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「Chenge The world」  第九話

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第9話 旅立ち




先生が目覚めてからすでに2週間がたち、ようやく先生の傷は完全に癒えたのだった。
そしてついに世界を変えるための壮大な旅に出るその日が訪れるのであった。出発の時、病院の前で淳子ら6人は町中の闇人たちの餞別を受ける。
というのもそれまでの二週間が暇でしょうがなかった一同は、街中を練り歩き、街中の闇人たちと親しくなっていたのだ。
大勢の闇人たちに手を振られ、淳子たちは街を後にした。とはいっても相変わらず一面の砂漠なのだが。


「でも仲間を探すって言ってもなんの手がかりもないんじゃ…これからどうすればいいの?」淳子がぼやく。
「手かがりについては先ほど闇人さんに聞いたのですがここから北に30kmほど行ったところに
『ヴァンゲリオ』という大きな町がありそこに行けば何かわかるだろうと言っていましたとりあえず目的地はそこでしょう」と竜崎。

「30kmか…遠いねぇ。たぶん今日中にはたどり着けないだろうね。
昔言った戦場ヶ原の遠足じゃ3km歩くので2時間かかったから。 単純計算で30kmじゃ20時間だよ。ひぇ~大変だぁ~…」美伽が嘆く。
そんな彼女を先生がたしなめる。

「秋山さん、誰も今日中にその街へたどり着こうだなんて思ってないわ。無理をして歩き続けて怪物にでも襲われたらどうするの?」
「そうだな。とりあえず暗くなってきたら適当なところでキャンプを張ってそこで休もう。これから先の旅は長くなりそうだ。疲れをためるのは得策ではない」
セフィロスが冷静に分析する。その言葉にうなずく一同。そして今まで黙っていたカノンが口を開いた。

「そういえば先生、本名は何て言うんですか?僕たちにとってあなたは先生ではないですし…せっかくだから教えていただけますか?」
「ああ…そういえばまだ名乗ってなかったわね。ごめんなさい。私の名前は『上条小百合』。上条って呼んでくれてかまわないわ。」
「わかりました。それじゃあ上条先生とよばさせていただきます。あ、結局先生って呼んじゃいましたね、アハハ…」
笑ってごまかすカノン。それにつられて笑う一同。



そして再び新たな街へと歩き出した、が、30kmの道のりはあまりに長く、全然街が見えてくる気配がない。
そのうちにあたりが薄暗くなってきた。
それでも少しでも街に近付きたいという思いから、道なき道を歩き続ける6人。
だが淳子が腕時計を確認した午後7時。あたりは完全な闇に包まれた。

闇を照らす光もないため、何も見えない。と思いきや
淳子がパイロキネシスを発動し、砂の大地に煌煌と炎を燃やす。
普通なら燃料もなしに炎を維持することなどできないが、淳子の起こす炎で燃やせないものはない。
すなわち、砂そのものが燃えているのであり、淳子は精神力を消費することなくこの炎を自由に操ることができるのだ。
その炎を中心として野営する6人。そして今後について話し合う。まず最初に口を開いたのは、竜崎だった。

「さてみなさん私たちは上条先生が夢で逢ったという少女の外見をした神によってこの世界に召喚されましたここまではいいですね?」うなずく一同。

「ここで重要になってくるのはその神は何を『基準』として私たちを召喚したかということですこれは私の推測ですが私たちは力を合わせれば
 この世界を変えられるだけの何らかの能力を持っているということです。そんな能力もない人間を召喚したところで無意味なのですから。
 すなわちこれから私たちが出会うであろう残り4人の仲間たちも私たちと同じように何らかの能力を持っているとみていいでしょう」

ここで美伽が口をはさむ。
「ちょっと待ってよ竜崎。竜崎たちはそう自由に炎を起こしたり、ものすごい剣技をもってたり、すごい頭が良かったりするかもしれないけど、
 あたしや先生はなんの変哲もない普通の人間なんだぜ?これはどう説明する気だよ竜崎?」
上条先生もその言葉にうなずく。しかし竜崎は凛として言い返す。

「いいえあなたたちも私たちと同じく何らかの能力を持っているはずですただ自分自身がその能力に気づいていないだけで。ふとしたきっかけですぐにその能力は覚醒するでしょう」
「気づいてないだけって…!あたしたちは自分のことくらいちゃんと理解してるって!いいかげんなこと言うと承知しないよ竜崎!」
激昂する美伽。たが竜崎はそれでも動じない。
「では聞きますがあなたは自分で自分がどういう人間なのかを即答できますか?9割以上の人間はできませんなぜなら自分のことをきちんと見つめていないから」
「それと特殊能力となんの関係があるのさ竜崎?」

