てゐ魂 第三十三話-2



~☆~


石油ストーブを求めててゐがたどり着いた場所。
それは、ゆぶき町の外れにある寂れた通りだった。
「へぇ、町のはずれにこんな店があったんだ。」
そして、てゐは今、その外れにちょこんと建っている一軒の店の前に居る。
年季の入った看板には「こーりん堂」の文字が。
扉の張り紙に「いらないもの、引き取り□」と書かれているということは、恐らくここは古道具屋の類だろう。
「…見た所古道具屋みたいだけど、石油ストーブは置いてあるのかねぇ?」
国中の電気屋を渡り歩いても石油ストーブは手に入らなかった。
こうなったらこの古道具屋に年代物の石油ストーブが置いてあることを祈るしかない。

「…ゆっくり開いてね。」

てゐは意を決して店の扉の前でそう言った。

ガラガラガラガラ。

すると、店の扉が勝手に開いた。
ゆっくりの特殊能力の一つだが、まぁ、これは別に本編にこれ以上関わらないので読者は忘れて良い。
「失礼しま~す。」
とにかくてゐは開いた扉から店の中に入り込んだ。

店の中は…なんて言うかもう、一歩入っただけでお客さんなんて滅多に来ない事が解るほど、薄汚れていた。
品物に埃が被っているし、その品物だっていまどき誰も使わない、
それ以前になんに使うのかも解らないような代物が置いてある。

「うわぁ…こりゃ石油ストーブなんて頼んだらダルマストーブとかそんなもんが出てくるんじゃあないだろうねぇ…。」

一抹の不安を覚えながらてゐは店の奥へと向かう。


         (て、
         ,.-‐'  ` ̄`゙ー-、
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     /  ハ ノ`i  ハ     ト  |  |
     レイ| l_ゝ、 | / l∠ヽノ.|  | │
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    ,.'::,彳:::::::/く゚!   _/。>/   ̄`フ八
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    /:::::||::::::::::|.>。';::::;'.゚<´/     |.|  ヤ
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.   升=;ソ:::::::::'.,゙ー/,..-.'/         ト==叶


店の奥にはカウンターがあり、其処には一人の胴付きゆっくりが座っていた。
和服を思わせる衣装を身に着け、眼鏡をかけている。
何より変わっているのは、ほとんど女性、もしくは中性的なを思わせる外見をして居るゆっくりの中では珍しく、
男性的な外見をしていることだろう。


「こんな店にお客さんなんて珍しい…何か用でもあるのかな?」


そのゆっくりはてゐの姿を見てそう話しかけてきた。
…なんていうか、その接客態度にはやる気というものが感じられない。

「…あの、ストーブを探してここまで来たんだけど、置いてない?」

どうにも胡散臭いこの店、さっさと用を済ませて出て行きたい。
そう思いながらてゐは店員と思われるゆっくりに向かって、用件を言った。


「…ストーブだって?」


と、ストーブという言葉に店員の眉がピクリと動く。
「…え?何、その反応。」
店員のリアクションを見て、てゐは何だか背筋に冷たいものを感じる。

「…一つ聞いて良いかい?君は、ストーブの事を何処まで知っている?」

店員はてゐにいきなりそう問いかけてきた。
いきなり問いかけられて、てゐはちょっと戸惑う。

「…え?いや、使い方は解ってもそんなに詳しいわけじゃないんだけど。」

とりあえず、そんな感じで返事してみるてゐ。
それを聞いた店員は…。


ジャキッ。


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   ハ:::::::レヘ::i' (◯),  、(◯)ハソ:::ハ                j,, ヾて)r=- | ヾ:   :ヽ;;:     | l | ::;'゚>',:::::::,.' < ゚/     !.i  ',
   |::::::::ノ:::l:|   ,rェェェ、  l:::::|::ノ                ,イ ヽ二)l(_,>" l|    ::\;::    | |:::::|.>。';::::;'.゚<´/     |.|  ヤ
   ノ:::::::::::::ハヽ、  |,r-r-| ノ::::i:::(                i、ヽ--イll"/ ,, ,//,,    :;;   l // ::! ゚>゙y' <。./        ノ′  .!
  イ:::/::::::/:::イヽ>`ニニ´i':´イ:::ハノ                ヾ==:"::^::;;:::/;;;;;;;;;:::::::::::::: :::::ゞ ノ/  ::'.,゙ー/,..-.'/         ト==叶
  〈rヘ:::::!::レ´   `y二」ヽレ':::〈                   \__::::::::/::::::::::::_;;;;;;;;;;;;;;;;;ノノ




