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NEMESIS 第10話-10人目-
シオンが診察室へと入ると、そこには患者用の背もたれのない椅子に座った少女の姿があった。年はおよそ19歳。腰のあたりまで流した銀色、というよりは
真っ白な髪。膝の上に乗せられた手を見ると透き通るような白い肌。白紙のカルテを机に置き、ペン立てから万年筆を取り出すとキャップをはずしてカルテの上に転がす。
そして自身も背もたれのない椅子に腰を下ろすと眼前の少女の顔を見据えた。見ると…彼女は仮面をつけていた。彼女の顔の形に合わせて作られたものだろう。
見事にフィットしていた。呼吸ができるように彼女の唇の形に合わせた口元。鼻の部分も彼女の鼻の形に合わせてスラリと流線型に作られて、その終着点には
2つの呼吸口が開いていた。そして目元へと目を向けると、2つの金色の瞳が凛としてシオンの瞳を見据えていた。なるほど…とシオンは納得する。
先ほどの看護師のおびえた態度。いきなりこんな人間が訪れれば、真っ当な人間なら恐怖なり、警戒心を持つのは至極当然だった。
と、ここでシオンは彼女の身に纏う服に目を向けた。そしてその刹那、シオンは驚愕する。その服は、2年前の貴族粛清の直前に師・ケビンから託されたあの
告死天使の黒装束とデザインが全く同じものだったからである。あの服は人数分と予備が一着の合計16着しかない。その予備も各々が厳重に保管してあるはずで、
廃民街の人間ではないこの眼前の少女にこの黒装束を手に入れることなどできるはずがないのだ。とにかく、この少女が何者なのかを探ることが先決だと判断した
シオンは診察を開始する。驚きを悟られぬように冷静な声でシオンは少女に質問していく。
真っ白な髪。膝の上に乗せられた手を見ると透き通るような白い肌。白紙のカルテを机に置き、ペン立てから万年筆を取り出すとキャップをはずしてカルテの上に転がす。
そして自身も背もたれのない椅子に腰を下ろすと眼前の少女の顔を見据えた。見ると…彼女は仮面をつけていた。彼女の顔の形に合わせて作られたものだろう。
見事にフィットしていた。呼吸ができるように彼女の唇の形に合わせた口元。鼻の部分も彼女の鼻の形に合わせてスラリと流線型に作られて、その終着点には
2つの呼吸口が開いていた。そして目元へと目を向けると、2つの金色の瞳が凛としてシオンの瞳を見据えていた。なるほど…とシオンは納得する。
先ほどの看護師のおびえた態度。いきなりこんな人間が訪れれば、真っ当な人間なら恐怖なり、警戒心を持つのは至極当然だった。
と、ここでシオンは彼女の身に纏う服に目を向けた。そしてその刹那、シオンは驚愕する。その服は、2年前の貴族粛清の直前に師・ケビンから託されたあの
告死天使の黒装束とデザインが全く同じものだったからである。あの服は人数分と予備が一着の合計16着しかない。その予備も各々が厳重に保管してあるはずで、
廃民街の人間ではないこの眼前の少女にこの黒装束を手に入れることなどできるはずがないのだ。とにかく、この少女が何者なのかを探ることが先決だと判断した
シオンは診察を開始する。驚きを悟られぬように冷静な声でシオンは少女に質問していく。
「初診のようですね。お名前と年齢は?」
「ジェネシス・ラッツィンガーと申します。年は今年で19歳になります」
「ジェネシス・ラッツィンガーと申します。年は今年で19歳になります」
シオンはここである疑問を抱く。第一印象からジェネシスと名乗った眼前の人間を女性だと判断したのだが、今の声を聞く限りその声は中性的で男性かもしれなかった。
「さて、今日はどのような症状で来られたのですか?」
先ほどの看護師からの報告で、ジェネシスがシオン、あるいは告死天使そのものに用があることは確定しているが、あえて何も知らないふりをし、診察を続けた。
「いえ、今日は病気でここに来たわけではないのです。告死天使のメンバーであるシオン・エスタルクさん…ですよね?実は祖父から私が19歳になったら
