫びとともにるーみあの周りを囲むように無数の巨大ミミズが現れる!
表れた複数の巨大ミミズはそのままその頭をるーみあに向かって突っ込ませる。

「やれやれ、切れた悪役はワンパターンになるから困るよね。」

るーみあはそう言うと、また黒いカードを取り出すと、空中に放り投げた。

「コピー&ペースト!」

るーみあがそう言うと、一枚の黒いカードは複数の黒いカードになる!

そして、黒いカードは巨大ミミズにいっせいに張り付いた!

「ぎゃあああああああ!」

巨大なミミズたちは黒いカードを貼り付けたところから砂上に分解していく!


「う、うわあ!るーみあさん凄いど!食われてばっかりなのに意外と強いど!」


分解していく黒いミミズを見て、るーみあが驚きの表情をあげる。
「ま、あれでも私の仲間だからね、あれ位できなくちゃ困るよ。」
てゐがそう言ってうんうんと頷く。

「おいぃ、あれでは我々の出番が無くなってしまうのでは?
 主人公が活躍しないてゐ魂に未来はにぃ。」

反対にてんこは非常に不機嫌な表情でそんな事を呟いた。
どうやらバトルシーンに自分が参加していないのが不満らしい。

「まぁまぁ、あんなどう倒したら良いのかすらわからないミミズを相手にしなくて良いなんてある意味ラッキーじゃん?
 ここは戦闘はるーみあに任せて私らは外野で呑気に見学したほうが良いって。」

てゐはそんなてんこを宥めながらそんな事を呟く。
「…なんてやる気の無い主人公なんだど…。」
れみりゃはあきれた表情でてゐを見ながらそんな事を呟いた。

そうこうしている内に、るーみあを襲ったミミズは完全に砂になって還ってしまっていた。
「さて、これからどうするのかな?ハッカーさん。」


~☆~


「ぐ、ぐぐぐ…。」


そのハッカーは完全に苦虫を潰したような顔でモニター越しにるーみあを見つめていた。

「こ、こんな筈はねぇ…俺は万全の準備をしてきたはず…。」

ハッカーは追い詰められた今の状況に焦りを覚え始めていた。
それもそうだろう。
あれだけの戦力を用意してその戦力の大半をてゐたちに撃退させられたのだから。
「畜生、何か手は無いのか?手は無いのか?」
ハッカーは現状の打破のために、頭をフル回転させる。

敗北する。

その事実だけはハッカーにとってあってはならない事だから。

(何でも良い、あの屑を手も足も出させずにぶっ倒す方法、俺に今必要なのはそれなんだ…!)

血なまこになってモニターのすみからすみまで見渡して見るハッカー。
…そして目に入った。
ウイルス達がるーみあ達を引き付けている隙にこの場から抜け出そうとしている船の姿が。
その船に乗っているのはう~戦艦の乗客たちと、船を操縦しているるーみあの会社のスタッフであった。

「フ、フフ、フヒヒヒヒヒヒヒ…見つけたぞ…。」

そいつを見て、不気味な笑みを上げるハッカー。
もはやこの男の瞳には正気というものは欠片も残っていないようだった…。


~☆~


ゴォァアアアアアアアアアア!


「!?」

それはあまりにも突然だった。
るーみあと対峙していた巨大ミミズ、
そのうちの一匹が、まるで獲物を見つけた鷹のように、その長い胴体を舞い上がらせたのだ。

「え!?」

「と、突然飛び上がるなんて、一体何事!?」

てゐたちは驚きの表情で空へと舞い上がった大ミミズを見つめる。
大ミミズは凄い勢いである一点へと向かっていく!
そう、るーみあと戦っている間に空へと飛び上がったるーみあの会社の戦艦に向かって!


ガシュウウウウウッ!


そして戦艦に追いついた大ミミズはそのまま戦艦に全身をきつく巻きつけた!
あまりの強い締め付けに、船体がギシッ、ギシッと言っている。

「な、何だ今の音は!」

「た、大変!あの大ミミズが船に絡み付いてるよ!」

「なんだって!あいつらまだ懲りてないのかよ!」

乗っていた乗客たちが窓の外で自分達の乗っている船を締め付けている大ミミズを見てまた騒ぎ出すが。
勿論その騒ぎの声は遥か下にいるてゐ達にも届かない。
「ちょ、あの戦艦に絡みついたよ!」

「この期に及んで何をするつもりだど!?あいつら!」

「やっぱり悪党は往生際が悪かった!」

あれこれ騒ぐが、ここで騒いでも船に何が起きているのかは解からない。
何が起きたのかを聞くなら、更にうってつけの相手がいる。

「…おいお前、最後の悪あがきで一体何をやったのかー?」

と、言うわけでるーみあはハッカーにそう問いかけた。


「ぶっちゃけよう…これ以上貴様が暴れたら…あのミミズは自爆する!」


「自、自爆!?」

ハッカーのその言葉に、てゐ達は思わず叫んでしまう。
戦艦に巻きついているミミズはかなりの大きさだ。
あんなのが爆発したら、戦艦は間違いなく粉々になるだろう。

「フハハハハ!戦艦とかゆっくり達の命が惜しかったら、大人しくミミズにやられてくれやお願いします!」

ハッカーは、るーみあに対してそう脅しをかけてきた。
「………。」
るーみあは、黙り込んで何も言わなかった。


「…あいつ…手段を選ばないにも程があるねぇ…。」


てゐは呆れた顔でそんな事を呟いた。
「ど、どうするんだぜ!もしあいつがあのミミズを爆発させたら乗っている連中の命が!」
操舵手まりさが慌てた様子でそう叫ぶ。
「…私としては戦艦が壊れてしまうのがきついですねぇ…また新しく買いなおすのは…。」
その隣ではしょうが戦艦の相場はいくらだったか?とか言っている。
…戦艦には自分の部下とか乗っているんだからそっちの心配もしてあげてください、しょうさん。