いきなりてゐに向かって銃を突きつけた。
「え!?いきなり何!?何でそんな物騒なもん突きつけるの!?」
突きつけられた方はたまったもんじゃない。
慌ててそう店員に問いかけながら距離をとる。
そんなてゐを見ながら店員はこう言った。


「…警告する、これ以上ストーブに深入りするな、
 あれに深く関わると、君自身のみの破滅を招くことになるぞ。」

「…は?」

今度は目を点にするてゐ。
「あんた何言ってるの?たかがストーブで身の破滅を招く訳が無いじゃない!」
てゐは呆れた口調でそういうが、店員は今だ真剣な表情で銃を構えたままだ。

「…君が何処の組織に属しているか知らないが、自分の身がかわいいならこれ以上ストーブに関わろうとするな。
 おとなしく店から出て行ってくれ。」
店員は更に訳のわからないことを言ってきた。
「組織ってなに!?たかがストーブで無駄にスケールデカイ事言ってない!?
 私はストーブが欲しいだけだから!変なことするつもりは無いから!」
てゐは思わず店員に向かってそう言い放つ。
すると、店員はてゐに向かってこう言い返す。

「ストーブを君のような得体の知れないゆっくりに渡す訳には行かない!」

これにはさすがのてゐもカチンと来た。

「何だよ!私は仮にもお客様だよ!幾らなんでも失礼すぎる気がするんだけど!」

てゐは更に文句を言おうと、一歩前に踏み出した!
その時だった。


「やれやれ、探しましたよ、こーりんさん。」


てゐの後ろからそんな声が聞こえてきたのは。
「何、今度は誰さ?」
てゐはそう言って後ろにいる奴を確認するために振り向いた。


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                ,r'´::::::::::::::::`フ
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      ,. '´             ___`く                    i                      i                       i
  r‐‐ァ'   ./   ,-、      ヾ.ノ ' ,                   ∥                      ∥                       ∥
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  i.   :  i  /| _,ハ:::::::::|ヽ__ハ ノi  |   |.                 .|X|                     .|X|                      .|X|
  |  i  | /!ーr-t!、ヘ::::| ァ┬‐'‐r!へ. |   |.                冊冊冊                  冊冊冊                   冊冊冊
  !ヘ レヘ.| ! ヒ ン  ヽ!   ヒ ン'|:::ヽ!.   |                 |.X.|                    |.X.|                     |.X.|
   `ヽ|:::::::i'` `''´  .::::..  `''"´ .|:::::::|  i |           __   /.X∧ ______          __   /.X∧ ______           __   /.X∧ ______
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 iヽ、,' .|:::::i::| | `>.、.,__,,.. .イ| !.|::::i::i /| ./:::::::::<___    ,'==─-      -─==', i      ,'==─-      -─==', i       ,'==─-      -─==', i
 ヽ;::レ'ヘ::;ハ| |_>くi、.,______,.ノ`ヽレヘ!V/レ':::::::r':::ヽ.,-'    i イ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i |      i イ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i |       i イ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i |
 r':::::::::::;;ゝ'" ̄7イ::/________!;::イ:::::::`7'ー'、;:::::::::::::::::;>    レリイi (ヒ_]     ヒ_ン ).| .|、i .||      レリイi (ヒ_]     ヒ_ン ).| .|、i .||      レリイi (ヒ_]     ヒ_ン ).| .|、i .||
 `''T:/::::!:::::::::::!/::::::::::::::::ヽ、_::::::::/::::::::::`ヽ.へr'"       !Y!""  ,___,   "" 「 !ノ i |      !Y!""  ,___,   "" 「 !ノ i |        !Y!""  ,___,   "" 「 !ノ i |
    ノ:::::::::';:::| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|ll|:::Y:::::::::::::::::::::',         L.',.   ヽ _ン    L」 ノ| .|       L.',.   ヽ _ン    L」 ノ| .|        L.',.   ヽ _ン    L」 ノ| .|
  〈:::、:::::::::Y`ヽ.求聞史紀r''"ヽ:;::!:::::::::::::::_;;::/          | ||ヽ、       ,イ| ||イ| /        | ||ヽ、       ,イ| ||イ| /        | ||ヽ、       ,イ| ||イ| /
   Y::::::::rソ ヽ,ノl !゚ ヮ゚ノリ .し'   i、:::::::::::::;:イ           レ ル` ー--─ ´ルレ レ´        レ ル` ー--─ ´ルレ レ´         レ ル` ー--─ ´ルレ レ´



