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創発の館に他の桃花が来ちゃったら3

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創発の館に他の桃花が来ちゃったら③

作者:◆wHsYL8cZCc
投稿日:2010/08/22(日) 17:44:07


「という訳で……」
「ええ」
「ここはつまり……」
「なるほどなるほど」
「……という場所なの」
「それはそれは


 龍過ぎ去りし創発の館。
 稲妻桃花は勉強中だった。この館が桃花が集まる場所であり、自分達には設定という物があり、館には様々なギミックがあり、たまに魔王が来たり寄生も来たりエトセトラエトセトラ……。
 それを図書館にて眼鏡桃花にレクチャーして貰っていたのだ。


「で、一通り簡単に説明したけど、解ったかしら?」
「まったく」
「やっぱり」

 稲妻桃花には頭の痛い内容だった。言葉では理解出来た。実際にここが普通の世界ではない事は見れば解るし、なにより桃花だらけなのだ。
 ところが、感覚では別である。このままでは現実が受け入れられず精神に異常をきたすかもしれない。そう思っていた程だ。
 あまつさえ、自分が殺した桃花達が落ち込む自分の目の前で次々蘇って行った光景は異様を通り越して逆に絶望的な物だった。
 眼鏡桃花が皆に説明し、ようやく事態を理解し落ち着いてはいったが、何人かはなぜか付き纏って来た。

「ま、そのうち落ち着くわよ。意外と慣れる物よ。皆が皆桃花と言っても千差万別だし」
「まぁ……。それはそうだけど……」

 稲妻桃花はチラっと横を見た。そこに居たのは……

「ブゥオオオオン! ブブブブ……」

 発動機の音。ホッケーマスクにチェーンソーの桃花が横に居た。発動機のフカシで喋る彼女の言葉は当然理解は出来なかった。
 金曜日桃花(便宜上こう呼ぶ)は稲妻桃花に敗れた後、べったり一緒に居るのだ。

「見た目に反していい子だから心配しないで」

 眼鏡桃花はそう言ったが、横でチェーンソーが回転していて心配するなとは無茶な要求と言えないだろうか。何より二サイクルエンジン用のガソリンが臭い。

「その娘みたいに、身体的な特徴の設定は要件さえ満たしていればあとはほぼなんでもありなの。
 ポニーテールで、刀を持ち……この場合は武器って捉え方でいいと思うけど。十八歳くらい。金曜日だって要件は満たしている」

「確かに……」

 その場に居たメンツはセーラー桃花とお喋り。クールな大人桃花とクレイジーな金曜日桃花。あとは講師の眼鏡桃花。
 皆ポニーテールで、十八歳前後で、刀を持って……。

「……やっぱり解らないぃ~!!」

 叫んだ。当然と言えば当然だ。だって周りは自分だらけなのだ。平然としているコイツらがおかしいんじゃ無いのか? そんな事すら考えた。
 それを見ていたセーラー桃花とお喋り桃花はその姿に正直ほっとしていた。最悪の事態は免れたからだ。

「……混乱しているな」
「まぁムリもないでしょ」
「しかしまぁ良かったよ。もしこの桃花が寄生並の極悪人だったらどうしようと思っていた」
「私達じゃ丸焼きだもんね」

 最悪の事態とはずばりそれ。
 そうなら寄生が攻めて来たのと変わりがない。うずくまって泣いている稲妻桃花を見たセーラー桃花は正直、心底安心したのだ。この娘はいい人だと解ったから。
 そして、出来れば早く慣れてほしいと思っている。

「しかしまぁ……。普通の人だな」
「うんうん。最初はどんな無骨なマッスルが来るかと思ってたけど。ホント普通の人だ」

 稲妻桃花の設定は普通の女の子である。生い立ち能力差し引いても、ベースはそこ。それはちょっぴり意外な事でもあった。
 ならば普通に会話し普通に打ち解けていけるのでは無いか。なれば、おかしな場所に迷い込んで混乱している同胞には自分達でも十分ケア出来るのではないか。そう思ったセーラー桃花。
 眼鏡桃花あいかわず実務的。クールビューチーを体現していた。

