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第四章A-SIDE 最期の日

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sousakurobo

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第四章A-SIDE 最期の日

 メンテナンスロボによる簡易整備を施している間、私は姉小路真澄と音声通信のやり取りを行っていた。
 話の内容は専ら人型兵器である。それは、昔も今も変わらない。
 彼は所謂”昔の”パイロットだ。”昔の”とは、自らの意志ではなく、生きる為に仕方なくパイロットになった
人間の事を指す。彼がパイロットとなった元凶である大災害と呼ばれる戦争から、まだ二十年しか経って
いない事に私は改めて驚いていた。
「色々と御免なさいね」
『急にどうしたんだ?』
「なんとなく、ね」
『俺がパイロットになった事をまだ気にしているのか?』
「そうじゃないわ。あの時は仕方なかった、ソレは理解している」
『じゃあ、どうして?』
「ん……、なんとなく」
 本当は、貴方が寿命を削り、パイロットになってくれてまで守ってくれた命が、貴方より先に消えてしまう事を
謝りたかった。
 そうまでして救ってくれた命の最期を、人間への復讐に使ってしまう事を謝りたかった。
「そう言えば、奥さんとは上手くいっているの?」
『奥さん?』
「ほら、あのスタイルの良い彼女……」
『お前は色々と間違えている。アイツが妻になるのなら、お前も俺の妻になる』
「私、貴方と籍を入れたかしら?」
『アイツとも籍を入れていない』
「ああ、そう言う事」
『それよりも、大丈夫なのか?』
「ん?」
『そっち、B区だっけか、未確認機からの砲撃で消滅したんだろう?』
 真澄の言葉に、私は息を飲んだ。
 当然だ。ソレをやった犯人が私なのだから。

「ええ、まぁ……」
『例の新型機の件もある。お前が疲れているってのは察するが、俺なんかとこうして無駄話をして
いる暇はあるのか?』
「逆よ、今の私には何も出来ないわ。ダウンシューターの正式運用については予定すら立って居
ないし、砲撃事件に関してはそもそも私が出る幕じゃない」
『そうか……。どちらにしろ、お前が無事ならいいんだが――ん?』
「どうしたの?」
『ああ、珍しい事に来客らしい』
「例の彼女?」
『いや、違うみたいだが……。悪い、また後で連絡する』
「気にしないで。私も、これから用事があるから」
『そうか。じゃあ、また今度』
 通信が切れ、静寂がコクピットを支配する。
 私は暫しの間会話の余韻を楽しみ、一息ついてから状況の確認を行った。
 メンテナンス、可能な限り改修完了。
 エネルギー、ガードから剥いで来たバッテリーパックからの補給も無事完了。
 各推進ノズル、比較的良好。
 ウィングキャノン、やや不安あり。ショートチャージなら問題ないであろうが、ミドルチャージ以上は
暴発の恐れありといった所か。
 全体的にガタが来始めているが、ダウンシューターのスペックを見れば、企業の本社を一つ潰すだ
けならば十分と言える状態である。
 先ほどの会話の様子から、真澄が事件の真相に気付いている節は無い。
 彼は舞台に上がらない。
 結果は既に出ているといえる。
「さぁ、最期の日を始めようか」

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