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創作発表板 ロボット物SS総合スレ まとめ@wiki

ワイルドアイズ 序

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匿名ユーザー

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その時代、人類はゆっくりと滅びへの道を歩んでいた
汚染された土は腐り、空気は澱み、空からは酸の雨が降り注ぐ
木々の葉は枯れ落ち、金属は錆び、生物は毒と病に犯されていた
突如起こった大破壊と呼ばれる災厄によって、
それまでの高度な文明社会は一瞬にしてその形を失い
かつて隆盛を誇っていた世界は変貌した
都市は荒廃し砂漠化や汚染が進み、全土は荒野と化し
凶暴化した変異生物や、暴走する旧時代のAI兵器が溢れる

だが大破壊より数十年経った今でも、
人類は未だに生存のための抵抗を続けていた




人生で最悪じゃない事なんて一つも無い。
毎日啜るのは泥水で、口にできるのは新鮮な奇形魚のフライ。
汚染されてない浄化水や、安全鳥肉の串焼きなんてものを店で注文できるのは一握りの金持ちだけだ。
俺みたいな、子供のころに「人狩り」に攫われて奴隷として売り飛ばされたような奴は、下水道産の焼きアメーバでさえ高級な食事。
毎日重労働を課せられ、たまに客の食べ残した雑草サラダをこっそりポケットに入れて、ベッドの中で食うぐらいしか楽しみが無い。
チビでデブでニキビだらけじゃなくて、もう少し容姿がよければ美味いものも食わせてもらえるだろうが、そっちはそっちで最悪だ。
娯楽の少ないこの街では訪れる交易商人や荒くれ者どもは、大抵店で女を買う。
それが多少ガキでもあまり気にされないし、男のガキでもちょっと女っぽくて突っ込む所がありゃあ構わないって奴も少なくない。
俺と一緒に買われて来た何人かは、壊れるまで客を取らされた。
脱走しようとして捕まり、見せしめに両腕を切り落とされた奴も居る。
褐色の肌で砂色の髪をした、綺麗な女の子だった。 その子が逃げ出す前夜、俺に「一緒に行こう」と言ってくれた。
だが俺は、捕まるのが怖くて乗らなかった。
そして、案の定捕まったその子の細い腕に斧が振り下ろされるのを、目と耳を塞いで震えていた。
……その子の脅え、泣き叫び、もう二度と逃げ出そうとしないと許しを請う顔を見ることは出来なかった。
彼女が逃げる事をチクって、褒美に串焼きを貰ったのは俺自身だったから。



そう、俺は卑怯者の卑劣漢だ。
おまけに臆病者で裏切り者ときている。
彼女は俺に優しかった。 毎日棒で殴られながら店主にこき使われる俺に、客から貰った飴玉を分けてくれる事もあった。
俺は彼女が好きだった。 だが、たかが串焼き一つのためだけに彼女を売った。
結局その子は客の誰かに買われてどこかへ連れて行かれた。 五体満足じゃなくなったガキの行く末なんて、たかが知れてる。
もう生きては居ないんだろう。
そして、最低な野郎には最悪な人生がお似合いというわけだ。

あの時、一緒に逃げてれば、今頃違った人生になってたんだろうか?と思うときがある。
馬鹿馬鹿しい。 俺は自嘲する。 逃げたところで、ガキ二人でどこへ行く? 何が出来る?
クルマも無しに他所の街へ辿り付けるはずもない。
荒野でのたれ死ぬか、AIの狂った殺人マシーンに殺されるか、モンスターに食われるか、どれかの違いでしかない。
この人生を抜け出す方法なんて、ありはしない。 「ハンター」になれば別だが。

