流星が流れた次の日、日本にある草咲市。
路地裏で低学年の少年が高学年と思われる少年たち三人に囲まれていた。
三人の少年達の特徴を一言で表すなら、デッパ、ハナデカ、そしてゴリラである。
「よう、良いカード持ってるじゃねぇか」
「ギルドライバーA6なんて滅多にでないでヤンス!」
「ぐふふふふ、なんだな!」
お決まりの言葉を言いながら少年達は顔を近づける。
「見せてくれよ、レアカードなんて珍しいからなぁ」
「あっ」
ゴリラがひったくるように男の子のカードを取る。
「なかなか良いカードじゃねぇか」
「か、返して!」
「やーだよ!」
少年は手を伸ばす。しかし、体格差と多勢なせいか完全に翻弄されてしまっていた。
「待ちなさい!」
「うん?」
三人が振り向くとそこには一人の少女が居た。
少女の髪を三つ編みにしており、緑のトレーナーと赤いスカートを穿いていた。
背中には赤いランドセルを背負っており、鋭い目で三人を見ている。
「そのカードはその子が一生懸命歩いて探し当てた物よ。あなたにそれを奪う権利はないわ!」
少女の言葉に三人は顔をしかめる。
「何だてめぇは……」
「ゴリラ、見るでヤンス! こいつは五年生でヤンス!」
胸についている名札は青だった。
彼らが通っている学校では学年ごとに色の違う名札をつけており、青は五年生を示す色であった。
そして、名札にはこう書いてあった。「五年二組 一条遥」
「五年生の分際で六年生に逆らうだなんて生意気だぞ!」
鼻息を荒くして叫ぶゴリラ、それに対し負けじと睨み返す。
「低学年の子をいじめる方がもっと最低だわ!」
「うるせぇぇ!」
ゴリラは遥に向かって突進してきた。だが遥はそれを軽くかわした。
そしてポケットから自分のカードを取り出す。
「そんなにレアカードが欲しいの? ならあ・げ・る!」
そう言ってゴリラの顔にカードを思いっきり叩き込んだ。
パァァァン!という快音と共にカードと赤い紅葉がでかでかと付いた。
「のぉぉぉぉ」
そしてそのままゴリラは鼻血を噴出しながら後ろに倒れた。その際掴んでいたカードをサッと取り上げる。
「ゴ、ゴリラがやられたでヤンス!」
「や、やばい! にげるんだなぁぁぁぁ!」
二人はゴリラを背負うと思いっきり駆け出していった。
「全く、弱いものいじめなんて最低だわ!」
逃げていく子分たちを見送りながら虐められていた子のほうを向く。
「大丈夫? 何かとられてない?」
「う、うん。でも……あいつら仕返しに……それにおねえちゃんのカード…・・・」
子供の不安そうな声に思わず遥は笑顔を見せる。
「いいのいいの、気にしないで! 後は私が何とかするから、ね?」
遥は少年の頭をなでながら彼らが去った方向を見ていた。
路地裏で低学年の少年が高学年と思われる少年たち三人に囲まれていた。
三人の少年達の特徴を一言で表すなら、デッパ、ハナデカ、そしてゴリラである。
「よう、良いカード持ってるじゃねぇか」
「ギルドライバーA6なんて滅多にでないでヤンス!」
「ぐふふふふ、なんだな!」
お決まりの言葉を言いながら少年達は顔を近づける。
「見せてくれよ、レアカードなんて珍しいからなぁ」
「あっ」
ゴリラがひったくるように男の子のカードを取る。
「なかなか良いカードじゃねぇか」
「か、返して!」
「やーだよ!」
少年は手を伸ばす。しかし、体格差と多勢なせいか完全に翻弄されてしまっていた。
「待ちなさい!」
「うん?」
三人が振り向くとそこには一人の少女が居た。
少女の髪を三つ編みにしており、緑のトレーナーと赤いスカートを穿いていた。
背中には赤いランドセルを背負っており、鋭い目で三人を見ている。
