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第11話-パラダイス・ロスト-
この廃民街の中央には共同墓地があり、カルロスが殺害された際クラウスとセフィリアが彼の亡骸を埋めた場所でもある。
そこからほど近い、北に500mほど進み路地裏へと入ると、『ウェルカム トゥ フロム パラダイス・ロスト(ようこそ、失楽園へ)』
と書かれた表札がぶら下がる鉄のドアに突き当たる。そここそが、この廃民街の全住民が一度は世話になっているという便利屋『パラダイス・ロスト』の
入り口だった。今回は、そのパラダイス・ロストの社長、アンネローゼ・レジネッタとその4人の部下についてスポットを当ててみたい。
場所はパラダイス・ロストの事務所。ドアを開ければまずは社長であるアンネローゼのデスクが目に入り、そのすぐ手前には応接セットのすわり心地のよいソファと
片付けられたテーブル。依頼人はここに腰掛け、アンネローゼをはじめとするパラダイス・ロストのスタッフに仕事を依頼するのだ。
もちろんロハではなく、依頼内容に応じた報酬の交渉もこの場で行い、後払いで仕事を行うのが原則だった。告死天使のメンバーであるアスナも彼らに
ブクリエの大掃除を一度依頼したことがあるが、その時の報酬は約5万円だった。これはほんの一例で、暗殺を依頼されたときなどは報酬はけた外れに高くなる。
しかし、依頼は常に来るわけではなく彼らスタッフにとっては暇な時間が流れるだけということも多々ある。これは、あるそんな日の一日の風景だ。
そこからほど近い、北に500mほど進み路地裏へと入ると、『ウェルカム トゥ フロム パラダイス・ロスト(ようこそ、失楽園へ)』
と書かれた表札がぶら下がる鉄のドアに突き当たる。そここそが、この廃民街の全住民が一度は世話になっているという便利屋『パラダイス・ロスト』の
入り口だった。今回は、そのパラダイス・ロストの社長、アンネローゼ・レジネッタとその4人の部下についてスポットを当ててみたい。
場所はパラダイス・ロストの事務所。ドアを開ければまずは社長であるアンネローゼのデスクが目に入り、そのすぐ手前には応接セットのすわり心地のよいソファと
片付けられたテーブル。依頼人はここに腰掛け、アンネローゼをはじめとするパラダイス・ロストのスタッフに仕事を依頼するのだ。
もちろんロハではなく、依頼内容に応じた報酬の交渉もこの場で行い、後払いで仕事を行うのが原則だった。告死天使のメンバーであるアスナも彼らに
ブクリエの大掃除を一度依頼したことがあるが、その時の報酬は約5万円だった。これはほんの一例で、暗殺を依頼されたときなどは報酬はけた外れに高くなる。
しかし、依頼は常に来るわけではなく彼らスタッフにとっては暇な時間が流れるだけということも多々ある。これは、あるそんな日の一日の風景だ。
「ラーゼフォンはん、今日の朝飯の当番あんさんやろ?はよ支度せえへんとアンネローゼはんに怒られるで」
と、関西弁で話すのがこのパラダイス・ロストに勤めて5年になる、ルーゼアリア・シルファトスだ。年は20歳。緑髪症患者でありフィオと同じく不遇な幼少期を
過ごしたが、15歳の時にひょんなことからアンネローゼと出会い、スカウトされたのだった。そして、彼女に朝食を急かされた青年がむくりと体を起して答える。
過ごしたが、15歳の時にひょんなことからアンネローゼと出会い、スカウトされたのだった。そして、彼女に朝食を急かされた青年がむくりと体を起して答える。
「昨日の夜のどんちゃん騒ぎでまだ爆睡中のようだぜ。社長の寝起きが破滅的に悪いのはルーゼアリアもよく知ってるはずだがね」
彼の名はラーゼフォン・アレクトール。年は21歳。このパラダイス・ロストの中では新参者で勤めて2年になる。
ここに来るまで彼はある暴走族の総長だったそうなのだが、ある日突然引退を宣言。後進に総長の座を明け渡し、ふらりとここ廃民街へやってきたところ、
酒場でアンネローゼと出会い、スカウトされることとなったのだ。鏡を見ながら暴走族時代から変わらない金髪というよりは黄色に近い髪を手鏡を見ながら
