ちびりゃのはじめてのぱたぱた

この作品はれみりゃとお兄さんシリーズの設定に準じております。
出来れば、同シリーズのれみりゃの育児奮闘記等を先にお読みいただきたいと思います。



















↓大丈夫なら、どうぞ







ちびりゃのはじめてのぱたぱた






「2人とも準備できたかー?」
「うっう~♪じゅんびおっけぇ~♪」
「あぅ~♪まんまぁとおそろいだどぉ♪」

俺の声に満面の笑顔で返事をするれみりゃとちびりゃ。
今の2人の恰好はいつものピンク色の洋服ではない。
紅いニット帽に紅い上下のジャンパー、紅いマフラーに紅い手袋。
これでもか、と言うくらい全身真っ赤な状態だった。

…こうして見ると、大小のダルマにしか見えんな…。
と、思ったのはれみりゃとちびりゃには内緒だ。

ちなみに、黒く可愛らしい翼はいつもと同じく服の外に出ている。
この2人が着ているジャンパーはれみりゃ種用なので、翼を外に出す部分はきちんと付いているのだ。

「よし、じゃあ行くか」
「うっう~♪ひさしぶりのおさんぽだっぞぉ~♪」
「あぅあぅ~♪れみぃのおさんぽでびゅーだっどぉ♪」

俺は玄関のドアを開ける。
そう、俺達は、今から初めての3人揃っての散歩をしようというところだった。




「しゃむいどぉぉぉぉぉぉ!!!!かちこちになるどぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

我先にと一番最初に外に飛び出したちびりゃだったが…。
外に出た瞬間叫びだした。
まあ、今は冬だしな…。
初めての外出が冬になるのは少々可哀相だが、まさか春になるまで家の中に閉じ込めておくわけにもいくまい。
防寒具もきちんと買ったしな。

「おちびちゃん!!まんまぁがす~りす~りしてあげるぞぉ!!」

一方、冬の寒さの経験があるれみりゃは動揺しない。
それどころか、ちびりゃの背中に抱きつき、暖めようとしている。
う~ん、こういう反応を素早く出来る辺り、母親らしさが板に付いてきたと言うか。
最初はどうなる事かと思ったが、あの日以来は比較的順調だと思う。

「ぼうやだぁ~~~!!!でみぃごーまがんにがえるぅ~~~!!!」
「おちびちゃ~ん!ぶーぶーまでいけばゆっくりできるぞぉ!!」

早くも弱音を上げ始めたちびりゃ。
その叫び声はすでに鼻声だ。
れみりゃはちびりゃを励まそうとするが、ちびりゃはいやいやと頭を振りながら、その場でしゃがみガードを始めてしまった。

…このしゃがみガード、やっぱ可愛いよな…。

れみりゃはなかなかやってくれないんだよなあ…。


…はっ!!
そんなことを考えてる場合ではなかった!!

「でみぃゆっぐりじだいどぉ~~~~!!!がぢごぢはいやだどぉ~~~!!!」
「おちびちゃ~ん!す~りす~りだっぞぉ!す~りす~り!」

多少強引なやり方だが仕方ない。
ちびりゃの初めての外出がゆっくり出来ないままの思い出になるのは御免だった。

「れみりゃ、ちょっとどいてくれ」
「う?おにいさん?」

俺はちびりゃの背中に抱きつきながら体を擦っているれみりゃにその場を退くように促す。
れみりゃが退いた先に見えるのは、ちびりゃの小さな背中。

「うりゃっ!!」
「あぅっ!?まんまぁ~!!?」

俺はその小さな背中を両手で持ち上げ、肩に担ぐ。
ちびりゃは突然の俺の行動に悲鳴を挙げる。
こんな状況だからいちいち許可などとってられん。
俺はちびりゃを肩に担いだまま車まで走りだした。