「そのカードはその子が一生懸命歩いて探し当てた物よ。あなたにそれを奪う権利はないわ!」
少女の言葉に三人は顔をしかめる。
「何だてめぇは……」
「ゴリラ、見るでヤンス! こいつは五年生でヤンス!」
胸についている名札は青だった。
彼らが通っている学校では学年ごとに色の違う名札をつけており、青は五年生を示す色であった。
そして、名札にはこう書いてあった。「五年二組 一条遥」
「五年生の分際で六年生に逆らうだなんて生意気だぞ!」
鼻息を荒くして叫ぶゴリラ、それに対し負けじと睨み返す。
「低学年の子をいじめる方がもっと最低だわ!」
「うるせぇぇ!」
ゴリラは遥に向かって突進してきた。だが遥はそれを軽くかわした。
そしてポケットから自分のカードを取り出す。
「そんなにレアカードが欲しいの? ならあ・げ・る!」
そう言ってゴリラの顔にカードを思いっきり叩き込んだ。
パァァァン!という快音と共にカードと赤い紅葉がでかでかと付いた。
「のぉぉぉぉ」
そしてそのままゴリラは鼻血を噴出しながら後ろに倒れた。その際掴んでいたカードをサッと取り上げる。
「ゴ、ゴリラがやられたでヤンス!」
「や、やばい! にげるんだなぁぁぁぁ!」
二人はゴリラを背負うと思いっきり駆け出していった。
「全く、弱いものいじめなんて最低だわ!」
逃げていく子分たちを見送りながら虐められていた子のほうを向く。
「大丈夫? 何かとられてない?」
「う、うん。でも……あいつら仕返しに……それにおねえちゃんのカード…・・・」
子供の不安そうな声に思わず遥は笑顔を見せる。
「いいのいいの、気にしないで! 後は私が何とかするから、ね?」
遥は少年の頭をなでながら彼らが去った方向を見ていた。
翌日、案の定あの三人がやってきた。
「へへへ、昨日は世話になったな」
鼻の頭には絆創膏が貼ってある。少年は全速力で逃げようとする。
「今度はにがさねぇぞ!」
ゴリラも追おうとする、しかし……。
「こんなことだろうと思ったわ」
「お、お前は……あのときの!」
路地裏から出てきた遥を見てうろたえるゴリラ。
「こ、今度は負けないでヤンス!」
「徹底的にやっつけてやるんだな!」
三人は遥を睨みつける。一方のはるかも負けじと睨み返した。
「バリエーションがないわね」
「へへへ、昨日は世話になったな」
鼻の頭には絆創膏が貼ってある。少年は全速力で逃げようとする。
「今度はにがさねぇぞ!」
ゴリラも追おうとする、しかし……。
「こんなことだろうと思ったわ」
「お、お前は……あのときの!」
路地裏から出てきた遥を見てうろたえるゴリラ。
「こ、今度は負けないでヤンス!」
「徹底的にやっつけてやるんだな!」
三人は遥を睨みつける。一方のはるかも負けじと睨み返した。
「バリエーションがないわね」
「うるせぇ! お前ら出て来い!」
そう叫ぶともう二人ほど路地から出てきた。
「へへへ、こっちは五人だぜ!」
下卑た笑みを浮かべながらゴリラは笑っている。
まずいわね……流石に5人じゃ・・・
「やっちまえ!」
額に汗を浮かべている遥に四人が一斉に襲い掛かる。
だが、それを邪魔する者たちがいた。彼らは遥に襲いかかろうとしている二人を横から思いっきり蹴り飛ばした。
「面白そうなことしてるじゃねぇか」
「鷹介!」
「せっかくだから助太刀してやるよ、遥」
「一刀!」
二人は余裕の笑み浮かべながら立っていた。
「やっぱ、女の子相手に5人はないだろ?」
「そうそう、義見ざるは勇無きなりってね」
「くっ、てめぇら! 突っ立ってないでやっちまえ!」
デッパとハナデカは気まずい顔をしてゴリラの方をちらりと見る。
「で、でもあいつら強そうなんだな・・・」
