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「好敵手-ライバル-」
101 :好敵手-ライバル-:2010/10/26(火) 12:14:07 ID:k00r7awb
某長編演劇少女漫画の主人公2人の性別を変えて書いてみました。
いや、そのほかの設定も若干、変えてます。
そういうものでも大丈夫って方は、よろしかったら、どうぞー
いや、そのほかの設定も若干、変えてます。
そういうものでも大丈夫って方は、よろしかったら、どうぞー
102 :好敵手-ライバル-:2010/10/26(火) 12:16:37 ID:k00r7awb
彼にだけは……どうしても負けたくない。
僕は前の鏡に写る自らの姿を見ながら思った。
彼と、そのたった一つの役柄を巡り、互いに切磋琢磨するようになってから、もう、何年経っただ
ろうか。
僕は前の鏡に写る自らの姿を見ながら思った。
彼と、そのたった一つの役柄を巡り、互いに切磋琢磨するようになってから、もう、何年経っただ
ろうか。
その舞台は、ようやく試演にこぎつけてはいたが、正式公演に向けたキャストはまだ決定されて
はいない。
僕等は、今、その役柄を巡り、本当に最後のたたかいを繰り広げている最中なのだ。
はいない。
僕等は、今、その役柄を巡り、本当に最後のたたかいを繰り広げている最中なのだ。
「本当に……小さい頃からの夢だったんだ……絶対に諦めたくないんだ」
僕は鏡の中に写る自らの姿に語りかけるように、小さな声でそう言った。
その僕の姿は、今、僕の目には、ぼんやりとしか映っていない。
その僕の姿は、今、僕の目には、ぼんやりとしか映っていない。
ここは、ある劇団の稽古場の一角だ。
僕は、この前の稽古の際に、うかつにも転んでしまい、照明機材に頭を強打するような怪我をし
た為に、一度、検査入院をしたのだ。そして、その頃から、少しずつ眼を悪くしていた。
今となっては、こんなに目の前の自らの姿でさえ、良くは見えていない。
僕は、この前の稽古の際に、うかつにも転んでしまい、照明機材に頭を強打するような怪我をし
た為に、一度、検査入院をしたのだ。そして、その頃から、少しずつ眼を悪くしていた。
今となっては、こんなに目の前の自らの姿でさえ、良くは見えていない。
「それでも、諦めることなんかできない」
僕は、誰もいないこのスタジオで、自らに言い聞かせるようにそう呟いてから、その役の振り付け
を演じ始める。
既に数えきれない程の練習を積み重ねてきた、その役柄にあわせた舞いをただひたすらに、無
心で踊り続ける。
を演じ始める。
既に数えきれない程の練習を積み重ねてきた、その役柄にあわせた舞いをただひたすらに、無
心で踊り続ける。
今の僕に出来ることは、ただ、それだけしかないからだ。
僕は、誰もが知る名女優と映画監督の一人息子として、生まれた。
母親譲りの明るい色の髪と、どちらかと言えば、中性的なこの容姿の所為もあって、演劇の世
界では、王子様と呼ばれる程度には、持て囃されてきた。
母親譲りの明るい色の髪と、どちらかと言えば、中性的なこの容姿の所為もあって、演劇の世
界では、王子様と呼ばれる程度には、持て囃されてきた。
だがそれも―周りの期待に応える為に、僕が人一倍の稽古を重ねてきた、この成果があっての
ことなのだ。
そのことは、僕自身が一番良く理解している。
ことなのだ。
そのことは、僕自身が一番良く理解している。
そして―父と母も仕事で忙しく、結局、僕は、たった一人だという、あの孤独な感情に押しつぶ
されそうになった時でも、演劇だけが、演劇に打ち込むことだけが、僕の唯一の救いになってき
たのだ。
されそうになった時でも、演劇だけが、演劇に打ち込むことだけが、僕の唯一の救いになってき
たのだ。
だからこそ―
僕は、小さい頃から憧れ続けたその役を、真の表現者でなければ、演じる事ができないと言わ
れてきたその役を、どうしても、自らの手で演じたかった。
その役を演じることを熱望し、もう、ずっと―努力を積み重ねてきたのだから。
僕は、小さい頃から憧れ続けたその役を、真の表現者でなければ、演じる事ができないと言わ
れてきたその役を、どうしても、自らの手で演じたかった。
その役を演じることを熱望し、もう、ずっと―努力を積み重ねてきたのだから。
僕は、そんな風に思いながら、演技に無心になれなくなっていた自分に嫌気がさして、ふと舞う
ことを止めた。
僕がこんな風に思い悩んでいるこの瞬間にも、彼は―もう、この役柄の真意を掴み、いつものよ
うに、まるで、その役柄の魂が乗り移ったかのような、迫真の演技を掴みかけているのだろうか。
ことを止めた。
僕がこんな風に思い悩んでいるこの瞬間にも、彼は―もう、この役柄の真意を掴み、いつものよ
うに、まるで、その役柄の魂が乗り移ったかのような、迫真の演技を掴みかけているのだろうか。
彼は、僕自身が努力と修練で身につけてきた、美しい型を基本とする演技などではなく、そう、
天性の―人を惹きつける演技というものを無意識のうちに、知り得ているかのように、僕には映る。
天性の―人を惹きつける演技というものを無意識のうちに、知り得ているかのように、僕には映る。
彼の平凡な容姿と、役柄を表現するための技術力が未だに伴わないことから、彼のことを三流
役者などと嘲笑っている人々もいた。
役者などと嘲笑っている人々もいた。
だが、僕は、彼のその迫真の演技こそが、真の演劇者に至る過程の中で、どれ程に難しいこと
であるか、演技者としての本能で、理解しているつもりだ。
であるか、演技者としての本能で、理解しているつもりだ。
恐らく、ライバルという意味でなら、僕は、彼と彼の演技をこの世界で、一番愛しているだろう。
彼に対する僕のこの感情は……ただ、それだけのものだと思いたかったのかもしれない。
彼に対する僕のこの感情は……ただ、それだけのものだと思いたかったのかもしれない。
「アユムさん、そろそろお帰りになりませんと、奥さまが心配されますよ」
その稽古場のドアが開く音と、僕を迎えにきた執事の声に、僕は、自分自身が直面する現実
へとふいに引き戻される。
へとふいに引き戻される。
「ああ、わかったよ。支度をしてから戻るから、もう少しだけ、控室で待っていてもらえるかな」
「かしこまりました」
「かしこまりました」
自分の眼があまり見えていないことなど、気にもかけていないという様子を保ちながら、僕が執
事へとそう声をかけると、執事の方も慣れたもので、僕の気持ちを慮って、そつの無い返事だけ
を返してくれる。
事へとそう声をかけると、執事の方も慣れたもので、僕の気持ちを慮って、そつの無い返事だけ
を返してくれる。
執事の後ろ姿を見送った僕は、もう既に頭に叩き込んである『稽古場から控室までの道のりを
眼が見えている人々と変らぬ様子で帰るという演技』に集中するために、小さく息を吸い込むよ
うにしてから、呼吸を整える。
眼が見えている人々と変らぬ様子で帰るという演技』に集中するために、小さく息を吸い込むよ
うにしてから、呼吸を整える。
「北島真矢……僕は、君には、君にだけは、負けられないんだ」
僕は小さな声でそう呟くと、稽古場を後にした。
【了】
最初は、以外といけるんじゃない? と思ったのに、あんまりBLっぽくならなった気が……
お目汚し失礼しましたー
お目汚し失礼しましたー