創作発表板 ロボット物SS総合スレ まとめ@wiki

WORK ING?

最終更新:

irisjoker

- view
だれでも歓迎! 編集
          ※この作品はあくまでWO○KING!!っぽいネタ作品です
         色んな意味で元ネタであるWO○KING!! とはかなり乖離しており、ぶっちゃけパロとしてあまり成立していませんが、ご了承ください


制服である首元の蝶ネクタイをしっかりと締める。僅かな服装の乱れも怒られかねない。初日だししっかりしなければ。
身嗜みを出来る限りしっかり整え、俺は両頬を喝を入れる為に叩いた。バイトとはいえ仕事に変わりは無い。ちゃんとやる事をやんないとな。
制服に付いている埃みたいなのを手で掃いて、俺は更衣室のドアを開けてホールへと向かう。

どんな人達と働く事になるんだろう。俺の心は機体、あ、いや、期待に満ち溢れている。


                           WORK ING?



「なぁ草川、何か良いバイトって無い?」
事の始まりは数日前。俺はある目的の為に、同級であり友人である草川大輔にアルバイトの斡旋を頼んだ。
その目的とはズバリ、今度SUZUKI社から発売されるヴィルティMAX‐シャッフルボディなるバイクを買う為の金を貯めるためだ。
芸術品とも言えるほど美しくカッコいいそのバイクに惚れこんだ俺は、生きてきた十数年間で初めて、アルバイトをしようとしている。

「バイト? バイトねえ……ならお前の影の薄さを生かしてエキストラなんて」
「真面目に答えないとモブ扱いにするぞ」
「分かった分かった。なら俺の勤めてる所で働かないか? 結構金払い良いぞ」

草川は渋々と言った感じで、俺の願いを聞き入れた。次の日の放課後、俺は草川と共にそのバイト場所へと向かった。
ジェントルマン・カフェ……喫茶店か。こういう店って接客とか色々めんどくさそうだけど金払いが良いなら良いかな。
履歴書諸々片手に、俺は草川と共にいざ、その喫茶店の事務所へと向かった。

「採用」

一瞬新手のビックリかと思った。
店長のさばさばとした感じの眼鏡をかけた女性、マチコ・スネイルさんは俺を見る度2秒でそう言った。
当り前だが不審に思った俺はスネイルさんにその採用理由を聞いてみた。

「幾らなんでも即決すぎませんか?」
「良いよ良いよ。君がいるとなんか楽しそうな気がするから。それにツッコミ役担えそうだし」
「え、それってどういう……と言うかツッコミ役って」
「じゃあ今週の土曜日から早速よろしく、あ、間違えた。夜露死苦ね、タカ坊君」
「いきなり変な仇名で呼ばれた! てか良く分からないメタなボケしないでください!」

今日がその日である。やけに展開が速いのは作者がめんどくさがっているからという事にしておいてほしい。

ホールには既に先輩である店員さん達や働いている人達が既に集まっていた。慌てて俺もそこに加わる。
店長に手招きされて俺は一歩出て皆に向き合う。店長が俺の事を紹介する。

「今日から働く鈴木隆昭君です。皆ージャンジャンボケてねー。この子がガンガン拾うから」
「えっ? ……いえ、宜しくお願いします」

俺が店長の言葉の意味に戸惑いながらも頭を下げると、皆も俺に挨拶を返す。何だ、別に普通じゃないか。

「ねえねえ、ボケ期待した? ねぇねぇ」
「……あの、どや顔しながら迫って来るの止めて貰えせんか?」

何でバイトが店長にやけに偉そうな口調なんだよと思われている方、申し訳無いが俺がツッコミ役であると言う事で許して欲しい。
この明らかに俺を弄くる事に喜びを感じているのは先程も紹介したがジェントルマン・カフェの店長であるマチコ・スネイルさん。
さばさばとした感じで赤い縁の眼鏡が特徴的なエロ……大人っぽい雰囲気が魅力的な女性だ。……喋るからその魅力がプラマイゼロと言うか思いっきりマイナスなんだが。
俺が店長のどや顔をスル―していると、パリッとしたスーツを着こなす、落ち付いた風貌が中々ダンディな男の人が一歩出てきた。

