魔機那戦記
赤茶けた大地が広がる荒野に一つの村があった。
大人達は仕事をし、子供達は遊ぶのが仕事と言わんばかりに走り回っていた。
ある異変に気付くまでは。
その異変を発見したのは子供達であった。遠くから、黒く、太陽にその装甲を反射させながらこちらへ向かってくる。
子供達は、村へ帰ると同時に叫んだ。
「魔機那だー!魔機那が来たぞぉーっ!」
その緊迫した声音に大人達は素早く反応した。
「早くシェルターに急ぐんだ!年寄りは一番に入れろ!」
「早くMBTに連絡を!」
矢継ぎ早に指示を下し、最後の住民が入り終えた頃、魔機那はやってきた。
機械の軍団達は、村へ入ると歩みを止めた。
4メートルはあるその巨体を見せつけるようにしてあたりを見回す。
そして頭部の熱源体探知センサーを駆使し、シェルターへと近づく。
住民達の心は機械の駆動音が近づくにつれて恐怖に変わってゆく。
そして シェルターの扉に巨大な穴が開いた。
あからさまにおびえる住民達に魔機那はその暗い銃口を向けた。
シェルターは瞬く間に紅い血の流れる地獄へと変貌した。
逃げ出す住民も居たが、その体に殺戮のリズムを叩き込まれ地に伏す。
マズルフラッシュの咲き乱れるシェルターから、一人の女性と子供が脱出に成功した。
しかし、外へ出た途端女性の腕や、胴に銃弾がめり込む。そして我が子を守るようにして息絶えた。
少女は、母親を揺さぶるが母親はピクリともしない。
そして少女の目の前には、殺戮を終えた魔機那の銃口が突きつけられていた。
非情にも、その銃口から弾が吐き出されるその瞬間ーーー
少女の前に居た魔機那は爆砕する。
少女は自分を助けてくれた者の方へ顔を向ける。
しかし、そこに居たのは 異形の者。魔機那だった。
少女は、そこから動かなくなり気絶した。
「あ~あ~俺らを見て気絶しちゃったよ」
と軽い口調で、魔機那から声がした。
「放っとけ あの子以外は全員やられてるな。今回も報酬は無しだ」
と、もう一機からも声がした。
それは、決して魔機那が喋っている訳ではない。
中にヒトが乗っているのだ。
「あ~そうかい分かったよ・・・ってあれヒトガタじゃん!」
と栗色の髪をした少年が叫ぶ。
「仕方無いな・・・マキ坊。やるぞ。」
と、黒髪の青年が言う。
と言うが早いか少年は愛機を駆って魔機那の群れへ突っ込んでいった。
黒髪の青年は、呆れ顔をしながらため息を付いた。
しかし次の瞬間彼の髪の色は一瞬で黒から青へと変わり、瞳は白く、まるでゾンビのようになる。
ほぼ同時に栗色の髪をした少年の髪色も赤へと変わり、瞳はもちろん白くなった。
「脳内リンクキー発動完了・・・行くぜぇぇぇ!」
と赤い髪になった少年は愛機の背中からの愛機の身の丈はある剣を抜き取り、敵へと突き進む。
すれ違い様に胴体を寸断し、横から襲ってくる魔機那へはハンドガンを連射する。
青髪の青年は、遠距離から自機の肩に装備されたキャノン砲で支援する。キャノンから放たれた砲弾は魔機那へと吸い込まれるようにして命中する。
それは圧倒的な蹂躙であった。
分が悪いと判断した、“ヒトガタ”と呼ばれた魔機那がマシンガンを乱射しながら後退してゆく。
「逃がすかぁ~!」
と赤髪の少年が愛機の最大推進力で“ヒトガタ”に追いすがる。
遂に“ヒトガタ”は赤髪の少年の剣に突き刺された。
赤いツインアイが二、三回スパークを散らし機能を停止する。
「よっしゃ!“ヒトガタ”捕獲!」
赤髪の少年ーーーこの時はすでに栗色へと戻っていた少年がはしゃぐ。
「ああ。パーツを売れば多少の金になる」
と同じく青髪から黒髪へ戻った青年が魔機那から降りながら言う。
「すまない・・・俺達がもっと早く来れば・・・」
と魔機那から降り、死者の山に両手をあわせる。
金をもらう前に依頼人が死亡するのは珍しくない。
だが黒髪の青年ーーーアルバート・ヴァーミリオンは毎回こうして両手を合わせるのだった。
その横で同じように両手を合わせ黙祷している栗色の髪の少年ーーーギルバートは、共にMBT(マキナ・バスター・トラスト)の第二支部のB-2小隊の所属だ。
MBTとは、世界各地で横暴する魔機那達を倒す傭兵集団だ。魔機那が来たと呼ばれれば、すぐに飛んでいき魔機那を倒す。
しかし現存の武装や兵器では魔機那に太刀打ちできないため、彼らは 魔機那 を使い戦う。
彼らは魔機那を自分の制御下に置く「脳内リンクキー」を保持し、これによって魔機那を自分の制御下に置ける。
「脳内リンクキー」を使用すると魔機那の回路に進入 制御が可能となる。
尚、「脳内リンクキー」は魔機那以外にも進入可能で、周囲10メートル以内ならミサイルの発射を強制終了させたりできる。
更に自分の体に進入し、身体能力を高める事もできる。
暫くの黙祷ののち、アルバートが口を開く。
「行くぞマキ坊。支部長に報告だ。」
「おうっ!」
二機の魔機那が背後に地獄絵図を感じながら帰投していった。
