無限桃花~I am your sickness~
「なんだって?もう一度頼む」
「だから今、防衛省から連絡来たんですよ!自衛隊の飛行機が墜落したって!撃墜されたんですよ先輩!」
「連中は飛行機も攻撃出来るのか‥‥?冗談だろ‥‥」
「だから今、防衛省から連絡来たんですよ!自衛隊の飛行機が墜落したって!撃墜されたんですよ先輩!」
「連中は飛行機も攻撃出来るのか‥‥?冗談だろ‥‥」
そのニュースは即座に三沢基地から防衛省、そして黒丸達へ伝えられた。
今は聞きたく無かったニュースだ。ほんの数時間前から、黒丸達が監視する寄生達は一斉に移動を開始したのだから。
今は聞きたく無かったニュースだ。ほんの数時間前から、黒丸達が監視する寄生達は一斉に移動を開始したのだから。
「‥‥防衛省は何て?」
「表向きは事故にするって‥‥。飛行機一機消えたのは隠せませんから。あと、落とされたパイロットが宇曽利湖に山が出現したと‥‥最後に」
「宇曽利湖‥‥‥。恐山だな。寄生が集結している場所だ。」
「タイミング良すぎませんか、コレって‥‥」「ああ‥‥‥これは宣戦布告かもな。対決の準備が出来たのかもしれん」
「でもおかしいと思うんですけど‥‥」
「何故だ理子?」
「戦闘準備が出来たなら、なんで電撃作戦をとらないんだろうって‥‥。だから、この自衛隊機撃墜は多分‥‥‥」
「桃花さん、だろ?」
「ええ。影糾は多分、先に桃花さんと決着を付けたい。今まで刺客を送り続けていたけど失敗してた。だけど、もう軍隊を呼び出す準備が出来てしまった」
「影糾と婆盆が直接、桃花さんと戦う準備が出来た。だから呼び出したんだ。宇曽利湖で飛行機を撃墜して」
「そう考えると‥‥‥今まで現れた寄生は全部時間稼ぎなのかも知れませんね」
「そういう意図もあったろうな。あわよくば始末してしまおうという考えだろう」
「桃花さんはどちらに?」
「さぁ?お前探してこい。俺はちょいとやる事がある」
「今度は何する気ですか‥‥?」
「安心しろ。今までに比べりゃマシな事だ。」
「この馬鹿は‥‥‥‥。まぁいいや、桃花さん探して来ます」
「ああ、頼む」
「表向きは事故にするって‥‥。飛行機一機消えたのは隠せませんから。あと、落とされたパイロットが宇曽利湖に山が出現したと‥‥最後に」
「宇曽利湖‥‥‥。恐山だな。寄生が集結している場所だ。」
「タイミング良すぎませんか、コレって‥‥」「ああ‥‥‥これは宣戦布告かもな。対決の準備が出来たのかもしれん」
「でもおかしいと思うんですけど‥‥」
「何故だ理子?」
「戦闘準備が出来たなら、なんで電撃作戦をとらないんだろうって‥‥。だから、この自衛隊機撃墜は多分‥‥‥」
「桃花さん、だろ?」
「ええ。影糾は多分、先に桃花さんと決着を付けたい。今まで刺客を送り続けていたけど失敗してた。だけど、もう軍隊を呼び出す準備が出来てしまった」
「影糾と婆盆が直接、桃花さんと戦う準備が出来た。だから呼び出したんだ。宇曽利湖で飛行機を撃墜して」
「そう考えると‥‥‥今まで現れた寄生は全部時間稼ぎなのかも知れませんね」
「そういう意図もあったろうな。あわよくば始末してしまおうという考えだろう」
「桃花さんはどちらに?」
「さぁ?お前探してこい。俺はちょいとやる事がある」
「今度は何する気ですか‥‥?」
「安心しろ。今までに比べりゃマシな事だ。」
「この馬鹿は‥‥‥‥。まぁいいや、桃花さん探して来ます」
「ああ、頼む」
風が吹く。もう二月も終わりだ。冷たい風は暖かくなり始めた。
