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無限桃花~Going for~ - (2010/03/11 (木) 16:16:30) の編集履歴(バックアップ)


無限桃花~Going for~


「飛行機が撃墜!?」
 理子の最初の報告に桃花は驚愕する。
「そぉなんですよ!パイロットは炎の壁を見たって最後に‥‥。そんな事出来る寄生聞いた事ないですよ!」
「それで‥‥‥。場所は?」

 黒丸と理子はモニターを開き、寄生監視ネットワークの状態を見せた。
 寄生を表す赤い点は、青森県むつ市、恐山周辺へ集まっている。

「桃花さん。我々はすぐにでも移動したい。だがその前にRF4を撃墜した寄生の事が知りたいんです。そんな奴が居るのにおいそれとは近づけませんから。影糾の仕業ですか?」
「いいえ‥‥違うと思います‥‥。彼方は炎を操れない」
「ふむ‥‥‥。強力な炎使いはあの妖狐くらいしか居ないと。しかし、悪世巣は桃花さんに始末された。となると一体‥‥」
「悪世巣は生きてます」
「えっ‥‥。なんですって!?」
「殺せなかったんです。あの時は‥‥。悪世巣は天狐‥‥。強すぎたんです。斬りはしたけど、命までは奪えなかった‥‥」
「じゃあ撃墜は悪世巣が?」
「いいえ、殺せなかったけど、悪世巣の寄生は殺せたんです。もう彼方の配下じゃない」
「なるほど。つまり影糾の下にはまだ、悪世巣と同等かそれ以上の寄生が居ると」
「ええ。おそらく‥‥」
「弱ったな‥‥」

 黒丸は眉間のシワを深くする。近づけないのでは意味がない。

「昌さん。多分‥‥多分なんですけど、私が行く分には大丈夫だと思います」
「‥‥‥なぜですか?」
「影糾は、いえ、彼方は私と会いたがってる」
「感じるんですね」
「ええ」

 その後の黒丸の決断は早かった。すぐさま電話をとり、屋上のヘリポートに輸送ヘリを呼び付けた。
 元より行くしかないと、黒丸も解っていたのだ。

「桃花さん。近くまで自衛隊のヘリで行けます。着陸はムリですから降下してもらうしかない。大丈夫ですか?」
「もちろん。地下深くまで落下しても平気でしたから」
「ははは。そうでしたね。余計な心配でした。では準備して下さい。すぐに迎えがきますよ。理子!屋上まで連れてってやれ!」
「またあの階段登るんですかぁ?まぁいいや。さ、準備してください桃花さん」

 彼方が呼んでいる。桃花はそう感じている。
 桃花もまた、彼方へとメッセージを送っているのだ。もうすぐ会えるよ、と。
 準備と言える準備は必要ない。
 村正だけあれば事足りる。全て終わらせるのだ。

「さて、行きましょ理子さん」
「早っ!もういいんですか?」
「ええ」
「じゃあ‥‥。あのクソ長い階段をまたのぼりましょうか」
「はい!」
「なんでこの娘元気なの‥‥?」

 屋上では既にヘリが待機していた。一見すると民間ヘリだが、パイロットは特命を受けた自衛隊員である。
 桃花はヘリの固いシートに腰を降ろし、パイロットの指示に従いシートベルトを装着した。あとは飛び立つだけだ。

「桃花さん、あの馬鹿みたいにあんまり無茶しないで下さいよ」
「誰が馬鹿だって?」
「ぎゃあ!先輩!」
「昌さん。どうしたんですか?」
「どうしたも何も、私も行きますよ。桃花さん一人になんでも押し付ける訳にはいかない」
「ちょっと先輩。まさか‥‥‥」
「安心しろって。有休貯まってるからしばらく空けても大丈夫さ」
「そういう意味じゃない!」
「だから大丈夫だ。新しい武器も手に入ったばかりだ。ヤバそうなら逃げるさ。そこまで馬鹿じゃない」
「どうだか‥‥‥。まったくこの男は!解りました。私も有休取る!私も行く!」
「そう言うと思ってお前の分のMP5も用意してたぞ」
「‥‥え?」
「俺の部下だ。無茶するのは解ってる。お前も十分馬鹿だよ」
「‥‥‥アンタにゃ負けるよ」

 桃花達を乗せたヘリはローターの回転を増し、ゆっくりと浮上した。
 向かう先は恐山のふもと、宇曽利湖へ現れた天神の細道。

 桃花達が発った頃、宇曽利湖では彼方が闇の軍隊を呼び出す為の儀式を続けていた。
 集められた寄生達は次々と宇曽利湖へ入り、その体と霊を彼方へと捧げる。数千もの寄生は全て、取り付いた人間を生贄へ捧げる為に集まったのだ。
 彼方は天神の細道の頂点で小躍りしながら、桃花の到着を待つ。
 もうすぐここへ来るだろう。儀式はそれまでには終わる。
 あとは桃花と決着を付け、そして侵攻を開始するのだ。

「クスクスクス‥‥。姉さん。もうすぐだね。何年ぶりかな?早く会いたいよ、姉さん。クスクスクス‥‥」


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