ここへきてあなたにこれを見せるよう私だけへの遺言で仰せつかっていたのです。遺言で決して開いてはならないと言われていたのでその手紙は私も見ていないのですが…」
ここへきてあなたにこれを見せるよう私だけへの遺言で仰せつかっていたのです。遺言で決して開いてはならないと言われていたのでその手紙は私も見ていないのですが…」
と言ってジェネシスは懐から封筒を取り出し、それをシオンに手渡す。中をのぞくと確かに手紙のようなものが入っていたが、
シオンそれよりもはジェネシスの祖父が何者なのか気にかかった。ジェネシスに祖父の名を問うてみると、信じられない答えが返ってくるのだった。
シオンそれよりもはジェネシスの祖父が何者なのか気にかかった。ジェネシスに祖父の名を問うてみると、信じられない答えが返ってくるのだった。
「ケビン・ケールズといいます。あなたもよく知る方の筈ですよね?」
ジェネシスの言葉を聞いたとたん、シオンは右手に持っていた万年筆をポロリと落としてしまう。それほどの衝撃的回答だった。そんなシオンをよそにジェネシスは続ける。
「私の母、ルキア・ケールズは祖父がジョセフ伯父さんに会社を引き継がせた直後に父、ヨーゼフ・ラッツィンガーと結婚しました。そこから…」
ルキアは子供を身籠り、そして生まれたのがジェネシスというわけである。そしてルキアはラッツィンガーと姓を変え、夫を支えるためケールズ家とは
距離を置き、廃民街とその外とを隔てる壁のすぐ外側で暮らし始めた。一方、夫のヨーゼフはというと、義理の兄にあたるジョセフのボディーガードを務めていた。
彼はもともと閉鎖都市政庁諜報部のヒットマン、つまりは暗殺者であったのだが彼の出世を妬む上司に嵌められ、仕事を失ったところで廃民街にやってきて、
その能力を買われてCIケールズに入社、当時の会長であったケビンのボディーガードを務め、彼が引退すると今度は後継者となったジョセフのボディーガードを
務めることとなったのだ。そして2年前、体力の衰えを理由に引退。ジョセフを守る役目をアリーヤとベルクトに託し、自身はCIケールズの警護部長に就任し、
後進の育成に日々力を入れている。そして彼はジョセフのボディーガードを務める傍ら、自らの子であるジェネシスに自分を超える優秀なSPになって欲しいと物心つくころから、かつて諜報部に所属していたときの暗殺術や、
護身術などの英才教育を施したのだ。しかも、ジェネシスにとってはそれが少しも苦痛に感じなかったという。確かに父親の英才教育は厳しいものだったが、
それ以外の場面ではヨーゼフは最高の父親であったからだという。さらに、母であるルキアも深い愛情を持ってジェネシスに接し、幸せな家庭環境で育てられた。
距離を置き、廃民街とその外とを隔てる壁のすぐ外側で暮らし始めた。一方、夫のヨーゼフはというと、義理の兄にあたるジョセフのボディーガードを務めていた。
彼はもともと閉鎖都市政庁諜報部のヒットマン、つまりは暗殺者であったのだが彼の出世を妬む上司に嵌められ、仕事を失ったところで廃民街にやってきて、
その能力を買われてCIケールズに入社、当時の会長であったケビンのボディーガードを務め、彼が引退すると今度は後継者となったジョセフのボディーガードを
務めることとなったのだ。そして2年前、体力の衰えを理由に引退。ジョセフを守る役目をアリーヤとベルクトに託し、自身はCIケールズの警護部長に就任し、
後進の育成に日々力を入れている。そして彼はジョセフのボディーガードを務める傍ら、自らの子であるジェネシスに自分を超える優秀なSPになって欲しいと物心つくころから、かつて諜報部に所属していたときの暗殺術や、
護身術などの英才教育を施したのだ。しかも、ジェネシスにとってはそれが少しも苦痛に感じなかったという。確かに父親の英才教育は厳しいものだったが、
それ以外の場面ではヨーゼフは最高の父親であったからだという。さらに、母であるルキアも深い愛情を持ってジェネシスに接し、幸せな家庭環境で育てられた。