「れみりゃ!車まで走るぞ!」
「う!?う~!わかったぞぉ!」
「まんまぁ~!!だずげで~~!!」

ちびりゃは未だに自分がどのような状態なのか把握できていないようだった。
が、いちいち説明する時間も惜しい。
ちびりゃの声を無視して俺とれみりゃは車まで走る。




「…と、鍵は…あった!」
「ざむいどぉ~~~!!!!でみぃはぽかぽかゆっぐりじだいどぉ~~~!!!」

ちびりゃの叫び声を尻目に俺は車の鍵を開け、後部座席に担いでいたちびりゃを置く。
荷物のような扱いだが、仕方ない。
早くちびりゃを暖めてあげたかった。

「れみりゃ!今日はお前も後ろの席に乗れ!」
「りょうかいだっぞぉ!!」

れみりゃもちびりゃに続き後部座席に乗る。
その動きは、今まで何度も乗っているだけあってスムーズだった。
れみりゃが乗ったことを確認すると、俺は後部座席のドアを閉める。
そして、運転席のドアを開け、その中に入る。
車の中もやはり寒い。
早くエンジンかけないとな…。

「ざ、ざぶいどぉ…」
「す~りす~りだっぞぉ!!」

人間の俺でも寒いのだ。
初めての外出であるちびりゃにこの寒さを耐えろというのは酷だろう。
今日の外出は早まったのかもしれないな。
今更言っても仕方ないが。
俺はそんなことを考えながら、鍵を差し込み回した。



俺は寒空の中、車を走らせる。
向かう場所は公園だ。

「あぅ~♪ぽ~かぽ~かだどぉ♪ゆっくりできるどぉ~♪」
「うぁうぁ♪おちびちゃんとってもゆっくりできてるぞぉ~♪まんまぁうれしいぞぉ♪」

エンジンをかけたことで暖房も付き、車内の温度は随分上昇している。
先程まで泣き叫んでいたちびりゃも、ようやく機嫌が回復してきたようだ。
車を運転しているので見ることはできないが、恐らく満面の笑顔に戻っているだろう。

…しかし、本来の予定なら車から降りて外を歩く予定だったのだが…どうするかな。
とりあえず公園まで行くか。

「まんまぁ~♪あれなんだどぉ~?」
「う!?う~…みえなかったぞぉ…ごめんだぞぉ…」
「う~…う!?まんまぁ~♪あれはなんだどぉ~?」
「う~!?あれってどれだっぞぉ!?」

まあ、外の物に『あれ』とか言われてもわかるものではないよな。
ちびりゃの無茶振りに困っているれみりゃの声に苦笑しながら、俺はハンドルを握り直した。





「あぅ~♪ひっろいどぉ~♪」

ちびりゃが公園を見て感嘆の声を挙げる。
当然だろう、俺の家の中しか今まで知らなかったんだ。
ちびりゃには外の世界のことをもっと知ってもらいたい。

「うっう~♪れみぃはぁ♪おひさしぶりにぃ♪ぱぁ~たぱぁ~たするぞぉ♪うぁうぁ♪」

れみりゃが妊娠する前は、週末の休日に入る度にここに来ていた。
かと言って、休日しかれみりゃを外出させなかった訳ではない。
れみりゃが外出したいと言えば、平日でも俺が帰ってきた後に一緒に外出することはあった。
しかし、れみりゃに一人だけで外出させた事だけは一度もなかった。
過保護と言われるかもしれないが、それだけはしたくなかったのだ。
最近親になったとはいえ、俺から見ればれみりゃも子供と変わらない訳で。
れみりゃも外出に関しては同意してくれている。

「あぅ~♪れみぃもぱぁ~たぱぁ~たしたいどぉ~♪」
「そうだな、ちびりゃもれみりゃと一緒にぱたぱたすると良い。ゆっくり出来るぞ?」
「うっう~♪おちびちゃんといっしょにぃ♪ぱぁ~たぱぁ~たしてぇ♪いっしょにゆっくりするぞぉ♪うぁうぁ♪」
「あぅあぅ♪れみぃはまんまぁとぱぁ~たぱぁ~たするどぉ♪おにーさんもぱぁ~たぱぁ~たするどぉ♪」
「…いや、俺は出来ないから…」