其処にはまた見慣れない胴付きゆっくりが立っていた。
その背後にはそのゆっくりを守るように頭に変なアンテナが生えた胴なしれいむが数匹、並んで立っている。

「何?お客さん?悪いけど今こっちは取り込み中だから後にして欲しい…。」

「…お前達!何故ここが解った!」

てゐが急に乱入してきたゆっくりたちに対してそう言いきろうとする前に店員が口を挟む。
「ちょ、まだ私が話してる…。」
てゐが思わず店員に講義しようとするが…。

「我々、悪の組織の情報網をなめちゃいけませんよ。」

「そうだよ!」

「こんなボロイお店、悪のれいむ達にかかればスグに見つかるんだよ!」

その前に今度は入ってきたゆっくり達が口を挟んできた。
「ちょ、何、これもしかして私端からスルーされてるって事!?」
てゐはかなりショックを受けた。
…が、そんなてゐを無視して店員と悪の組織と名乗るゆっくりは会話を続けていく。


「…こんな埃とガラクタしかない古道具屋に何の用かな?悪の組織の幹部「ときこ」」

「…とぼけるのも大概にしてください、天才科学者「こーりん」」


おぉ、お互いに相手の名前を言ってくれた、これでようやく名前で呼べる、よかった良かった。
…そんなことは割とどうでも良い?うるさい、新キャラを名前で呼ぶタイミングにいつも迷ってるんだぞ。
とにかく、トキコはそう言うと、手に持っていた百科辞典並みの厚さを持つ本をこーりんに突きつけてこう言い放った。


「ストーブ、この店にあるんでしょう?すぐに出しなさい、今すぐ出しなさい。」


「え?あんたもストーブ買いに来たの?奇遇だね~私も何だよ。」
それを聞いたてゐがときこに話しかける。
すると後ろに控えていたアンテナ付きれいむがズズイと前に出てきてこう言った。

「今は取り込み中だよ!部外者は黙っていてね!」

「ちょ、部外者は無いでしょ!お客としては私が先なんだから!
 交渉する権利も私のほうが先だとは思わない?」

ムカッと来たてゐは思わずそう反論する。
これを受けてこーりんはこう答えた。


「悪いけど、ストーブは君に渡せないよ…勿論、ときこ達の手にも、だ!」


パアンッ!


言うや否やこーりんは手に持った銃を発砲した!
銃口から煙が上がる。
発射された弾はときこの横をかすめ、棚に飾ってあった皿を破壊する。

「…ちょ、ちょっとあんた!本当に発射するなんて何考えてるの!」

発砲音を聞いて一瞬身をすくみあがらせたてゐは思わずこーりんに向かって文句を言った。
…逆にときこはと言うと、非常に落ち着いた雰囲気をかもし出している。

「…やれやれ、かつての同胞に発射するとは、何て酷い。」

深いため息をついて、何処か悲しげな口調でこう返すときこ。

「黙れ、僕はもう君達の仲間じゃない。」

こーりんは怒りに満ちた表情でそう返す。
それを見て、ときこはまた深いため息をつく。

「…仕方ないですね。」

ときこはそう言うと、持っている本をこーりんに向けると、ゆっくりとその本を閉じた。

ドガアンッ!

次の瞬間、こーりんはまるで衝撃波を受けたかのように後ろに吹き飛ばされた。
「えぇ~!?」
てゐは何が起きたのか解らないと言った目でこーりんとときこを交互に見つめる。


「さすがときこ様!本を閉じただけであれ程の衝撃波を巻き起こすとは!」

「これはこーりんもタダじゃ済まないね!!」


後ろに居たアンテナれいむ達が何が起きたのか事細かに説明してくれる。
「ちょ、あいつ大丈夫なの!?」
吹き飛ばされたのを見て不安になったてゐは慌ててカウンターを飛び越えてこーりんの元に向かう。
店の奥ではこーりんが仰向けになって倒れていた。

「ちょっと!こーりんさんだっけ!?凄い勢いで吹っ飛んでいったけど大丈夫かい!?」

てゐは心配になってこーりんにそう問いかける。



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                   (,_´          ` 、
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                    レ!゙  __    く`イ  イ
                    i ゝ、 ` -`    イ i ハiリ
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       /        V        \. ||            /         ? ?
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     (       / /\  入   /   |   |     / )  /  \      人  ?
    /    \ ,/    \     l、_ 人_ _,|    -‐',/l /    `ー、_>-‐'~    |
    //      〈       | \   /   |   ヽ   /  |        |        |
   | |         |        |     |   |    |      /          |        |
    | |       |         |    l、_ 人_ _ _ ,|     _/         |       |
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   |~  `ー、/       /                    ?        ?_, --‐‐/
    |    /        /      `ー-―――ー'        ?        |      |



