剣師たちは女を抱かなかった。
ただより優れた刀剣にのみ欲情していた。
剣師という存在の由来はなにか。
それはキリングシュトロームと呼ばれた時代までさかのぼる。
剣での殺し合いが、その頃の世界のすべてだった。
あらゆる瞬間、あらゆる場所で、
剣師達は殺し合いに興じていた。
人を斬れば花が咲く。老人を斬れば鳥が落ちる。
子供を斬ればそよ風が吹く。狂人を斬れば月が冴える。
女を斬れば子供が生まれる。病人を斬れば海が割れる。
そして、剣師を斬れば剣が残る。
殺し合いだけで文化の全てが成り立っていた。
殺せば殺すほど優しかった。
死ねば死ぬほど幸せだった。
血さえ流れれば誰もがやすらぐ黄金時代だった。
そして彼らの信仰の頂点にあったのは、
たった一振りの剣であった。
万物を殺し尽くせるという天与の刃。
そんなものに勝てるはずがない。
手に入れられることは決してあり得ない。
出会うことすらままならない。
そもそもそんなものがあるはずがない。
そこまで知っていながらなお、
すべての剣師が夢見た伝説。
それはあたかも祭囃子のような。
殺し殺される喧噪に惹かれて、
あなたもまた、そのフィールドに立ったのだった。
ジャンル:ノンフィールドRPG
ステスト産RPGの中でも、屈指の運ゲーぶりを誇る一作。
戦闘、探索、回復、セーブといったほとんどの動作を
入手した剣を『始動』(≒消費)して行っていく。
欲しい剣が手に入らずに死ぬことはザラである。
だが一方で、剣の構成をしっかり考えて何度も挑戦していれば
いつかは進めるという側面も存在する。
ストーリーや、剣が全てを支配するという点において
マーガレットとは深いつながりを持っている。
最終更新:2012年01月20日 13:48