チェンジ・ザ・ワールド☆
絆創膏
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絆創膏
ものすごくぼーっとしながらキャベツの千切りをしていた和葉は、ザクリとした嫌な感触と痛みで我に返った。
「いたっ……」
引き上げた指からは血が滲み出して、案外深く切った事が分かる。
あ~あ。私ってばドジ……
「何やってんの?」
そこへ現れたリョーマに、和葉は苦笑いを向ける。
「あはは、指切っちゃった」
「えっ? もう……、何してんの?」
リョーマはすぐさま持っていたタオルで和葉の怪我した指を押さえ、椅子に座らせると慌ててどこかへ行ってしまった。
「ちょっと、リョーマ?」
一人置き去りにされた和葉は、台所の入り口を見つめたままそれでもしっかりと傷口は押さえていた。
すぐに足音がやって来てリョーマが救急箱を持って戻ってきた。
「しみるけど我慢して」
そう言って丁寧にタオルを外し、脱脂綿に消毒液をしみ込ませて傷口を拭いた。
「ひっ!?」
予想以上の痛みに和葉は声を上げる。
「我慢してって言ったじゃん」
そう言いながらリョーマはどんどん作業を進めた。
いつもは怪我をしたリョーマを和葉が手当てするのに、今日は逆だ。
なんだか自分を心配してくれているリョーマが微笑ましくて、和葉はつい笑ってしまった。
「くすっ……」
「何?」
「ううん。なんだかリョーマに手当されるのって新鮮だなあって思って」
「もうっ……あんまり心配させないでよね。はい、終わり」
そう言って和葉を見てリョーマが困ったような顔をした。
「指切ったくらいで、リョーマ大げさ」
「大げさじゃないよ。いつもは包丁で指切ったりしないくせに、どうしたの?」
「別に、ちょっと考え事してただけ」
「考え事?」
首を傾げるリョーマに、和葉は立ち上がって微笑んだ。
「さ、もうすぐななちゃんもおばさんも帰って来るから、ご飯作らなきゃ。手伝ってくれる?」
ごまかした和葉をじとっと睨んだが、きっと教えてくれないと分かっているのでリョーマもそれ以上は聞かなかった。
「分かった」
大人しく和葉の指示に従って鍋を出す。
「もうすぐ全国大会だね」
ふいに和葉が言った言葉に、リョーマは頷いた。
「楽しみだね」
そう言って笑う和葉が、どこか遠くへ言ってしまいそうでリョーマは無性に寂しくなった。
指の絆創膏を一瞬見やって、すぐに和葉を見る。
「どうしたの?」
尋ねる和葉に、リョーマは呟いた。
「俺、負けないから」
「お。強気だね」
そう言いながらも急に元気の無くなったリョーマに、和葉は少し不安になる。
先ほどの考え事という単語を意識しているのかもしれない。大したことではないのだが、3つも年下のリョーマに何でもかんでも相談する程和葉も子供ではない。結局悩んだ所で決断を下すのは自分なのだから。
こんなに自分に依存しているリョーマが、もし自分と離れてしまったらどうなるのだろうかと思ってしまう。
自惚れかもしれないが、リョーマにはもう少し自分という存在が必要だと思う。
ふと左の人差し指に巻かれた絆創膏を見る。
リョーマの自分に対する優しい気持ちが伝わってきて、ズキズキとする痛みが少し和らいだような気がした。
まだ、もう少しだけ一緒にいられるのなら……
野菜を鍋に入れて行くリョーマを後ろから抱きしめた。
「和葉? 危ないよ?」
口ではそう言いながらも振りほどくことはしない。
和葉も分かっているから抱きしめる腕に力を入れる。
「うん……リョーマ大好き」
優しく囁いた和葉の声に、リョーマが答える。
「俺も」
そっとリョーマが触れた和葉の手には先ほど巻いた絆創膏。
この絆創膏のように、いつか和葉から離れてしまわなければいけない日が来るのかと、リョーマは胸が苦しくなった。
でもまだ、もう少しだけ一緒にいられるのなら……
END
※あとがき※
なんだ!? 絆創膏ってタイトルなのに、全然絆創膏アクセントになってない!
しかも普通絆創膏だったら菊丸でしょ? って自分で自分に突っ込む。イヤーン。
これはアニメでリョーマがアメリカに行くちょっと前。という設定で書いてますね。
記憶が曖昧ですが…だって全国大会がもうすぐとか言ってるし(笑)
和葉さんはリョーマが自分の意志でテニスが上手くなりたい、強くなりたいと願っている事を嬉しく思う反面、離れて行ってしまうのがちょっと寂しいんですよ。
ああ、親心(笑)
しかも普通絆創膏だったら菊丸でしょ? って自分で自分に突っ込む。イヤーン。
これはアニメでリョーマがアメリカに行くちょっと前。という設定で書いてますね。
記憶が曖昧ですが…だって全国大会がもうすぐとか言ってるし(笑)
和葉さんはリョーマが自分の意志でテニスが上手くなりたい、強くなりたいと願っている事を嬉しく思う反面、離れて行ってしまうのがちょっと寂しいんですよ。
ああ、親心(笑)
こんな話にお付き合い下さいまして、ありがとうございました!