「…いやぁ、衝撃波で服が破れたけど、何とか大丈夫だ…。」

そう言ってこーりんはゆっくりと起き上がった。

「…うわ。」

服の下に隠された予想外のガチムチっぷりにてゐは思わず引いてしまう。


「さて、こーりん!貴方が我々の計画に参加しないとわかった以上、力ずくで聞き出すしか方法が無くなりました。」


ときこが本をてゐ達の方に向けながらそう言ってくる。
こーりんは立ち上がってときこ達に向かってこう言った。
「…良いのかい?やりすぎて僕が死んだらストーブの在り処は永遠に…。」

「そうなったら、れいむ達が総力を挙げて探し出すまでの事だよ!」

「それに、我が悪の組織の拷問は安心、安全、地球に優しいがモットーだよ!」

アンテナれいむ達は、実に邪悪な顔でこう言った。
って言うか、どんな内容の拷問なのか非常に気になる。

「…あのさ、さっきから銃を持ち出したり拷問とか言い出したり、ストーブのためにやりすぎじゃない?あんたら。」

…と、ここでてゐが口を挟んできた。

「…ん?誰ですか貴方は?ウサギの耳が生えてるゆっくりなんて始めて見ますが。」

ときこはてゐの姿を見るなりそんな事を言ってきた。
「…あの、もしかして私の存在に全然気づいてなかった訳?」
どうやら本当に自分の事は視界に入っていなかったようだ。
その事実を知って、ちょっと凹んでしまったてゐであった。

「…まぁ、あんたと同じだよ、ストーブを探してこんな店までやってきた暇なゆっくりって言うか。」

とりあえず気を取り直し、てゐはときこに向かって改めて説明する。
すると、ときこの表情が明らかに敵意のあるものに変わった。

「何と、私と同じ目的のゆっくりがここに居ましたか。
 ならば貴方は我々の敵、ということですね。」

「へ?」

ときこのこの言葉に、嫌な予感を覚えたてゐ。
その嫌な予感は、スグに的中することになった。


パチン!


ときこが突然指パッチン!
「ゆっ!」「ゆっ!」「ゆっ!」「ゆっ!」

                                           /<_ _,.....---、...
                                           (,_´          ` 、
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                                          レハ Y ̄ ト =.i ヒ_ン)-リ i   ゝ
                                          . ! '゙;` -< 、 ` ー '´ |ノ )   リ
                                            レ!゙  __    く`イ  イ
         i                                    i ゝ、 ` -`    イ i ハiリ                               i
         ∥                                   ヽレ ヽ ,____ ,,イ レ'、_                                ∥
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   ネ  _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ、_''           i   /:;:::::::::::::::;:::::::::::::::ゝ、____ノ      ヽ||/          ヽ   ー、_ノ \        ,´ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、_ イ、
  , ン 'r ´          ヽ、         〉--' /:/、__;:ィ::ハ::、_;:!:::i:::ハ::〈       ||/           |/      \ \       'r ´          ヽ、ン、
  i ,' ==─-      -─== ;        i::::::::/::::::ハ_ニ;、,レ レ、_;、ゝ::::|:Y     \. ||            /         ? ?        ,'==─-      -─==', i
  | i イ ルゝ、イ;人レ/ルヽイ  i        ハ:::::::レヘ::i' (◯),  、(◯)ハソ:::ハ      ヽ/ヽ、          人          |  |      i イ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i |
  ||. i、|. | (ヒ_]    ヒ_ン) i リイj        |::::::::ノ:::l:|   ,rェェェ、  l:::::|::ノ      /  \       /  ヽ         |  |       レリイi (ヒ_]     ヒ_ン ).| .|、i .||
  | iヽ「 ! ""  ,___,  "" !Y.!         ノ:::::::::::::ハヽ、  |,r-r-| ノ::::i:::(   ̄`ーー'   l  、 ̄`ーー-ー'    ∧        l   |      !Y!""  ,___,   "" 「 !ノ i |
  .| |ヽ.L.」    ヽ _ン   ,'._.」        イ:::/::::::/:::イヽ>`ニニ´i':´イ:::ハノ    /   |   |     / )  /  \      人  ?       L.',.   ヽ _ン    L」 ノ| .|
  ヽ |イ|| |ヽ、        イ|| |        〈rヘ:::::!::レ´   `y二」ヽレ':::〈      l、_ 人_ _,|    -‐',/l /    `ー、_>-‐'~    |        | ||ヽ、       ,イ| ||イ| /
   レ レル. `.ー--一 ´ル レ            //      〈       | \   /   |   ヽ   /  |        |        |      レ ル` ー--─ ´ルレ レ´
                           | |         |        |     |   |    |      /          |        |


それと同時にアンテナを生やしたれいむがあっという間にてゐとこーりんを取り囲んだ!