「…ってシオンさん、どうかなされましたか?顔色が優れないようですが…」
「別に具合が悪くなったわけではないさ。ただ、君はどうやら私とは正反対の環境で育ったようだと思ってね」
「別に具合が悪くなったわけではないさ。ただ、君はどうやら私とは正反対の環境で育ったようだと思ってね」
いやなことを思い出させてしまったと悪びれるジェネシス。そして再び話を再開する。っジェネシスが17歳になってからしばらくして、ケビンの容態が思わしくないと
伯父であるジョセフから連絡があり、ルキアと二人でよく見舞に行っていた。廃民街は危険で時には襲撃されることもあったが、ヨーゼフの英才教育のおかげで
すでに経験はともかく技術は一流のSPであったジェネシスはそれを何なく撃退していった。
ある日、ルキアがそれを誇らしげにケビンに語ると、ベッドに横たわるケビンが
むくりと上半身を起こし、じっとジェネシスの瞳を見据え一言つぶやくのだった。
伯父であるジョセフから連絡があり、ルキアと二人でよく見舞に行っていた。廃民街は危険で時には襲撃されることもあったが、ヨーゼフの英才教育のおかげで
すでに経験はともかく技術は一流のSPであったジェネシスはそれを何なく撃退していった。
ある日、ルキアがそれを誇らしげにケビンに語ると、ベッドに横たわるケビンが
むくりと上半身を起こし、じっとジェネシスの瞳を見据え一言つぶやくのだった。
「ふむ、これならいけるようじゃの…」
ジェネシスは当時ケビンのその言葉の意味がわからなかったのだが、ケビンが天に召されたその日、ジェネシスはケビンに呼び出しを受けたのだった。
そこでケビンから聞かされたのが、先ほどジェネシスが語った遺言である。その内容というのが、ケビンが出会った廃民街の少年少女8人に
さまざまな武術を身につけさせ、廃民街を守るべく結成した暗殺集団『告死天使』の存在と、今まさに廃民街を守るために動いているということ、
そして、19歳の誕生日を迎えたら廃民街にあるエスタルク医院に向かい、院長であるシオン・エスタルクにこの手紙を見せるように言われたというのである。
ジェネシスはここで話を終えた。ケビンの遺言に従い、シオンは封筒の中から手紙を取り出し、広げてその内容を読む。30秒ほど時が流れ、ふっと一息ついた
シオンは手紙を畳んで懐へとしまう。そして、ジェネシスの方へ再び向きなおり、手紙の内容を伝える。
そこでケビンから聞かされたのが、先ほどジェネシスが語った遺言である。その内容というのが、ケビンが出会った廃民街の少年少女8人に
さまざまな武術を身につけさせ、廃民街を守るべく結成した暗殺集団『告死天使』の存在と、今まさに廃民街を守るために動いているということ、
そして、19歳の誕生日を迎えたら廃民街にあるエスタルク医院に向かい、院長であるシオン・エスタルクにこの手紙を見せるように言われたというのである。
ジェネシスはここで話を終えた。ケビンの遺言に従い、シオンは封筒の中から手紙を取り出し、広げてその内容を読む。30秒ほど時が流れ、ふっと一息ついた
シオンは手紙を畳んで懐へとしまう。そして、ジェネシスの方へ再び向きなおり、手紙の内容を伝える。
「この手紙は間違いなくケビンさんによるものだ。字を見ればわかる。さて、内容だが…君を告死天使9人目のメンバーとして面倒を見てやってほしいと書いてあった。
まあ、当時はケビンさんも知る由もなかっただろうから仕方ないが、今では10人目というのが正しいな」
「え…それはどういう意味ですか?」
「説明するよりも実際に会ってみた方が早いというものさ。何の偶然か、今この病院の中には9人全員が揃っているからね」
まあ、当時はケビンさんも知る由もなかっただろうから仕方ないが、今では10人目というのが正しいな」
「え…それはどういう意味ですか?」
「説明するよりも実際に会ってみた方が早いというものさ。何の偶然か、今この病院の中には9人全員が揃っているからね」
というとシオンは立ち上がり、ジェネシスの手を取って9人の待つ休憩室へと向かう。休憩室の扉を開けると、そこでは…
