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第12話~THE DEATH~
ある日の昼下がり、アリーヤら告死天使のメンバーはエスタルク医院から徒歩にてパラダイス・ロストへと向かっていた。
ただ、今日はエスタルク医院の開院日であるためシオンと、ブクリエでの仕事があるアスナ、今日は非番だったのだが、廃民街である事件が起こったということで
避難地区方面部隊長から要請を受けたフィオは加わっていなかった。また、シオンに補助を頼まれたセフィリア、その後さっさと自宅に戻ってしまったネロ、
高校時代の友人たちと遊ぶ約束があったシロアムも同行しておらず、結果、アリーヤ、シュヴァルツ、朝倉霧香、セオドール、クラウス、ジェネシス、ベルクトの
7人で向かうことになった。その道中、パラダイス・ロストを知らないジェネシスがアリーヤに尋ねる。
ただ、今日はエスタルク医院の開院日であるためシオンと、ブクリエでの仕事があるアスナ、今日は非番だったのだが、廃民街である事件が起こったということで
避難地区方面部隊長から要請を受けたフィオは加わっていなかった。また、シオンに補助を頼まれたセフィリア、その後さっさと自宅に戻ってしまったネロ、
高校時代の友人たちと遊ぶ約束があったシロアムも同行しておらず、結果、アリーヤ、シュヴァルツ、朝倉霧香、セオドール、クラウス、ジェネシス、ベルクトの
7人で向かうことになった。その道中、パラダイス・ロストを知らないジェネシスがアリーヤに尋ねる。
「アリーヤさん、そのパラダイス・ロストのメンバーで死神と呼ばれる方は、そんなに危険な方なのですか?」
「ああ、危険というか、常に気味悪い笑みを浮かべていて、初対面の人間にも容赦ないブラックジョークを浴びせてくるのだ。霧香も含めて
貴様たち2人は覚悟しておくのだな。ただ、死神、本名シュトレーゼン・ヴァルヴァトス以外はいい奴ばかりだから安心するといい」
「ああ、危険というか、常に気味悪い笑みを浮かべていて、初対面の人間にも容赦ないブラックジョークを浴びせてくるのだ。霧香も含めて
貴様たち2人は覚悟しておくのだな。ただ、死神、本名シュトレーゼン・ヴァルヴァトス以外はいい奴ばかりだから安心するといい」
アリーヤの言葉にジェネシスと霧香は安堵した表情を浮かべる。もっともジェネシスの場合は例の白い仮面を被っているため外からはわからなかったが。
そして、ジェネシスの次は霧香がアリーヤに自らの疑問をぶつける。パラダイス・ロストが便利屋なのはわかったが、その後訪れる神谷探偵事務所と
聖ニコライ孤児院とはどんなところなのかということだった。その問いにアリーヤはわかりやすく答える。
神谷探偵事務所とは、元自警団のエリートである神谷という男とその助手で16歳ほどの少年、ステファンによって営われている探偵事務所で
人探し、身辺調査などは神谷に頼むといいという。更に言うと神谷はこの廃民街のほぼすべての住民の情報、要するに他人に知られたくない弱みを握っていて、
この町のならず者から少なからず恨みを買っているということを説明した。
そして、ジェネシスの次は霧香がアリーヤに自らの疑問をぶつける。パラダイス・ロストが便利屋なのはわかったが、その後訪れる神谷探偵事務所と
聖ニコライ孤児院とはどんなところなのかということだった。その問いにアリーヤはわかりやすく答える。
神谷探偵事務所とは、元自警団のエリートである神谷という男とその助手で16歳ほどの少年、ステファンによって営われている探偵事務所で
人探し、身辺調査などは神谷に頼むといいという。更に言うと神谷はこの廃民街のほぼすべての住民の情報、要するに他人に知られたくない弱みを握っていて、
この町のならず者から少なからず恨みを買っているということを説明した。
「…結構壮絶ですね…ですが本来この世界の住人ではない私に握られる弱みなどないとは思いますが」
霧香が安心したというような表情でいう。確かにな、と苦笑した後にアリーヤは聖ニコライ孤児院についての説明をする。
聖ニコライ孤児院とは、言ってみればこの殺伐とした廃民街でたった一つの良心だということ。常に孤児たちのことを第一に考えている
孤児院長、エリナ・ペトロワをはじめ、自らもこの孤児院で育てられたというスタッフのイレアナ、ゲオルグ、ミシェル、アレックス、ポープ、