今回、3人で外出した理由は3つ。

1つ目は、ちびりゃに外の世界を見てもらいたかったこと。
ずっと家の中だけで過ごすのはよろしくないとは以前から思っていた。
産まれた当初よりも体が成長してきたので、良い頃合だと思ったのだ。

2つ目は、れみりゃを久しぶりに外出させたかったこと。
れみりゃが妊娠して以来外出させたことはなかった。
ちびりゃを一人で家に置いてくる訳にもいかなかったしな。
ちびりゃが成長してきたことで、同時にこちらも可能になった。

3つ目は、これはれみりゃの要望だったのだが、ちびりゃに『ぱぁ~たぱぁ~た』…つまり、自身の翼で空を飛ぶ楽しみを知ってもらいたかったらしい。
ちびりゃくらいの体の大きさなら、家の中で飛ぶことは可能だろうが、れみりゃくらい成長すればさすがに無理がある。
そして、『ぱぁ~たぱぁ~た』は実際に見本を見せないと上手く教えることは出来ないそうだ。
さすがに俺には飛行方法の教え方のことはわからないから、そこはれみりゃの言葉を信じるしかないだろう。

と、まあこのような理由で3人で初めて外出した訳だ。
ちびりゃにも外出することの楽しみを知ってもらえれば、色々なところに連れて行けるだろうしな。

「じゃあ、車から降りるぞ。れみりゃ、ドアの開け方は覚えてるな?」
「うっう~♪とうぜんだっぞぉ~♪」
「まんまぁはぁ~♪かりしゅまでぇ~♪てんさいなんだどぉ~♪あぅあぅ♪」

…まあ、ちびりゃにツッコミを入れるのは無粋だろう。
それより、ちびりゃは外に出ても大丈夫だろうか?

「あぅ~!!しゃぶいどぉ~!!」
「おちびちゃ~ん!!す~りす~りだっぞぉ!!」

ああ、やっぱり。







「しゃ、しゃぶいどぉ…」

れみりゃと一緒に『ぱぁ~たぱぁ~た』するという目的の為に、渋々車から降りてきたちびりゃ。
が、やはり寒そうだ。
動けば暖かくなってくると思うが…早速これを使うか。
俺は持ってきたスポーツバッグの中から魔法瓶タイプの水筒を取りだす。
この水筒の中には、朝作った熱々のホットココアが入っている。
ちびりゃにはこれを飲んで体を暖めてもらいたい。

「れみりゃ、この水筒の中にぽかぽかあまあまジュースが入っている。ちびりゃにこれを飲ませてやれ」
「うっう~♪さっすがおにいさんだぞぉ~♪」
「ここを回せば開くからな」
「りょうかいだっぞぉ♪」

れみりゃは嬉しそうに俺から水筒を受け取る。

…あ…渡してから気付いたんだが…。

れみりゃは水筒を開けようとする。
が、開かない。
手袋が滑っているらしい。

「う~…」

仕方なく、れみりゃは手袋の片方を脱ぐ。

「さむいぞぉ…」
「まんまぁ~!!れみぃもしゃぶいどぉ~!!」
「う~!おちびちゃん!ぽかぽかあまあまじゅーすがここにあるぞぉ!ゆっくりまってほしいぞぉ!」
「れみぃゆっくりできないどぉ~!!」

れみりゃはちびりゃの悲鳴に慌てて水筒を開けようとする。

「う~!!」

が、開かない。
れみりゃが力を入れても水筒の蓋は回らない。

「あかないぞぉ~~!!!」

うん、俺もれみりゃに水筒を渡してから気付いた。
れみりゃでは魔法瓶の水筒を開ける為の握力足りないんじゃないか、って。

別にれみりゃの可愛く困る姿が見たかったから気付いてからも黙っていた訳じゃないぞ!
本当だぞ!
本当だからな!

