れみりゃ達のおねだり-1

※この作品はれみりゃとお兄さんシリーズの世界観です
※設定も準拠しております
※非常に短いです
※どちらの選択肢を選んでも後味は悪くならない…はずです






よろしければどうぞ









れみりゃ達のおねだり









今日も今日とて仕事が終わって自宅へ帰る俺。
れみりゃ親子に一秒でも早く会うべく素早く玄関の扉を開ける。

「ただいま~!」
「おかえりだぞぉ♪」
「だっどぉ♪」

ん?
れみりゃとちびりゃが玄関で出迎えてくれている?
珍しい事もあったもんだ。
れみりゃが妊娠して以来、いつの間にかそういう習慣がなくなってしまっていたのだ。

「あぅ~♪あぅ~♪」

なんだ?
ちびりゃが身体を摺り寄せてくるんだけど。
可愛いんだが…なんか変な感じだ。

「おかばんはれみぃがもつぞぉ♪」
「…は?」

れみりゃがニコニコしながら俺の方へ両手を伸ばす。
『おかばん』…言うまでもなく鞄の事だ。
れみりゃが俺の鞄を持ってくれる?
そんなことを俺は頼んだことはないんだが…。
とりあえず断るのもどうかと思ったので、素直にれみりゃに鞄を差し出す。

「う!う~…♪おかばんはれみぃがあずかったぞぉ♪」

れみりゃの肉まんアームでは俺の鞄は重いだろうに。
無理に笑顔を作ってやがる。
れみりゃが俺の手伝いをしてくれるのは有難いんだが…。
突然過ぎて変だ。

「あぅ~♪あぅ~♪」

こっちはこっちでおかしいし。
こいつはそこまで俺に甘えてくるような奴ではなかったはずだ。
親であるれみりゃに甘えるように仕向けたのだからな。

おかしい。
おかしすぎる。

…とりあえず玄関で考えていても仕方ない。
中に入るか。

「ほら、ちびりゃ、中に入るぞ」
「あぅ~♪」

俺はちびりゃの身体を両手で持ち上げ、靴を脱いで部屋の中に入る。
あ~…やっぱ我が家の肉まん達は暖かいわ。

「あぅ~♪だっこはゆっくりできるどぉ♪」

俺の腕の中できゃっきゃと喜ぶちびりゃ。
たまには甘えられるのも悪くないな。




居間に入った俺達。
とりあえず床に座る。
ああ、疲れた。

「ねぇねぇ♪」
「…ん?」
「れみぃにおてつだいできることないかなぁ♪」

れみりゃがニコニコ笑いながら話しかけてきた。
お手伝い?
何を言ってるんだ?

こんなこと言われたの初めてだから少しの間呆然としてしまった。
とりあえず何かないか考えてみる。

…う~ん。
風呂掃除でもさせてみるか?
れみりゃに出来るだろうか?
まあ、本人(本ゆっくり?)がやりたいって言ってるからやらせてみるか。
そんなに難しいことではないしな。

「よし、れみりゃ。じゃあ風呂掃除でもやってみるか?」
「うっう~♪どんとこいだぞぉ♪」
「まんまぁ♪ふぁいといっぱつだどぉ♪」

そんな言葉何処で覚えたんだちびりゃよ。
姉貴か?姉貴なのか?



「…で、スポンジにこの洗剤付けて、この風呂桶の中と床にこうやって泡をつけて最後にシャワーから湯を出して洗い流すんだ。わかったか?」
「うっう~♪れみぃにおまかせだぞぉ♪」

なんだかよくわからないが自信満々のれみりゃ。
得意そうに柔らかそうな肉まんハンドで自身の胸をぽんと叩いてる。
多分根拠はないだろう。

…やっぱ不安だ。
だけどいつまでもそんなこと言っていたられみりゃは何も出来やしない。
ここは一丁やらせてみるか。

「じゃあれみりゃ。頼むぞ」
「せいれんせんにのったつもりでいてねぇ~ん♪」

…それは安心しても良いのだろうか?
どこかのドジっ子の虎を連想させるようなドジをやらかさないか逆に不安になってしまった俺であった。


約5分後…

「うぁ~!!おにいざんだずげでぇ~!!」
「あぅ!?」
「…やれやれ」

予想通りだ。
何をドジったのかはわからないが。

俺とちびりゃが風呂場に行くと、全身びしょ濡れになっているれみりゃの姿があった。

「うぁ~…びしょびしょだぞぉ…」

床を見るとシャワーが出しっぱなし。
床や風呂桶に疎らではあるが一通り泡は付いているので、まあ及第点か。

「れみりゃ、後は俺がやるから風邪ひく前に着替えてこい」
「う~…りょうかいだぞぉ…」

れみりゃは肩を落としながら風呂場を出て行く。
ちびりゃもその後に着いて行った。

恐らくれみりゃの肉まんハンドではシャワーの水圧を制御しきれなかったのだろう。
よく考えてみれば、普段はシャワーを使わないからな…。
ちょいと俺も配慮不足だったかもしれんな。
俺はそんなことを考えながられみりゃの後始末を始めた。


「う~…」
「あぅ~…」

風呂掃除を終わって居間に戻ってみると、新しい服に着替え終わったれみりゃとちびりゃが落ち込んでいた。
さっきのミスが原因なんだろうが…。

「れみりゃ、何も落ち込むことはないぞ?お前は俺の仕事を手伝ってくれたじゃないか」
「う~…でもでもぉ…」

れみりゃはそれでも納得がいかないらしい。
う~む…普段は自分から積極的に手伝いを申し出る奴ではないのだが…。
俺の言うことは素直に聞いてくれるんだけどな。

…ん?
ちびりゃが何か紙を持ってる。
何だ?

「なあ、ちびりゃ。それ何だ?」
「あぅ!?」

ちびりゃはさっと手に持っている紙を背中の後ろに隠す。
いや、その仕草も可愛いけど…隠し事されるのは少し悲しいな。
といっても無理矢理見る理由もないんだよな。
とりあえずダメ元で頼んでみるか。

「なあ、ちびりゃ。俺にもそれ見せてくれないか?」
「あぅ…」
「う~…おちびちゃん…」

う~ん、やっぱり困ってる様子だ。
仕方ない、どうしても隠したいって言うのなら…。

「あぅ…これだどぉ…」

ん?
ちびりゃが持っていた紙を差し出してきた。
見せてくれるのか。

「ありがとな、ちびりゃ」
「あぅ~♪」

帽子の上から頭を撫でてやる。
んで、これは…何だ、おもちゃ屋のチラシか。
何でこんなもん隠していたんだ?

「なあお前達、このチラシがどうかしたのか?」
「う~…」
「あぅ~…」

言いにくそうなれみりゃとちびりゃ。
何なんだ一体。

「そのかみみせてほしいんだぞぉ…」
「ん?ああ、わかった」

俺はれみりゃにチラシを手渡す。
そして、れみりゃはある部分を指差しながらチラシを俺に見せてくる。

これは…『れみりゃ専用 カリスマ☆グングニル』…だって?
価格は…うわ、5980円もするのか。
おもちゃにしては結構高いな。
でも高価なだけあって見た目は本格的だな。

にしても…手伝いを申し出たのはそういう訳だったのか。
こいつらもそういうこと考えるようになったんだなあ。
なんだか成長を感じる。

「う~…」
「あぅ~…」

れみりゃとちびりゃが俺に嘆願の眼差しを向ける。
無駄な出費は出来れば避けたかったのだが…。
う~ん…。


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最終更新:2011年03月22日 00:22