みんないい人たちばかりでとても居心地のいい場所だという。当初、告死天使と聖ニコライ孤児院との間に関わりはなかったのだが、大恩ある人物の死に際し、
告死天使の関与を疑った神谷と、それを否定するために一人ずつアリバイを確かめている道中、路肩に捨てられている赤ちゃんを見つけたのだ。
ブクリエというケーキショップの店長をやっているアスナに連絡を取った際、ケーキを買いに来ていたため、たまたまそこに居合わせたゲオルグとアレックスに
アスナは同行を願ったのだ。ゲオルグとアレックスはそれを承諾してくれたため、エスタルク医院で2年ぶりに告死天使全員が顔を合わせる運びとなり、そこで今回の事件について告死天使が関与していないことを確認したのち、
シオンの手によって命が救われた赤ちゃんをゲオルグたち聖ニコライ孤児院に預けることとし、こうして告死天使と聖ニコライ孤児院の間につながりができたのだ。
その後、シオンの提案で聖ニコライ孤児院を様々な形で支援していくことを決めたのである。
聖ニコライ孤児院とは、言ってみればこの殺伐とした廃民街でたった一つの良心だということ。常に孤児たちのことを第一に考えている
孤児院長、エリナ・ペトロワをはじめ、自らもこの孤児院で育てられたというスタッフのイレアナ、ゲオルグ、ミシェル、アレックス、ポープ、
みんないい人たちばかりでとても居心地のいい場所だという。当初、告死天使と聖ニコライ孤児院との間に関わりはなかったのだが、大恩ある人物の死に際し、
告死天使の関与を疑った神谷と、それを否定するために一人ずつアリバイを確かめている道中、路肩に捨てられている赤ちゃんを見つけたのだ。
ブクリエというケーキショップの店長をやっているアスナに連絡を取った際、ケーキを買いに来ていたため、たまたまそこに居合わせたゲオルグとアレックスに
アスナは同行を願ったのだ。ゲオルグとアレックスはそれを承諾してくれたため、エスタルク医院で2年ぶりに告死天使全員が顔を合わせる運びとなり、そこで今回の事件について告死天使が関与していないことを確認したのち、
シオンの手によって命が救われた赤ちゃんをゲオルグたち聖ニコライ孤児院に預けることとし、こうして告死天使と聖ニコライ孤児院の間につながりができたのだ。
その後、シオンの提案で聖ニコライ孤児院を様々な形で支援していくことを決めたのである。
「そーそー、だけどアリーヤとベルクトが反対したんだっけな。感情移入しすぎだって。ま、結局賛成に回ったんだけどな」
セオドールが横やりを入れ、その言葉に渋い表情を浮かべるアリーヤとベルクト。確かに当初反対したことは事実だったが、気になるのはその当時いなかった
霧香とジェネシスがどんな反応を示すかだった。アリーヤが横目で2人の反応を伺うがジェネシスは仮面を被っているため
反応を伺い知ることはできず、霧香はというと、それを別になんとも思っていないのか、シュヴァルツと談笑していた。
霧香とジェネシスがどんな反応を示すかだった。アリーヤが横目で2人の反応を伺うがジェネシスは仮面を被っているため
反応を伺い知ることはできず、霧香はというと、それを別になんとも思っていないのか、シュヴァルツと談笑していた。
「私とベルクトが反対したことを何とも思っていないのか?霧香」
「なぜ思う必要があるんです?何かを決めるときに一回で満場一致になることなどそうそうありませんし、反対意見が出たときは全員が納得するまで
議論し合って、そうして結論を導くものでしょう?あなた方8人はそうして孤児院を支援するという結論を出した、ならそれでいいじゃないですか」
「なぜ思う必要があるんです?何かを決めるときに一回で満場一致になることなどそうそうありませんし、反対意見が出たときは全員が納得するまで
議論し合って、そうして結論を導くものでしょう?あなた方8人はそうして孤児院を支援するという結論を出した、ならそれでいいじゃないですか」
その彼女の解答に面食らった表情を浮かべたアリーヤだったがその直後、ふっと笑って「そうだな」と頷いた。
「ところで霧香とジェネシス、シュヴァルツの精神防壁手術はどうだった?」
クラウスが2人に尋ねた。精神防壁とは、催眠術・洗脳・シュヴァルツのように心を読むことができる超能力者からのリーディングを防ぐためのもので、
シュヴァルツはこれを告死天使のメンバー全員に施していた。だが今回新たに加わった霧香とジェネシスには当然のことながら施されておらず、