「かちこちはいやだどぉ~~~!!!!」

まあ、それはともかく、早くココアを飲ませてあげないとちびりゃが可哀相だな。

「れみりゃ、俺が開けてやるから寄越せ」
「う~!!おねがいだぞぉ~!!」

うん、失敗失敗。
最初から俺が開けてやれば良かった。

「しゃぶいどぉ~~!!!」

…れみりゃはココアを零さずにちびりゃに飲ませてあげることは出来るだろうか…。


結局、ココアをカップに注ぐまでを俺はやってやることにした。






「あまあまぽかぽかだどぉ…」
「う~…よかったぞぉ…おちびちゃん…」

紆余曲折の末、何とかちびりゃにココアを飲ませてやることが出来た。
ちびりゃに関することは出来る限りれみりゃにやらせようと思っていたが…あの肉まんハンドじゃ出来ないことも多そうだな。
気を付けなければ。

「じゃあ、れみりゃ。久しぶりにお前のカリスマなぱたぱたを見せてくれないだろうか」
「う~♪れみぃのかりしゅまなぁ♪ぱぁ~たぱぁ~たをみせてあげるぞぉ♪おちびちゃんもぉ♪まんまぁのぱぁ~たぱぁ~たゆっくりみててねぇ~ん♪」
「ゆっくりりょうかいだどぉ♪」

そう言ってれみりゃは背中の黒い翼を動かし始めた。
その動きはどんどん速くなる。
そして…。

「う~!!」

れみりゃの声と共に、その体は浮き上がった。





「あぅあぅ♪まんまぁかりしゅまなぱぁ~たぱぁ~ただどぉ♪」
「ああ、そうだな」

片手にココアが入ったカップを持ちながら、ちびりゃは飛ぶれみりゃを見て喜ぶ。
俺も久しぶりに飛ぶれみりゃが見たかった。
家の中でゆっくりしているれみりゃも良いが、やはり外で自由に飛び回るれみりゃが、れみりゃの本来の姿だと思うから。

「う~♪ぱぁ~たぱぁ~ただっぞぉ♪」

2m程だろうか、ある程度の高度まで浮き上がったれみりゃは、前方へ滑空する。
飛行速度は鳥に比べれば間違いなく劣る。
しかし、そんなことはどうでもよかった。
俺の眼には、今のれみりゃがとても優雅に見えたからだ。

「う~♪」

地面に激突するギリギリの状態まで滑空した後、れみりゃは再び高度を上げる。
やれやれ、墜ちたらどうするんだ。

「まんまぁ~!しゅっごいどぉ~!!かりしゅまだどぉ~!!」

ちびりゃの声援が飛ぶ。
俺は久しぶりの飛行なので無茶なことはしてほしくはなかったのだがな。
まあ、怪我さえしないでくれれば良いや。

「う~♪」

久しぶりに飛行しているれみりゃは、本当にゆっくりしているように見えた。






「う~…おひさしぶりのぱぁ~たぱぁ~たはつかれたぞぉ…」
「まんまぁ~!!しゅごかったどぉ~~!!」
「凄かったぞ、れみりゃ」

地上に降りてきたれみりゃを、俺とちびりゃは拍手で迎える。
まあ、最初の滑空は無茶だとは思ったが、この場で口うるさく言うのは無粋だろう。
ここはあえて注意しないことにした。

「うっう~♪おにいさんもぉ♪おちびちゃんもぉ♪ありがとねぇ~ん♪」
「あぅ~♪まんまぁ~♪れみぃにもぉ♪かりしゅまなぱぁ~たぱ~たをぉ♪おしえてほしいどぉ♪」
「うっう~♪まんまぁにおまかせだっぞぉ♪」

れみりゃは再び黒い翼を動かし始める。

「おちびちゃ~ん♪おちびちゃんのぉ♪かわいいおはねをぉ♪こうやってぱぁ~たぱぁ~たしてねぇ~ん♪」

そんな説明で大丈夫か?

