もし創発の館に他の桃花が来ちゃったら⑤
作者:◆wHsYL8cZCc
投稿日:2010/10/21(木) 07:36:22
投稿日:2010/10/21(木) 07:36:22
「本当に居たんだ……」
「結構小柄な人ね」
「本当にそうなの?」
「結構小柄な人ね」
「本当にそうなの?」
乙女だらけの創発の館。
この日は大混乱であった。おそらく館内部での記念日になるかもしれない、超大事件が勃発していたのだ。
この日は大混乱であった。おそらく館内部での記念日になるかもしれない、超大事件が勃発していたのだ。
「ホラホラちょっとどきなさい」
眼鏡桃花が人垣を掻き分け現れる。彼女は今、大興奮を通り超してクレバーそのもの。ミスクレバーといえば眼鏡を呼べと言える程にクレバーだった。
眼鏡がそれを観察している。何を見ているかと言われれば、たった今、館に到着した新たな仲間である。
その桃花は気を失っていた。ぼさぼさの頭は簡単なポニーテール。というよりちょんまげみたいに結っただけ。ぼろぼろの刀は錆び付いて鞘への出し入れさえ面倒そうなボロさ。
割と小柄な体格ではあったが、それでも館中の桃花と比べれば比較的大きい部類である。ちらりと覗く腕は結構鍛えられている。
その桃花、というより桃花と呼べるかどうかも微妙な彼女、じゃない彼は、気を失ったまま、館へと流れついたのだ。
眼鏡は言った。
眼鏡がそれを観察している。何を見ているかと言われれば、たった今、館に到着した新たな仲間である。
その桃花は気を失っていた。ぼさぼさの頭は簡単なポニーテール。というよりちょんまげみたいに結っただけ。ぼろぼろの刀は錆び付いて鞘への出し入れさえ面倒そうなボロさ。
割と小柄な体格ではあったが、それでも館中の桃花と比べれば比較的大きい部類である。ちらりと覗く腕は結構鍛えられている。
その桃花、というより桃花と呼べるかどうかも微妙な彼女、じゃない彼は、気を失ったまま、館へと流れついたのだ。
眼鏡は言った。
「本当に居た……。枠を超えた桃花……」
流れついたのは、眼鏡が捜し求めていた枠を超えた存在の一人、男の桃花であった。
「結構かわいい顔~」
「童顔ね」
「久しぶりの男よ!」
「童顔ね」
「久しぶりの男よ!」
ギャラリーがやんややんや言ってる中、眼鏡は興味深そうにじっと見ている。なぜならそれは、無限桃花でありながら無限桃花ではない、設定を超えた禁断の桃花なのである。
彼は基本が女性であるという事から、見た目はかなり得をしている。
小柄な体格。中性どころか女性っぽい童顔。まさに男の娘。周りの桃花達が黄色い声をだして無駄に喜んでいる。一部のマッチョ好きや嫌ジャニ系桃花を除き、今のところ彼はモテモテである。
彼は基本が女性であるという事から、見た目はかなり得をしている。
小柄な体格。中性どころか女性っぽい童顔。まさに男の娘。周りの桃花達が黄色い声をだして無駄に喜んでいる。一部のマッチョ好きや嫌ジャニ系桃花を除き、今のところ彼はモテモテである。
「う……」
ついに目覚めの時。眼鏡とギャラリーのモブ桃花達は今か今かと期待を寄せる。
何を期待しているかと言われれば明言は難しい。想像してみよう。男だらけの飲み会に女の子が一人来たら。テンションは上昇あるのみ。
それが逆になっただけの話だ。
何を期待しているかと言われれば明言は難しい。想像してみよう。男だらけの飲み会に女の子が一人来たら。テンションは上昇あるのみ。
それが逆になっただけの話だ。
「う……!」
そして、うっすら彼は目を開けた。
彼は眉間にシワを寄せ、まだ慣れない目でぼんやり周りを見た。
しばらく薄目できょろきょろ見回し、ある程度状況を把握した所でぱっちり目を開けて固まってしまった。
しばらく薄目できょろきょろ見回し、ある程度状況を把握した所でぱっちり目を開けて固まってしまった。
「……え?」
「混乱してるわね。まぁ無理もないけど……」
「混乱してるわね。まぁ無理もないけど……」
眼鏡が言うと、彼はさらに固まる。周りではさらに乙女が謎の熱視線を照射している。彼は横になったまま、ぼそぼそ言った。
「こ……ここここ」
「え? 何かしら?」
「こ……此処は……」
「まぁ……。話せば長くなるから追い追い説明するけど……。
貴方は……えーっと……。刀火、刀火ね」
「ななな……なんで名前を……」
「それも後で説明するわ。それよりほら、早く起きたら? こんな冷たい床に寝てたら風邪引いちゃうわ」