「君が新しいアルバイトの鈴木隆昭君だね。私はマキ。マキ・シゲルだ。このお店のマネージャーを担当している。
 何かあったらすぐに事務所まで来てくれれば、出来るだけ対応するよ。宜しくね」

マキさんか……。まだよく分からないけど凄くまともで良い人に感じる。もしや常識人ポジションな人か。
良かった……こういう人がいるならもしかしたら俺は店長の魔の手から逃れられるかもしれない。そう思ってはいたが。
何だかさっきからマキさん、妙に一点を見つめている気がする。俺はその一点が何処に注がれているかを目で追ってみた。

……ん? 小……小学生? 何で外国人みたいな小学生の子が店員さんの中に紛れてるんだろう。……嫌な予感をひしひしと感じるけど敢えてスル―しておく。
と、凄まじい寒気で鳥肌がぶわ―と広がった。何事かと思って前を見、俺は一瞬息が止まった。
背後から言い知れぬオーガ、間違えた、オーラを漂わせた、真っ黒くて長いエプロンに真っ黒くて長い髪の毛の男の人が俺を凝視していた。

「料理長の……オルトロック、ベイスンだ、……宜しく」

オルトロック……さん。俺の口は自然にその名を復唱していた。何だ、この雰囲気。ホントにこの人料理する様な人なのか? 包丁を握ったら食材を切ると言うより人をKILL
あ、やっぱ髪の毛は束ねるんだ。顔は普通どころか外国の俳優にも見ないほどの超絶イケメン……。けど雰囲気は某小暮さんも逃げだす様な魔界オーラに満ちている……!
ていうか怯えてるの俺だけ? 何で皆この人に何かしらのリアクション取らずに涼しい顔してんの? あ、慣れ? 慣れちゃうもんなの?
オルトロックさんの存在に怯んでいるとその横から、爽やかな笑顔を振り向きながら俺より少し年上みたいな人が自己紹介した。

「そのオルトロックさんを補佐する、料理長代理のショウイチ・マーチマンです。宜しくねー、鈴木君」

なんて爽やかで頼りがいのある笑顔なんだ……! 俺はショウイチさんの口元からシトラスの匂いを感じた。
この人なら仲良くなれるかもしれない。ショウイチさんの輝く笑顔を見ながら俺はぼんやりとそう思った。

「それじゃあ君と働くウェイターの人達と顔合わせしといてね。私達は仕事に戻るから」
と言って店長含む自己紹介してくれた人達が持ち場へと戻っていった。本当はもっと色々いるんだけど時間の都合上省略。

さて、一緒に働く事になるウェイターさんはと……えーと、男は草川と俺……んな? 男は俺と草川……え?
……少ないなおい! 俺と草川と女の子4人しかいないぞ! まぁそんな大きな店でも無いけど、色んな意味で大丈夫かこの店……。

別に経営者でも無いのに心配していると、綺麗な銀髪のツインテールを靡かせて一目でツンデレ系だなって分かるくらいツリ目ってる女の子が言った。

「それじゃあ私から。私は氷室ルナ。結構ここに勤めて長いから、分かんない事があったらすぐ聞いてね。
 あ、バイトだからって気を抜いたらビシビシ突っ込むから、覚悟しなさいよ!」
と、氷室さんはビシッと指を立てた。この仕草、うむ、ツンデレなり。でも別に俺にツンデレ属性は無いから何とも。

「ルナは勤めて長いからなー。どんな事にも冷静に対処するから頼れるぜ。あぁ、けど俺のキ」
「ちょ、馬鹿!」

何か言いかけた草川を氷室さんが頬を紅くしてツインテールでぺシぺシ叩く。コイツ何時の間にフラグたてやがった……。
何時の間にか俺って色々追い抜かされてるんだなぁ……俺の心の中で斜陽が出来

「良いから話を進めなさい! グダグダするでしょうが!」
と氷室さんに言われながらツインテールでバシバシ叩かれる。あれ……扱いおかしくね?
さっきから色んな意味で話が破綻してる気がするけど気にしてたらグダるので俺は氷室さんの隣の女の子に目を移した。

……可愛い。俺はその子の事がかなり気になった。氷室さんと同じく銀色の形良く纏められた髪に大きくて聡明な蒼い瞳、整った目鼻立ち。
顔立ちは無茶苦茶可愛らしいのに、雰囲気は清楚と言うか遠慮がちと言うか何かこう……良いな。うん、凄く良い。
その女の子は無意識なのか、俺を上目遣いに見ながら消えちゃいそうな小さな声で、自己紹介する。声も良いね、実に良い。