「あなたは『桃花』としてはかなりベーシックな桃花ね。細かい部分は別として。例えばそこに居るセーラー桃花もベーシックな桃花の典型ね。
 袴姿かセーラー服か。あなたの場合の袴は普通じゃないみたいだけど。とにかくその二つが二大衣装ってとこ。
 妹の設定もあるけど、あなたほど妹に存在感ある桃花はあなた一人ね」
「妹……。彼方?」
「そうよ。資料によると……。まぁはっちゃけちゃって。どこの誰かが反省はしているが後悔は無いってかいてあるけど……」
「彼方……」
「……。あとは、桃花がグータラな場合は彼方がしっかり者になる場合もあるわね。ニートの桃花が居るんだけど、その場合はわりと普通の娘だった」

「ニートって……」
「あなたはホームレス経験ありでしょ。驚く事? 他は小さい女の子って場合が多いわね」
「彼方が……」
「後は……。そうね。共通設定の細かい説明しようかしら」

 眼鏡はセーラーに手招き。どうやら出番のようだ。お手伝い出来るならば。そう思っていたが……。

「例えば、私達は『ポニーテールである』と設定されている。意味も無くそれを破ろうとすると……」
「……。ちょ!? 何を!?」

 眼鏡桃花、セーラー桃花のポニテを解く。さらりと長い髪が背中へ放たれる。それ事態は何でも無いが、問題はそれによって起こるある変化。
 そう。ムラムラしてしまうのだ。

「ちょ……!! 髪留め返して!」
「いいじゃない。減るもんじゃ無いし。むしろ適度に解いてかないと。ここには男一人居ない訳だし」

 そうは言うがセーラー桃花は乙女である。公衆の面前でムラムラなど自尊心が許さない。急いで髪留めを奪い返し素早くポニテへ整える。長い黒髪は元の姿へと戻っていった。

「破廉恥な……!」
「細かい事言わないの。どう? 解った? ……ってあれ?」

 セーラー桃花が無意味にムラムラした様子を確認した稲妻桃花。
 なにやら思う節があるようで……。

「どうしたのかしら?」
「……。そう言えば……アイツそういう時はいの一番に髪解いて来たな……」
「アイツ? えーっと……。ああ。アイツね。なんかいずれあのスレがどうとか資料には書いてあるけど……」
「うん。絶対見切られてたんだわ……。なんでか解らないけど、意味ない場所で髪解くと、確かに……」
「何よ? やっぱりあなたもそうなのね。みんなそうなのよ。やっぱり髪を解くのとイコールしてそうなのかしら?」
「じゃあやっぱり……」
「私はそんな気分にはならないけど。まぁ事の最中に髪結ったままってのは無いわね」

 女の子同士のぶっちゃけトーク展開。
 どうやらほぼ全員の桃花が髪を解くとそうなるらしい。それによって生命活動の重要な本能に火がつくとか。
 猥だ……雑談に移行したと察知したお喋りも我慢出来なくなり会話に混じる。

「やっぱり皆そうなのかー!? どれ具体的に聞かせて……」
「ちょっと……。破廉恥な」
「何よ。なんだかんだで聞きたいんでしょ」
「う……」
「まぁ私は構わないけど」
「よしよしさっそく語ってもらおうか」
「いやでも……。アイツ淡泊だからそんな言う程内容が無いって言うか……」
「構わないわよ。どうせ髪解かれてたらコッチ側も火が着いたままだし」
「うん。まぁ……。ああ、体力はあった」
「なにそれ凄い。聞いた?」
「き……聞いてませんッ! みんな自重したらどうだ!?」
「これでも控えめにお送りしてるつもりよ?」
「ブオオオオオン! ブブブ……。バリバリバリ! パラリラパラリラ……」
「ほら。金曜日もそう言ってるじゃない」
「いや、何言ってるか……」
「ラッパっておかしくない?」

 やっぱり年頃の女の子だらけである。そう言った話題はやはり大好きで。
 眼鏡桃花の持つ資料には「ロボスレ代表のバカップルに対抗する為に……」等と書かれていたが、当人達はもはや資料など気にする様子もなく。
 キャッキャウフフな話題に華を咲かせていたが、遂に残る一人が重い口を開く。大人桃花だ。
 そして、彼女は見た目よりもずっと大人でした。

「……はっきり言うが、ムラムラしてからじゃ遅いんだ。むしろ冷めた時にどれだけ出来るかが問題なんだ……」

 全員大人桃花を見る。

「無意味に欲情したら、誰だってやるさ。……相手に求められた時、どうすべきか……」

 その後語られたのはあまりに大人の苦い話であった。





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