1話END
赤茶けた大地が広がる荒野に一つの村があった。
大人達は仕事をし、子供達は遊ぶのが仕事と言わんばかりに走り回っていた。
ある異変に気付くまでは。
その異変を発見したのは子供達であった。遠くから、黒く、太陽にその装甲を反射させながらこちらへ向かってくる。
子供達は、村へ帰ると同時に叫んだ。
「魔機那だー!魔機那が来たぞぉーっ!」
その緊迫した声音に大人達は素早く反応した。
「早くシェルターに急ぐんだ!年寄りは一番に入れろ!」
「早くMBTに連絡を!」
矢継ぎ早に指示を下し、最後の住民が入り終えた頃、魔機那はやってきた。
機械の軍団達は、村へ入ると歩みを止めた。
4メートルはあるその巨体を見せつけるようにしてあたりを見回す。
そして頭部の熱源体探知センサーを駆使し、シェルターへと近づく。
住民達の心は機械の駆動音が近づくにつれて恐怖に変わってゆく。
そして シェルターの扉に巨大な穴が開いた。
あからさまにおびえる住民達に魔機那はその暗い銃口を向けた。
シェルターは瞬く間に紅い血の流れる地獄へと変貌した。
逃げ出す住民も居たが、その体に殺戮のリズムを叩き込まれ地に伏す。
マズルフラッシュの咲き乱れるシェルターから、一人の女性と子供が脱出に成功した。
しかし、外へ出た途端女性の腕や、胴に銃弾がめり込む。そして我が子を守るようにして息絶えた。
少女は、母親を揺さぶるが母親はピクリともしない。
そして少女の目の前には、殺戮を終えた魔機那の銃口が突きつけられていた。
非情にも、その銃口から弾が吐き出されるその瞬間ーーー
少女の前に居た魔機那は爆砕する。
少女は自分を助けてくれた者の方へ顔を向ける。
しかし、そこに居たのは 異形の者。魔機那だった。
少女は、そこから動かなくなり気絶した。
「あ~あ~俺らを見て気絶しちゃったよ」
と軽い口調で、魔機那から声がした。
「放っとけ あの子以外は全員やられてるな。今回も報酬は無しだ」
と、もう一機からも声がした。
それは、決して魔機那が喋っている訳ではない。
中にヒトが乗っているのだ。
「あ~そうかい分かったよ・・・ってあれヒトガタじゃん!」
と栗色の髪をした少年が叫ぶ。
「仕方無いな・・・マキ坊。やるぞ。」
と、黒髪の青年が言う。
と言うが早いか少年は愛機を駆って魔機那の群れへ突っ込んでいった。
黒髪の青年は、呆れ顔をしながらため息を付いた。
しかし次の瞬間彼の髪の色は一瞬で黒から青へと変わり、瞳は白く、まるでゾンビのようになる。
ほぼ同時に栗色の髪をした少年の髪色も赤へと変わり、瞳はもちろん白くなった。
「脳内リンクキー発動完了・・・行くぜぇぇぇ!」
と赤い髪になった少年は愛機の背中からの愛機の身の丈はある剣を抜き取り、敵へと突き進む。
すれ違い様に胴体を寸断し、横から襲ってくる魔機那へはハンドガンを連射する。
青髪の青年は、遠距離から自機の肩に装備されたキャノン砲で支援する。キャノンから放たれた砲弾は魔機那へと吸い込まれるようにして命中する。
それは圧倒的な蹂躙であった。
分が悪いと判断した、“ヒトガタ”と呼ばれた魔機那がマシンガンを乱射しながら後退してゆく。
「逃がすかぁ~!」
と赤髪の少年が愛機の最大推進力で“ヒトガタ”に追いすがる。
遂に“ヒトガタ”は赤髪の少年の剣に突き刺された。
赤いツインアイが二、三回スパークを散らし機能を停止する。
「よっしゃ!“ヒトガタ”捕獲!」
赤髪の少年ーーーこの時はすでに栗色へと戻っていた少年がはしゃぐ。
「ああ。パーツを売れば多少の金になる」
と同じく青髪から黒髪へ戻った青年が魔機那から降りながら言う。
「すまない・・・俺達がもっと早く来れば・・・」
と魔機那から降り、死者の山に両手をあわせる。
金をもらう前に依頼人が死亡するのは珍しくない。
だが黒髪の青年ーーーアルバート・ヴァーミリオンは毎回こうして両手を合わせるのだった。
その横で同じように両手を合わせ黙祷している栗色の髪の少年ーーーギルバートは、共にMBT(マキナ・バスター・トラスト)の第二支部のB-2小隊の所属だ。
MBTとは、世界各地で横暴する魔機那達を倒す傭兵集団だ。魔機那が来たと呼ばれれば、すぐに飛んでいき魔機那を倒す。
しかし現存の武装や兵器では魔機那に太刀打ちできないため、彼らは 魔機那 を使い戦う。
彼らは魔機那を自分の制御下に置く「脳内リンクキー」を保持し、これによって魔機那を自分の制御下に置ける。
「脳内リンクキー」を使用すると魔機那の回路に進入 制御が可能となる。
尚、「脳内リンクキー」は魔機那以外にも進入可能で、周囲10メートル以内ならミサイルの発射を強制終了させたりできる。
更に自分の体に進入し、身体能力を高める事もできる。
暫くの黙祷ののち、アルバートが口を開く。
「行くぞマキ坊。支部長に報告だ。」
「おうっ!」
二機の魔機那が背後に地獄絵図を感じながら帰投していった。
1話END