「メル……メルフィー・ストレインと言います。あの……宜しく、お願いします」

そう言ってストレインさんは俺に頭を下げた。その時俺の目に飛び込んできたのは、ふくよかな胸。
ストレインさんは可愛いだけでなく、激しくスタイルも良かった。男である俺の目は自然と、ストレインさんの胸の谷間へと向いていた。
なんというバニューダトライアングル……! その中で永遠に行方不明に……。……俺、何言ってんだろう。ていうかキャラおかしくないか、俺。

「……鈴木さん?」

えっ? 顔を上げると、ストレインさんが潤んだ目で俺の事を見つめていた。あれ、俺何か悪い事したっ……け?
いや、悪い事はしたと言えばしたかもしれないけど……。

「あの……見……てましたよね……」
「……何をかな?」

やはりそれか。何をかなとか俺ってマジ最低だな。けど俺も男なんだよ、ストレインさん……。
周囲がドン引きしているのを肌に感じながらも、俺は何か上手い言い訳……

あ、れ……? 何で俺の体……宙を舞ってるん……って。


「うわらばぁ!」

気づけば俺の顎に頭蓋骨が割れんばかりの堂の入ったアッパーカットが叩き込まれ、俺の体は三回転しながら地面に叩きつけられた。
これがギャグじゃなかったら俺はとっくの昔に真っ白になっていたぜ……。とは言え口から血が止まんないんだけど。
ちょっと真面目に意味が分からない。ギャグらしくハンカチを血で拭いながら俺は立ち上がった。
ストレインさんが氷室さんに泣きじゃくりながら抱き付いている。レ、いや、今はそんな事はどうでもいい。とにかく事情が知りたい。

「メルフィー……怖くてもいきなり殴っちゃ駄目って何時も言ってるでしょう?」
「だって……怖かったんだもん……じっと私の事を見てて……」

俺が呆然としていると、氷室さんがストレインさんの頭を撫でながら仕方ないねって感じの表情で俺に説明する。


いきなりごめんね、鈴木君。メルフィーは極端な男性恐怖症でね。だから数分間でも男の人に見つめられると、反射的にアッパーカットとか手や足が出ちゃうの」
「あぁ、そういう……って先に説明して下さいよ!」
「まぁどうせ胸とか見てたんでしょうし、しょうがないわね。今度からはなるべくメルフィーと話す時は無心になりなさい」
「ぐぬぬ、何も言えない」

「まぁまぁ、メルフィーちゃん。鈴木君は優しそう子だから。怖がる事は無いよ」

ずっと踏んだり蹴ったりな俺をフォローしてくれるなんて……。嬉しさもあって俺はフォローしてくれた人を見……。
……さっき見かけたあの小学生みたいな金髪の女の子がよしよしと、ストレインさんを慰めていた。
ストレインさんがしゃがんでいるのを見ると背丈……いや、てか顔と良いもろ……! おい、労働基準法!
おっかなびっくりしている俺の前にその女の子は立つと、丁寧にお辞儀をして笑顔を浮かべながら、言った。

「私、マキ・ティマって言います。皆の中では、一番の年長さんになるかな? 色々教えていくから少しづつでも覚えていこうね! 鈴木君!」

マキ……マキ・ティマ? って事は……。不思議に思っていると、草川が俺に耳打ちする。

「ティマさんはマキさんの10年来の奥さんなんだ。この店に勤めて一番長い、言わばチーフだな」

へぇー……一番背が小さくて童顔というかモロ童で犯罪スレスレな気がする。俺の中で静かにマキさんに対するイメージがシフトチェンジした瞬間であった。
それにしてもツンデレなんだかそうでないんだか訳の分からない氷室さんにまさかの武闘派なストレインさんと店長も店長なら店員も店員って事か。
まぁ一番驚いたのはストレインさんを宥めているティマさん(この光景って普通逆じゃね?)が年長者だって事だ。……聞いちゃいけないとは思うが、何歳なんだろう。

