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チェンジ・ザ・ワールド☆
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カワイイひと

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streetpoint

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カワイイひと/2009.10.13















俺の気になる彼女、吉野綾乃(よしのあやの)は男子テニス部のマネージャーや。

マネージャーやからとかそないな理由で部員の奴らを特別扱いするっちゅー事もなく、部員達も一人を除いては彼女を女としてあまり見てもいないようや。

そう…彼女の幼なじみのテニス部キャプテンの跡部景吾(あとべけいご)以外は誰も。

と言うても俺は吉野さんに話し掛ける事もなく、跡部と吉野さんが楽しそうに話をしてるんを羨ましそうに眺めているしかない甲斐性のない男や。

だからといって、このまま2人が仲良くしてるんを見てる程アホやない。

跡部は俺よか断然チャンスがあるにも関わらず、いつも遠くから吉野さんを見てるだけや。

これは俺に対しての挑発か、それともただホンマに俺みたいになんも出来んだけのアホなんか、どちらにせよ、俺かて跡部より前には進めへん。

いつも跡部より一歩後ろにおる。

それがまた悔しゅうて悔しゅうてたまらん。

でも俺は絶対にお前の前に出るって心に決めた。

もうお前の背中眺めるんはウンザリしてたとこなんや…。




「吉野さん、なんか手伝おか?」

「忍足くん?ううん、大丈夫だよ。もうすぐ終わるから」


そう言うて、吉野さんは大きな洗濯カゴを重そうに持ち上げる。

俺は無理する吉野さんを見てられんくなって、構わず吉野さんからカゴをひょいと取り上げた。

俺の行動に吉野さんは呆気を取られるように驚いてたんやけど、なんやいきなりクスッと俺に笑ってきよったんや。

そないな何気ない笑顔が俺にとっては疲れた時の一番の特効薬みたいなモンや。


「ありがとう、更衣室までヨロシクね」

「ああ、任しとき。ようこないな重いモン1人で持ったなぁ。意外に力持ちねんな?」

「そんな事ないよ。いつも2人で持つんだもん。さすがに重かったよ?」

「ならなんで1人でやっとったん?」

「用事があるからやっておいてって言われたから仕方なく…」


女の事はよう分からん俺かて、これはどないな意味を指すんかは分かる。

吉野さん、上手い事利用されてんねや。


「それ、利用されてんねんで?分かっとるやろ?」

「うん、分かってるよ。でも用事じゃ仕方ないよ」

「せやから…」

「ありがと。もうここでいいから」


吉野さんは俺からカゴを受け取って行ってしもた。

なんや、変な地雷を踏んでもうたみたいや。

吉野さんはあないな事言うとったけど、でもなんか放って置けんかった。

俺の目の前で吉野さんが傷付くのを黙って見てられる程俺は薄情な奴やないつもりや。


「アカン。そないな事絶対にアカンで」


俺は吉野さんを追い掛ける事にした。

何か良い事を言うてあげれる程器用でもない。

でもどうしょもなく放っとかれもできへん。


「忍足、綾乃を見なかったか?」


吉野さんを追い掛けようとしたそん時やった。

そこには跡部が立っていた。

吉野さんは部室に向かったはずやのに、なぜか跡部は会わんかった。なんでや?