セットしつつ、ルーゼアリアに答えたのだった。
ここに来るまで彼はある暴走族の総長だったそうなのだが、ある日突然引退を宣言。後進に総長の座を明け渡し、ふらりとここ廃民街へやってきたところ、
酒場でアンネローゼと出会い、スカウトされることとなったのだ。鏡を見ながら暴走族時代から変わらない金髪というよりは黄色に近い髪を手鏡を見ながら
セットしつつ、ルーゼアリアに答えたのだった。
「せやけどなぁ…リーゼロッテはんはどう思うん?おなか減ってないん?減ってるんやったらアンネローゼはんほっといてうちらだけで食べてしまわへん?」
ここでルーゼアリアは掌に乗せられた水晶玉を磨く桃色の髪の女性に話を振った。彼女の名はリーゼロッテ・アリエッティ。年は今年で26歳になる。
彼女は占い師であり、特にタロット占いを得意していて、5人で朝食を取り終えたのち彼女のタロットにて今日一日の運勢を占うというのが慣例になっている。
彼女は二十歳のころからこの廃民街にて占いを始めたが客は全く訪れず、初めての客となったアンネローゼにスカウトされてスタッフとなったのだ。
ルーゼアリアに話を振られると彼女は磨いていた水晶玉を膝元の台座に乗せ、おもむろに彼女の方を向くと、にこやかに言った。
彼女は占い師であり、特にタロット占いを得意していて、5人で朝食を取り終えたのち彼女のタロットにて今日一日の運勢を占うというのが慣例になっている。
彼女は二十歳のころからこの廃民街にて占いを始めたが客は全く訪れず、初めての客となったアンネローゼにスカウトされてスタッフとなったのだ。
ルーゼアリアに話を振られると彼女は磨いていた水晶玉を膝元の台座に乗せ、おもむろに彼女の方を向くと、にこやかに言った。
「そんなことをしたらこの後どういうことになるか、占ってみましょう」
と、彼女は懐から22枚の大アルカナカードを取り出し、机の上にてそれをかき混ぜるよにシャッフルする。十分にシャッフルした後、それを再び一つにまとめ
一番上のカードをめくる。そのカードは…
一番上のカードをめくる。そのカードは…
「死神の正位置ですね。意味するものは死、損失。ルーゼアリアさんのおっしゃるように空腹なのは確かですがここは素直に彼女の目覚めを待ちましょう」
彼女の占いの結果に大きなため息をつき、がっくりと肩を落とすルーゼアリア。しかし、次の瞬間には何かを思いついたように最後の一人の方を向き、言った。
「死神って君のことやない?シュトレーゼンはん。この占いは君にアンネローゼはんを起こしてこいっちゅうお告げやないかと思うんやけど」
「…ッククククククッ…かもね…ボクもお腹がすいたし…あんまりすきすぎてもう少しで自分の指を食べちゃうところだったよ…」
「…ッククククククッ…かもね…ボクもお腹がすいたし…あんまりすきすぎてもう少しで自分の指を食べちゃうところだったよ…」
と、非常に気味の悪い笑みを浮かべてルーゼアリアに答えた男、彼の名はシュトレーゼン・ヴァルヴァトス。年齢、生まれ、経歴すべてが謎に包まれ、
神谷ですらこの廃民街で唯一調べることができなかった男でもある。髪の色もかなり特殊で、光の加減によって黒にも青にも見えるという。
アンネローゼとはかなり昔からの付き合いであるらしく、彼女によるとこの事務所は彼と2人でオープンさせたのだそうだ。
彼がなぜ死神などというおどろおどろしい通り名で呼ばれているのかと言うと、外出時の彼のいでたちにあった。
真夏でも一着で上半身全体はもちろん膝のあたりまで伸びたフード付きのコートを羽織り、しかもそのフードをかぶった状態で街を徘徊、
さらにそれを見た者の証言によると、彼の表情は非常に気味の悪い笑顔、それに真夏だというのに全く汗をかいていなかったというのだ。
この話が人から人へと伝わり、いつしか彼は人々から『死神』と恐れられるようになった。その噂が真実なのかどうかはわからないにせよ、
彼が危険人物であることに変わりはなく、自警団第一課の廃民街方面部隊も彼の動向に細心の注意を払っているという。
神谷ですらこの廃民街で唯一調べることができなかった男でもある。髪の色もかなり特殊で、光の加減によって黒にも青にも見えるという。