「悪いけど!ストーブは我々悪の組織が有効に使わせてもらうよ!」

「こーりんは捕らえるけど、そこのうさ耳のゆっくりはゆっくりしね!」

アンテナれいむ達はてゐ達にそう言いながら睨みつけてきた!


「ま、まずい!取り囲まれたか!?」

「店員さん!目を瞑って!」

「え!?」


危機的状況には何度もあっているてゐは、こういう時の行動は早い!
スグにスペルカードを取り出し、発動させた!


照符「さいたまサンシャイン」


                \ │ /
                 / ̄\  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
               ─( ゚ ∀ ゚ )< さいたまさいたま!
                 \_/  \_________
                / │ \


カッ!


現れたさいたまが、薄暗い店内を白く塗りつぶす!!

「うおっ、まぶしっ!」

てゐの周りに居たアンテナれいむ達は勿論、ときこもあまりの眩しさに怯んでしまった!
やがて光が収まると、てゐとこーりんの姿はその場から消えてきた。

「ときこ様!こーりんとあのゆっくりの姿が何処にも見えなくなったよ!」

「探せ!絶対何処かに居るはずだ!」

ときこの指示でアンテナれいむ達は店内を探し始める!
「…あ!ときこ様!あの窓を!」
と、アンテナれいむの一人がもみ上げで店の奥の窓を指差した。
…窓は割られていた、しかも見覚えのある柄の布切れが引っかかっている。
こーりんの服の切れ端だ!


「窓から逃げたか…外を探せ!絶対外に居るはずだ!」

「ゆっくり了解したよ!」


ときことアンテナれいむ達はてゐ達追跡のため、店の外へと飛び出した!


「…やれやれ、引っかかってくれて助かったよ。
 しばらくはこれで時間を稼げるかな。」

と、誰も居なくなった店内に声が響き渡る。

すすすすすっ!

そして、柱を伝っててゐとこーりんが下りてくる。
窓から外に出たと思わせて、本当は天井裏に隠れていたのだ。

「まさかあいつらを煙に巻くとは…ずいぶんと切れ者じゃないか。」

「まぁ、こういうことは初めてじゃないからね…。」

と、てゐがこーりんに向かってそう言ったその時だった。


ガクリ


「う…。」

こーりんがガクリとその場に崩れ落ちたのだ。

「え!?ちょっと!いきなりなんなのさ!」

慌てててゐがこーりんに向かって駆け寄った。

「す、済まない、衝撃波が…思いのほか効いているようだ…。」

こーりんは立ち上がると、壁の方に向かい、そのまま壁によっかかるように再び崩れ落ちる。

「あんた大丈夫?何て言うか、色々やばい事になっている気がするんだけど…。」

てゐが心配そうにこーりんに話しかける。
こーりんはてゐの顔を見て、こう言った。

「…僕は大丈夫だ…それより…そうだな、君になら頼めるかもしれない。」

「え?」

いきなり真顔でこーりんにそう言われて、戸惑ってしまうてゐ。
そんな戸惑っているてゐを置き去りにして、こーりんはこう言って来た。

「…君に頼みがある、ストーブはゆっくりの国の外れにあるゴミ捨て場に隠してあるんだ、
 それを見つけ出して…破壊して欲しい。」

てゐ、目が点になる。

「いやいやいや!あんた何言ってんの!?
 ストーブを買いに来た奴に何で破壊の依頼!?」

「本当は生みの親である僕が全てをケリをつけなくちゃいけないんだけど…
 この傷じゃあ動くことは出来ない…だから君に頼みたい!」

そう言ってこーりんはてゐの耳をぎゅっと握り締めた。

「いや、だからちょっと私の話を。」

「あれが悪の組織にわたったらゆっくりの国は…いや、地球はおしまいだ!
 あれはこの世にあってはならない!作り出した時点で破壊するべき代物だったんだ!」

「いや、ストーブが無かったら今ごろ全ての生命が冬の寒さに凍えてると思うんだけど。」

「詳しい位置はこの紙に書かれてある、
 ストーブを…地球の運命を…任せたよ…。」

そう言ってこーりんはカクリと首をうなだれた。
もしかして死んでしまったか?と思いきやただ気絶しているだけのようだ。
「………。」
そして訳のわからないうちに、地球の運命を託されたてゐは、こーりんに握らされた地図を手に呆然とするばかりであった。


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最終更新:2011年02月03日 18:29