「せ、戦艦の砲撃とかで落とせないのかど?」

れみりゃがそんな事を提案するが、しょうは首を横に振る。

「あんな密着された状態で砲撃できるわけ無いでしょうが、下手したら戦艦にまで酷い被害が出ますよ。」

「じゃあ誰かが力ずくで引き剥がすとか?」

今度はてんこがそう提案する、
しかし、これもまたしょうは首を横に振った。

「誰が引き剥がすんです?船に乗っているゆっくり達にそんな力はありませんし、
 私達じゃああの高度まで飛び上がれません。」

戦艦はかなりの高さまで飛び上がっており、てゐ達じゃあどう足掻こうが届かない。

「だったら船の中にいるゆっくり達に連絡して高度を下げればいいじゃん。
 弾幕が届く高さまで言ったら私達が何とかしてあげるけど。」

てゐがそう言うと、しょうは携帯電話をてゐに突きつける。

「とっくに連絡はしています、しかし全然携帯がつながらないんですよ。
 恐らくあのミミズが携帯の電波を妨害しているんじゃないですか…?」

そう言ってすぐに携帯をしまいこんだしょうを見て、てゐは今の状況が八方塞であることを理解した。


「さあどうする?まあ大人しく負けを認めるしか選択肢は無いんだろうけどな、ハッハッハ!」


圧倒的に優位な状況に立ってハッカーは非常に嫌な気分になる笑い声を上げる。
それを黙って聞いていたるーみあは突然、こんな事をボソリと呟いた。

「…まったく、自分から姿を現さない臆病者の癖に、言いたい放題言ってくれるじゃないの。」

「…な、なんだと!?お前、今の状況を解かってそんな事を言ってんのか!?」

るーみあの言葉に、動揺と怒りを覚えるハッカー。
そんなハッカーの言葉を無視するかのように、るーみあはまた懐から一枚のカードを取り出した。

「…?またカード?しかも今度は黒いんじゃなくて白いんだど?」

れみりゃの言うとおり、るーみあが取り出したカードは今までの真っ黒なものではなく、真っ白なものだった。
「何?あのカード?どうやって使うの?」
てゐ達がその白いカードに注目する中、しょうだけが冷や汗を流していた。

「あ、あのカードは…まずい!すみません誰かあの馬鹿を止めてくださいお願いします!」

しょうは慌てててゐ達にそう願いする。


「ちょ、いきなりそんな事言われても、あのミミズに飛び込むのはかなりの勇気が…。」

「そんな事言わずに!あのカードを使ったらとんでもない事になってしまいますから!」

「それだけ言うのなら、あんたが取りに行けば?」

「嫌です!何で私があのミミズの群れに飛び込まなくてはいけないのですか!?」

「自分が嫌だと思うことを人にやらせるんじゃないよ!」


てゐ達がもめているのを横に、るーみあは取り出したカードを思いっきり天に掲げた。

「ちょっと大人しく待っていてくれない?今からそっちに行くから。」

そう言って、るーみあはそのカードを地面に置いた…と、言うか思いっいきり叩きつけた。

ビキビキ…ぱりぃいいいいんっ!

瞬間、カードを叩きつけた所を中心に無数の亀裂が走り、そして、地面がまるでガラスの様に砕け散る!
砕けた地面の下には、底が見えないほどの巨大な穴。
次の瞬間、ミミズたちがるーみあを食らおうと大口をあけてるーみあに飛びかかろうとするが
その頃にはすでにるーみあの体はその穴へと沈んで行ってしまっていた。
「じゃあちょっと行って来るのかー。」
そう言うとるーみあはそのまま巨大な穴へと落下していくのであった。
しょうはその様子を真っ青な顔で見守ることしかできなかった。

「あ、あの馬鹿…敵の懐に飛び込むなんて危険にも程がありますよ…!」

震える声でそんな事を呟くしょう。
「い、一体なんなんだど、あの大きな穴は…!」

「わ、わからにぃ、わからにいが…私は限りなく嫌な予感をひしひしと感じているのですが?」

れみりゃたちも、何が起きたのかわからないといった様子でその穴を見つめるだけだった。
しかし、その中でまったく違う行動を取るゆっくりが一人。

「ちょっとそこのゆっくり。」

穴に注目していたレーダー手れいむに誰かが話しかけてくる。
「え?何?」

「これ、どっか適当なところに括り付けて置いといて。」

そう言ってれいむの前に置かれたのは、一本のロープの端だった。
ロープのもう一方がれいむの後ろ側に伸びているということはもう一方の端は後ろにいるゆっくりが持っているのだろう。

「?え?これくくりつけるの?何で?」

「細かいことは気にすんな、そんじゃあちょっと言って来るから、ちゃんと括り付けておいといてね!」

そう言うと、後ろにいたそのゆっくりはれいむを飛び越えて、うー戦艦の遥か下へと落下していく。

「!?おいいぃ今度はお前が行くんですか!?」

「てゐさん!一体何を考えてるんだど!?」

その姿を見て、れみりゃとてんこが叫ぶ。
他のゆっくりたちも、そのゆっくりに対して「無謀だ」「戻って来い」と叫ぶ。
その場にいる全員が、ロープを耳の付け根に括り付けて船から飛び降りたてゐを追いかけることは無かった。


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最終更新:2011年02月02日 17:34