いや、なんでとかそないな事は大した問題やない。

問題なんは、なんで跡部が吉野さんを探してるか、それや。


「忍足、聞いてるのか?」

「さぁな。会ってないからよう知らんわ」


俺は思わず嘘をついた。

きっとこないな事を言うたんは、跡部に吉野さんを会わせたないっちゅう俺の独占欲からやと思う。

俺の返事を聞いても跡部はその場から立ち去らんかった。

まるで俺になんかを言わなアカンと言わんばかりの顔で俺を見ていた。


「忍足、お前最近綾乃とよく居るな。綾乃の事、好きなのか?」

「なんや、それ。意味よう分からんわ。跡部は吉野さんに近付く男は皆恋愛感情があるとか思とんのか?」

「あぁ、そうだ。特にお前はそうじゃないかと思ってる。違うか?」

「好きでも嫌いでもそんなんお前には関係あらへんわ」


すると跡部はいきなり気味悪く笑い出した。

笑われた意味もよう分からんくて、俺は睨むようにして跡部から目線を一時も逸らさなかった。


「そうか、綾乃が好きか。でも綾乃だけは絶対に渡さない。誰にも渡さない。


まぁ綾乃が俺以外の男に興味を示すはずもないけどな。

生憎だけど、お前なんかに奪われる程俺はそんなに落ちぶれちゃいないんだよ」

いつもながらの余裕な口振りの跡部。

せやけど、俺はなぜだか跡部には勝てない気ぃした。

こないに弱々しいなんてこんなん俺らしゅうない。

せやのに、余裕過ぎる程の跡部の笑みに俺は身震いをしてもうたんや。

跡部に対して、劣等感を感じた。

気が付けば俺はその場から駆け出し、吉野さんの居そうな場所を気持ちを露にして探し出していた。


「アカン…。吉野さんが行ってまう…」


何に焦ってんねや、俺は。

跡部はただ、俺に一言だけ渡さないとそう言うただけや。

吉野さんが跡部を好きな根拠はなんもない。

せやのに……せやのに俺は何に焦っとんのや。






「ハァ、ハァ、ハァ…」


立ち止まったその先には吉野さんの教室。

なぜか居そうな場所といえばここしか思い付かんかった。

よう見れば廊下の窓ガラスから、吉野さんが見えた。

俺は静かにドアを開けると、驚くように吉野さんがこっちを見た。


「ビックリしたぁ。どうしたの?忍足くん」


吉野さんに尋ねられたにも関わらず、俺はなんも答えんかった。

理由なんてなかった。気ぃついたら走っとった。

不思議に感じた吉野さんは静かにこっちに近付いてくる。

俺は吉野さんに何を言うつもりやったんやろか。

気持ちぶつける気もないクセになんで来たんやろか。

自分でもなんでこないな事をしよるんかはよう分からん。

いや、1つだけ気持ちがハッキリしとる事がある。

俺は跡部に……跡部にだけは吉野さんを奪われとうないんや。

せやから…ここに…。


「忍足くん、すごい汗。大丈夫?」

「平気や…」


吉野さんはハンカチで俺の顔の汗を拭ってくれた。


「忍足…くん?どうしたの?なんで泣いてるの?」

「……!」


吉野さんに言われて俺は自分の頬に触れて確かめた。

自分が泣いてる事に気ぃついた。

俺の頬からは涙が伝っていて、手のひらが微かに濡れていた。


「跡部に渡しとうないんや」

「えっ?」


俺は、ずっと吉野さんだけを見てたんやで?

ずっとずっと前から……想ってたんやで?

はよ…早う気ぃ付いてや…。

なんで俺を見てくれんのや。なんで……跡部やねん…。

こないに想てんのに、なんで気ぃ付かへんねや…。


俺は吉野さんを見れんかった。

こないに余裕ない自分が情けのうて。

どんな面して吉野さんに渡しとうないなんて言うとんねや、俺は。完敗や…。


「忍足くん、大丈夫だよ。大丈夫だから泣かないで」


吉野さんは俺の首に抱きついてきた。

俺は何が起きたんか分からんくて、しばらく唖然としとった。

せやけど次第にその腕が誰の腕なんかが分かるようになってきた。


「忍足くんに涙なんか似合わない」


柔らかいものが俺の唇に触れたかと思えばすぐに離れた。


「そんな顔、誰にも見せてあげないんだから。私だけのもんなんだからね?」

「…分かった。今度からは気ぃ付けるわ」


俺は微笑んで吉野さんの背中にそっと腕を回してきつく抱き締めた。









END













綾乃ちゃん! 忍足を泣かせるなんて、なんて子なんでしょう!!!(笑)もっと泣かせてくださいww
もうもう、忍足の余裕の無いっぷりがたまらなかったです!!
本当にえりさんはいじらしい男の子を書かせたら素晴らしい!
おまけに跡部にまで好かれてて、なんだかもう、管理人幸せいっぱいでしたーーー!!!
早く元気になって、またHPの更新をしていきたいです☆
本当に本当に素敵なお話をありがとうございました!!!!!

HPアップの許可を快諾してくださったえりさんには、いつも感謝でございます♪





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