アンネローゼとはかなり昔からの付き合いであるらしく、彼女によるとこの事務所は彼と2人でオープンさせたのだそうだ。
彼がなぜ死神などというおどろおどろしい通り名で呼ばれているのかと言うと、外出時の彼のいでたちにあった。
真夏でも一着で上半身全体はもちろん膝のあたりまで伸びたフード付きのコートを羽織り、しかもそのフードをかぶった状態で街を徘徊、
さらにそれを見た者の証言によると、彼の表情は非常に気味の悪い笑顔、それに真夏だというのに全く汗をかいていなかったというのだ。
この話が人から人へと伝わり、いつしか彼は人々から『死神』と恐れられるようになった。その噂が真実なのかどうかはわからないにせよ、
彼が危険人物であることに変わりはなく、自警団第一課の廃民街方面部隊も彼の動向に細心の注意を払っているという。
「…じゃあ…ちょっと行ってこようかな…その前にリーゼ。ボクのこれからの運命を占ってくれよ…ックククククククッ…」
彼の言葉にリーゼロッテは無言でタロットカード22枚のデッキを再びシャッフルする。今度はトランプを切るときのカードのシャッフルだった。
十分に混ぜ終えたのち、リーゼロッテは一番上のカードを一枚めくる。そのカードは…
十分に混ぜ終えたのち、リーゼロッテは一番上のカードを一枚めくる。そのカードは…
「…え?そんな…ありえません…このカードは…入れていないはずなのに…」
自らめくったカードを見るなりリーゼロッテの顔はみるみる青ざめ、全身ががたがたと震えだす。手に持っていたタロットのカードをポロリと落としてしまう。
リーゼロッテのただならぬ様子に心配そうな表情を浮かべるラーゼフォンとルーゼアリアに無表情で目線だけをテーブルに向けるシュトレーゼン。
リーゼロッテのただならぬ様子に心配そうな表情を浮かべるラーゼフォンとルーゼアリアに無表情で目線だけをテーブルに向けるシュトレーゼン。
「なんだよ…この不気味なカードは…」
テーブル上に落とされたカードを見て、ラーゼフォンがつぶやく。そのカードの絵柄は、上下対称になった悪魔の不気味な笑い顔が描かれたものだった。
上下対称であるため、本来正位置・逆位置の2つの意味をもつタロットだがこのカードにはそれが存在していないということ。このカードの意味は…
上下対称であるため、本来正位置・逆位置の2つの意味をもつタロットだがこのカードにはそれが存在していないということ。このカードの意味は…
「リーゼは話せそうにないから代わりにボクが…そのカードは『引いてはいけないカード』。意味するものは…破滅・絶望…ックククククククククククッ…」
そんな不吉なカードが出たにも関わらず、いつもと変わらない気味の悪い笑みを漏らすシュトレーゼンについ後ずさってしまうルーゼアリアとラーゼフォン。
そんな2人をよそにシュトレーゼンはアンネローゼの部屋のドアノブに手をかけて中へとはいっていく。しかし、何をするでもなく部屋から出てきて、言った。
そんな2人をよそにシュトレーゼンはアンネローゼの部屋のドアノブに手をかけて中へとはいっていく。しかし、何をするでもなく部屋から出てきて、言った。
「どういうわけか…アンネローゼさんの姿が見当たらないね…ボクもラーゼフォン君と同じ見解だったんだけれど…」
彼の言葉に意表を突かれた表情を浮かべたラーゼフォンとルーゼアリアは、アンネローゼの部屋へと入るがそこにはシュトレーゼンの言うとおり
アンネローゼの姿はなく、整然と片付けられた部屋の様子が彼らの目に飛び込むだけだった。3人は顔を見合わせる。シュトレーゼンが部屋の時計に目を向けると
時刻は午前9時を指し示していた。ラーゼフォンの言うように彼女の寝起きは破滅的に悪く、それは他の3人も共通の認識であった。
ゆえに彼女がこの時間に起きて活動しているなど考えにくいことであるのだが、事実として今アンネローゼはここにはいない。
アンネローゼの姿はなく、整然と片付けられた部屋の様子が彼らの目に飛び込むだけだった。3人は顔を見合わせる。シュトレーゼンが部屋の時計に目を向けると