「ハンター」はこの錆と汚染物質だらけの世界を渡り歩く、誰もが憧れる花形職業だ。
銃火器で武装し、クルマを駆り、マシーンやモンスターを文字通り「狩って」その部品や体の一部を回収し、
街に持ち帰って資源や食料として提供する。
工場や資源採掘基地の壊滅した今の時代、人間社会はそうしたハンターの活動によって生活を支えられていた。
それだけじゃない、ハンターには治安維持にも貢献している面がある、いわば英雄的存在だ。
街や小さな集落を襲って食料や燃料を強奪するならず者、賞金首どもを追捕するのもハンターの仕事で、
賞金稼ぎの仕事だけで食っているハンターもいる。
だが、貧しいのが嫌で、なけなしの金をはたいて安物の旧式拳銃と数発の弾丸を購入し
「ハンター」となって荒野に駆り出しても、大抵の奴は半年も経たずに死ぬ。
それだけ、世界の大部分を覆う荒野は人間が生存するのには過酷過ぎるのだ。
他に荒野を渡り歩く職業といったら、交易商人(トレーダー)ぐらいのものだが、彼らも武装している上に
ハンター同様、クルマを持っている。

そう、クルマ……この世界で荒野を横断するために、人間の足となり、鎧となり、そして武器となる鋼鉄の機械。
大破壊前の前時代の技術によって作られたそれは、様々な形態を持ち、主砲や機銃を装備し、
生半可な銃器では傷つかない装甲を備えている。
移動のために作られたもの、戦闘のために作られたもの、重作業のために作られたもの……元もとの目的や性質は
異なるものの、それを無しに荒野へ足を踏み出すのは無謀すぎるという点で統一認識されていた。
その多くは大破壊の時に壊れて地面や遺跡に埋まっているのを発掘されるが、マシーンども同様に搭載されたAIが
狂って野生状態で荒野を彷徨っているのも少なくない。
それらを見つけるか、捕獲するかして、人類はクルマを入手している。
これ以外にクルマを手に入れる方法は無い。
ごく一部のクルマの種類を除き、殆どのクルマは大破壊のときに生産工場と技術が失われているからだ。


そう、俺は卑怯者の卑劣漢だ。
おまけに臆病者で裏切り者ときている。
彼女は俺に優しかった。 毎日棒で殴られながら店主にこき使われる俺に、客から貰った飴玉を分けてくれる事もあった。
俺は彼女が好きだった。 だが、たかが串焼き一つのためだけに彼女を売った。
結局その子は客の誰かに買われてどこかへ連れて行かれた。 五体満足じゃなくなったガキの行く末なんて、たかが知れてる。
もう生きては居ないんだろう。
そして、最低な野郎には最悪な人生がお似合いというわけだ。

あの時、一緒に逃げてれば、今頃違った人生になってたんだろうか?と思うときがある。
馬鹿馬鹿しい。 俺は自嘲する。 逃げたところで、ガキ二人でどこへ行く? 何が出来る?
クルマも無しに他所の街へ辿り付けるはずもない。
荒野でのたれ死ぬか、AIの狂った殺人マシーンに殺されるか、モンスターに食われるか、どれかの違いでしかない。
この人生を抜け出す方法なんて、ありはしない。 「ハンター」になれば別だが。

「ハンター」はこの錆と汚染物質だらけの世界を渡り歩く、誰もが憧れる花形職業だ。
銃火器で武装し、クルマを駆り、マシーンやモンスターを文字通り「狩って」その部品や体の一部を回収し、
街に持ち帰って資源や食料として提供する。
工場や資源採掘基地の壊滅した今の時代、人間社会はそうしたハンターの活動によって生活を支えられていた。
それだけじゃない、ハンターには治安維持にも貢献している面がある、いわば英雄的存在だ。
街や小さな集落を襲って食料や燃料を強奪するならず者、賞金首どもを追捕するのもハンターの仕事で、
賞金稼ぎの仕事だけで食っているハンターもいる。
だが、貧しいのが嫌で、なけなしの金をはたいて安物の旧式拳銃と数発の弾丸を購入し
「ハンター」となって荒野に駆り出しても、大抵の奴は半年も経たずに死ぬ。
それだけ、世界の大部分を覆う荒野は人間が生存するのには過酷過ぎるのだ。
他に荒野を渡り歩く職業といったら、交易商人(トレーダー)ぐらいのものだが、彼らも武装している上に
ハンター同様、クルマを持っている。

