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ともだちハウス第一話

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ともだちハウス第一話

 木漏れ日溢れる森の小道、薄茶色のローブを纏った少女が小枝を振りながら歩く。
 今にも眠ってしまいそうな表情とは逆に、機嫌の良さそうな声が森にひびいた。

「はー、こー、にー」

 ぱさぱさと周囲の茂みを叩きながら、開けた森から覗く景色に足を止める。
 頭の上で結わえた髪もふらりと揺れる。

「わ、か、ん」

 手にした小枝を前に向けて、指し示したのは空と海のブルーに囲まれた大きな屋敷。

「はこにわかん」

 途切れた小道はやがて丘へ溶け、少女もまた吸い込まれるようにぺたぺたと走り始めた。

 たどり着いた大きな門は、一体誰が開け閉めをしているのか疑問に思えるほど重厚で、
嬉しそうに隙間へと身を滑らせる少女を優しく迎えてくれた。
 玄関まで続く小さな庭をしげしげと見回し、植え込みの手入れをしている管理人さんを
見つけ、さっそく声をかける。

「こんにちは?」
「おや、お客さんだね」

 温厚な笑顔で返事をする管理人さんは、軍手をぱたぱたと払って腰にあてた。

「しかし、これまた随分と小さなお嬢さんだ。どんなご用事かな?」
「あ、ええとね」

 言われて気付いたようにごそごそとポシェットを漁りはじめると、ビー玉やおはじきを
ぽとぽと落としながら、一枚の汚れた紙を取り出した。

「しんきゅうしけんかだい、ともだちをたくさんつくること」
「友達を作りにこんなところまで来たのかい? それはそれは」

 管理人さんは感心して軍手を脱ぎ、少女の頭に手を置いた。
 頭の上で結わえた髪がぐにゃりとのけぞる。

「はこに、わかん」
「そう、ここは箱庭館っていうんだよ」
「わかん、てなに?」
「え?」

 はてな顔で見上げる少女と困った顔で見下ろす管理人さんを、穏やかな春の風が包む。
 少女は流れる髪に合わせてゆっくりと顔を横に向けると、一羽の白い蝶に目をとめた。

「あ、ちょうちょ」
「あれはモンシロチョウだね」
「まってー」

 青く晴れ渡った空へと蝶は舞い上がり、それを追うようにしてぺたぺたとスリッパの音
が遠ざかっていく。さらさらとそよぐ風の中、大きなため息がひとつ聞こえた気がした。



魔女っ子&変身ヒロイン創作スレより ――ゆゆるちゃん入館――

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