「あ、それとどうでもいい事だけど、私今年で30になるの。何となくこの外見だと信じて貰えないから……」

と、ティマさんは小さな舌をぺろっと出した。はぁ、30。外見年齢はそれから20歳位引いてますよね。

「……草川、俺思うんだけど外見だけでも犯罪に入る気しないか?」
「俺も最初はそう思ってたけど、マキさんとティマさんを見てたらそれは小さい事だと思った」
「どういう意味だ?」
「見てりゃ分かるよ」

「それじゃあ最後にアインちゃん」

ティマさんに呼ばれて今まで無口だった、男の子みたいに個性的な髪の毛の子(でも顔立ちは女の子)が俺の方に歩いてきた。

「アイン・シュタインコフ。宜しく」

と、一言だけ告げて戻る。口調がクールと言うか全然キャラが掴めないが、外見から察すると三人の中で一番普通な気がする。
にしてもストレインさん、俺に背中を向けっぱなしであからさまに拒絶してるみたいなんだけど、自分の助平心が引き起こしたことなので何も言えない。
少しばかり凹んでいると、店長がホールに戻ってきてパンパンと手を叩いた。

「そろそろ開店するよ―。準備してー」

店長の言葉に返事して、俺達は掃除とか色々開店準備に取り掛かる。あ、そうだ。一応これから働くにあたってもう一回挨拶しておこう。
俺は店長の所へと駆けていき、一礼する。


「これから宜しくお願いします、店長」
「まーそれなりに頑張ってね。えーと……鈴鹿君」
「いえ、鈴木ですけど……」
「ごめんごめん、涼宮さん」
「どこの誰と間違えてるんです? というかちゃんと名前言って下さいよ」

「そうだった、田中だったっけ」
「一文字も合ってねえ! つかいきなり呼び捨てだよ!」
「坂井?」
「しつけえ!」

「店長の見込み通り、素晴らしい突っ込み力ですな」
「即採用しただけあるわ。流石主人公ね」

何時の間にシュタインコフさんが店長とニヤリとしながら喋っている。……君もそっちが話か。そっち側の人間なのか、こんちくしょう。
完全にアウェイである事に絶望感を感じながらも、俺はオルトロックさんとショウイチさんに挨拶すべく調理場へと向かった。
ドアを開けて恐る恐る、中に入る。

「失礼しまーす……と」

調理場で反響する、まな板で食材を切る音。入った瞬間に渦巻いている黒く歪んだオーラを全身に感じる。
一歩一歩歩く度に沼に足が沈んでいくような感覚を感じる。これってギャグじゃないのかと思いながら俺はそのオーラを発出している人に目を向けた。
オルトロックさんがそんなに勢い良く切らなくてもいいんじゃないかって位まな板の魚を包丁で切っていた。包丁から妖気の様な物が見える。

「あの……」

声を掛けようとしたがオルトロックさんは一心不乱に、魚を切っていて俺の事に全く気付いてないみたいだ。

「オルトロ……ックさん?」

俺に気付いたのか、オルトロックさんが包丁を持っている手を止め、ゆっくりと俺の方を向いた。
蛇に睨まれた蛙、Zガンダムのプレッシャーに封じられるジ・オ的な感じで俺の動きは封じられた。
すげー目で殺すを地で行く様な目力の強さで、オルトロックさんは俺の事を凝視している。怖いこわいこわい。冗談じゃなく怖い。
オルトロックさんは無言で包丁から手を離して、俺の頭に手を伸ばした。初対面なのに失礼極まりないけど、殺られる。俺の頭の中で高速で走馬灯が回る。
悔いが具現化した様な人生だったなぁ……。後悔しながら俺の目は自然に閉じていた。

オルトロックさんの掌が俺の頭に触れる。南無三……!

「……糸くず、付いてるよ」

……え? 閉じていた目を開けると、オルトロックさんは手に細長くくねった、白い糸くずを指に挟んでいた。
全然気づいてなかった……つか思い返すと糸くずを取る手が偉く優しかった気がする。もしかしてこの人……外見と反して良い人なんじゃないか?
そう思っているとオルトロックさんは俺に微笑みを浮かべた。その微笑みは擬音で表現すると、こうなる。


                            二 タ ア ァ


失礼千万だと思う。思うけど体は正直で俺の背筋がエターナルフォースブリザード。凄い良い人なのかもしれないけどその……。止めた。泣きそう。

「あ……ありがとうございました」
「……気を付けてね。お客様のご飯とかに落ちたら……大変だから……」

……良い人でかつしっかりした大人だよこの人! だけど雰囲気が怖すぎるよ! マジで目だけで人殺せそうだよこの人!

