それは巨大な球体だった
投稿日時:2011/01/18(火) 01:34:25
ふと見上げれば、それは巨大な球体だった。目が眩む程に輝き、深夜の空を昼のように照らし、そこに在った。
無限桃花はそれを見上げて、手で視界を塞ぎ目を守った。
無限桃花はそれを見上げて、手で視界を塞ぎ目を守った。
「これは……一体!?」
彼女は非常こと常と言う生き方をしてきたが、これほど不可解な事は無かったようだ。その球体はだんだんと大きくなり、すべてを飲み込もうという程に膨れ上がる。
しかし、しばらくするとそれは巨大化したのではなく、こちらに迫って来ていたのだと桃花は気付いた。そして、それは球体ではなく、自身をすっぽり覆うほどの円柱だとも気付いた。
やがで、その光の柱は桃花を包み込む。
抵抗はしなかった。しようもなかったのだ。目が眩み、ほんの一瞬で、桃花は光に飲み込まれたのだ。
そこからでも遅くはない。そう思って、地面を蹴り跳躍し、脱出しようと試みる。が、足は地面ではなく空を蹴った。
浮いていた――
しかし、しばらくするとそれは巨大化したのではなく、こちらに迫って来ていたのだと桃花は気付いた。そして、それは球体ではなく、自身をすっぽり覆うほどの円柱だとも気付いた。
やがで、その光の柱は桃花を包み込む。
抵抗はしなかった。しようもなかったのだ。目が眩み、ほんの一瞬で、桃花は光に飲み込まれたのだ。
そこからでも遅くはない。そう思って、地面を蹴り跳躍し、脱出しようと試みる。が、足は地面ではなく空を蹴った。
浮いていた――
※ ※ ※
「ちょろちょろ付き纏わないで」
彼女はそう言った。
人気のない路地裏で、背後から漂う気配を察知し、それに向かって言ったのだ。大分前から尾行されている事は知っていたが、あえて歩き回り、人気のない路地裏まで誘いこんだのだ。
人気のない路地裏で、背後から漂う気配を察知し、それに向かって言ったのだ。大分前から尾行されている事は知っていたが、あえて歩き回り、人気のない路地裏まで誘いこんだのだ。
「顔出しなさい」
そういって振り返る。藍色の髪は螺旋を描き、彼女の身体の周囲を舞う。
無限彼方は、明らかに怒りの表情を浮かべて背後に居る者に向かった。
無限彼方は、明らかに怒りの表情を浮かべて背後に居る者に向かった。
「何者? 返答次第じゃ、今たたきのめしてやるけど」
するり、と、電信柱の陰から、これでもかという程に怪しい男が現れる。黒いコート。黒いハット。黒いブーツに、黒いパンツ。
輝きの無い目で、その男は一枚の手紙のような物を取り出した――。
輝きの無い目で、その男は一枚の手紙のような物を取り出した――。
※ ※ ※
『SSP! SSP!』
観客が喚く。ラスベガスに作られたリングで、いままさに始まるであろう闘いを待っている。
それはまさしく、地上で誰が一番強い者の一人か。それを決める闘いでもある。
観客のボルテージは最高潮だった。そして、舞台や客席が暗転し、リングアナのコールが始まる。
それはまさしく、地上で誰が一番強い者の一人か。それを決める闘いでもある。
観客のボルテージは最高潮だった。そして、舞台や客席が暗転し、リングアナのコールが始まる。
『……――Red corner!! I.P.W.C HeavyWeight……」
客は喚いた。間もなく、そこに現れるはずの、『世界最強の男』を見ようと、血をたぎらせた。
『……Champion!! of the World……!!』
次の瞬間、入場曲が激しく鳴り響く。そして、ゲートが開けられ、大量のスモークが弾け出る。
『Super! StrongPants Machine!!!!』
解除はさらに燃え上がる。そして、コールは怒号の如く吹きだした。
『SSP! SSP! SSP! SSP!!』
しかしこの日、彼が入場する事は無かった。
たった一枚の手紙を残して、忽然と消えてしまったのだ。
たった一枚の手紙を残して、忽然と消えてしまったのだ。
『本当に俺が最強だという事を証明して来る』
ただそれだけを残して――
※ ※ ※
「やっぱ来たんずな……」
「わかっておられたはず」
「んだんだ」
「既に、あの三人は会場へと向かっています」
「んだな……」
「どうされますか? もし辞退なさっても、リザーバーは十分に確保してありますが」
「かーっ……ぺっ」
「わかっておられたはず」
「んだんだ」
「既に、あの三人は会場へと向かっています」
「んだな……」
「どうされますか? もし辞退なさっても、リザーバーは十分に確保してありますが」
「かーっ……ぺっ」
その男は立ち上がり、なぜか裸の背中を見せ付けた。そこにはある文字がかかれている。
本人すら知らぬ間に鬼の背中を手に入れ、常時サルマタ一枚である事を義務付けられた彼は、クッションの敷かれた簡素にして健郎なベンチに片膝と片手を乗せ、床におかれたダンベルを握る。
本人すら知らぬ間に鬼の背中を手に入れ、常時サルマタ一枚である事を義務付けられた彼は、クッションの敷かれた簡素にして健郎なベンチに片膝と片手を乗せ、床におかれたダンベルを握る。
「帰れじゃ。ワンハンドローイングのジャマだはんで」
「では辞退なさるので?」
「……いや、紹介状は置いていがんがや。例の三人を始末するのは、わだ」
「では辞退なさるので?」
「……いや、紹介状は置いていがんがや。例の三人を始末するのは、わだ」
直後、二十五キロのダンベルがゆっくり上下する。重量より効かせ重視での挙動だった。
そして、彼の目の前には一枚の手紙がおかれて居る。
そして、彼の目の前には一枚の手紙がおかれて居る。
「んだなんだな。いいんでねがぁ? ふたつけでまるはんで」
貴様等の命など、俺の手の平の上だと思い知らせてやろう――。