「ゆっくりりょうかいだどぉ♪う~…う~…まんまぁ~!できないどぉ~!」

…一番良い説明で頼む。
というか、今の説明で良いなら家の中で出来ただろ。

「う~…こうやってぱぁ~たぱぁ~たしてねぇ~ん♪」

れみりゃはちびりゃの背中の黒い翼をふくよかな手で動かしてやる。

「ぱぁ~たぱぁ~た♪だっぞぉ♪」
「ぱぁ~たぱぁ~た♪だどぉ♪」
「ぱぁ~たぱぁ~た♪」
「ぱぁ~たぱぁ~た♪」

れみりゃはちびりゃの翼から手を離す。
お、それでもちびりゃの翼が動いているか。
これは…行けるか?

「ぱぁ~たぱぁ~た♪」
「ぱぁ~たぱぁ~た♪」

ちびりゃの翼を動かす速度がどんどん速くなる。
そして…。

「う~!!」

ちびりゃの体が浮いた。

…10cm程ではあるが…確かに浮いた。

「凄いぞ!ちびりゃ!」
「う~!!う~!!」

ちびりゃは精一杯翼を動かしている。

「おちびちゃん!!そのまま!そのままぱぁ~たぱぁ~たしつづけるんだぞぉ!!」

れみりゃもいつの間にかその体を滞空させている。

「頑張れ!ちびりゃ!」

俺もちびりゃに声援を送る。

「う~!!う~!!う~…!!」

ちびりゃはさらに高度を上げる。
大体30cmくらいか。
ちびりゃは自身の翼で浮き上がることが出来た。

「ちゅかれてきたどぉ…」
「おちびちゃ~ん♪おはねをゆっくりぱぁ~たぱぁ~たしたままにしてねぇ~ん♪」

ん?
れみりゃがちびりゃの両腕を掴んだ。
2人は空中で向かい合う形になる。
一体何をする気だ?