時刻は午前9時を指し示していた。ラーゼフォンの言うように彼女の寝起きは破滅的に悪く、それは他の3人も共通の認識であった。
ゆえに彼女がこの時間に起きて活動しているなど考えにくいことであるのだが、事実として今アンネローゼはここにはいない。
「一番最初に起きたの誰だったっけ?俺は朝飯当番だから早く起きないとって思ってから8時に起きたんだけどもうみんないたんだよな」
「…ボクが7時半に部屋から出てきたときには…リーゼがテーブルについてたかな…」
「うちは7時に目ぇ覚ましてそっから40分くらい外に出て走って来たで。せやから…」
「…ボクが7時半に部屋から出てきたときには…リーゼがテーブルについてたかな…」
「うちは7時に目ぇ覚ましてそっから40分くらい外に出て走って来たで。せやから…」
ここで3人の目は応接室のテーブルに着くリーゼロッテに向けられた。もう落ち着いたようで体の震えは止まっており、タロットカードのデッキもケースに
しまわれていた。その3人の視線に気づき、聞かれるでもなく彼女は自分の起床した時間を話した。
しまわれていた。その3人の視線に気づき、聞かれるでもなく彼女は自分の起床した時間を話した。
「私は7時15分くらいでしたでしょうか。そこから身支度を整えてテーブルにつき皆さんのお目覚めを待っていたのですが…」
つまり、ルーゼアリアがランニングに出かけた7時からリーゼロッテが起きる7時15分までの間は空白ということになる。おそらくはこの時間だろう。
そんな朝早くから彼女はどこへ出かけたのだろうか。4人の疑問はその一点に尽きた。その時だった。事務所の出入り口の鉄製の扉がぎぃ…と鈍い音を立てて
開き、一人の女性が現れた。その女性こそ…
そんな朝早くから彼女はどこへ出かけたのだろうか。4人の疑問はその一点に尽きた。その時だった。事務所の出入り口の鉄製の扉がぎぃ…と鈍い音を立てて
開き、一人の女性が現れた。その女性こそ…
「アンネローゼさん、お帰りなさい」
「ただいまっと…」
「ただいまっと…」
四人の声がはもった。彼女こそこのパラダイス・ロストの社長、アンネローゼ・レジネッタその人である。真紅の髪を腰のあたりまでまっすぐ伸ばし、
同じく真紅のコートを前を開けた状態で着こなす。コートの下には革製の茶色のベストと黒いシャツ。ズボンはベストと同じ材質のものを使っているが
色は若干黒みがかっていた。そしてその背中には彼女の愛刀である日本刀『白夜叉』が提げられていた。
きりっとした両目を銀縁のスタイリッシュなメガネで覆い、そこから垂直にスラリと伸びた鼻、サーモンピンクに色づく唇は大人の女性としての
色気を醸し出していた。はたから見れば20代前半に見えるのだが、シュトレーゼンと同じく、年齢や経歴はすべて謎に包まれていた。
背中に提げられていた白夜叉をデスクの上に置き、椅子に腰を下ろして4人のほうへと向き直り、言った。
同じく真紅のコートを前を開けた状態で着こなす。コートの下には革製の茶色のベストと黒いシャツ。ズボンはベストと同じ材質のものを使っているが
色は若干黒みがかっていた。そしてその背中には彼女の愛刀である日本刀『白夜叉』が提げられていた。
きりっとした両目を銀縁のスタイリッシュなメガネで覆い、そこから垂直にスラリと伸びた鼻、サーモンピンクに色づく唇は大人の女性としての
色気を醸し出していた。はたから見れば20代前半に見えるのだが、シュトレーゼンと同じく、年齢や経歴はすべて謎に包まれていた。
背中に提げられていた白夜叉をデスクの上に置き、椅子に腰を下ろして4人のほうへと向き直り、言った。
「今日未明にこのスラムの東ゲート付近で3人の惨殺死体が見つかったそうよ。自警団が捜査に乗り出しているけど…死体の損傷状況が尋常じゃないそうで」
首から上、手足は付け根からおそらくは鋸を使って切断、さらに切断された頭部は木の杭に串刺しにされてさらし首状態になっていたというのだ。
しかも信じられないことにその後の検死の結果、生体反応あり、つまり生きたまま切断されたことが明らかになったのだ。
これまでこのスラムで数々の殺人事件を捜査してきた自警団避難地区方面局も今回のこの遺体の状況に明らかな異常性を見出した。