思えばこの一ヶ月と少しは激動だった。
いつも通り寄生を狩り続け、ある日現れた黒丸という男。彼に告げられた寄生を滅ぼす力の秘密と、その秘密を奪った悪世巣という妖狐。
宝剣を持つ鬼と、そして現れた、かつて闇の天神と戦ったもう一人の天神。いや、天神と呼ぶのは正確では無いだろう。彼女はもともと、ただの人間に過ぎないのだから。
彼女は、影糾と千年戦い続けた。そして、決着をつけるべく影糾と共にこの世へ現れた。
桃花へ天神の宿命を託して。
思えばこの一ヶ月と少しは激動だった。
いつも通り寄生を狩り続け、ある日現れた黒丸という男。彼に告げられた寄生を滅ぼす力の秘密と、その秘密を奪った悪世巣という妖狐。
宝剣を持つ鬼と、そして現れた、かつて闇の天神と戦ったもう一人の天神。いや、天神と呼ぶのは正確では無いだろう。彼女はもともと、ただの人間に過ぎないのだから。
彼女は、影糾と千年戦い続けた。そして、決着をつけるべく影糾と共にこの世へ現れた。
桃花へ天神の宿命を託して。
「‥‥‥気付いてる?」
(もちろん。彼方もとうとう覚悟決めたみたいや。感じるわ。寄生達が集結しとる。全員いい霊を持つ人間ばかりや。これなら魔道から悪魔を呼び出すエサには十分やろうな)
「‥‥‥手遅れだったね」
(しゃあない。彼等は生贄から逃れられん。残念やけどな。腹はくくってるんやろ?彼方を‥‥‥斬る覚悟は出来てるんやろ?)
「‥‥‥うん」
(影糾は彼方が生まれた時からいろいろ吹き込んでるはずや。千年前の戦いも、自身の目的も、現代での敵がだれかも。ホントやったら彼方として成長するはずの魂は、もう半分は影糾や。転生を先読み出来たからええけど‥‥‥)
「私は‥‥‥影糾を止める為に生まれたんだよね?」
(‥‥‥そうや)
「彼方は‥‥‥千年前の怨みを晴らす為に‥‥‥」
(そうや。影糾は‥‥)
「違う」
(‥‥違う?)
「私にとっては‥‥‥彼方は彼方なの。絶対に変わらない。十年前に別れたっきりの‥‥たった一人の妹。多分、彼方もそう思ってる」
(感じるんか?)
「‥‥うん」
(そうか。影糾も、完全に影糾として育つ事は出来なかったんやろな‥‥‥)
「だから、私にとっては影糾とあなたの事も、どうでもいいの。ただ‥‥彼方に会いたい」
(‥‥‥すまんな。ホント言うと悩んでたんや。桃花ではなく、最初から私が表に出てしまえば良かったって。なら、桃花は居ないが、こんな苦労させる事も無かったん違うんか?って‥‥)
「それも嫌だな‥。それにルール違反なんでしょ?」
(もちろん。彼方もとうとう覚悟決めたみたいや。感じるわ。寄生達が集結しとる。全員いい霊を持つ人間ばかりや。これなら魔道から悪魔を呼び出すエサには十分やろうな)
「‥‥‥手遅れだったね」
(しゃあない。彼等は生贄から逃れられん。残念やけどな。腹はくくってるんやろ?彼方を‥‥‥斬る覚悟は出来てるんやろ?)
「‥‥‥うん」
(影糾は彼方が生まれた時からいろいろ吹き込んでるはずや。千年前の戦いも、自身の目的も、現代での敵がだれかも。ホントやったら彼方として成長するはずの魂は、もう半分は影糾や。転生を先読み出来たからええけど‥‥‥)
「私は‥‥‥影糾を止める為に生まれたんだよね?」
(‥‥‥そうや)
「彼方は‥‥‥千年前の怨みを晴らす為に‥‥‥」
(そうや。影糾は‥‥)
「違う」
(‥‥違う?)
「私にとっては‥‥‥彼方は彼方なの。絶対に変わらない。十年前に別れたっきりの‥‥たった一人の妹。多分、彼方もそう思ってる」
(感じるんか?)
