「完成とは模倣でしかない」
あれはとても静かな三日月の美しい夜のことです。
一人のファイターが我が教会の戸を叩きました。
大変疲れた顔でただただうなだれている彼に、私は温かいお茶とクッキーを出して差し上げました。
疲れているときは温かいものと甘いもの。これが我が神の教えです。
しかし、彼はよほど苦悩していたのでしょう。なにも手をつけず黙っているだけです。
お茶が冷めてしまうことに胸を痛めた私は神の声に従いフリーズⅢの杖でファイターさんを殴り凍結させた上でフリーズイグニッションを見舞いました。
神の愛が通じたのか彼は熱いまなざしでクッキーとお茶を平らげてくださいました。
フリーズイグニッション(神の福音)は偉大です。
そしてぽつぽつと教会の戸を叩いた理由を語り始めました。
その内容というのは
「考えうる最強の装備とステータスを手に入れたが故に楽しくなくなった」
ということでした。
話しを聞くとパッシブスキルに特化し漏れのない常駐効果を揃えたということです。
なにも彼は悪くないでしょう。パッシブスキルは優秀です。決して裏切ることなく結果を出します。
いいスキルです、
感動的なスキルです、
だが無意味だ……とは言いませんが、それまでです。
パッシブスキルとは道しるべのようなものでしょう。
従えば必ず目的地にたどり着けます。
ですがその道は誰もが歩いた道です。
出会うものも、できることも、限られています。
アクティブスキルとは対して空に輝く星のようなものでしょう。
その星の下に目的、希望があると分かってはいるけれど距離も、手段も、なにもわかりません。
ですが、行くしかないのです。
辛い道かもしれません。荒々しい道かもしれません。そもそも道などないでしょう。
しかし、行くしかないのです。それこそがアクティブスキルです。
フリーズイグニッション教団聖典には「完成の先に汝無し」という言葉があります。
アクティブスキルはどこまでも己の意思であり続けます。
いつ、どこで、いかように生かすかはあなた次第。
いつまでも完成することはありません。
その星を目指した先になにがあるか、それぞれがたどり着かないとわかりません。
目指したものにしか分からない世界がそこにあります。
パッシブに寄り添いすぎるとこのファイターさんのように自分を見失ってしまう恐れがあります。
みなさんも道を見失いそうになることがありましたら、アクティブに希望を見つけてはいかがでしょうか。
なお、このファイターさんにはフォースでフリーズイグニッションを目指すようにアドバイスしておきました。
最終更新:2012年09月23日 22:50