「明らかに負けるでやんす」
「うるせぇ、早く…」
言い争いをしている三人の背後に遥がせまる。
「お前ら! 盾になれ!」
「そ、それはひどいんだな!」
「ここはゴリラがいくでやんす!」
そして三人の顔に快音が響いた。
「やんすぅぅぅぅ!」
「なんだなぁぁぁ!」
「お、おぼえてろよぉぉぉ!」
三人は顔に紅葉をつけながらまたお決まりの文句を言って逃げていった。
「へ、おとといきやがれってんだ!」
一刀は去りゆく3人に大声で言った
そう叫ぶともう二人ほど路地から出てきた。
「へへへ、こっちは五人だぜ!」
下卑た笑みを浮かべながらゴリラは笑っている。
まずいわね……流石に5人じゃ・・・
「やっちまえ!」
額に汗を浮かべている遥に四人が一斉に襲い掛かる。
だが、それを邪魔する者たちがいた。彼らは遥に襲いかかろうとしている二人を横から思いっきり蹴り飛ばした。
「面白そうなことしてるじゃねぇか」
「鷹介!」
「せっかくだから助太刀してやるよ、遥」
「一刀!」
二人は余裕の笑み浮かべながら立っていた。
「やっぱ、女の子相手に5人はないだろ?」
「そうそう、義見ざるは勇無きなりってね」
「くっ、てめぇら! 突っ立ってないでやっちまえ!」
デッパとハナデカは気まずい顔をしてゴリラの方をちらりと見る。
「で、でもあいつら強そうなんだな・・・」
「明らかに負けるでやんす」
「うるせぇ、早く…」
言い争いをしている三人の背後に遥がせまる。
「お前ら! 盾になれ!」
「そ、それはひどいんだな!」
「ここはゴリラがいくでやんす!」
そして三人の顔に快音が響いた。
「やんすぅぅぅぅ!」
「なんだなぁぁぁ!」
「お、おぼえてろよぉぉぉ!」
三人は顔に紅葉をつけながらまたお決まりの文句を言って逃げていった。
「へ、おとといきやがれってんだ!」
一刀は去りゆく3人に大声で言った
さらに翌日。五年二組の教室では算数の授業をしていた。
「これが通分、と言います。分かりましたか?」
担任の水原先生がチョークを黒板に置いた。
「じゃあ次の問題を……そうね、潤也くんと琉卯菜さんとルナさん、やってみて頂戴」
先生のそういうと三人は席から立ち、黒板の前へとやってきた。
「えっと、18と3だから……」
小さい声で琉卯菜が計算をしており、
「むっ……」
潤也は少し呻き声を出す。
そして最後のルナだがあっという間に式と答えを書き込むと自分の席へと戻っていった。
「そろそろいいかな?」
水原先生がまだ計算している琉卯菜に話しかける。
「あっ、もうちょっと待ってください」
そういうと琉卯菜は慌てふためいた様子で黒板に式と答えを書き込む。
「それでは答え合わせをします、ええっと……」
赤いチョークを手に取り答え合わせをしようとしたときだった。鉄琴の音がスピーカーから聞こえてきた。
「水原先生、水原先生、至急職員室まで来てください」と言い終わると終わりの鉄琴の音が鳴った。
「なにかしら? 先生は職員室に行って来るから、みんなは自習しててね」
水原先生はそう言うと教室を出て行った。
「これが通分、と言います。分かりましたか?」
担任の水原先生がチョークを黒板に置いた。
「じゃあ次の問題を……そうね、潤也くんと琉卯菜さんとルナさん、やってみて頂戴」
先生のそういうと三人は席から立ち、黒板の前へとやってきた。
「えっと、18と3だから……」
小さい声で琉卯菜が計算をしており、
「むっ……」
潤也は少し呻き声を出す。
そして最後のルナだがあっという間に式と答えを書き込むと自分の席へと戻っていった。
「そろそろいいかな?」
水原先生がまだ計算している琉卯菜に話しかける。
「あっ、もうちょっと待ってください」
