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ガンダム総合スレ「爆光に双子座は煌めく:2」

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爆光に双子座は煌めく:2



181 :爆光に双子座は煌めく 2:2011/03/16(水) 11:41:49.25 ID:jwEPw7H6

《上方、敵機! 急速接近!》

 三機のザクが、『ニヴルヘイム』目がけて急降下する。その間を巡航するツヴィリング・
ザクは、二つのモノアイを光らせ、両手のマシンガンを構えた。同時に両肩の二連装対空
機銃も稼働し、照準を定める。

《サンダンス、機体を仰向けにしてくれ》
「あいよ、相棒!」

 テストパイロット、サンダンス・レーゲル少尉は不敵な笑みを浮かべた。ベテランの海
兵隊員である彼は、荒々しい操縦桿さばきで機体を反転させ、『ニヴルヘイム』と背中合
わせの状態にする。機体の横幅が広いため、横方向の回転が重く感じられた。
 そしてそこへ、ザクが続々と迫ってくる。

「コンピュータ照準、まだか!?」
《プログラム作動良し、今マルチロックオンを……》
「間に合わねぇ! とりあえず通常照準で牽制する!」

 レーゲル少尉はトリガーを引いた。
 両手のマシンガンから模擬弾が吐き出され、突入してきたザクは火線をさけて散開する。
ブースターの蒼い炎が飛び交い、曳光弾の光が棒状に尾を引く。
 最初から命中は期待していない。時間稼ぎになれば良いのだ。

《よし、全機銃ロックオン完了》
「コンピュータ射撃に切り替え。 機銃斉射!」

 両手のザクマシンガンに加え、両肩の二連装機銃が火を噴いた。火線が六本に増え、三
機のザクを狙う。ジグザグに回避運動を取るザクだが、そのうちの一機に射弾が命中した。
訓練用のペイント弾が弾け、無重力下用のインクがザクの胸部装甲を赤く染める。

「一機撃墜」

 命中したザクは隊列を離れる。残る二機がツヴィリング・ザク目がけて射撃し、同時に
レーゲル少尉もブースターを焚いて回避行動を行う。異形の機体が火線をかわし、空間を
舞った。

「照準がずれたぞ!」
《機体の動きにプログラム制御が追いついていない。 調整中!》

 弾膜の間にできた隙を、残る二機のザクが掻い潜っていく。レーゲルは足裏のブースタ
ーで機体を後退させつつ迎撃するが、片方が肉薄してくる。
 舌打ちしつつマルチロックを解除して機体の向きを変え、通常照準で射撃した。敵方の
放ったペイント弾が腕の近くを掠め、同時にレーゲルの攻撃が見事に着弾。ザクの右半身
に赤インクが弾ける。

 続いて最後に残った隊長機に狙いを定めるが、相手はすでに別方向から回り込んでいた。
そして、『ニヴルヘイム』に接近する。
 咄嗟に機体を反転させるレーゲル。
 だが照準を合わせようとしたときには、相手は『ニヴルヘイム』に有効弾を喰らわせら
れる距離にいた。

《本艦は撃沈されました。ツヴィリング・ザクは試験を終了し、帰投してください》

 通信機からウルリケ・レント技術中尉の声が聞こえる。負けたか、とレーゲルは呟いた。
 仮想敵を務めていたザク達も、母艦のムサイ級軽巡洋艦に帰還していく。

「……獲物が無い日もある、ってか」

「やはり、プログラムが機体の機動と上手く同調できないようです」

 艦橋で記録映像と音声を確認し、ウルリケは言う。フィッケル特務大尉は頭を掻いた。
 ウルリケ達技術班も、操縦士のレーゲル少尉や、兵装士官のウォルター・ケイルズ少尉
と話し合いながら調整を進めているが、射撃管制プログラムの扱いが複雑なのが最大の問
題だ。

 仮想敵を務めたパイロットたちは、ザク相手にあれだけできれば十分ではないかとコメ
ントしてきた。確かに、連邦軍の宇宙における唯一の機動兵器がボールであることを考え
れば、十分な防空能力と言えるかもしれない。しかしそれはあくまでも現状の話であって、
連邦軍もモビルスーツの開発を企図していると考えるのが普通だろう。緒戦でジオン軍に、
モビルスーツの有用性を嫌と言うほど見せつけられたのだから。

「レーゲル少尉、ケイルズ少尉の考えでは、今の倍無駄弾を撃ってでも、広範囲に濃い弾
幕を形成できるよう調整すべき、とのことでした。次はその方針で試験をする予定です」
「一理あるとは思うが、上層部の連中がそこんとこ分かってくれるかな……」

 前線で戦う兵士と、後方にいる人間の理想が一致しないのは、いつの時代も変わらない。
護衛に於いては撃墜よりも妨害の方が有効なことが多いのだが、上層部の人間は一撃必中
に拘る者もいる。そういう輩に理解させるのが、手間がかかるのだ。