そう、クルマ……この世界で荒野を横断するために、人間の足となり、鎧となり、そして武器となる鋼鉄の機械。
大破壊前の前時代の技術によって作られたそれは、様々な形態を持ち、主砲や機銃を装備し、
生半可な銃器では傷つかない装甲を備えている。
移動のために作られたもの、戦闘のために作られたもの、重作業のために作られたもの……元もとの目的や性質は
異なるものの、それを無しに荒野へ足を踏み出すのは無謀すぎるという点で統一認識されていた。
その多くは大破壊の時に壊れて地面や遺跡に埋まっているのを発掘されるが、マシーンども同様に搭載されたAIが
狂って野生状態で荒野を彷徨っているのも少なくない。
それらを見つけるか、捕獲するかして、人類はクルマを入手している。
これ以外にクルマを手に入れる方法は無い。
ごく一部のクルマの種類を除き、殆どのクルマは大破壊のときに生産工場と技術が失われているからだ。


俺がそのクルマを手に入れる気になったのは、別に今更ハンターの英雄的な部分に憧れたからじゃない。
もう15歳にもなってガキの感傷は捨てていたし、いい加減この最低な現実から目を背けるのもやめていた。
だから、俺は純粋かつ現実的に、この人生から足抜けしたかった。
ハンターになれば、こんな毎日からおさらばできる。
酔客に殴られ、店主に罵られながら床を這いつくばって働くのはもう嫌だった。
だからと言って、無目的に脱走しても先は知れている。 クルマを手に入れて、ハンターになるのはこの街を出る最低条件だ。
ハンターになれば、金も食い物も、女だって手に入る。
クルマを手に入れれば、荒野を越えて何処へだって、好きなところに行ける。
危険も多い職業だが、少なくとも今の生活よりはよっぽどマシだ。

もちろん、クルマを手に入れる手立てはあった。
もともと、街の近くには前時代の遺跡があって、そこにはクルマが埋まっているという噂はあった。
今までにも何人かのハンターや、ハンターになろうと目論む奴が遺跡を探索したが、誰もクルマを見つけた奴はおらず
噂話に過ぎないんだろう、と街の人間は笑っていた。
が、ある時、店を訪れた数名の「ハンター志望」のゴロツキ数人が遺跡の奥にある前時代の施設の入所キーだというカードと
パスコードを手に、自慢げに店内の人間に見せびらかした。
彼らはもうクルマを手に入れた気分になっていて、前祝いだとばかりに高級な酒を注文してはベロベロに酔っ払っていた。
俺がそいつらに酒を運ぶ時に、こっそりカードとパスコードの書かれたメモを掏り取るのは案外簡単にできた。
そして、その足で店をこっそり抜け出すと、俺は遺跡へと向かった。
あいつらが酔いつぶれている隙に、クルマを手に入れるためだ。

途中、モンスターに遭遇する事も無く首尾よく遺跡にたどり着き、入り組んだ通路の置くに無機質で、まるでカードを
差し込むためだけにあるかのような細いスリット以外に何の装飾も無い、の簡素だが分厚くて頑丈でそれまで誰もその先に侵入することが出来なかったのであろう鋼鉄の扉を見つけた。
思ったとおり、カードキーはそのスリットに上手い具合に挿入できた。 そしてロックが解除されて開いた先に、果たしてクルマはあった。
そこは大昔の整備工場で、なぜこんな遺跡の奥に設置されているのかはわからないが、とにかく幾つかの……耐久年数を過ぎて
劣化した機材の隣にクルマは丁寧に安置されていた。



それはハーフトラックという、前輪は普通の車両のタイヤで後輪がキャタピラになっている装甲車だったが、屋根に37ミリの対戦車砲が装備されたタイプだった。
俺はそれが本式で無いにせよ、曲がりなりにも「戦闘用」に作られた物である事に狂喜した。
武装が付いているクルマなら、荒野を渡る時にマシーンやモンスターに襲われても返り討ちに出来る。
もしかしたら、貴重な部品としてクズ鉄屋に売れるマシーンや高級肉として扱われるモンスターを仕留めて、早速金を手に入れることも不可能ではない。
俺はこれからの華々しい人生の幕開けに喜び勇んでクルマに近づこうとした。
が、幸運は連続しないもので、俺は何かポカをやらかしたのか、施設の警備システムを作動させてしまったらしい。
おそらく、周囲の機械は死んでるものと思って不用意に近づきすぎたのが悪かったんだろう。
突然機械の一つが生き返り、ディスプレイを転倒させるとそこに数行の文字列を表示させる。
俺はその時気付かなかったが、なんらかの警告文と、行動を促すための出力であったらしい。
しかし、機械に詳しくなかった俺は突然壊れていると思い込んでいた機械が動き始めたので、驚いて何も出来なかった。
そうこうしている内に、なんらかの時間切れになったのだろう。
施設内の壁面のシャッターが開かれると、そこに格納されていた「スイーパー」と呼ばれる、警備用マシーンが姿を現した。
当然、スイーパーは不法侵入者である俺を敵と認識し、円筒形の体の真ん中に取り付けられた機関銃で俺を撃ち始めた。