そういうと琉卯菜は慌てふためいた様子で黒板に式と答えを書き込む。
「それでは答え合わせをします、ええっと……」
赤いチョークを手に取り答え合わせをしようとしたときだった。鉄琴の音がスピーカーから聞こえてきた。
「水原先生、水原先生、至急職員室まで来てください」と言い終わると終わりの鉄琴の音が鳴った。
「なにかしら? 先生は職員室に行って来るから、みんなは自習しててね」
水原先生はそう言うと教室を出て行った。
「水原先生の用事ってなんなんだろうね?」
後ろに居る鈴音が遥に声をかける。
「うーん、先生意外とおっちょこちょいだから――」
頭の中で花瓶を割ったり、テストの問題を間違えたりする先生が思い浮かぶ。
「あー、分かる分かる、ああ見えて結構かわいいよね、小動物みたいで」
「小動物……?」
リスになった先生を想像する遥。かりかりとどんぐりを齧っている
「ぷぷ、じゃあ瀬名先生はチンパンジーね」
後ろに居る鈴音が遥に声をかける。
「うーん、先生意外とおっちょこちょいだから――」
頭の中で花瓶を割ったり、テストの問題を間違えたりする先生が思い浮かぶ。
「あー、分かる分かる、ああ見えて結構かわいいよね、小動物みたいで」
「小動物……?」
リスになった先生を想像する遥。かりかりとどんぐりを齧っている
「ぷぷ、じゃあ瀬名先生はチンパンジーね」
遥の言葉に鈴音は思わず噴出しそうになり、笑いをこらえながら机を叩いた。
「また喧嘩したようね」
ルナが隣にいる鷹介に話しかけた。
「はぁ?」
首をかしげる鷹介にルナはそのまま続けた
「6年生の猿藤君、5年生にやられたって言ってたわ」
「しかたねぇだろ? あいつら2年生に絡んでたんだぜ」
「だったら先生を呼びなさいよ、すぐ喧嘩なんて野蛮だわ」
気に入らないのか、フンと鼻を鳴らすとそっぽを向いた。
「何だよ、変に突っかかってくるな? もしかして俺に気があるとか?」
「バ、馬鹿言ってるんじゃないわよ! 何であたしがこんなブッサイクに惚れなきゃいけないのよ!」
「ブ、ブサイクだと!? そっちだって高飛車で堅物な嫌われ者じゃねぇか!」
「な、何ですってぇ!?」
「やめなよ、二人とも」
お互い席をたち、にらみ合う。だがそれを雪人が仲介する。
「鷹介君には悪気が無かったんだ、それにルナちゃんも暴力はいけないっていうだけだからさ……」
「……フン!」
鷹介とルナは顔を背けると再び席に戻った。そんな二人を見ながら雪人はただため息を付くしかなかった。
ルナが隣にいる鷹介に話しかけた。
「はぁ?」
首をかしげる鷹介にルナはそのまま続けた
「6年生の猿藤君、5年生にやられたって言ってたわ」
「しかたねぇだろ? あいつら2年生に絡んでたんだぜ」
「だったら先生を呼びなさいよ、すぐ喧嘩なんて野蛮だわ」
気に入らないのか、フンと鼻を鳴らすとそっぽを向いた。
「何だよ、変に突っかかってくるな? もしかして俺に気があるとか?」
「バ、馬鹿言ってるんじゃないわよ! 何であたしがこんなブッサイクに惚れなきゃいけないのよ!」
「ブ、ブサイクだと!? そっちだって高飛車で堅物な嫌われ者じゃねぇか!」
「な、何ですってぇ!?」
「やめなよ、二人とも」
お互い席をたち、にらみ合う。だがそれを雪人が仲介する。
「鷹介君には悪気が無かったんだ、それにルナちゃんも暴力はいけないっていうだけだからさ……」
「……フン!」
鷹介とルナは顔を背けると再び席に戻った。そんな二人を見ながら雪人はただため息を付くしかなかった。
「一刀君、どうしたの?」
隣に居る正一が一刀の頬に傷が付いていることに気が付いた。