「オルさーんちょっと在庫が少なくなってるから注文して良いかな。必要な時に足りなくなると困るし」
「頼むよ……ショウイチ君……」

奥の恐らく冷凍庫から、明るい声でショウイチさんがオルトロックさんに伝票片手にそう聞いた。
幾らか雰囲気が柔らかくなったようで俺はほっとすると共に、この人にも挨拶せねば駆けだす。上手く行けばこの人のお陰で突っ込み役として少しは楽が出来るかもしれない。

「ん、君は……」
「今週から新しくバイトに入った鈴木隆昭です。宜しくお願いします」
「学生だって聞いたよ。学業大変じゃない?」

「いえ、ちゃんとそこら辺は」
「うん」
「結構しっかりしてるんで、疎かには」
「へぇ」
「だからそのー」
「あぁ」
「特に学生だからって事は……」
「はいはい」

「……あの、ショウイチさん」
「じゃあオルさん、僕ちょっと予備の野菜切って来るんで」

「ちょ、ショウイチさん!」
「あぁごめん、何の話だったっけ。あぁそうだった。確かトイレ掃除のシフトの話だっけ。それなら店長に」
「ショウイチさん!? いや全然違う話してましたよ!」
「ごめんごめん、忙しいと色んな事を考えなきゃいけないからさー、何話してたか忘れちゃうんだよね」

いや相槌も適当だし全く違う方に話が飛んでるしで……。何だか少しでも期待してた俺が阿呆みたいだ。この人なら普通に話せると思ったんだけどなー……。
まぁ……良いや。俺は二人に頭を下げてその場を後にした。俺は俺自身の仕事に専念する事にしよう。
俺の仕事はウェイター……うん、ウェイターしか無いよな。でも注文する為の電子機器なり伝票なりが必要だと思うんだけど。
そう思って店長の所に行くと、店長は何故か俺にむんずと。箒と塵取りを渡して来た。

「まだ一日目だし要領が分からないだろうから、まずは表を履いといてくれるかな―。軽くで良いからさ」
「掃除……ですか? まぁ良いですけど……」
「ん、何? その如何にも俺はこんな仕事をする為にバイトするんじゃない的な今時の若者の」
「行きます行きます! あぁもう面倒くさい……」

さっきから思ってるけど、これって新人弄りにしても範疇を遥かに超えてる気がる。
とはいえ、お金を貰うんだから文句は言わない。俺は若干の蟠りを感じながらも表に出て掃除する事にした。
すると後ろから同じく箒と塵取りを持ったティマさんが駆けてきた。

「掃除するなら二人でやった方が早いよ、鈴木君」

そう言ってティマさんは俺に微笑みかけた。何、何この胸が凄くキュンっ!ってする感じ。俺はロリコンじゃないけどこの感情は堪らない。
でもこの人ってこう見えて30超えてるんだよな。何と言うか、色んな意味で世界って広い。ていうかマキさん、色んな意味で貴方は凄いです。

「それじゃあ元気に行こー!」

とティマさんは元気よくて外に出た。あぁ、ティマさんそんな勢い良く出たら危な……。

「きゃっ!」

いですよ……って言おうとしたんだけど……。ティマさんは見落としていた段差に足を引っ掛けて派手にずっこけた。
俺は慌ててティマさんの元へと駆け寄る。服はそんなに汚れてないけど、膝小僧に傷が……。

「ティマさん!」
「えへへ、ちょっとうっかりしちゃって」

とティマさんが言った瞬間、電光石火の様な速さで誰かがティマさんを抱き抱えた。その目にも止まらぬスピードに俺はビビって後ずさった。

「大丈夫か、ティマ?」
「うん、ちょっとうっかりして……」
「全く……事務所でマキロン塗るから、じっとしてなさい」
「うん……」

気が付けばマキさんがティマさんと親密な、というか正に夫婦のそれな雰囲気になっていた。つうかどこに居たんですかマキさん。

「流石ティマさんの事になると人格変わりますね、マキさん」
「色々あったからね、あの二人は。絆の強さは半端無いわよ。ついでにバカップル度も」

店長とアインさんが何時の間に外に出て、二人を訳知り顔とどや顔で眺めていた。仕事しろよお前ら。
ていうかマキさんさっき明らかに人間じゃない速さでティマさんを助けましたよね。もうやだ何この職場。