「りんご。ほら、ご、だぜベルクト」
「ゴム。む、だな、次アリーヤ」
「無理難題。い、だな。次はアスナ」
「…しりとりなんかしていて急いで駆け付けろという方がよほど無理難題だと思うのだが…どうかな?アリーヤさん」
「ゴム。む、だな、次アリーヤ」
「無理難題。い、だな。次はアスナ」
「…しりとりなんかしていて急いで駆け付けろという方がよほど無理難題だと思うのだが…どうかな?アリーヤさん」
なんと暇を持て余してしりとりをしていたのだった。おっと、というようにしりとりを中断し、シオンの方へと向き直るアリーヤ。
「うむ、それを言われてしまうと返す言葉もないな…ところで来客はもう片付いたのか?それにその後ろの仮面はどうしたのだ?」
「ああ、彼女がその来客だよ。何の用で来たのかは、これを見てもらった方が早いな」
「ああ、彼女がその来客だよ。何の用で来たのかは、これを見てもらった方が早いな」
と言ってシオンは先ほどの手紙をアリーヤへと手渡す。手紙を受けとり、それを拡げて残る7人も彼女の後ろやら横から覗き込む。
「なるほど…用件はわかった。この手紙も正真正銘本物のようだからな。ジェネシス・ラッツィンガーと言ったか。私は告死天使リーダーのアリーヤ・シュトラッサーだ。
今日からお前を告死天使10人目のメンバーとして歓迎しよう。よろしく頼む。そしてこっちがお前と同じく今日新しく加わった…」
「朝倉霧香といいます。齢23になります。私が告死天使のメンバーとなるに到ったのは複雑な事情があるので、割愛させてもらいますね。
とにかく、よろしくお願いします、ジェネシスさん。そしてこちらが…」
「シュヴァルツ・ゾンダークと申します。私といい朝倉さんといい丁寧な言葉を使うのでみんなそうなのかと思うかも知れませんが全然そんなことはないですよ。
新しく加わったのなら後で精神防壁をかけておかなければいけませんね…それは置いておいてよろしくお願いします、ジェネシスさん。そして彼女が…」
「はじめまして、私の名前はアスナ・オブライエン。年は22歳。この廃民街でケーキショップ『ブクリエ』の店長をやってるんだ。味には自信があるから、
よかったら今度御馳走するから食べてみてくれないかな?よろしくね、ジェネシスさん。それで、彼が…」
「よう!俺はセオドール・バロウズ。今年21歳になったばかり。『ブルー・スカイハイ』っていうちょっとは名の知れたバンドのヴォーカルをやってるんだ。
今度ライブに招待するから来てくれると嬉しいね。そんでコイツがシスコンの…」
今日からお前を告死天使10人目のメンバーとして歓迎しよう。よろしく頼む。そしてこっちがお前と同じく今日新しく加わった…」
「朝倉霧香といいます。齢23になります。私が告死天使のメンバーとなるに到ったのは複雑な事情があるので、割愛させてもらいますね。
とにかく、よろしくお願いします、ジェネシスさん。そしてこちらが…」
「シュヴァルツ・ゾンダークと申します。私といい朝倉さんといい丁寧な言葉を使うのでみんなそうなのかと思うかも知れませんが全然そんなことはないですよ。
新しく加わったのなら後で精神防壁をかけておかなければいけませんね…それは置いておいてよろしくお願いします、ジェネシスさん。そして彼女が…」
「はじめまして、私の名前はアスナ・オブライエン。年は22歳。この廃民街でケーキショップ『ブクリエ』の店長をやってるんだ。味には自信があるから、
よかったら今度御馳走するから食べてみてくれないかな?よろしくね、ジェネシスさん。それで、彼が…」
「よう!俺はセオドール・バロウズ。今年21歳になったばかり。『ブルー・スカイハイ』っていうちょっとは名の知れたバンドのヴォーカルをやってるんだ。
今度ライブに招待するから来てくれると嬉しいね。そんでコイツがシスコンの…」
シスコンという彼のジョークにクラウスはほんの一瞬だけ『サディスティック・クラウス』の凄惨な笑みを浮かべて彼を睨みつけるが、すぐに元の