「ああ、昨日、あそこの幽霊工場に入ったんだよ。そん時に付いちまったんだ」
幽霊工場とは呂歩町の北に有る大きな閉鎖工場である。
ここ最近深夜に激しい音がすると噂になっている場所だった。
おかしな笑い声がする、どこかで漫才のような話が聞こえるなど話題になっていた。
「へぇ、良く行けたね。見つからなかった?」
「そんなヘマをするかよ、まあ、シャッターがしまってて、奥には入れなかったがな」
「無茶をするな、お前は」
一刀の隣にいる潤也がそっと呟いた。
「それをいうなら潤也だって悪い事をしてきたんじゃないのか?」
一刀はニヤケながら言った。彼のいうとおり潤也の指先には包帯が巻かれている。
「オレのは喧嘩とかの傷じゃない、試合でマメを潰した時に出血しただけだ」
潤也は落ち着いた声で応対した。
「ちぇ、あーあ、潤也は幸せ者だよなぁ……可愛い幼なじみのうえ野球部ではエースで四番なんだよなぁ」
「羨ましがられても困る。幼なじみはともかくエースになりたいなら毎日、ジョギングと――」
「やめてくれぇ! 俺は努力っていうのが苦手なんだ!」
説教じみた潤也の言葉に一刀は頭を抱えた。
「そうか、一刀ならすぐレギュラーになれるのにな…」
潤也は少しガッカリした。
隣に居る正一が一刀の頬に傷が付いていることに気が付いた。
「ああ、昨日、あそこの幽霊工場に入ったんだよ。そん時に付いちまったんだ」
幽霊工場とは呂歩町の北に有る大きな閉鎖工場である。
ここ最近深夜に激しい音がすると噂になっている場所だった。
おかしな笑い声がする、どこかで漫才のような話が聞こえるなど話題になっていた。
「へぇ、良く行けたね。見つからなかった?」
「そんなヘマをするかよ、まあ、シャッターがしまってて、奥には入れなかったがな」
「無茶をするな、お前は」
一刀の隣にいる潤也がそっと呟いた。
「それをいうなら潤也だって悪い事をしてきたんじゃないのか?」
一刀はニヤケながら言った。彼のいうとおり潤也の指先には包帯が巻かれている。
「オレのは喧嘩とかの傷じゃない、試合でマメを潰した時に出血しただけだ」
潤也は落ち着いた声で応対した。
「ちぇ、あーあ、潤也は幸せ者だよなぁ……可愛い幼なじみのうえ野球部ではエースで四番なんだよなぁ」
「羨ましがられても困る。幼なじみはともかくエースになりたいなら毎日、ジョギングと――」
「やめてくれぇ! 俺は努力っていうのが苦手なんだ!」
説教じみた潤也の言葉に一刀は頭を抱えた。
「そうか、一刀ならすぐレギュラーになれるのにな…」
潤也は少しガッカリした。
窓の外を眺めていた由人が何かに気が付く。
「なんだ、あれ?」
空には小さな光の玉が浮いていた。玉はジグザクに飛行をした後、凄まじい速度でこちらに向かってきた。
「こっちに来た!」
由人が叫ぶと同時に5年2組の教室は光に包まれた。
「なんだ、あれ?」
空には小さな光の玉が浮いていた。玉はジグザクに飛行をした後、凄まじい速度でこちらに向かってきた。
「こっちに来た!」
由人が叫ぶと同時に5年2組の教室は光に包まれた。
「ここはどこなんだ?」
雪兎が周りを見る。あたりは赤なのか青なのか緑なのか分からない色で染まっていた。
「私たち、宙に浮いてる!?」
玲が思わず叫ぶ。上も下もない空間でみんなその場で漂っていた。
何も無い空間に眩しい光がゆっくりとみんなの前に現れた。
「あれは!?」
由人は目の前の光がこっちに向かってきた光の玉であることに気が付いた。
そして光はゆっくり収まり、少女の形となった。
「私の名前はティマ」
ティマと名乗る少女は彼らに微笑みかける。
「ティマ?」
みんな首をかしげる。この状態を作り出したのは彼女なのだろうか?
