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無限桃花の愉快な冒険14

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eroticman

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だれでも歓迎! 編集
ここは海沿いの創発の館(仮)。の医務室。
「うぃーっす、お見舞いに来てやったぞ」
「ちっ……」
「あれれ、舌打ちですか。いいんですか、泣きますよ?」
「……お見舞いありがとうございます」
そんなわけでサムラポニーテール少女、無限桃花の病室におしゃべりな桃花がやってきた。
病室とは言っても個別の部屋になっているわけではない。学校の保健室を思い浮かべてもらえればまさしくそれである。
医者の能力の関係上、入院する人間は稀でそのためか医務室はこの通常よりちょっと広い程度の一部屋しか存在しない。
おしゃべりは持ってきた林檎の入った籠を台の上に置く。
「どうせ見舞いに来る人間なんていないだろうと思って来てやってるのになんたる態度だ」
引き出しを開けて、果物ナイフを取り出して林檎の皮をむき始める。
「私はなんで頭を割られた人間が一晩で退院出来るのに私が退院出来ないのか不思議でならないよ」
「そりゃあのヤブ医者の能力が実体修復限定だからでしょ。心の傷は治せないとか使えないよねぇ」
「心の傷と言われてもあまり実感がないな」
「そりゃ本人はよくわk」
おしゃべり桃花の背後で何かが揺らめいた。その瞬間、鈍い光が彼女の頭部を叩き壊す。
白いカーテン、ベッド、入院服が赤に染まる。それ桃花が認識するよりも早く、光はおしゃべり桃花に二発目を加えていた。
何の抵抗もなく、首から離れていく半分欠けた頭。壁に叩きつけられた音が頭部の最後を示していた。


今日も良く晴れている。雲は少なく、海の果てで固まっている。海より来る風は温かく、外にいれば居眠りしてしまいそうな陽気だ。
湿った洗い立てのシーツの皺を伸ばし、物干し竿に干す。風がそれを撫でるようにはためかせている
「この前洗ったばかりだったんですけどね」
「いやー、うざかったからついうっかりね」
白衣に眼鏡を掛けた桃花が頭を掻きながら答える。風が彼女の不揃いの髪を揺れる。
「何度も何度も殺されていると私の命の重さがなくなる気がするよ」
ぶつくさと文句を言いながらカーテンを物干し竿に洗濯ばさみで固定していくおしゃべり桃花。
洗濯籠の中身が空になる。桃花は踏み台代わりの椅子に腰を掛ける。
自分の分を干し終えた医者桃花とおしゃべり桃花がやってきて、桃花の椅子を背もたれにして座る。
暖かな白い海の中。桃花はゆっくりと目を閉じた。
どっとはらい。



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