そこでまず捜査線上に浮かびあがったのが…シュトレーゼン・ヴァルヴァトスであった。しかし当局も彼が素直に事情聴取に応じるとは考えていなかった。
そこでまずは彼の上司であるアンネローゼに赴いてもらい、当時の彼のアリバイなどを聴取したのだった。
仕事の都合上自警団を敵に回したくないアンネローゼはこの事情聴取に積極的に応じる姿勢を見せた。
まずアリバイについてだが、その時間はパラダイス・ロストのスタッフ全員で飲み会をやっていたと証言した。
その後もシュトレーゼンについて根掘り葉掘り聞かれたが彼女はその一つ一つに丁寧に答えていった。そして事情聴取も終わり、解放されたところで
今度はアンネローゼのほうから切り出したのだった。
しかも信じられないことにその後の検死の結果、生体反応あり、つまり生きたまま切断されたことが明らかになったのだ。
これまでこのスラムで数々の殺人事件を捜査してきた自警団避難地区方面局も今回のこの遺体の状況に明らかな異常性を見出した。
そこでまず捜査線上に浮かびあがったのが…シュトレーゼン・ヴァルヴァトスであった。しかし当局も彼が素直に事情聴取に応じるとは考えていなかった。
そこでまずは彼の上司であるアンネローゼに赴いてもらい、当時の彼のアリバイなどを聴取したのだった。
仕事の都合上自警団を敵に回したくないアンネローゼはこの事情聴取に積極的に応じる姿勢を見せた。
まずアリバイについてだが、その時間はパラダイス・ロストのスタッフ全員で飲み会をやっていたと証言した。
その後もシュトレーゼンについて根掘り葉掘り聞かれたが彼女はその一つ一つに丁寧に答えていった。そして事情聴取も終わり、解放されたところで
今度はアンネローゼのほうから切り出したのだった。
「彼がスラムでなんていうあだ名で呼ばれているかはあなたたちも知っているはず。故に彼に因縁をつける命知らずがいるとは思えない。
そして他人に興味を全く示さない彼が自分から因縁をつけたとも思えない。だから、シュトレーゼンは犯人じゃない。これだけは言っておくわ」
「ええ、私たちも同意見です。ですが、今回の事件はスラムにおいてもかなり異常です。そのため、我々もあらゆる角度から捜査を進める必要があるのです。
朝早くからご足労いただき、ありがとうございます」
そして他人に興味を全く示さない彼が自分から因縁をつけたとも思えない。だから、シュトレーゼンは犯人じゃない。これだけは言っておくわ」
「ええ、私たちも同意見です。ですが、今回の事件はスラムにおいてもかなり異常です。そのため、我々もあらゆる角度から捜査を進める必要があるのです。
朝早くからご足労いただき、ありがとうございます」
そして、自警団の車でパラダイス・ロストへ続く路地の入口まで送り届けられ、こうして戻ってきたというわけだ。ただ…
「寝起きが悪いアンネローゼさんがよくそんな早朝に起きられましたね」
リーゼロッテが思わずつぶやく。その疑問はほかの3人も同様であるらしく、うんうんと頷いていた。そんな彼女のつぶやきにアンネローゼは苦笑し、答えた。
「幼いころのつらい記憶を悪夢として見てね。起きたら汗ぐっしょりで時計を見ればまだ午前5時。シャワーを使ったらみんなを起こしちゃうかもしれないし
涼しい外を歩いてクールダウンしていたところを自警団に呼び止められたってわけ」
涼しい外を歩いてクールダウンしていたところを自警団に呼び止められたってわけ」
アンネローゼの幼少期は不明な点が多く、ラーゼフォン、リーゼロッテ、ルーゼアリアは釈然としない表情を浮かべていたが、シュトレーゼンだけは
不敵な笑みを浮かべていた。どうやら、この男だけは彼女の過去について何かを知っているようだった。
不敵な笑みを浮かべていた。どうやら、この男だけは彼女の過去について何かを知っているようだった。
「さて、この事件の今後は自警団に任せればいいとして、ラーゼフォン!今日の朝食担当あなただったわね。早く取り掛かってくれるかしら?」
「あいよ、アンネローゼさん」
「あいよ、アンネローゼさん」
そして彼の作った朝食をとり終え、5人は今日の依頼を待つことになるのである。