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魔機那戦記~バレンタインは戦場~

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魔機那戦記~バレンタインは戦場~

「ふわぁぁぁぁ」
 とギルバートは目を覚ました。見ていた夢は、薄緑色の髪をした宇宙服の・・・いや、多くは語るまい。
 何となく寝返りを打つと目の前に巨大な物体が鎮座していた。
「・・・食堂のばぁさんか。」
 食堂のばぁさんは毎年毎年贈る人の顔と同じくらいの大きさのチョコを贈る。
 味は・・・いや、こちらも多くは語るまい。何はともあれ今日はバレンタインデーだ。バレンタインは西暦の頃に始まり、真歴の現在まで続いている行事だ。
 MBT第二支部には69名が所属しており、その中で女性は31名だ。その31個のチョコを何個手に入れたかランキングなるものがある。
 昨年度一位は『白銀のジハード』。個数は10個。
 第二位は『ヒロ・ハヅキ』。個数は9個。
 第三位は『ジェイド・ロッド』。※ちなみに本編には未登場。個数は9個。しかし、八百長疑惑があり三位となっている。
 そして第四位を争うのがギル&アルバートの二人で、昨年はアルバートに一つ差で負けてしまったのだ。個数は2個と1個。
 つまり、他の方々は・・・零。ゼロ。なのである。
 今年こそは!とギルバートは心を決めて下駄箱へと向かう。
 そして靴を履こうとすると、靴の奥に・・・無いか・・・
 そして食堂へと向かう。するとすでに何十人の人達が一つのテーブルを囲って話をしている。
 何だろ・・・と思い近づく。
「今年こそ奴等に制裁を!」
「今年こそ我らにチョコの味を!」
 ギルバートは近づき一人に聞いてみる。
「なんの集会だ?話している内容は物騒だが。」
「マキ坊か。丁度いい、貴様も参加しろ。」
 すると一人の整備士が片手を降り上げ高らかに叫ぶ。
「我々は喪連MBT第二支部のメンバーである!我々は最近起きている暴動の勢いにのり、チョコを奪い取る作戦を発動!今我らが支部長が実行しておられる。」
 ギルバートは呆れ顔で喪連MBT第二支部のメンバーに尋ねる。
「支部長って誰よ?それにジハード達からチョコを奪える奴なんているのか?」
 彼らは一斉に答えた。
「我らがァァァァ救世主ゥゥゥ!ユークリッド様だァァァ!」
「ユークリッド!ユークリッド!ユークリッド!」
「アホかお前等・・・」


「ヘックシッッッッ!誰か俺の事噂してるな・・・今年は影が濃いのかな・・・ズズッ」
 ユークリッドはジハードの部屋の前に来ていた。
 MBTの連中は大体靴箱にチョコを置いている。その為中に入らずともチョコがてにはいる訳だ。
 ユークリッドは靴箱のチョコを鷲掴みにすると他の上位二人の部屋へと向かった。

「よし、と。さあ次は格納庫だ。」
 ユークリッドは次の仕事場へ向かう。朝の格納庫は誰も居らず静まり返っていた。
 何故格納庫かと言うと、MBTでは整備士の女性が好きな人の魔機那のコックピットにチョコを置く習慣がある。 毎年見ているユークリッドだからこそこの事を知っているのだ。そして他の魔機那からも根こそぎ奪い、紙袋へと入れる。その時だ。
「動くな!」
 チ・・・バレたか。しかしユークリッドの存在に気づく者と言えば・・・・・一人居た。
「ジハードか。」
「ああ。ユークリッド。」
 しかし、ジハードも完璧には気づいていないハズ・・・
「チ・・・このタイミングで使うことになろうとは・・・しかし、喪連MBT第二支部長の名にかけてチョコは頂く!」
 クルリと振り返ったユークリッドはソレを使った。
「不可視走(インビジブルダッシュ)!」
 途端、今まであったユークリッドの気配が消える。
「何!?何処へ行った!」
 ジハードは辺りを見渡すが見つからない。しかし次の瞬間再び気配が戻る。
「そこかァ!」
 振り向いた時にはすでにユークリッドは格納庫から出ていた。

「ヘヘッ!どうよ!俺の不可視走は!」
 不可視走とは、ただでさえ影の薄いユークリッドが息を止める事により発動する。
更に脳内リンクキーを自身にリンクさせることで走る早さも上がる。この時の彼を止めることは ほぼ不可能だ。
 前方からヒロとジェイドが走ってくる。しかし、
「捕まえられる物なら捕まえてみろ!不可視走!」
 再びユークリッドの存在が消える。一瞬止まった隙を突いて二人の間を抜けてゆく。
「ハハハハハハハッ!」


バタン!!!食堂のドアが開き、ユークリッドが生還する。喪連MBT第二支部のメンバーは皆帰ってきた支部長に拍手の嵐を浴びせた。
「オオオオ!ユークリッド!ユークリッド!ユークリッド!」
 ギルバートだけは拍手せずに座っていた。疲れたのもあるが、さっきからある異変に気づき始めたのだ。
(おかしい・・・もうそろそろ女達が来ても良い時間なのに、まだ誰一人として来ない。・・・・まさか!)
 ギルバートが盛り上がる喪連MBT第二支部にその危険を知らせようとしたその時!!!!
バタァァァァァァン!
 ドアが吹き飛びそうな勢いで開く。煙の中から現れたのは・・・・・ユリ・ハヅキを先頭とするMBT第二支部の女達だった。
 明らかに喪連MBT第二支部の面々が後ずさる。
「あのねぇ・・・そのチョコはアンタ達に作った物じゃあない。アタシ達がお兄ちゃん達に愛情込めて作ったチョコなの。アンタ達?悔しかったら生まれ変われや!!!」
 ユリの右手が合図となり、後ろに控えた女達が喪連MBT第二支部に襲いかかる。
 食堂はたちまち紅く染まった。



 そしてその日はのちに“血のバレンタイン”と呼ばれたそうな。

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