無限彼方大人編~ひんぬー大作戦~
投稿日時:2010/10/24(日) 04:32:34
「むむむ……」
人間とは誰しもコンプレックスがあるものだ。
たとえどれほど優れた人間であろうとも、悩み事の一つや二つ。劣等感を感じる事があったとして、何の不思議があろうか。それが自然であり、むしろそれをバネに努力すらしてしまうのが人間である。
無限彼方。当然、彼女にだって悩みはある。
たとえどれほど優れた人間であろうとも、悩み事の一つや二つ。劣等感を感じる事があったとして、何の不思議があろうか。それが自然であり、むしろそれをバネに努力すらしてしまうのが人間である。
無限彼方。当然、彼女にだって悩みはある。
「一体どうすれば……」
彼女は周りから見れば悩みなど感じさせないタイプではある。稀に悲しげな表情をする事はあれど、普段は見事な迄にはっちゃけている。実際、悩み事自体は他人よりはずっと少ないだろう。
忌まわしき過去を引きずってはいるが、それを受け入れる強さもある。
仕事は不定期に舞い込んでくるだけだが、雇い主が公的機関な上に待機も仕事と見なされるので月給制。一応、無限一族の生き残りであるので遺産まである。生活は余裕がある。
おまけに回りが羨む見事な長身。調った顔。引き締まった身体。日本的美意識てんこ盛りの長い髪。まごう事なきハイスペックである。
はたから見ればなんと楽しい人生を送っているかと思われるだろう。実際は苛烈で残酷な半生ではあるが、先程言った通りそれは彼方自身、受け止めている。
そんな彼女も、どうしても許容しがたいある事情がある。しかし、それは長く、険しく、そして恐らく克服不可能の問題。
最近になり、ようやくその事実を受け止め、目を背けずそれと対峙しようとした。だがそれはあまりに高い壁であり、さしもの彼方ですら何度もくじけそうになった。それでもなお、彼方は挑戦するのだ。
自室にちゃぶ台を置き、コンビニのから揚げと第三のビールで気合を入れ、ノートパソコンを用いてその術をインターネットで検索する。
忌まわしき過去を引きずってはいるが、それを受け入れる強さもある。
仕事は不定期に舞い込んでくるだけだが、雇い主が公的機関な上に待機も仕事と見なされるので月給制。一応、無限一族の生き残りであるので遺産まである。生活は余裕がある。
おまけに回りが羨む見事な長身。調った顔。引き締まった身体。日本的美意識てんこ盛りの長い髪。まごう事なきハイスペックである。
はたから見ればなんと楽しい人生を送っているかと思われるだろう。実際は苛烈で残酷な半生ではあるが、先程言った通りそれは彼方自身、受け止めている。
そんな彼女も、どうしても許容しがたいある事情がある。しかし、それは長く、険しく、そして恐らく克服不可能の問題。
最近になり、ようやくその事実を受け止め、目を背けずそれと対峙しようとした。だがそれはあまりに高い壁であり、さしもの彼方ですら何度もくじけそうになった。それでもなお、彼方は挑戦するのだ。
自室にちゃぶ台を置き、コンビニのから揚げと第三のビールで気合を入れ、ノートパソコンを用いてその術をインターネットで検索する。
「バストアップ……。と」
カタカタ言わせながらその文字を打ち込み、ノートパソコンは彼方の願いを叶えるべく、あらゆる場所からその情報を探し出す。
彼方の悩みとは、ずばりその控えめ極まりない、平坦なバストサイズだ。
昔は気にしなかった。というか油断していた。十代の頃はまだまだこれからだと思っていたら、気が付いたら酒が飲める年齢になっていた。
彼方の悩みとは、ずばりその控えめ極まりない、平坦なバストサイズだ。
昔は気にしなかった。というか油断していた。十代の頃はまだまだこれからだと思っていたら、気が付いたら酒が飲める年齢になっていた。
時既に遅し。いや、そんなはずは無い。そう思ったのはほんの最近である。
早く気付けという話ではあるのだが、彼方はその残念な胸以外が嬉しいかな悲しいかなハイスペック。貧乳だとしても何も問題など無かったのだ。
しかしながら、ある一言によってそうは言ってられなくなったのだ。彼女のある友人が言い放ったヘビーブローは、彼方の脳天をブチ抜いていった。
早く気付けという話ではあるのだが、彼方はその残念な胸以外が嬉しいかな悲しいかなハイスペック。貧乳だとしても何も問題など無かったのだ。
しかしながら、ある一言によってそうは言ってられなくなったのだ。彼女のある友人が言い放ったヘビーブローは、彼方の脳天をブチ抜いていった。
「彼方ちゃん。ブラとか要らないよね」
KOパンチだった。奇しくもちょっといい下着を買っちゃった後だったりした為に、カウンターでそれは入った。
その場は笑ってごまかしたが、今まで触れずにいた事実をはっきりきっぱり突き付けられた彼方。その日の夜の風呂上がり、鏡で全身をチェックした。
そして、泣いたのだ。
一見すると華奢に見えるが、無駄を削ぎ落とした体型は自分でも悪くないと思った。だが無駄を落としすぎ。括れた腰の上はなだらかな平野が広がっているだけなのだ。