それゆえシュヴァルツが先ほどエスタルク医院にて彼らに精神防壁を施し、クラウスがその感想を聞いたというわけだ。
シュヴァルツはこれを告死天使のメンバー全員に施していた。だが今回新たに加わった霧香とジェネシスには当然のことながら施されておらず、
それゆえシュヴァルツが先ほどエスタルク医院にて彼らに精神防壁を施し、クラウスがその感想を聞いたというわけだ。
「どうだったといわれてましても、ただベッドに横になって子守唄のような優しい歌が聞こえてきたと思ったらすぐに眠くなって…気が付いたら終わっていましたよ」
ジェネシスが答えた。霧香も同様の感想らしく隣で頷いていた。
「やっぱりね。僕の時もそうだったから。あ、もう着いたみたいだね。この先の路地の奥にあるのがパラダイス・ロストさ」
そして一行は人一人がやっと通れる程度の細い路地を進み、その行き止まりに位置する扉の前までやってきた、「ウェルカム・トゥ・ザ・パラダイス・ロスト」
と書かれた看板がドアノブからぶら下がっていた。この看板がぶら下がっているということは依頼が受けられる状態、つまりアンネローゼを筆頭とした彼女ら
5人のうち最低でも一人はいるということ。できればその一人がシュトレーゼンではないことを願いながらアリーヤがドアをノックする。
すると中から聞こえてきたのは女性の声で、「どうぞ」と一言。
と書かれた看板がドアノブからぶら下がっていた。この看板がぶら下がっているということは依頼が受けられる状態、つまりアンネローゼを筆頭とした彼女ら
5人のうち最低でも一人はいるということ。できればその一人がシュトレーゼンではないことを願いながらアリーヤがドアをノックする。
すると中から聞こえてきたのは女性の声で、「どうぞ」と一言。
「この声はレジネッタか。さて、入るぞ貴様たち。準備はいいか?」
準備も何も何を準備すればいいのかさっぱりだったが全員頷いた。それを確認しアリーヤがドアノブをひねり扉を開け、中へと入っていく。
そして、彼女に続いて続々とパラダイス・ロスト事務所へと入っていく。中にいたのは…
パラダイス・ロスト社長、アンネローゼ・レジネッタと
その部下でタロット占い師のリーゼロッテ・アリエッティだった。2人でティータイムの最中だったらしく、ロイヤルミルクティの入ったティーカップを
片手に2人は一同に向き直る。カップをテーブルに置き、アンネローゼはアリーヤらに歩み寄ってくる。
そして、彼女に続いて続々とパラダイス・ロスト事務所へと入っていく。中にいたのは…
パラダイス・ロスト社長、アンネローゼ・レジネッタと
その部下でタロット占い師のリーゼロッテ・アリエッティだった。2人でティータイムの最中だったらしく、ロイヤルミルクティの入ったティーカップを
片手に2人は一同に向き直る。カップをテーブルに置き、アンネローゼはアリーヤらに歩み寄ってくる。
「いらっしゃい。あら、これはまた大勢で。今日は何の御用かしらアーサー君。それに…初めて見る顔が二人ほど。じゃあまず名刺を渡しておかないとね」
と、懐から名刺入れを取り出し、名刺を霧香とジェネシスへと手渡す。ジェネシスが手元の名刺に目を落とすと、
『Paradise Lost CEO Annerose Reginetta』
と記されていた。
『Paradise Lost CEO Annerose Reginetta』
と記されていた。
「私をその名で呼ぶなと言った筈だがレジネッタ?どうやら貴様は人の過去を蒸しくりかえして楽しむのがよほど趣味と見える」
アリーヤが険しい表情でアンネローゼに食って掛かる。アリーヤの言うその名とは開口一番にアンネローゼが言った『アーサー君』のことだ。
過去とアリーヤが口にしたことからアリーヤは昔、アーサーと名乗っていたことがあるということだろうが、どうやらその過去は本人にとって
辛いものであるらしかった。そして、険しい表情のままのアリーヤを諌めるようにリーゼロッテが仲裁に入る。
過去とアリーヤが口にしたことからアリーヤは昔、アーサーと名乗っていたことがあるということだろうが、どうやらその過去は本人にとって
辛いものであるらしかった。そして、険しい表情のままのアリーヤを諌めるようにリーゼロッテが仲裁に入る。
「すいませんシュトラッサーさん。アンネローゼさんも悪気はないんです。久しぶりにあなたに会えて嬉しかったんだと思います。それでつい浮かれて…」
