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土屋13日目・No.3

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streetpoint

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私のやんごとなき王子様












 どこへ行くのかと思いながらも着いていくと、いつの間にか学園の裏庭に来ていた。

 辺りに人影は無い。


「土屋君、お疲れ様。すごく良かった」


 私がそう言うと、土屋君はピタリと足を止めた。


「なぜ僕の絵があんなに素晴らしかったか分かるかい?」


 そんな事をいつもの調子で急に訊ねる。


「なぜって……土屋君が描いたから、素晴らしいのは当然じゃない」


 私も思った通りの事を口にした。

 だって土屋君の芸術は本当に凄い。この10日間一緒にすごして、その凄さが私の網膜にはしっかりと焼き付いている。


「違うよ」


 だけど土屋君はあっさりと否定した。


「僕の絵はこの演劇祭以前に描いたものと、今回演劇祭の背景として描いたものとで、大きく変わっているんだ。その理由が分かるかい?」

「……分からない」


 分かるはずも無い。

 確かに土屋君は合宿期間を通して、チームワークのようなものを身につけたとは思う。だけど……それは答えじゃないと思った。


「君の存在だよ」


 土屋君は私の目を真っ直ぐに見つめるとそう言った。


 ――私の……存在?


「君がいるから僕は変われた。僕に足りないものを僕は手に入れた」

「足りないもの?」

「誰かを思う気持ちさ」


 土屋君のその美しい眼差しが私を焼き尽くすかのような熱っぽさを帯びて、全身に注がれる。

 鼓動が急速に速くなる。これって……


「君は僕のミューズだ。君のいない芸術なんて考えられない! 僕はもう、君の存在なくしては筆をとる事が出来ない」


 土屋君が私を抱きしめる。


「どうかずっと側にいて――僕の美羽」

「うん……! うん……!」


 土屋君の腕の中で私は大粒の涙をこぼした。

 あなたにとって芸術は命。私なしでは生きられないというのなら、それは私も同じなの。

 これからも私は、あなたが彩る世界で生きて行きたい。

 あの日、あの廊下で――あなたが私を誘ってくれて良かった。あなたと一緒に演劇祭に参加できて良かった。

 ――あなたの世界に触れる事が出来て本当に良かった。


 ありがとう、土屋君。

 どうかこれからもずっと――私を側においてね。













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