微笑みを浮かべてジェネシスの方へと向き直る。
微笑みを浮かべてジェネシスの方へと向き直る。
「はじめまして、僕はクラウス・ブライト。今はシオンに部屋を貸してもらいながら、病院の雑務を妹のセフィリアと一緒にこなしながら仕事を探してるところだよ。
よろしくね、ジェネシス。そして彼女が今話した僕の妹の…」
「セフィリア・ブライトといいます。これからいろいろお付き合いすると思いますが、よろしくお願いしますね、ジェネシスさん。では次は…」
「ベルクト・ニコラヴィッチだ。今年18だからあんたより一個下ってことになるのか。ひと月くらい前までジョセフさんのSPをやってたが暗殺されちまったせいで
無職さ。今は日雇い労働で日銭を稼いで親父と一緒に暮らしてるがな。まあいいか、よろしく頼むよ、ジェネシス。んで最後、この小さいのが…」
「むぅ、ボクはそんなに小さくないよベルクト君!あ、ごめんね。ボクはフィオラート・サクヤ・レストレンジ。自警団第一課の課長を勤めてるんだ。
年は今年で17歳だから、君より2個年下ってことになるのかな。よろしくね、ジェネシスちゃん!そしてこの二人がシオンちゃんの…」
よろしくね、ジェネシス。そして彼女が今話した僕の妹の…」
「セフィリア・ブライトといいます。これからいろいろお付き合いすると思いますが、よろしくお願いしますね、ジェネシスさん。では次は…」
「ベルクト・ニコラヴィッチだ。今年18だからあんたより一個下ってことになるのか。ひと月くらい前までジョセフさんのSPをやってたが暗殺されちまったせいで
無職さ。今は日雇い労働で日銭を稼いで親父と一緒に暮らしてるがな。まあいいか、よろしく頼むよ、ジェネシス。んで最後、この小さいのが…」
「むぅ、ボクはそんなに小さくないよベルクト君!あ、ごめんね。ボクはフィオラート・サクヤ・レストレンジ。自警団第一課の課長を勤めてるんだ。
年は今年で17歳だから、君より2個年下ってことになるのかな。よろしくね、ジェネシスちゃん!そしてこの二人がシオンちゃんの…」
と、フィオはネロとシロアムの方へ顔を向ける。するとそこには興味ないといった風に壁にもたれるネロと、早く自分の番が来ないかとわくわくしている
シロアムの姿があった。その様子をみてシオンはため息をひとつついて、ネロに自己紹介を促した。すると彼はやれやれといった態度で自己紹介を始めた。
シロアムの姿があった。その様子をみてシオンはため息をひとつついて、ネロに自己紹介を促した。すると彼はやれやれといった態度で自己紹介を始めた。
「ネロ・エスタルク…20歳。この廃民街のすぐ外にあるレストラン、『ドムス・アウレア』のパティシエをやってる…興味があったら来るといいさ…
最高の料理と最高のもてなしを約束しよう…次は…」
「はじめまして!シロアム・エスタルクといいます!さっきアスナ店長が話してた『ブクリエ』で見習い店員をやってます!以後よろしくお願いします!」
最高の料理と最高のもてなしを約束しよう…次は…」
「はじめまして!シロアム・エスタルクといいます!さっきアスナ店長が話してた『ブクリエ』で見習い店員をやってます!以後よろしくお願いします!」
こうして全員の自己紹介が終わり、ジェネシスは一人一人と握手を交わしていく。そしして握手も終わり、ここでシオンがかねてより抱いていた二つの疑問を
ジェネシスにぶつけるのだった。
ジェネシスにぶつけるのだった。
「ジェネシスさん。君はなぜマスクをかぶっているのだ?それともう一つ。君は女か、それとも男か?」
シオンの問いにジェネシスは無言で仮面を外す。そしてまみえたその素顔にそこにいた全員が息を飲むのだった。
そこには、綺麗や美しいという表現では表せないほどの顔があった。そこにいた全員に見つめられ、ジェネシスは少し顔を赤らめながらシオンの疑問に答えた。
そこには、綺麗や美しいという表現では表せないほどの顔があった。そこにいた全員に見つめられ、ジェネシスは少し顔を赤らめながらシオンの疑問に答えた。