「皆さん、この地球に危機が迫っています」
雪兎が周りを見る。あたりは赤なのか青なのか緑なのか分からない色で染まっていた。
「私たち、宙に浮いてる!?」
玲が思わず叫ぶ。上も下もない空間でみんなその場で漂っていた。
何も無い空間に眩しい光がゆっくりとみんなの前に現れた。
「あれは!?」
由人は目の前の光がこっちに向かってきた光の玉であることに気が付いた。
そして光はゆっくり収まり、少女の形となった。
「私の名前はティマ」
ティマと名乗る少女は彼らに微笑みかける。
「ティマ?」
みんな首をかしげる。この状態を作り出したのは彼女なのだろうか?
「皆さん、この地球に危機が迫っています」
「危機?」
蘇真は危機という言葉に反応する。
「お願い、私に力を貸して……この地球を守って……」
「ええ!?」
「いきなり何を言ってるのよ!」
誰もが戸惑う中、遥はゆっくりとティマの前に来る。
暗くて分からなかったが彼女は涙を流していた。
何があったのかは分からない、でも・・・
「わかった、あなたの力になれるかわからないけれど……みんなはいい?」
「勝手に決めないでよ、遥!」
玲が遥に向かって叫んだ。
慎重派の玲にしてみれば見ず知らずの存在が自分に力を貸せと一方的に要求をしてくる。
この様子がどうにも我慢できないようだ。
「でも、この子泣いてるんだよ! 放っておけないよ!」
遥も負けじと言い返す。だが・・・・・・
「あっ!」
ティマはそのまま消えてしまった。
蘇真は危機という言葉に反応する。
「お願い、私に力を貸して……この地球を守って……」
「ええ!?」
「いきなり何を言ってるのよ!」
誰もが戸惑う中、遥はゆっくりとティマの前に来る。
暗くて分からなかったが彼女は涙を流していた。
何があったのかは分からない、でも・・・
「わかった、あなたの力になれるかわからないけれど……みんなはいい?」
「勝手に決めないでよ、遥!」
玲が遥に向かって叫んだ。
慎重派の玲にしてみれば見ず知らずの存在が自分に力を貸せと一方的に要求をしてくる。
この様子がどうにも我慢できないようだ。
「でも、この子泣いてるんだよ! 放っておけないよ!」
遥も負けじと言い返す。だが・・・・・・
「あっ!」
ティマはそのまま消えてしまった。
「みんな、ゴメンね。急用が出来ちゃって……どうしたの、みんな?」
水原先生が教室の戸をあけるとそこには茫然自失とした5年2組の子供たちがいた。
「あ、あの……」
声をかけるがみんな上の空だ、遥も一刀も鷹介も鈴音もただぼうっとしている。
「どうしちゃったのかな? 新しい遊びなのかな? でも今は授業中だからまた今度ね」
そう言ったがみんなの反応は一切無かった。
「……うわぁぁぁぁんん!」
思わず泣き出す水原先生、そしてそれに反応する子供たち。
「みんな無視しちゃやだぁぁぁぁ!」
「うわわわ! 先生!?」
「誰だよ、先生泣かしたの!?」
クラス中が一斉に騒がしくなる。いつもの教室が戻ってきたのだった。
「せ、先生、泣かないで」
「僕たちが悪かったですから……」
遥と雪兎が水原先生をなだめる。
「うう、もう二度とこんなことしないでね」
「はーい」
先生の言葉にみんな元気良く返事をした。
水原先生が教室の戸をあけるとそこには茫然自失とした5年2組の子供たちがいた。
「あ、あの……」
声をかけるがみんな上の空だ、遥も一刀も鷹介も鈴音もただぼうっとしている。
「どうしちゃったのかな? 新しい遊びなのかな? でも今は授業中だからまた今度ね」
そう言ったがみんなの反応は一切無かった。
「……うわぁぁぁぁんん!」
思わず泣き出す水原先生、そしてそれに反応する子供たち。
「みんな無視しちゃやだぁぁぁぁ!」
「うわわわ! 先生!?」