「な。小さい事だと思うだろ」
「お前何時の前に隣に居たんだよ。ていうかお前ボケなのに全然目立ってねえぞ」
「これだけ濃い人達が居るんじゃ只の脇役に戻らざるおえないだろ常考」


「はーい、メタい会話はそこまでにして、次は店内の掃除をしてね。ほい雑巾。これで拭けるだけテーブルを拭いてね」
「拭けるだけって、もうすぐ開店なんじゃないですか? ていうかとっくに時間経ってる様な」
「このSSが終わるまで開店しないから大丈夫よ。ほら、お仕事お仕事」

SS……? あぁ、これはメタネタだから突っ込んじゃいけないな。というか突っ込むのもめんどくさい。
店内に戻ってすぐさま、目に付いたテーブルから拭いていく。……明らかに後1時間(推定)くらいで拭けるとは思えないけど、やるしかない。                        
てか皆拭いてんじゃん。何だ、これならすぐ終わるかもしれない。

そう思って拭きはじめると、ふと目に何かが映った。えーと……。ストレインさん……。
駄目だ、集中しないと。集中し、無心になれ。前を見るな。ひたすらテーブルに映り込む顔を見ながら無心となるのだ……。
そう思って力を込めて拭く。集中、集中……。煩悩を捨てるんだ……。

……はぁ。疲れたな。ふっとそう思って前を向く。完全に俺の目は、ストレインさんのバニューダトライアングルへと直進していた。
目が、会う。ストレイン……いや、違うんだストレインさん。その潤んだ目を止めて下さい。やめて! 今度こそ顎が陥没する!

「見てないです!」

俺ははっきりとそう、ストレインさんに声を上げた。
が、俺の言葉は届いてないのか、ストレインさんはじっと俺を潤んだ目で見続けている。いやいやいや……マジで違うんですよ!

「ストレインさん、俺、見てないです! 見てないですから!」

そう言いながら目元を掌で覆う。が、ますますストレインさんの大きな目が見開きながら潤む。今すぐにでも泣きだしそうだ。死んだな、俺……。


「こらぁー! まーた来たな変質者!」
へ? 氷室さんの声が響いて振り向くと、偉く珍妙なコスプレをした細身の変なおっさんが、窓ガラス越しから腕を組んでこちらを覗いていた。
つかコスプレと言うには色んな所が……頭部のヘルメットとかが偉く手が込んでる気がするんだけど……。

いや、それ以前にそんな恰好で堂々と店の中を見んなよ! しかも朝っぱらから一人で! 明らかに不審者だよ!

「変質者ではない。私の名はハクタカ。娘の勤務風景を見守る一人の父親に過ぎない」
「それならそうと普通に見に来なさい! 毎度の事ながらそんなコスプレしてくるからメルフィーが怯えるんじゃない!」
「失礼な! 子を思う親の心に外見など関係無い! これが私の愛だ!」
「開き直るな! 店長が言わなきゃ今すぐ警察に通報してるわよ!」

事態がカオスすぎて頭がパーンしそうになっていると、草川が近づいてきて説明した。

「あのオッサン、その筋では結構有名な科学者なんだけど、それと同時に年季の入ったすげー特撮マニアらしくてな。
 それで自作であーいうコスプレをしてメルフィーちゃんがバイトの日は必ず早朝見に来るんだ。それが原因でメルフィーちゃん、極度のアレになっちゃった、と……」

「……普通に警察に通報」
「しない。面白いから」

後ろから軽薄そうな笑いを浮かべた店長が、どこまでも不憫な問答を続ける氷室さんとハクタカをニヤニヤと見つめている。
何だろう、全ての元凶がこの店長にある様な気がしてならない。むしろそう思うよ。心から

「誰のせいでメルフィーが男性恐怖症になったと思ってるのよ! アンタがそんな恰好で事ある毎に見てくるからでしょ!」
「私がこの様な格好をするのはメルフィーに悪い虫が付かぬ様にするためだ。子を思う親の心、君に分かるか!」
「ならアンタ自身の心に問え! ていうかそんな恰好する必要が何一つ無いでしょ! 普通に見守れ!」
「断固断る! 何故ならカッコいいからだ!」
「結局アンタがやりたいからやってるだけでしょ!」

