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風名・後日談

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streetpoint

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私のやんごとなき王子様












〜後日談〜






「いいか、絶対に玲が何か言っても、黙って笑ってるだけにしろ」

「はい」


 私は今日、玲君のテレビ収録を見学させてもらうため、マネージャーさんにテレビ局に連れて来てもらっていた。

 もちろん付き合っているという事は内緒だから、今の言葉は私と玲君が仲良くしている所を人に見せないようにするための念押しだ。




 あの日、演劇祭が終わってから玲君に告白されて恋人同士となったのだけど、本当にこのマネージャーさんを説き伏せるのには苦労した。

 玲君は声を荒げないように、次々浴びせられるマネージャーさんからの罵声に耐え忍び、数日に及ぶ話し合いの最後、


「美羽と一緒にいられないなら芸能界をやめる」


 と言ったその一言で、それまで鬼のような形相と剣幕だったマネージャーさんも仕方なく私達の事を認めてくれたのだ。

 玲君の真剣な気持ちに負けたんだって、後で不貞腐れたように教えてくれた。

 ずっと何も言えずに隣りに座っていただけの私の手を、玲君はずっと握っていてくれた。「大丈夫」っていう励ましの言葉が、その手の温もりから伝わって来て、私は玲君の優しさを感じていた。


 お互いの両親への報告ももちろん済ませた。その時のママの驚きと喜び方は半端じゃなかった。だって“あの”風名玲が、お嬢さんと真剣にお付き合いしたいと思っています。ってスーツ姿で玄関の前に立ってたら、ウチのママじゃなくても大喜びだもんね。……まあ、パパはやっぱりちょっと心配だったみたいだけど、玲君の熱意と誠実さに私達の事を認めてくれたから良かった。

 玲君のご両親に会った時はガチガチに緊張して、何をしゃべったか、何をご馳走になったのかまったく覚えていない始末だった。けど後から玲君に聞いた話しではお二人とも私に対して良い印象を持ってくれたらしく、特に反対もなく許してくれた。

 これも全部玲君だから上手く行っているんだと思えた。

 だって玲君は本当に一生懸命で、真剣に打ち込んでいるから。

 あれから数ヶ月。夏が過ぎ秋になり、冬がやって来た星越学園は相変わらずで、受験を間近に控えた私達は勉強に追われていた。

 玲君は芸能の仕事を続けながら大学への進学を希望した。もちろん私と同じ大学だ。少しでも一緒にいたいからだって言ってくれた時の少しはにかんだ笑顔がとても可愛くて、思い出しては何度も一人ニヤケてしまう。

 今日は受験勉強の合間に初めてテレビ局に連れて来てくれたんだけど――と言っても本当は何度も誘ってくれてたのを私が断ってたんだけど……だってなんか恥ずかしくって――そして、初めて入ったテレビ局の中は人が多くてびっくりしてしまった。

 出演者だけでなく、あちこちでたくさんの人が忙しなく走り回って仕事をしている。玲君はこんなすごい所でずっと仕事をしてきてるんだ。

 テレビ局に入る時は別々だったけど、ファンの子がたくさん入り口の前にいて、SPの人に囲まれてファンの子達に手を振りながら歩く玲君を見て、目を何度も瞬かせた。


「それでは出演者の皆さん入ります! よろしくお願いします!」


 その声に辺りが一変した。

 今日は生放送の特番で、観客もたくさん入っていた。

 音楽と大きな観客の拍手がスタジオ内に響くと、セットの扉が開いて次々とテレビで見た事のあるタレントさん達が入って来た。

 本当に私は今、テレビ局にいるんだなあ。なんて、当たり前の事に感心する。


 ……あっ!


 最後に一際大きな拍手を受けて入って来た玲君の姿に、私は胸を躍らせる。

 いつも見てるのに、こうやってスポットライトを浴びている玲君はやっぱり人気アイドルなんだと、その格好良さと、自分との距離感に驚く。

 ドキ――

 一瞬玲君が私を見た気がした。

 私とマネージャーさんが立っているのはスタジオの一番後ろで、お客さん達が座っている場所よりも更に奥だから見えているはずはないんだけど……













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