「‥‥うん」
(そうか。影糾も、完全に影糾として育つ事は出来なかったんやろな‥‥‥)
「だから、私にとっては影糾とあなたの事も、どうでもいいの。ただ‥‥彼方に会いたい」
(‥‥‥すまんな。ホント言うと悩んでたんや。桃花ではなく、最初から私が表に出てしまえば良かったって。なら、桃花は居ないが、こんな苦労させる事も無かったん違うんか?って‥‥)
「それも嫌だな‥。それにルール違反なんでしょ?」
(いいやんか!アイツだって同じ事してるんや!止めないと日本が無くなってまう。日本だけやない。世界中のパワーバランスが崩れる。そしたら文明が崩壊してまうで)
「でも‥‥あなたは私として生きる事を選んだんでしょ?新たな人間として」
(そうやで。桃花はそれで良かったんか?)
「わかんない。でも‥‥これでいいんじゃない?これが宿命って奴なんでしょ?」
(‥‥腹くくってるんやったな)
「うん。ちゃんと解ってる。私は‥‥‥彼方を殺す為に生まれたって‥‥」
(すまんな。ホンマに‥‥‥。さてと、もう時間や。誰かこっち来てるっぽいわ。‥‥‥また理子かいな。せわしない女やで)
「確かにね。でもそれが理子さんのいいトコなの」
(現代のそーいうトコだけは今だに理解できんわ。私なんてモテてモテてしゃあない程で‥‥‥)
「ウソだよね?」
(あらら。ばれた。でも一途やったで。これはホント)
「それは知ってる」
(ははは。そうか。じゃあまた聞きたい事あったら呼びなさい。いつでも出てくるから)
「うん」
(‥‥昔の影糾の事、聞かなくてええんか?)
「うん。だって彼方は彼方だから」
(そうか。でもいずれは知る事にはなるで?)「彼方に会ったら、その時に聞くよ」
(なるほどな。じゃあまたな。理子が階段でくたばっとるで。迎えにいったって)
「ははは。屋上までエレベーターついてないもんね。じゃあ今行くよ」
(ほなまたな)
「うん」
「でも‥‥あなたは私として生きる事を選んだんでしょ?新たな人間として」
(そうやで。桃花はそれで良かったんか?)
「わかんない。でも‥‥これでいいんじゃない?これが宿命って奴なんでしょ?」
(‥‥腹くくってるんやったな)
「うん。ちゃんと解ってる。私は‥‥‥彼方を殺す為に生まれたって‥‥」
(すまんな。ホンマに‥‥‥。さてと、もう時間や。誰かこっち来てるっぽいわ。‥‥‥また理子かいな。せわしない女やで)
「確かにね。でもそれが理子さんのいいトコなの」
(現代のそーいうトコだけは今だに理解できんわ。私なんてモテてモテてしゃあない程で‥‥‥)
「ウソだよね?」
(あらら。ばれた。でも一途やったで。これはホント)
「それは知ってる」
(ははは。そうか。じゃあまた聞きたい事あったら呼びなさい。いつでも出てくるから)
「うん」
(‥‥昔の影糾の事、聞かなくてええんか?)
「うん。だって彼方は彼方だから」
(そうか。でもいずれは知る事にはなるで?)「彼方に会ったら、その時に聞くよ」
(なるほどな。じゃあまたな。理子が階段でくたばっとるで。迎えにいったって)
「ははは。屋上までエレベーターついてないもんね。じゃあ今行くよ」
(ほなまたな)
「うん」
桃花は目を開ける。青い空が見えた。
思わず見入ってしまうほどの空。果てなど存在しないのではないかと錯覚する。しばらく眺めていたいが、今頃、屋上へ続く階段の途中で理子がくじけてるだろう。
桃花は踵を帰し、非常口へと歩きだす。黒丸達がなぜ桃花を探しているのか理由は解っている。
思わず見入ってしまうほどの空。果てなど存在しないのではないかと錯覚する。しばらく眺めていたいが、今頃、屋上へ続く階段の途中で理子がくじけてるだろう。
桃花は踵を帰し、非常口へと歩きだす。黒丸達がなぜ桃花を探しているのか理由は解っている。
戦う時が来たのだ。