……確かにちょっと面白い。でもストレインさんは怯えきってて、テーブルの下で縮こまっている。
……俺はグッと息を飲んで、ハクタカへと歩いていった。ストレインさんを他意は無い(と思う)を傷つけてしまった手前、何かしてあげたい。
子を思う親心ってのは分かるけど、あんな恰好で来る必要は無いと思う。いや、むしろ全然無い。ここは俺がビシッと。

そう思った矢先。

「あ、ストレインさんこんにちはー」
何時の間にか外に出てきたショウイチさんが、笑顔でハクタカに向かって話しかけた。
え、何? そう思ってハクタカの方を向くと、ハクタカは氷室さんとの口論とは一転、謙虚な姿勢でショウイチに頭を下げた。

「ショウイチさん、何時も済みませんねー。お世話になってます」
「いえいえー。ウチの畑も喜んでますよ。ストレインさんのお家で食べて頂いて」

事態が全く把握できない。別に聞いてもいないけど、店長が解説してくれた。

「ショウイチ君はハクタカさんとは大学時代からの友達でね。近所のよしみで、ショウイチ君の自家菜園の野菜を分けてるのよね」
「男性恐怖症なメルフィーさんはハクタカさんとは一言も喋りたがらないんですが、ショウイチさんだけには普通に接しれるんですよね」

と訳知り顔で語る店長とシュタインコフさん。店長はともかくシュタインコフさん、君は一体何者なんだ。


「あの、何時も有難うございます! 父がご迷惑を……」
「ははっ、良いんだよ。僕にとっちゃあいつは友達なだけだから」

と話すショウイチさんからは笑顔もあって凄いイケメンオーラを感じる。ストレインさん……惚れてんな……。何だろう、この胸が苦しい感じ……。
と、調理場から僕に向かって手招きするオルトロックさん。瞬時にカチコチになる体をどうにか動かして、近くに寄る。

「悪いんだけど……ゴミ捨ててきてくれないかな……溜まってるから……」

それぐらいお安いご用ですよ。ていうか何でこう、喋り方に無駄にタメがあるんだろう。何か油断してたら呪言でも言われるんじゃないかとドキドキする。
ゴミを捨てる場所は裏にあるとか。とは言え場所が分からないから、草川に連れて行って貰う。
……少し本音を言おう。ていうかもう限界に近い。精神的にも精神的にも。

「なぁ、草川。お前良く疲れないな。俺もう駄目かも分からんね」
「疲れはしないな。慣れたから」
「……強いな、お前。ボケか。ボケキャラだからか」
「違うな。脇役だからだ。お前は主人公だからな……だからキツインジャないか? 色々と」


「きゃあっー!」

その時突如として、店に大きな声が聞こえた。俺達は顔を見合せてすぐさま店内へと走った。

「どうしたんですか!?」

店内に戻ると、黄色いボーダーシャツに大柄な男と、個性的すぎる髪型に口がとんがった男がストレインさんとティマさんの首を締めながらナイフを頬にくっ付けている。
状況はよく分からないけど、悪いことである事だけは分かる。いや、寧ろ凄く悪い事だ。

「俺の名は蛇意安!」
「僕の名は素根尾!」

「俺達は俗に言う強盗だ! 丁度開店前のファミレスを見つけてこれはいい金づるだと思って襲う事にした!」
「そしたら丁度良く女の子が二人いたから、丁度良く持っていたナイフで脅しているんだ!」

しごく分かりやすくその強盗は自分の所業を説明した。何が何だかわけわかめだが強盗は許しちゃおけない。俺は店長に……。
店長? 何でそんな落ち着いてるんですか?

