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チェンジ・ザ・ワールド☆
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act.27(市来)

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streetpoint

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就職難民 黙って俺についてこい!











 「お、いいな。良く似合ってる」


 私を見るなり市来さんはそう言ってくれた。


「あ、有難うございます」


 なんか改めてこんな風に言われちゃうと、妙に恥ずかしい!


「葉月は素人だから演技は出来ないだろ? だからCMはこういう撮影風景の最中の映像からも、良い物があれば使っていく事になったみたいでな。そっちのカメラも入ってきてるが、まぁ気にするな」

「えぇ!?」


 そんな事聞いてないわよ! 

 改めて辺りを見回すと、よくTVなんかで見るあの大きなカメラが何台も用意されている。う、嘘でしょ……。ポスター撮影っていうそれだけでも心臓が口から飛び出しそうなのに!


「おい」

「は、はいっ」


 動揺の余り目を泳がせていると、市来さんは私の事を真正面から見据えていた。


「お前は俺だけに集中しろ。他のやつらの事は考えるな」

「あ、あのっ。で、でも」

「でもじゃない。言うとおりにしろ」

「わ、分かりました」


 余りにも真っ直ぐな目でそんな風に言うものだから、こっちはもう余計に……! でもでも、市来さんだけを見てればいいんだ。そうだよね、だって他のカメラはあくまで良い物が撮れたら使っていくっていう事だもんね。私は市来さんに撮られる為に、ここにいるんだ!

 そんな風に思うと、肩の力がふっと抜けた。うん、大丈夫。きっと出来る。


「よし、じゃ向こうに立て」

「はいっ!」


 背筋を伸ばしてスクリーンの前に立つ。相変わらず胸の鼓動は早いままだけど、市来さんだけに集中する。


「お、いいな。服もメイクもイメージ通りだ」


 ファインダー越しの私はどう映ってるんだろう? カメラを構えた市来さんを見ながら、そんな事を考える。

 私が物思いに耽りそうになっていると、フラッシュがたかれた。うう、やっぱ緊張するなぁ。


「最近なんかいい事あったか?」


 カメラを構えたまま市来さんが急にそんな事を言うので、思わず「えっ?」と聞き返してしまった。


「なんだ、何もないのか?」

「ありますよっ! 私にだっていい事くらい!」

「お、じゃあ聞かせてもらおうか」


 市来さんは会話をしながらも撮り続けている。けど、えっと……気にせずお話してればいい、んだよね、多分。


「つい2日前だって良い事ありました! 市来さんとお買い物に行って……」

「あれが良い事か?」

「良い事ですよ! ドレス、買って貰えたし」

「ゲンキンなやつだなぁ」

「ふふっ、それだけじゃないですけどね」


 思わず私が笑った瞬間、物凄い勢いでシャッター音が鳴り響く。


「いいね、今の顔」

「そんな風に言わると、照れるんですが……」


 どうしていいものか戸惑って、はにかむ私にまたもフラッシュの嵐。私には演技なんて出来ない。姿勢とかポーズとか色々勉強はしたけど、顔の表情を作るのは無理。でもこうして話していると、自然に笑ったり照れたり怒ったり出来る。市来さんはそんな事まで計算済みなんだろうな。

 改めて市来凱というカメラマンの柔軟性と対応力に、心底感心してしまう。


「他は? なんか好きな男と〜、みたいな事はないのか?」

「す、好きな人なんて……」

「いないのか? 寂しい奴だな」

「ほっといて下さい!」


 好きな人と言われて、一瞬白波瀬さんが浮かんだけど、白波瀬さんに対する気持ちは好きとかとは違う気がする。

 同じような仕事をしていて、色んな事が相談できて、優しい――そう頼れる先輩とかお兄さんって感じかも。

 私が好きな人は、もっと男っぽくて、ぐいぐい引っ張っていくけど、でもちゃんと気遣ってくれて、それで――――


 そこまで考えると、私は市来さんを見つめた。

 途端、何が起きているのか、分らないほどの光の洪水。


「最高だ」


 市来さんが呟く。


 カメラを構えるその姿は、凄く凛々しくて頼もしい。思えば私が美成堂に入ってからというもの、いつだって私の前を歩いていてくれた。

 市来 凱、類まれな才能を持つカメラマン。そんな彼の実態はちょっぴりオレ様だけど、とっても優しい――――そう、私の大好きな人。








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