俺は積み上げられた古い機械の陰に隠れて銃弾を避けたが、武器が無い。
どう考えても太刀打ちできないし、命が惜しい。 折角クルマを見つけたにも関わらず、逃げるしかないと悟った。
だが、逃げるにも銃撃の雨をどうやって掻い潜り、出口まで辿りつくのか。
逃げ切れずに撃ち殺される公算のほうが大きい。 というか、ほぼ確実に死ぬ。
それでもここに隠れていても埒が明かないので、一か八か飛び出して全力で駆け出そうとしたその時だった。
ショットガンが火を引き、スイーパーを吹き飛ばしたのだ。

立て続けに撃ち込まれる大口径のスラグ弾を食らって、さしもの警備用ロボットも活動を停止した。
スイーパーを片付けたのは、俺がカードキーを盗んだゴロツキどもだった。
彼らはニヤニヤした顔をしながら俺に近づくと、まず俺を立ち上がらせ、次にぶん殴った。
そして、数人がかりでの殴る蹴るのリンチが始まった。 盗みをしたんだから当たり前だが、俺は自分の最悪でついてない人生を呪った。
俺が床に這いつくばって動かないのに満足したゴロツキたちは、上機嫌で俺の見つけたクルマに近づいた。
悔しかったが、俺にはどうすることも出来なかった。
さんざんに痛めつけられた体は全く動けなかったし、立ち上がる力があった所で、相手はショットガンで武装し、俺は素手だった。
だが、俺もそいつらも大きな誤算があった。
クルマは、整備工場の中でただ眠っていたわけではなかった。
多くのクルマやマシーンがそうであるように、そのハーフトラックにもしっかりAIが搭載されていたのだ。
大破壊後、多くのマシーンが狂って人間を襲うようになったように、そいつのAIも……


ご機嫌なゴロツキの一人がハーフトラックのボンネットを撫でた時、そいつは動いた。
エンジンが唸り声を上げて始動し、シャシーの表面に縦横の亀裂が入り、分割される。
部品の一つ一つがまるでパズルを紐解くかのように分かれてゆき、そしてまた違う備品と噛みあって、再結合しながら
ハーフトラックの形を、別の大きなシルエットへと変貌させてゆく。
整備工場の天井に頭をこすり付けるギリギリの高さに立ち上がったそれは、大きな人の形をした機械だった。

クルマ。 移動と機動性を重視した車両形態と、格闘能力と武装の取り回しを優先した人型形態を使い分ける、
前時代の科学技術が生み出したロボット兵器。
ゴロツキたちの2倍近い身長を持つ巨人は、驚き、脅え、戸惑う哀れな人間たちを冷たい赤い光を放つアイセンサーで見下ろすと、左腕を振り上げた。
悲鳴を上げながらゴロツキの一人が巨人にショットガンの銃口を向け、発砲する。
だが次の瞬間、そいつは振り下ろされた大きな金属の塊の拳に押しつぶされて、床との間に血の染みになって絶命した。
人間が潰され、肉と骨とが砕けて混じる嫌な音が耳に残る。
残る二人のうち一人が、仲間を見捨てて出口に向かい一目散に駆け出した。
だが、巨人はそいつの背中に右腕を向けると、手首から先を変形させ部品を再構成し車両形態時に車体の上に取り付けられていた37ミリ砲を手首の先に出現させる。
轟音とマズルファイアが室内に響き渡り、次の瞬間には出口に向かったゴロツキの仲間は影も形もなくなっていた。
至近距離で大砲の直撃を食らったら、人間の肉体なんてあっけなく吹き飛ぶ。
残った最後の一人も、ガタガタと震えながら呆然と立ち尽くしていた。
そして、無慈悲な殺人機械の目が彼を捉える。 左腕が変形し、近接用の格闘武器である大型のチェーンソーが出現した。
床に這いつくばったままの俺と、そいつの目があった。
「死にたくない」と、彼は目で訴えていた。 が、俺にどうしろって言うんだ。
どうしようも無いだろ、お前は死ぬんだ。
俺が告げてやる暇も無く、唸り声を上げて高速回転するチェーンソーの刃が振り下ろされ、体を生きたまま両断される
そいつの耳障りな悲鳴で俺の鼓膜は支配された。