「それにしても……」

 手に持ったトランプをぱらぱらと弄びながら、フィッケルは言う。

「あいつら、結構張り切ってるよな。こんな仕事、海兵隊の奴らは性に合わないかと思っ
たが」
「自分から志願したそうですし……」

 レーゲル少尉、シュタルフィン少尉の両名は、シーマ・ガラハウ少佐率いるジオン軍海
兵隊の所属である。この場合の海兵とは宇宙を海に例えての表現であり、コロニーへの「上
陸作戦」の先鋒など、常に先陣破りが仕事なのだ。何故それが輸送艦護衛用モビルスーツ
の、それもテストパイロットなどに志願したのか、疑問はある。

 とはいえウルリケにとっては、フィッケルが芸能人ではなく政治将校をやっていること
の方が、よっぽど不思議なのだが。サングラスをかけた顔はなかなか渋さとかっこよさを
出しているので、俳優やミュージシャンになれるかもしれない、などとウルリケは考えて
いたりする。

「それに海兵でも、好きで『先陣破り』をやらされてる人ばかりじゃないでしょう。……
そうだと信じたいです」
「……」

 ……ジオン軍が戦端を開く際に行った、ブリティッシュ作戦。ジオン公国に敵対してい
たサイド2の8バンチコロニー『アイランド・イフィッシュ』を地球へ落下させ、衝撃波
などの二次被害を含め23億人を虐殺したこととなる。その際コロニーに毒ガスを注入して
住民を殺害したのが、海兵隊だという噂だった。詳しく公表されているわけではないし、
フィッケルも総帥府の将校とはいえ、作戦内容の詳細を知っているわけではない。だが、
コロニー落としは実際に行われたし、先陣破りも時には汚れ仕事になるのだ。

 その直後、ウルリケは学友である、603試験隊のオリヴァー・マイ中尉と会った際、この
作戦は戦の邪道であるという想いを密かに語り合った。この戦争はジオンの、そしてスペ
ースノイドの権利と生活を守るための戦いのはず。だからこそウルリケも、そしておそら
くはマイ中尉も、自分の持てる力で公国の役に立ちたいと思い、軍人になったのだ。しか
し公国はスペースノイドの住まいであり、国土であるコロニーさえも、武器として使い捨
てにしてしまった。
 目的のためには手段を選んでいられないこともあるだろう。だがあのブリティッシュ作
戦は、手段のために目的を捨てたような気がしてならない。
 地球連邦を打倒しても、公国がそれから何処へ行くのか……ウルリケには分からなかっ
た。

「二人とも、少し寝たらどうかね?」

 艦長のクロオ・ソウヤが声をかけた。貨客船時代から『ニヴルヘイム』の船長を務めて
きたベテランの船乗りで、現在は軍属として中佐相当官の扱いを受けている。細面の顔つ
きだが、多くの航海を経験してきたことによる風格が、その眼差しから滲み出ていた。

「テストパイロットたちも仮眠をとっている。特務大尉殿はともかく、レント技術中尉は
最近働きづめだろう」
「いやいやいやいや、俺も結構頑張ってると思うんだけど!?」

 二人のやりとりに、ウルリケはくすりと笑った。

「ではお言葉に甘えて、休ませていただきます」


 ……オ前ハ私タチヲ殺シタ……

 ……タダノ市民ダッタ俺タチヲ……

 ……何ガスペースノイドノ自治権ダ……

 ……オ前タチハ何モ守ラナイ……

 ……何モ守レナイ……

 ……タダノ人殺シダ……

 ……人殺シダ……
 ……人殺シ……


「ウオオォッ!」

 レーゲル少尉は飛び起きた。周囲を見まわし、自分がいるのはただの仮眠室で、この世
に存在していることを確認する。ゆっくりと息を整え、頭を抱える。

 彼はいつも、この悪夢にうなされていた。
 自分たちが手にかけた、『アイランド・イフィッシュ』の人々……
 その怨嗟の声が、自分の安眠を許さなかった。

「……俺は……俺だって……守る戦いをしてみせる……!」


 【 続く】


【登場兵器紹介】

MS-05Z ツヴィリング・ザク

 開戦前、『旧ザク』ことMS-05をベースに、長距離の船団護衛を目的に開発されたモビ
ルスーツ。多数の火器を装備し、高度な射撃管制コンピュータ『シューツェγ』を搭載し
ており、単機でも広範囲に弾幕を張ることができる。
 しかし『シューツェγ』の稼働には多大なエネルギーを必要としたため、ザク二機を連
結してそれを賄うこととなった。ツヴィリング(双子)という名はここから来ている。だ
がこの形態により、航続距離と弾薬の携行量が増加し、長時間補給を受けずに輸送艦に随
伴・護衛が可能となった。他にも左側(機体から見て)に専任の兵装士官が搭乗すること
で操縦士の負担を軽減し、頭部が二つになるため広範囲の索敵が可能になるなどのメリッ
トが生まれている。
 しかし操縦系統の複雑さや高コストなどから、護衛はムサイや通常のザクで十分と判断
され、不採用が通告されていた。

 って感じで第二話です。実戦シーンではマシンガン以外にも撃ちまくる予定です。





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