「…まあいいさアリエッティ。この女は口で言って聞くような耳を持ってはいまい。それよりもあとの3人はどうしたのだ?」
「…まあいいさアリエッティ。この女は口で言って聞くような耳を持ってはいまい。それよりもあとの3人はどうしたのだ?」
3人、これほどの大人数でこのそう広くはない事務所に押し掛けているのにラーゼフォン、ルーゼアリア、シュトレーゼンが顔を出さない。
アリーヤが事務所の時計に目を向けると時刻はちょうど正午を回ったころだった。昼食の用意をするために買い出しにでも言っているのだろう。
アリーヤがそう考えたとき、アンネローゼが彼女の問いに答えた。
アリーヤが事務所の時計に目を向けると時刻はちょうど正午を回ったころだった。昼食の用意をするために買い出しにでも言っているのだろう。
アリーヤがそう考えたとき、アンネローゼが彼女の問いに答えた。
「3人とも仕事よ。朝ごはんを食べた直後に3件の依頼が立て続けに舞い込んできてね。どんな仕事かはクライアントと契約の時に交わす秘密厳守規定で
口外はできないけど。まあ、そんな大それた仕事じゃないからすぐに戻ってくると思うけどね」
口外はできないけど。まあ、そんな大それた仕事じゃないからすぐに戻ってくると思うけどね」
とのことで3人とも仕事中だった。どちらにせよシュトレーゼンがいないのは好都合であり今日は仕事の依頼ではなくただ単に挨拶に来ただけなので
長居は無用だ。このあとは神谷探偵事務所と聖ニコライ孤児院に回らなくてはならないのだから。
長居は無用だ。このあとは神谷探偵事務所と聖ニコライ孤児院に回らなくてはならないのだから。
「ではレジネッタ。私たちはこれで失礼しよう。ティータイムの邪魔をして悪かったな」
「気にしないで。私もあなたの顔が見れてうれしかったからね。アリーヤさん」
「気にしないで。私もあなたの顔が見れてうれしかったからね。アリーヤさん」
アンネローゼから初めてアリーヤと呼ばれたことに驚きの表情を浮かべるが、その直後ふっと笑みを浮かべてドアの方を振り返る。
それとほぼ同時にドアが開き、もう春だというのに全身を真っ黒なコートで覆った身長およそ2mはあろうかという大男が姿を現した。
その瞬間、ジェネシスと霧香を除く5人の表情が一変する。まるで台所でアブラムシと出くわしてしまったときに浮かべる、そんな表情だった。
それとほぼ同時にドアが開き、もう春だというのに全身を真っ黒なコートで覆った身長およそ2mはあろうかという大男が姿を現した。
その瞬間、ジェネシスと霧香を除く5人の表情が一変する。まるで台所でアブラムシと出くわしてしまったときに浮かべる、そんな表情だった。
「おかえり、シュトレーゼン。仕事の出来はどうだった?」
「ッククククククク…聞くだけ野暮ってものだよアンネローゼさん。ボクの仕事に失敗なんてあると思うのかい?」
「ッククククククク…聞くだけ野暮ってものだよアンネローゼさん。ボクの仕事に失敗なんてあると思うのかい?」
よりによってなタイミングでこの男と出くわしてしまったことにアリーヤは苦虫を噛んだような表情を浮かべた。そして、顔の向きだけをアリーヤたちの方へ
向けてシュトレーゼンが気味の悪い笑みを浮かべながら口を開いた。
向けてシュトレーゼンが気味の悪い笑みを浮かべながら口を開いた。
「…これはこれは…この町を救ってくださった英雄様方のお出ましですか…ですが見ない顔が2つ…朝霧さん…変わった名前だ…そしてもう一人は…
そのお面のせいで解らないな…それは醜い顔を隠すため?それとも酷い傷でもあるのかな?どっちにしたってキミの顔になんて興味はないけどね…ックククク…」
そのお面のせいで解らないな…それは醜い顔を隠すため?それとも酷い傷でもあるのかな?どっちにしたってキミの顔になんて興味はないけどね…ックククク…」
なるほど、これがアリーヤの言っていたシュトレーゼンのブラックジョークかとジェネシスは合点がいくと同時にこの手の手合は相手にしないことを
決めていたため、シュトレーゼンを無視して素知らぬ顔でパラダイス・ロストを後にした。だが、その背後でシュトレーゼンの呼ぶ声が聞こえた。
決めていたため、シュトレーゼンを無視して素知らぬ顔でパラダイス・ロストを後にした。だが、その背後でシュトレーゼンの呼ぶ声が聞こえた。
「名前くらい名乗ってくれてもいいんじゃないかな…ッククククククク…」
こういう失礼な人間の相手はしないと誓っていたジェネシスだが、この男は後々もしつこうそうだと直感し、その場で彼に向き直り、言い放った。