「誰だよ、先生泣かしたの!?」
クラス中が一斉に騒がしくなる。いつもの教室が戻ってきたのだった。
「せ、先生、泣かないで」
「僕たちが悪かったですから……」
遥と雪兎が水原先生をなだめる。
「うう、もう二度とこんなことしないでね」
「はーい」
先生の言葉にみんな元気良く返事をした。
その日の夜、塾の教室の中で隆昭は頬杖を突いていた。
この地球を守って……か。
ぼやけた頭のまま講師の説明を聞き流していた。
おもむろにシャープペンのボタンを押すと芯が出ないことに気がついた。隆昭は鞄の中に手を伸ばす。
「あれ?」
鞄の中からプラスティックの感触がある。開けて中を見るとそこには携帯電話があった。
「おかしいな、いつの間に携帯電話なんて持ってたんだろ?」
親から買って貰った事は無いのに……。
隆昭はその携帯のひらいた。
「お早うございます、鈴木隆昭君」
「うわぁ!」
小さなディスプレイから昼間教室で出会った少女ティマが現れた。
「どうしまし――」
隆昭は携帯を閉じると鞄の奥底にしまった。
「どうした? 鈴木」
「いえ、なんでもありません…」
教師が隆昭の方を見るが何事も無かったかのように振舞った。
とりあえず、この事は黙っていよう……
そう思い、再び机へと向かった。
この地球を守って……か。
ぼやけた頭のまま講師の説明を聞き流していた。
おもむろにシャープペンのボタンを押すと芯が出ないことに気がついた。隆昭は鞄の中に手を伸ばす。
「あれ?」
鞄の中からプラスティックの感触がある。開けて中を見るとそこには携帯電話があった。
「おかしいな、いつの間に携帯電話なんて持ってたんだろ?」
親から買って貰った事は無いのに……。
隆昭はその携帯のひらいた。
「お早うございます、鈴木隆昭君」
「うわぁ!」
小さなディスプレイから昼間教室で出会った少女ティマが現れた。
「どうしまし――」
隆昭は携帯を閉じると鞄の奥底にしまった。
「どうした? 鈴木」
「いえ、なんでもありません…」
教師が隆昭の方を見るが何事も無かったかのように振舞った。
とりあえず、この事は黙っていよう……
そう思い、再び机へと向かった。
そして、さらに夜は更けて…
「うー、ひっく!」
一人の酔っ払いが街を歩いている。
その足取りはおぼつかず、電柱に当たったり、バケツをひっくり返したりしていた。
「ええい、俺の給料が安いだと!? 仕方ないだろ、あのバカ経営陣が俺たちの給料をあげないんだからさぁ!」
酔って妻の悪口が止まらない状態のようだ。
「俺の事を怒るくせにお前はなんなんだよ! ぶくぶく太りやがってさぁ!」
酔っ払いは道に捨ててある秋か恩を思いっきり蹴飛ばした。
「くっそう! 家内なんて大嫌いだぁ!」
男性は当たりの事など全く気にせずに大声で叫んだ。
「カナイ・・・ダイキライ・・・」
この言葉を聞いた黒の玉は巨大な影になり、そして怪物の姿に変わっていった。
「うー、ひっく!」
一人の酔っ払いが街を歩いている。
その足取りはおぼつかず、電柱に当たったり、バケツをひっくり返したりしていた。
「ええい、俺の給料が安いだと!? 仕方ないだろ、あのバカ経営陣が俺たちの給料をあげないんだからさぁ!」
酔って妻の悪口が止まらない状態のようだ。
「俺の事を怒るくせにお前はなんなんだよ! ぶくぶく太りやがってさぁ!」
酔っ払いは道に捨ててある秋か恩を思いっきり蹴飛ばした。
「くっそう! 家内なんて大嫌いだぁ!」
男性は当たりの事など全く気にせずに大声で叫んだ。
「カナイ・・・ダイキライ・・・」
この言葉を聞いた黒の玉は巨大な影になり、そして怪物の姿に変わっていった。
続く
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