最高に不愉快な気分と、次は俺が殺されるのだろうという恐怖に尻を叩かれながら、俺は俺が殺されないために、床を這った。
3人の哀れな犠牲者を公平に肉片に加工し終えた巨人がゆっくりと、俺のほうに近づいてくる。
殺人機械が俺を処刑する前に、俺はどうしても生き延びるために、両腕に力を込めて這った。
あんな風にひき肉にされるのはごめんだった。 最低な15年間を過ごして、こんな所で死ぬなんて納得が行かない。
それじゃあ、俺は何のために生きてきたのかわからないじゃないか。 死にたくない。
だから俺は、必死で痛む手足を動かした。
そして、先ほどから作動しているあの機械に辿りつく。
ディスプレイに表示されている文字列は、俺には読めないし理解できない言語だったが、それが何を要求しているのかはもう解っていた。
殴られすぎて立てない足腰に鞭を撃ち、踏ん張った腕の力でコンソールに齧りつく。
そして、ゴロツキたちから盗み出したもう一つのもの……メモに書かれていたパスコードを機械に入力した。


ディスプレイの文字列表示が切り替わり、俺の背後で巨人の足音が止まる。
やがて、巨人の体を構成している部品が一つ一つのパーツに分解していき、それらは再度組み合わさって元のハーフトラックへと戻った。
俺は、ほっとため息を付く。 カードキーはこの施設への扉を開けるための鍵だった。
そして、パスコードは……警備システムを解除し、クルマに自分を「ゴシュジンさま」だと認識させるための合言葉だったのだ。
俺も最初は、そしてこれを持っていたゴロツキたちも、どちらも単純に両方を入るための鍵で、どっちかを使えば
扉を開く事ができるものだとばかり思っていた。
が、もっと早く気付くべきだった。 扉にはカードの差込口はあっても、パスコードを入力するコンソール類は付いてなかった事に。


後は、やるべき事は他に無かった。
整備工場の中には生きている機械も、使えそうなガラクタもあまりなかったし、
肉片にされたゴロツキたちの死体からは落としたショットガン以外、拾えるものは何も無かった。
晴れて俺の言う事を聞くようになったクルマには、ゴロツキを殺した通りの武装の他に7.7ミリ機銃が装備され、
燃料も充分入れられていたし、何十年も放置されてた割にはどこも錆び付いていなかった。
クルマとともに外に出た俺を、荒野を照りつける眩しい日差しと、荒れ果てた錆と砂ばかりの何処までも続く大地が出迎えた。
これから、何処へ行こうか。 何をしようか。
当初の予定通り、ハンターになるべきか。 ハンターになるとして、マシーンやモンスターを狩る仕事に落ち着くのか。
それともならず者どもや、俺を攫って売り飛ばした人狩りの奴隷商人どもを追い掛け回して殺す賞金稼ぎを目指すのか。
あるいは、俺自身がならず者になって、奪って殺して気ままに生きるべきか。
そうするとしたら、まず最初に襲うのは、長年の恨みの積もるあの街の店主や客たちをターゲットにしてついでに復讐してしまうのか。
あの時果たせなかった、あの子の切り落とされた腕の分も一緒に仇を討ってしまうのもいいかもしれない。
ただ決まっているのは、これまでの最低で最悪な人生はここで終わりって言う事だ。

それじゃあ、行こうか、俺のクルマ、俺の相棒。
上機嫌な調子で俺が呼びかけると、クルマはエンジンを唸らせて答え、土煙を上げて走り始めた。


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  • メタルマックスのパクリ? - 名無しさん 2013-03-17 15:12:51

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