「いっくぞぉ~!!」
「う~!?」

ちびりゃが驚きの声を挙げる。
急に自身の体の高度が上がったからだ。
勿論、それをやったのはれみりゃだ。

大体2mくらいの高度まで上がったれみりゃとちびりゃ。

「おちびちゃ~ん♪おててをまんまぁからはなさないでねぇ~ん♪」
「う?まんまぁ~?…あぅっ!?」

2人の体が横に動く。
ちびりゃの前方へ、れみりゃの後方へ。
動かしているのは、言うまでもなくれみりゃだろう。

「ぱぁ~たぱぁ~た♪だっぞぉ♪」
「ぱぁ~たぱぁ~た♪だどぉ♪」

2人は嬉しそうに「ぱぁ~たぱぁ~た♪」と口ずさみながら飛び続けている。

「おちびちゃ~ん♪ぱぁ~たぱぁ~たはゆっくりできる~?」
「あぅ~♪ぱぁ~たぱぁ~たはぁ♪とってもゆっくりできるどぉ♪」

喜び合う親子。
俺はその姿を、2人が降りてくるまで見つめ続けていた。






「お疲れさん、れみりゃ、ちびりゃ」
「うっう~♪ありがとうだぞぉ~♪」
「あぅ~♪とってもゆっくりできたどぉ♪」

地面に降りてきたれみりゃとちびりゃ。
素晴らしい物を見せてもらえたな。
よし、昼飯は少々豪勢に行くか。

「よし、2人とも。パフェでも食べに行くか!!」
「うぁ♪あまあまぱふぇもおひさしぶりなんだぞぉ~!!」
「ぱふぇってなんだどぉ~?」

両手を上げて喜ぶれみりゃに、パフェのことがわからないちびりゃ。
とりあえず簡単に説明してやるか。

「パフェってのは家で食べるプリンよりとってもあまあまなんだぞ?」
「ぱふぇはとってもゆっくりできるんだぞぉ~♪」
「あぅ~♪れみぃもぱふぇたべたいんだどぉ~♪」

喜ぶちびりゃ。
後は実際に確かめてもらうとするかな。

「よし、じゃあ寒いしさっさと行こうか」
「「ゆっくりりょうかいだっぞぉ♪(だっどぉ♪)」」

俺達は車に乗り込む。
3人揃っての初めての外食をする為に。

「じゃあ行くぞ?」
「しゅっぱぁ~っつ♪だっぞぉ♪」
「だっどぉ♪」

俺は車を走らせるべくエンジンをかけた。








その夜

「あぅ~!!ぱぁ~たぱぁ~たできないどぉ~!!」
「おちびちゃ~ん!!おちつくんだぞぉ~!!」
「うぁ~~~ん!!れみぃぱぁ~たぱぁ~たしたいどぉ~~~!!!」

家の中で叫ぶれみりゃとちびりゃ。
滞空の練習くらいは家の中でも出来るんじゃないか?と2人に提案したところ、早速始めることにしたらしい。
…で、結果が…。

「あぅ~!!とべないどぉ~!!どうしてぇ~~!!!」

ちびりゃが飛べなくなってしまったのだ。

「おちびちゃ~ん!もういちどだっぞぉ!!」

れみりゃは必死にちびりゃを励ます。
が、今日はちびりゃはもう飛べないだろうと俺は思っていた。
何故なら…

「あぅ~!!なんだかおもいどぉ~!!!」

ちびりゃは調子に乗って一人でパフェを食べてしまった。
れみりゃでさえもてこずる大きさのパフェを。
まだ体が小さいちびりゃが一人で。

産まれた当初は全然食べられなかったのだから、量を食べられるようになったのは喜ぶべきことなんだろうが。
いくら育ち盛りだと言ってもなあ。
と言っても、提案した当初はまさか飛べなくなるほど体が重くなっているとは思わなかった。
こうなるのなら、飛ぶ練習の提案は明日にすれば良かったな…。

「あぅ~~!!!!ぱぁ~たぱぁ~たしたいどぉ~~~!!!」
「おちびちゃ~~~ん!!まんまぁが…うっ!?おもいぞぉ…」
「まんまぁ~~~~!!!ひどいどぉ~~~~~!!!!」

れみりゃがちびりゃの体を持ち上げて飛ぼうとしたが、無理だったらしい。
それどころか『重い』とはっきり言ってしまった。
カリスマを目指しているちびりゃにとっては非常にショックを受けただろう。

「でみぃおもぐないも~~~~~~ん!!!!!!」
「おちびちゃ~ん!!ごめんごめんだぞぉ~~~!!!」

涙を流しながら怒るちびりゃに必死に謝るれみりゃ。
仲良く飛んでいた2人がなんだか懐かしく思えた。

「でみぃはぁぁぁ!!!ぶどまじぐないもぉぉぉぉぉん!!!!」
「ごめんごめんだぞぉぉぉぉぉ!!!!!おちびちゃぁぁぁぁぁん!!!!ゆるしてぇぇぇぇぇ!!!!!」

…こりゃ、来週はダイエットかな。
俺は予定表の来週の日曜日の箇所に『ちびりゃのダイエット』と書き入れた。




後書
いつの間にか今回で15作目。
ここまで来れたのも、皆さんのおかげです。
特に、皆さんが書いてくださる感想には非常にゆっくりさせていただいております。
これからも皆さんを少しでもゆっくりさせられるように頑張りますのでよろしくお願いします。


  • このシリーズのファンになりました。
    とても素敵なお話ですね。
    お兄さんが羨ましいです・・・
    -- 名無しさん (2011-01-14 13:27:34)

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最終更新:2012年09月10日 20:49