創作発表板@wiki

Yuri-3-014

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集

朝の風景


14 :創る名無しに見る名無し:2010/09/21(火) 23:03:24 ID:H58eKIEt

「兄さん、起きて下さい。遅刻します。」
長髪の少女が、同じく長髪の、ベッドで丸くなっている少女に呼びかける。
「おはよ~、おぉー相変わらずラブリーだね、我が妹よ、さあ、オハヨーのハグ&チューをしようじゃないか!」
「止めて下さい。寝ぼけないで下さい。寝癖を直して制服に着替えて歯を磨いて朝食を食べて学校に行って、そして帰って来ないで下さい。」
「……ひどすぎるよ~」
妹は制服を差し出す。ベッドから飛び起きた少女は落ち込みつつも、妹から制服を受け取り着替え始める。その間に妹は姉の髪を櫛で整え、姉は気持ち良さそうに顔をほころばす。身なりを整えた姉は洗面所で歯を磨き、妹は朝食を皿に盛る。
「我が妹ちゃん、いつも言ってるけど、私のことはお姉ちゃんって呼んでくれなのさ」
「いつも言ってますが、公の場ではそう呼びます、でも、二人きりの時は兄さんがもう少し女性らしくなってもらわないと駄目ですよ。せめて料理くらいは覚えてもらわないと」
「料理できる人は一家に一人で十分なのさ、今日の朝食も美味しそうだよ~、だから私はできなくてもいいんだよ~」
妹の呆れ顔とは対照的に、姉は磨きたての歯をのぞかせながらが笑顔で食卓につく。妹が話す今日の天気だとかニュースだとかほんの少しのお小言だとかを聞きながら、見た目通り美味しい朝食を素早く、少々行儀悪く平らげた。
「それじゃ行ってくるよー。行って来ますのハグ&チューはあるかな!?」
「ありません。行ってらっしゃい兄さん」
扉を開けて、ほがらかな笑顔で姉は出かけた。扉が閉まった。元気に走り出す音が聞こえる。足音はすぐに聞こえなくなった。もう誰もいない扉に向かって妹は
「姉さんが、もし本当に兄さんなら。男性なら。好きって、愛してるって、素直に言えたのかなぁ。大好きですよ。お姉ちゃん」
小さく、呟いた。



タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
ウィキ募集バナー