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チェンジ・ザ・ワールド☆
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アイラブユーの気持ち

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streetpoint

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アイラブユーの気持ち








 一氏ユウジは深いため息を吐いて机に突っ伏した。


「はあ~~~~」


 東京の大学に行って知り合った女性と卒業後めでたく結婚し、幸せな生活を送っていたユウジ。

 しかし、2か月ほど前会社から単身赴任の辞令が出て、ユウジは生まれ育った大阪へ一人で戻って来ていた。

 実家があるおかげで住む場所や食事などの心配はいらないのだが、自分は大阪、妊娠している嫁は東京の実家と離れて暮らしている。

 かといって寂しいとさほど感じていないのは、恐らく昔の仲間がそばにいるからだろう。


「おいユウジ! お前ええ加減にさらせよ!」

「小春~。そんな冷たいこと言わんといてや~」

「毎日毎日電話掛けてきて呼び出しよってからに。俺はお前の嫁ちゃうでっ!」


 学生時代にやっていたテニスのダブルスのパートナー、金色小春が青筋を立てながら自分にしがみつくユウジを蹴る。


「しっかし相変わらず先輩達きもいっすね」

「財前、お前今何て言うた?」

「せやからユウジ先輩キモイ。言うたんですわ」

「誰がきもいねん! お前、ちょっと男前やからって調子乗っとんな! 死なすど!」


 小春にしがみつくユウジを、冷めた目で見ながら財前が毒を吐くと、それを見守っていた白石が口を挟む。


「しかしユウジ。お前嫁さん東京に残して単身赴任なんて、嫁さん寂しがっとるんちゃうん?」

「あ~。どうやろうなあ」

「言いながらどさくさに紛れて肩組むな!」

「せやかて小春~。俺、嫁と離れとんのにたいして寂しないねん。お前と一緒におるほうが楽しいねん。これってほんまに嫁の事好きなんちゃうんやないかって思ったら、えらいヘコンでまうわ~。なあ、どう思う?」

