雨の祟り神こと逆吊り様は生贄の生気を吸い取ってエネルギーを蓄えていたものの、信仰が無くなり生贄を求めて彷徨う。
そしていつの間にか怪異達のいる世界に迷い込んだ。
この世界では人間が希少な存在だと知って替わりに他の神様や妖怪等を襲うようになった。
そんなある日おかっぱの少女怪異に出会う。
いつものように生気を頂こうとするも少女が邪悪過ぎる為に吸い取るどころか逆に力を奪われてしまう。
その上少女は逆吊り様の頭に食らいつきばりばりと食べ始めたのだ。
少女を振り解いて必死に逃げた先は別世界。
偶然見つけた空っぽの祠の中へ閉じ籠もった。
どれ位の月日が流れたのか、暗く冷たく狭い祠の中で少女の怪異に怯えながら回復するのを待ち続けた。
祠の外で激しい雨音が聞こえる。
それに呼応するかの如く体に吊るされた“生贄だったもの”達が嘆いていた。
暫くすると祠がガタガタと揺れ出した。
誰かが屋根や扉を叩いたり無理矢理こじ開けようとしているようだ。
我慢がならず祠から飛び出した逆吊り様が見たものは、道化のような恰好をした一人の少女だった。
「おっと、祠の主の登場だ♪」
少女は逆吊り様に怯える事もなく興味津々に近づいてくる。
「…私が怖くないの?」
「全然怖くなんかないよ?むしろ出会えて嬉しいんだ」
(驚いた。今まで自分に対して怯える者、敵意を向ける者、悪意のある者はいたがこんな子は初めてだ。)
少女は両手を広げて笑顔を見せる。
「あのさ、キミに一つお願いがあるんだけど…。ボクとお友達になってほしいんだ!」
何を言い出すのかと思いきや神様とお友達とは。
「…お友達?祟り神ですよ?…祟りますよ?不幸になるかもしれませんよ?それでも私と…友達になりたいのですか?」
逆吊り様はぶら下がった頭を揺らしながら少女に迫る。
「それでも構わないよ。ボクはキミの噂を聞き付けてここへ来た。ずっとこんな狭い祠に閉じ籠もって寂しかったんでしょ?恐怖なんてないさ。お友達になれるのなら全てを受け入れるよ」
逆吊り様はその言葉を聞いてとても嬉しかった。
この子と一緒にいたい。
お友達になりたい。
お友達になりたい。
「…ありがとう。こんな事を言ってくれるのはあなたが初めて…です。是非ともお友達に…なりましょう」
「いいの?やったー!!」
元気に跳び上がる少女。
すると先ほどまで降っていた雨が止んで空が晴れ渡り陽の光が差し出した。
「おっ、晴れた!そういえば名前言ってなかったよね。ボクはジュジィ」
「私は逆吊り様です」
二人は笑顔で歩き出す。
これは雨の日の祠で友達になった二人の始まりの物語。