「ジェネシス・ラッツィンガー。それが私の名です。それ以外にあなたと話すことなど何もありません。では失礼いたします」
と、一人で路地を抜けて行ってしまった。誰もがシュトレーゼンと関わることを避けていたため、彼のことは相手にせずジェネシスを追いかけて行った。
ただ一人、霧香を除いて。顔面蒼白のままその場に立ち尽くしてしまっていた。それもそのはず、初対面であるシュトレーゼンになぜ自分の本当の名を当てられたのか。
それが不思議でならなかった。そして恐ろしかった。一体、目の前のこの大男は何者なのだろうか。彼女が忍として様々な世界を旅する中、
様々な世界の住人と接触する機会はもちろんあった。だがシュトレーゼンは今までに遭ったどの人物にも持っていなかった特有の雰囲気があった。
対峙した相手を本能的に恐れさせる、そんな雰囲気をまとっていた。気が付けば体が小刻みに震えていた。そんな霧香の様子を見かねたのか、
アンネローゼが口を開いた。
ただ一人、霧香を除いて。顔面蒼白のままその場に立ち尽くしてしまっていた。それもそのはず、初対面であるシュトレーゼンになぜ自分の本当の名を当てられたのか。
それが不思議でならなかった。そして恐ろしかった。一体、目の前のこの大男は何者なのだろうか。彼女が忍として様々な世界を旅する中、
様々な世界の住人と接触する機会はもちろんあった。だがシュトレーゼンは今までに遭ったどの人物にも持っていなかった特有の雰囲気があった。
対峙した相手を本能的に恐れさせる、そんな雰囲気をまとっていた。気が付けば体が小刻みに震えていた。そんな霧香の様子を見かねたのか、
アンネローゼが口を開いた。
「見てられないわね、じゃあせめて貴女の心のつかえが取れて少しでも気が楽になればいいかな。シュトレーゼンが貴女の名を当てられたのは、死神だから」
死神、デスサイズと呼ばれる巨大な鎌を持ち、真っ黒なコートをまとった骸骨を連想させる言葉で、霧香もその知識はあった。
だが、眼前にいるこの男、シュトレーゼンは不気味な雰囲気以外は普通の人間となんら変わらない。それにもともとシュトレーゼンは死神みたいな
風貌からそう呼ばれているに過ぎないのではなかったか。まさか本当に死神だなどと、にわかには信じられない。その思いは表情に現れていたようで、
アンネローゼが再び口を開いた。
だが、眼前にいるこの男、シュトレーゼンは不気味な雰囲気以外は普通の人間となんら変わらない。それにもともとシュトレーゼンは死神みたいな
風貌からそう呼ばれているに過ぎないのではなかったか。まさか本当に死神だなどと、にわかには信じられない。その思いは表情に現れていたようで、
アンネローゼが再び口を開いた。
「信じられないって顔してるわね。でも事実なのよ。シュトレーゼンは相手の顔を見ただけでその名前と残りの寿命が見えるの。ついでに言うと、
シュトレーゼンはその気になれば目の前にいるあなたの人生に今すぐピリオドを打つことだってできる。何せ、『死神』なんだから」
「…ちょっとおしゃべりが過ぎるんじゃないかなアンネローゼさん…まあいいけどね…リーゼ、ボクにもお茶を一杯くれるかな?」
シュトレーゼンはその気になれば目の前にいるあなたの人生に今すぐピリオドを打つことだってできる。何せ、『死神』なんだから」
「…ちょっとおしゃべりが過ぎるんじゃないかなアンネローゼさん…まあいいけどね…リーゼ、ボクにもお茶を一杯くれるかな?」
台所に向かうリーゼロッテと事務所のソファーに腰掛けるシュトレーゼン。アンネローゼに言われたことがすぐには理解できず、頭が混乱していた。
「まあ信じる信じないは貴女次第。都市伝説じゃないけどね。そろそろみんなを追っかけたら?いつまでもここにいてもしょうがないし」
アンネローゼのその言葉にはっと夢から醒めたようにいつもの表情を取戻し、パラダイス・ロストを後にする霧香。
路地を抜けると、ほかのメンバーが待っていてくれた。クラウスがいつものように微笑みをたたえながら霧香に声を掛けた。
路地を抜けると、ほかのメンバーが待っていてくれた。クラウスがいつものように微笑みをたたえながら霧香に声を掛けた。
「どうやら死神に何か言われたようだけど、彼の言うことなんて気にする必要はないよ。じゃあ、早いとこ次に行こうか」
そうして一同は神谷探偵事務所に向けて再び足を進めるのだった。