「え? 何かしら?」
「こ……此処は……」
「まぁ……。話せば長くなるから追い追い説明するけど……。
貴方は……えーっと……。刀火、刀火ね」
「ななな……なんで名前を……」
「それも後で説明するわ。それよりほら、早く起きたら? こんな冷たい床に寝てたら風邪引いちゃうわ」
眼鏡は手を差し延べる。刀火はたっぷり逡巡した揚句、それを取らずに自分の力で起き上がる。
辺りを見回し、混乱極まった表情で、顔真っ赤で硬直している。
辺りを見回し、混乱極まった表情で、顔真っ赤で硬直している。
「とりあえず、ようこそ創発の館へ。枠を超えた桃花」
「枠を超えた……?」
「ええ。つまり、女性であるという基本設定を超えた存在。まぁすぐに理解出来る物でもないし。あとで説明してあげるわ」
「ええと……。つまり……その……」
「あら? 何かしら?」
「あのですね……。ええと……」
「何よはっきりしない男ね」
「枠を超えた……?」
「ええ。つまり、女性であるという基本設定を超えた存在。まぁすぐに理解出来る物でもないし。あとで説明してあげるわ」
「ええと……。つまり……その……」
「あら? 何かしら?」
「あのですね……。ええと……」
「何よはっきりしない男ね」
眼鏡が瞬時にイラっとした。
ギャラリーはまだ気づいていない。が眼鏡は感づいた。
ギャラリーはまだ気づいていない。が眼鏡は感づいた。
「あなたモテなさそうね」
ズバっと言い放つ。
そう。この男桃花、つまり刀火は、女の子と会話するのが苦手なのである!
「まぁここには女しか居ないし。嫌でも慣れると思うけど」
「女しか……居ない……?」
「そうよ。みんな女よ。男はあなただけ」
「そんな……! なんという地獄! 孤独……!」
「だから嫌でも慣れるわよ。修業と思ってがんばれば?」
「そんな……。女子と話すなど……母親と彼方くらい……。はっ!」
「どうかしたの?」
そう。この男桃花、つまり刀火は、女の子と会話するのが苦手なのである!
「まぁここには女しか居ないし。嫌でも慣れると思うけど」
「女しか……居ない……?」
「そうよ。みんな女よ。男はあなただけ」
「そんな……! なんという地獄! 孤独……!」
「だから嫌でも慣れるわよ。修業と思ってがんばれば?」
「そんな……。女子と話すなど……母親と彼方くらい……。はっ!」
「どうかしたの?」
刀火は突然、何かを悟ったような表情を浮かべる。そして、動揺した声で残念な事を口走る。
「彼方……! 彼方はどこに……!」
「残念だけど、ここには『桃花』しか居ないわ。私達の妹もここには来れない。当然、あなたの妹さんも」
「そんな……。ウソだ。ウソだッ!」
「本当よ。何なら周りに確かめてみたら?」
「なんて事だ! し……心配だっ! 心配で死にそうだ……!」
「突然口が回り出したわね。どうしたの?」
「残念だけど、ここには『桃花』しか居ないわ。私達の妹もここには来れない。当然、あなたの妹さんも」
「そんな……。ウソだ。ウソだッ!」
「本当よ。何なら周りに確かめてみたら?」
「なんて事だ! し……心配だっ! 心配で死にそうだ……!」
「突然口が回り出したわね。どうしたの?」
刀火はわなわなと震えている。そして天井を見上げて叫んだ。
非常に残念な、刀火の本性である。
非常に残念な、刀火の本性である。
「うおおおおおお! 妹よ! 兄はここに居るぞ! 返事してくれ! 頼む。頼むから!
ああ、心配だ! 一人で大丈夫か妹よ! ああ、会いたい……。彼方に会いたい。今すぐ。今すぐに!
うわああああ! お兄ちゃんは此処だぞぉ! 畜生なんでこんな事に! きっと今頃悪い虫が彼方によってたかってウザイ事この上ないだろう!
だってかわいいもん! ウチの妹最強だもの! 許さん! 絶対許さん!
殺してやるぞ!!」
ああ、心配だ! 一人で大丈夫か妹よ! ああ、会いたい……。彼方に会いたい。今すぐ。今すぐに!
うわああああ! お兄ちゃんは此処だぞぉ! 畜生なんでこんな事に! きっと今頃悪い虫が彼方によってたかってウザイ事この上ないだろう!
だってかわいいもん! ウチの妹最強だもの! 許さん! 絶対許さん!
殺してやるぞ!!」
無限刀火。枠を超えた存在。
童顔の男の娘で、小柄で、女の子と話すのが苦手で。
童顔の男の娘で、小柄で、女の子と話すのが苦手で。
「うわあああああああ彼方ぁあああああああ!」
さらにシスコンだった。