もちろん完全な平面では無い。昔はそうだったが、多少は膨らんだはずである。しかしそれでも平野は平野。もしそこを歩く者が居たとすれば、ビー玉でも落とさない限りそこに傾斜がある事に気づかないだろう。
買ってきたブラを装備する。何の迫力も無かった。あの一言が甦る。
その場は笑ってごまかしたが、今まで触れずにいた事実をはっきりきっぱり突き付けられた彼方。その日の夜の風呂上がり、鏡で全身をチェックした。
そして、泣いたのだ。
一見すると華奢に見えるが、無駄を削ぎ落とした体型は自分でも悪くないと思った。だが無駄を落としすぎ。括れた腰の上はなだらかな平野が広がっているだけなのだ。
もちろん完全な平面では無い。昔はそうだったが、多少は膨らんだはずである。しかしそれでも平野は平野。もしそこを歩く者が居たとすれば、ビー玉でも落とさない限りそこに傾斜がある事に気づかないだろう。
買ってきたブラを装備する。何の迫力も無かった。あの一言が甦る。
「ブラとか要らないよね」
そして、落ち込んだ。
その日から、彼方の戦いは始まったのだ。
ちなみにKO発言した彼方の友人は巨乳である。誰かは推して知るべしと言っておこう。問題は彼方だ。
ノートパソコンが情報を拾い集め、画面にそれを映し出す。
いざ立ち向かわん。バストアップへの道。
その日から、彼方の戦いは始まったのだ。
ちなみにKO発言した彼方の友人は巨乳である。誰かは推して知るべしと言っておこう。問題は彼方だ。
ノートパソコンが情報を拾い集め、画面にそれを映し出す。
いざ立ち向かわん。バストアップへの道。
検索上位は美容整形。ネットを用いて宣伝しようという商魂逞しい連中である。いわゆる豊胸手術の類だが、彼方はそれに興味は無い。それは最後の最後。ある意味での諦めと開き直りが必要だ。
だが、彼方はまだその域には達しておらず。
長々続く美容整形の広告をスクロールし、続いて見たのはバストアップ体操のページ。
キタコレ。
そう言ったかは定かではなが、迷いなくそこを熟読。しかしその内容はあまりにもおおざっぱ。腕立て伏せから始まるありきたりな物だった。
彼方は腕立て伏せなら百回程度余裕でこなす。体力は常人のそれではない。なので、これは彼方には無意味である。
だが、彼方はまだその域には達しておらず。
長々続く美容整形の広告をスクロールし、続いて見たのはバストアップ体操のページ。
キタコレ。
そう言ったかは定かではなが、迷いなくそこを熟読。しかしその内容はあまりにもおおざっぱ。腕立て伏せから始まるありきたりな物だった。
彼方は腕立て伏せなら百回程度余裕でこなす。体力は常人のそれではない。なので、これは彼方には無意味である。
もう一つ、同じく体操を紹介するページがあったが、情報欲しけりゃお金を振込みなさいというよくある詐欺臭漂うページであったのでスルー。とりあえず某大手掲示板に貼付けてボロクソ書いておいた。
今度は都市伝説すら調べたが、どれもこれも聞いた事ある内容ばかり。やれから揚げがいいだ、揉まれれば大きくなるだ。から揚げなんざ肴にしてるし、揉まれて大きくなるとか言われても、まず揉めるだけの質量が無い。
今度は都市伝説すら調べたが、どれもこれも聞いた事ある内容ばかり。やれから揚げがいいだ、揉まれれば大きくなるだ。から揚げなんざ肴にしてるし、揉まれて大きくなるとか言われても、まず揉めるだけの質量が無い。
「どうしろと……」
第三のビールをぐいっと飲み干し、から揚げをかじって頭を抱える。
記憶にある限りでは姉は割と普通だった気がする。彼方にKOパンチを放った友人は肩凝りがすると愚痴をこぼす程。そして自分は……。
記憶にある限りでは姉は割と普通だった気がする。彼方にKOパンチを放った友人は肩凝りがすると愚痴をこぼす程。そして自分は……。
「どうしてこうなった……」
どうしてかは解らない。現実として、彼方は貧乳である。貧乳である。大事な事なので二回言った。
おもむろに服の上から寄せて上げてみたが、ムダに無駄が無いので皮膚が突っ張り痛いだけ。ちなみに現在ノーブラである。それでまったく問題が無い。無い物は、無いのだ。色んな意味で。
ノートパソコンの画面下には胸が大きくなると宣うサプリメントが載っていた。クリックしてみたが、そんな商品に騙される程彼方は子供でも無い。
こればかりは、どうにもならないのだ。
おもむろに服の上から寄せて上げてみたが、ムダに無駄が無いので皮膚が突っ張り痛いだけ。ちなみに現在ノーブラである。それでまったく問題が無い。無い物は、無いのだ。色んな意味で。
ノートパソコンの画面下には胸が大きくなると宣うサプリメントが載っていた。クリックしてみたが、そんな商品に騙される程彼方は子供でも無い。
こればかりは、どうにもならないのだ。
時刻は夜の十一時を回った頃だった。彼方は立ち上がり、風呂場へ向かう。シャワーでも浴びてもう寝ようと思ったのだ。
脱衣所。脱ぐ。鏡に映る、見事なまでのスレンダーな身体。ただし、今一番欲しい物はそこには無かった。
脱衣所。脱ぐ。鏡に映る、見事なまでのスレンダーな身体。ただし、今一番欲しい物はそこには無かった。
「……」
現実は甘くは無い。彼方が今日、安眠出来るかは不明である。