「展開に詰まったから無理やり悪役を出して〆る……何時もながら酷いわね、この作者のグダグダっぷりは」
「無理やり突貫作業で書いたからこんな事になるんですよね。自業自得です」

「何二人とも冷静に話してるんですか! 警察とか呼ばないと!」
「まぁ落ち付きなさい、鈴木君。不幸な目に合うのは彼女達じゃない」

「彼らよ」

「早く二人を離しなさい! 大変な事になるわよ!     貴方達が」
「うるせー! 警察なんざ怖くねえぞ!」

「いや脅しじゃなくてお前らホントに危ないって。早く二人を離さないとお前らが大変な事になるぞ」
「僕のパパは警視総監と友達なんだ! 一人二人酷い目に合わせたって捕まんないもんね!」


氷室さんと草川が二人に呼びかける。その呼び方は何と言うか本気で犯人に対して警告してるって感じだ。
どうしてだろうと首を捻っていると、何かがドス、ドスと床を凹ませる様な音を立てながら歩いてくる音が聞こえる。
振り向くと、一歩、一歩と踏み出しながら、マキさんが歩いてくる。その目は凄まじい、怒りに満ちていた。某炎の錬金術師的な。

「てめえが責任者……」

世紀末覇王みたいなマキさんを覆うオーラに、蛇意安が持っていた刃物を落とした。マキさんは無言のまま歩いてくる。
そして蛇意安に向かって、笑顔を浮かべながら、言った。

「何 か 御 用 で す か ?」

地が振るえている。俺の体は自然と床にしゃがんでいた。

「蛇意安何やってんだよ!」
「か、体が、動かねえ……」

「私に……」
俯いていたストレインさんが、ボソッと呟いた。

「な、なんだ?」
「私に……触んないでぇ!」

顔を上げたストレインさんの顔は、さっきまでのか弱い(気がするだけど)女の子って顔じゃなかった。
修羅。修羅ってる。ストレインさんはそのまま信じられない様な怪力で素根尾の体を床に叩き落とした。そして。

「触んないで触んないで触ん……ないでぇ!」
と連呼しながら男の大事な部分を、ストレインさんは何度も何度も踵を落とす。
男にとってはあまりにも凄惨なその光景に、俺の中でストレインさんに抱いていたイメージがガラガラと音を立てて崩れていった。

「くっ……動けぇ、俺の体、何故動かん!?」
「はーい……こっち向いて……」

音も無く蛇意安に忍び寄ったオルトロックさんが、マキさんのオーラで身動きが取れなくなっている蛇意安の顔を無理やり振り向かせた。
どす黒いオーラが蛇の様に蛇意安をに絡まっていく……。見ているこっちさえ身ぶるいして来た。

「はい、あーん……」

と人差し指と親指で、オルトロックさんが蛇意安の口を無理やり開き、持っているスプーンを突っ込んだ。
瞬間、蛇意安の体が激しく大きくのけ反り、その顔から生気が無くなって行き、やがてその場に仰向けに倒れた。

「感想が無いという事は……ふむ、声も出ない、美味さという事か……参考になった」

え、えええええ……。満足げな笑みを浮かべて、オルトロックさんは調理場へと戻っていった。

「怖かったよ―ルナぁ~……」
「よしよし……ぶっちゃけ私はあんたの方が怖いけどね」

「ごめんね、マキ。私がもっとしっかりしてなきゃ……」
「良いんだよ、ティマ。無事で良かった……」
「マキ……」

「よーし、山場も迎えたしそろそろ開店しよう!」

「ちょ、ちょっと待って下さいよ店長! 幾らなんでも無理やりすぎませんか!?」
「所詮作者にほのぼの系ギャグというか師匠の様なギャグは無理だった事……」
「てかシュタインコフさん、さっきから貴方は一体何者なんだ!」

「じゃ、オルさん野菜切っといたから使って下さい」
「助かるよ……」

「じゃあ皆! 今日も一日頑張ろうね」
「しっかり仕事しなさいよ、草川君。メルフィーに変な目使ったら只じゃおかないから」
「分かってるよ。俺が好きなのはルナ、お前だけさ」
「ば、馬鹿……」

「ショウイチさん……」

あのさ、一言言って良いかな。




「何だこのオチ!」






続く筈がない 




ア―ジョ「……あれ? わたしいっかいもでてこなかったけど、どういうことなの?」
アイン「ア―ジョは犠牲になったのだ……gdgd構成の犠牲にな……」
ア―ジョ「こんかいばかりはフルボッコになるべきだね、あのくそさくしゃ!」      

ショタロック「あ……アレ? 私の出番……」

882さん、本当にごめんなさい


 ↓ 感想をどうぞ(クリックすると開きます)
+ ...

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
ウィキ募集バナー