「知るかっ!」

「それでさっきからため息ばっかり吐いとるんですか」


 最近のユウジの悩みは、離れて暮らしている妻の事だった。

 確かに大好きだ。

 明るいし優しいし、料理も結構上手。

 それなのに、離れているのに寂しく感じないという自分の心に違和感を感じているのだ。

 一体どういうことなのか。

 小春に蹴られて再び机に突っ伏す。

 昔のテニス部仲間で集まっている居酒屋の座敷で、うじうじしているユウジを見ながら、白石が笑った。


「お前もうじき子ども生まれるんやろ? 父親がそんなんでどうするんや。言うたみたいにほんまに嫁さんの事愛しとらんのか?」


 白石のその一言で、ユウジはガバッと顔を上げた。


「あかん~っ! もしそうやったらどないしよう! なあ、小春っ、俺、嫁の事愛しとらんのやろか?」

「知らんわ。んなら何で結婚したんや。このどアホっ!」

「何でやろ? いや、好きなんや。ほんまに好きやから結婚してんねん。やのになんや、この俺の中の感覚は……」

「ユウジ、お前ほんまええ加減にさらせよ。嫁さん馬鹿にしすぎやで?」


 堪り兼ねた忍足がため息まじりに言うと、ユウジの携帯がメールを受信した。


「あ、嫁や」


 そう言ってメールを開くと、嫁の携帯から嫁の母親が打ったらしく、内容はこうだった。


 件名:ユウジ君へ

 和葉が急に倒れて入院することになりました。
 もし帰って来れそうだったら一度帰って来て下さい。



 さあっとユウジの血の気が引いた。


「よっ、嫁が入院した……」

「なんやて?」


 先ほどまでバカ騒ぎをしていた空気が一変した。

 真っ青な顔でユウジは立ち上がると、おぼつかない手で靴を履きはじめた。


「お、俺、東京に戻るわ」

「って、ユウジ! お前会社は?」

「……んなもん知るかっ! あいつが死んだら、俺、立ち直れへん。会社クビになった方がましや!」


 そう言い残してあっという間に店を飛び出した。

 そんなユウジの姿を見ていた一同は、顔を見合わせて肩をすくめる。


「どこが嫁のこと好きちゃうっちゅーねん。めちゃめちゃ好きやないか」

「ほんまにあいつ、アホやな」

「せやけど嫁はん。大丈夫なんやろか?」

「無事やとええけどな……」

「やっぱユウジ先輩キモイっす」















 白い壁の無機質な部屋。

 カーテンの向こうは朝日で白みはじめていた。

 そんな中、ユウジは静かに眠る妻の姿をじっと見つめていた。

 大阪を飛び出したユウジは新幹線の最終に乗って東京へ戻った。もちろん会社の上司にはきちんと連絡をし、2日間の有給を無理矢理取らせてもらった。


「俺はアホや……」


 ポツリと呟いたユウジの手を微かに握り返した感覚に反応する。


「ユウジ……?」


 眠っていた妻の和葉が目を覚ました。


「和葉。大丈夫か?」

「ーーーどうしてここに? あれ? ここ、どこ?」


 実家で突然倒れて救急車で運ばれたから、記憶が曖昧らしい。

 そんな和葉に、力なく微笑みかける。


「お前実家で倒れたんや。お義母さんからメールもろて、俺、大阪から飛んで帰って来たんやで?」

「……あ、そっか。私倒れたんだーーー っ!? あ、赤ちゃんっ、赤ちゃんはっ!?」


 慌てて自分のお腹を触る和葉に、ユウジが優しく手をさする。


「心配いらんて。赤ん坊は問題なく元気やって……なあ和葉」

「はあっ、良かった……なあに?」


 安堵の表情を浮かべた和葉に、ユウジは心が苦しくなった。

 医者が言うには、和葉が倒れたのは極度のストレスだという。

 もしかしなくとも、その原因は自分に違いないのだ。

 ゴクリと唾を呑み込み、ユウジは尋ねた。


「お前、俺が側におらんで寂しかったんとちゃうか?」

「え……? どうして?」


 驚いた表情でユウジを見つめる和葉に、ユウジは情けないくらい弱々しい声で言った。


「だってお前、いつ電話してもメールしても大丈夫ってそればっかり言うから、俺安心して……全然こっちに帰れへんかったしーーー」

「ユウジーーー」


 申し訳なさそうに項垂れるユウジの手を強く握り返し、和葉が笑う。


「確かに寂しかったよ。でもね……やっぱりユウジは大阪にいる時の方が楽しそうで元気だし、私の事で余計な心配かけてお仕事とかお友達と楽しむ時間の邪魔したくなかったのーーーあ、でもこうやって倒れてちゃ意味ないよね」

「アホ!」


 急に顔を上げて怒ったユウジに、和葉はドキリと肩をすくめる。


「寂しいなら寂しいって言うてええんや。俺、お前が何にも言えへんし、自分が大阪の友達とおるのが楽しいから、お前と離れとるの寂しくなかってん……せやから、もしかしたらお前の事好きやないんちゃうか、なんて、そんな変な事まで考えてしもうたんやーーーごめん……ごめんな」

「ユウジ……私の事、好きじゃないの?」

「あ、アホっ! んな訳あるかっ! お前が倒れたってメール見た時は心臓止まるか思うたわ……なあ和葉」

「ん」

「ほんまにごめんな……俺、ほんまにアホや。お前の旦那失格や。許したってや?」


 頭を下げるユウジに、和葉は微笑んだ。


「そうねえ……じゃあ、お詫びに花束買って来てくれる?」

「花束?」

「うん。色んな色のチューリップの花束」

「……分かった。買って来る」

「それと」

「なんや?」

「キスしてくれる?」

「は?」


 自分の唇に人差し指をあてる和葉に、ユウジは目を丸くさせた。


「な、何を言い出すんや?」

「だって私の事好きじゃないかもしれないって思った事、許して欲しいんでしょ?」

「そ、そやけど、そんなんで許してくれるんか?」

「私が倒れたのはユウジと離れて寂しかったからなんだもん。一番の薬だと思うんだけど」

「ーーーせやな」


 ニッコリ笑う和葉に、ユウジも吊られて笑った。

 そしてゆっくりと和葉に顔を近づけた。




 和葉が次に目を覚ました時、ベッドサイドには大きな花瓶にこれでもかと飾られた色とりどりのチューリップが咲き誇っていた。


 アイラブユーの気持ち。


 溢れるほどのその想いが、チューリップ一本一本に込められて。





                             END




あとがき
どうも、お読みくださりありがとうございましたー。一氏ユウジ君でした(笑)
普通にしてたら男前なのに、小春とダブルス組んでるおかげで霞みまくってる。
でもきっと素で変な子なんでしょうね、試合終わった後の小春は普通の男の子なのに、ユウジだけは小春ラブだったし(笑)
そんなユウジと結婚してみましたよ、ユウジファンの方!いるかな?(汗)
白石とか忍足すっ飛ばしてユウジだもんね、管理人やっぱりおかしいですか?(聞くなw)
お題は「薬と花束」でした。
男の人は基本子どもっぽいんで、結婚しても昔の仲の良い友達と一緒にいる時はきっと嫁さんの事忘れてるんじゃなかろーか?と思って書きました~。
それでは、またお会い致しましょう♪




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