「はじめて祖父の見舞いに訪れたその道中に暴漢に襲われ、私が撃退したのですが、その時母が私に言ったんです。私の顔が綺麗過ぎるから襲われたって。
それ以来、母は廃民街に行く時はこの仮面をつけるようにと言いました。私の顔の形に合わせて作られているので、苦しくはないですが…」
それ以来、母は廃民街に行く時はこの仮面をつけるようにと言いました。私の顔の形に合わせて作られているので、苦しくはないですが…」
災いの芽は自ら摘み取ろうとしたわけである。事実、セフィリアは一年前出くわした不良に綺麗だからという理由で暴行を受け、
すんでのところでクラウスに助けられている。それは氷山の一角に過ぎず、少しでも綺麗な女性を見かけたら性欲をたぎらせる廃民街のならず者たちは容赦なく
襲いかかるだろう。そこへ行くと、仮面を付けていれば顔は認識できず、少なくともそんな理由で襲われることはない。ルキアの判断は正しかった。
すんでのところでクラウスに助けられている。それは氷山の一角に過ぎず、少しでも綺麗な女性を見かけたら性欲をたぎらせる廃民街のならず者たちは容赦なく
襲いかかるだろう。そこへ行くと、仮面を付けていれば顔は認識できず、少なくともそんな理由で襲われることはない。ルキアの判断は正しかった。
「ですが、こんなものは無用の長物なのかもしれません。なぜなら私は、男ですから」
ジェネシスのまったく予想だにしない告白に一同は顔を見合せて、驚愕の表情を浮かべる。
そんな彼らの様子を目の当たりにし、ジェネシスは困惑した様子で
彼らに切り出した。
そんな彼らの様子を目の当たりにし、ジェネシスは困惑した様子で
彼らに切り出した。
「あの、私が…いえ、僕が男であることがそんなに驚きですか?顔が綺麗ならその人は女性でなくてはならないのですか?」
「ジェネシスさ…もとい君か。誰だって予想を裏切られれば驚きの反応を示すさ。君が男であることに驚いたんじゃないだろう」
「ジェネシスさ…もとい君か。誰だって予想を裏切られれば驚きの反応を示すさ。君が男であることに驚いたんじゃないだろう」
シオンが全員を代表して弁明する。ジェネシスはそれでも釈然としない表情を浮かべていたが、わかりましたと一言いい、手に持っていた白い仮面を懐にしまう。
「さて、これからだが…霧香とジェネシスをわれわれの近しい者たちに紹介しにいかなければならないな。まずは…行きたくないであろうところから
先に片付けよう。パラダイス・ロストからだ。次に神谷探偵事務所、最後に聖ニコライ孤児院というコースで行こう。異存は?」
先に片付けよう。パラダイス・ロストからだ。次に神谷探偵事務所、最後に聖ニコライ孤児院というコースで行こう。異存は?」
と言ってアリーヤは残る7人の方へと振り返ると、全員が露骨に嫌な顔をしていた。そんな顔をするなとばかりにアリーヤは首を振る。
「私だって出来れば行きたくはない。だが、この街に暮らす人間は皆一度は彼女たちパラダイス・ロストの世話になっているのだ。行かないわけにはいくまい?」
アリーヤの語る『パラダイス・ロスト』とは、この街の便利屋のことであり、紅い悪魔と恐れられる社長、アンネローゼ・レジネッタをはじめとする5人組にて
営われていた。だが、彼らが嫌がる理由は彼女ではなく、彼女の部下である一人の男にあった。廃民街のならず者たちから『死神』と恐れられ、
彼の上司であるアンネローゼでさえ内心怯えているのではとさえ噂される男。その男に今から会いに行こうというのである。
営われていた。だが、彼らが嫌がる理由は彼女ではなく、彼女の部下である一人の男にあった。廃民街のならず者たちから『死神』と恐れられ、
彼の上司であるアンネローゼでさえ内心怯えているのではとさえ噂される男。その男に今から会いに行こうというのである。
「あの『狂人』に会うのは果てしなくいやなんだけど確かにアリーヤの言うとおりだよな…しゃーねえ、みんな!覚悟決めようぜ!」
セオドールの精一杯の鼓舞に事情を知らない霧香とジェネシスを除く残りの7人は、「おお…」と力なく同調するのだった。