「簡単な話です自分を見つめなおしたときに何が見えてくるかそれはもちろん本来の自分自身ですということはすなわち自分自身が普段ひた隠しにしているものも
 見えるということですその正体は誰かに対する愛情などその形は様々でしょうそれが顕在化し表面に出てくるときこそが力が覚醒するまさにその時なのです。
 秋山さんの例にたとえてみましょうあなたは上条先生のことが好きだと私は認識していますもちろんそれは人間としてでしょうが。
 とすれば上条先生が危機に陥った時あなたは間違いなく助けたいと思うはずです。その時にこそ普段ひた隠しにしている上条先生へのもう一つの
 感情が表に現れ能力が覚醒するというわけですそれがどういう感情なのか私にはわかりませんただ負の感情でないことだけは確かですそして…上条先生あなたにも同じことが言えます」
竜崎の言葉に黙り込んでしまう2人。と、ここでセフィロスが口を開くのだった。

「だが竜崎。そんな危機に遭遇したとしてもし能力が覚醒しなかったらどうするつもりだ?今の話はお前の推測なのだろう?」
「おっしゃるとおりですその時は私が二人を助けます戦えない私でも二人を逃がすための囮にはなりえるはずですから」
あきれ顔の一同。



そして淳子は再び腕時計を確認する。午後11時。そろそろ眠りにつかないと今日の疲れが明日に影響を及ぼしそうだ。
「さあみんな、そろそろ寝ないと明日が厳しそうよ。今日はこの辺で休みましょう」
そして話もそこそこに一同は眠りに就いた、と思いきや皆が寝静まった後も起きている人物が2人いた。
竜崎とカノン・ヒルベルトだ。竜崎が再び口を開く。

「すいませんカノンさんやれ超能力だの何だのと人を怪物みたいに扱ってしまったようですそれは今ここで謝ります」
「いや僕は全然気にしてないですよただ美伽さんや上条先生は結構ショックを受けてたみたいですけどね」
苦笑いを浮かべるカノン。

その時、2人の周りを取り囲む10の影が現れた。竜崎が目を凝らしてみるとその正体は…ハイエナだった。
「伏せてください!」と叫ぶカノン。伏せる竜崎とほぼ同時にハイエナの群れは二人に襲いかかった。
眠っている4人に襲いかからなかったのは永遠の謎だ。

10匹のハイエナに一斉に飛びかかられるカノン。
だが少年は超人的反射神経でそれを回避し、懐から拳銃を2丁取り出し、それを両手に携え「グルルルル…」とうなるハイエナたちに向けて宣言した。
いつものような笑顔ではなく、ひどく冷徹な顔で。
「なるほど。一匹ずつじゃ絶対に仕留められないからまとめてやってきたというわけか。だけど残念だね。君たちのようなのが何匹来ようが
 この僕をしとめることなんて永遠にできやしないんだってことをその身をもって思い知るがいい!」
言い終えると同時にカノンはハイエナの群れへと発砲した。拳銃とは思えない連射速度も圧巻だが、それよりも凄いのが命中率。
ほぼ全ての弾がハイエナに直撃している。15秒後にはハイエナ10匹の血まみれの死体が転がっているだけだった。
伏せているまま、唖然となる竜崎。

そう、これが「ガン・ウィズ・ウィング(翼ある銃)」と呼ばれ恐れられたカノン・ヒルベルトの実力だった。
「銃をこの手に握るのはずいぶん久しぶりですが、感覚は全然鈍っていないようです。安心しました。もう立って大丈夫ですよ竜崎さん」
起き上がる竜崎。そしてポケットに手を突っ込み、言った。

「お見事ですこれなら世界を変えるのに十分な力ですただできれば暴力は使いたくないところですがこれから先はそうもいっていられないでしょうし」
「その通りですよ竜崎さん。世界にはきれいごとだけじゃ解決しえないこともある。世界を変えるなんてその典型。だから僕はこの手を汚すんです」
「では私はあなたができるだけその手を汚さない道を模索するとしましょう。さて、そろそろ眠くなってきました。私はもう寝ることにします」
「それなら僕もそうします。明日も早いのでしょうし」
そして最後まで起きていた二人も眠りについた。


そして再び朝を迎えた。目覚める一同。淳子が号令をかける。
「さてみんな起きたね。忘れ物ない?それじゃ、出発!」何を忘れるのかという指摘は抜きにして6人は再び砂漠を歩き出すのだった。



第9話 旅立ち FIN

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