チェンジ・ザ・ワールド☆
拝啓、近藤様
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拝啓、近藤様
どんなにどんなに強く想っても、彼の中に自分が入る隙間は無い。報われない恋と知りながらも、和葉は恋焦がれずにはおれなかった。
あれは三月程前の事、和葉が職場から夜遅い時間に帰宅していた時だった。和葉の行く手を阻む、風体の良くない若い男四人に囲まれ困り果てていた。
許しを乞うても道を開けてはくれず、言われのない因縁を付けられ腕を掴まれた瞬間ーーー
「いてててててっ!!!」
和葉の腕を掴んだ男が突然痛みに顔を歪めて両膝を地面に落とす。
「感心しないなあ。可愛らしいお嬢さん一人を相手に、男四人掛かりで暴力を振るうとは」
驚いた和葉と男達は、声の主を仰ぎ見る。黒い独特の制服姿の男は、白い歯を見せて笑った。
「お嬢さん、大丈夫か?」
「あ……はい」
男達はその出で立ちに慌てて後ずさった。
「おいっ、真選組だ!」
「逃げろっ!」
バタバタと走り去る男達の後ろ姿に向かって、
「お前達! 顔は覚えたからな! 次ぎに何かやらかしたら覚悟しておけよっ!」
そう叫んだ。
今まで男性に助けてもらった事などなかった和葉は、目の前の男に一瞬で恋をしたのだった。
真選組局長の近藤勲という男は、あけすけで人柄の良い好人物だ。
ただ一点、志村妙という女性に対する情熱は異常としか言い様が無く、和葉が近藤の心に入り込む余地は一分たりとも見当たらなかった。
あの助けてもらった翌日、和葉は真選組屯所へお礼を持参したのだが、それ以来近藤に色々と相談をされるようになっていた。女性にまともな知り合いがいないため、是非とも相談に乗って欲しいと頼まれたのだ。
仲良くなる機会と二つ返事で引き受けたが、会って話しをする毎にひたすら自分を傷付けるだけだった。それでも今もこうして喫茶店で向かい合って座っている。
「お妙さんは非常に恥ずかしがり屋さんだと思うのだ。会いに行く度に屋敷の罠が増え、殺傷能力が高くなっている。オレに会うのがよほど恥ずかしいのだろう……。 女性はそういう時、どんな接し方をすれば恥ずかしさが軽減されるのかな?」
和葉は近藤に頼まれ、何度かお妙の事を見に出かけたことがあった。とても美人でスタイルの良い、凶暴な女性……。
「あまり頻繁に会いに行くより、間を置いて行った方がいいんじゃないでしょうか」
そうすれば屋敷の罠も少しくらい軽くなるかも知れませんよ。と思いながらも、そこは心の中で伝える。
「いやあ、しかし和葉ちゃん。オレとしては毎日でもお妙さんに会いたいし、少しでもお妙さんにオレの事を考えて欲しいんだ」
真剣な近藤。その表情に和葉の心はまた痛む。
「女性だけじゃないと思いますけど、あまり押されると倒れてしまうように、緩急を付けた方が相手も立っていられるといいますか……。よく、毎日連絡をしていた人からぱたりと連絡が来なくなると、逆に気になるなんて言うじゃないですか」
「そういうもん? ーーーあ、それじゃあ和葉ちゃんもオレがしょっちゅう相談の為に呼び出すの、迷惑じゃない? たまにくらいの方がいいの?」
どうやらお妙にしている行為が迷惑だという自覚はあるようだ。しかしそれは相手が近藤に対して不快感しか持っていないからであって、和葉に至っては近藤を好いているのだ。迷惑どころか嬉しいに決まっている。
「いいえ、私はいつでも喜んで会いに来ますよ」
それこそ近藤がお妙に対して思っているように、和葉も一日でも多く近藤に会いたいし、和葉の事を考えて欲しい。見事なまでに一方通行の図式に、和葉は思わず苦笑した。
「和葉ちゃんは優しいなぁ」
感動しているらしい近藤は、瞳をうるうるさせて和葉を見つめている。それだけでも本当に和葉の心は温かくなり震える。
「普通ですよ、これくらい」
「オレは上司にも部下にも優しい人間に恵まれていないからなあ。和葉ちゃんの優しさが骨身に沁みる!」
「あははは……」
毎日どれほど辛い目に遭っているのだろうか。
突然近藤が和葉の手をテーブル越しにぎゅっと握った。その動作に胸が踊り頬が熱くなる。
「いつもありがとう! お妙さんの事を相談して、真剣に答えてくれるのは和葉ちゃんだけだっ! これからもオレの相談相手になってくれるか!?」
大きくてがっしりとした近藤の手に、和葉は辛くて泣きそうになるのを堪えて頷いた。
「もちろんですよ。私で良ければ、いつでも」
END 2012.04.11
※あとがき※
近藤初SSでした。これももうずーーーーーっと眠っていた書きかけを、当時の記憶を振り絞ろうとしたけど絞れず、いい加減な感じに短くしました。
近藤さんは絶対にお妙以外の女性を好きにならないと思います。変態だから。
話しの中で“人柄の良い人物”と書きましたが、あくまでもヒロイン目線なので、恋する人間の目にはゴリラもやや人間よりに見えるようです。不気味な程の変態さもぼやけるんだと思って下さい。大丈夫です。近藤さんは変態です!
近藤初SSでした。これももうずーーーーーっと眠っていた書きかけを、当時の記憶を振り絞ろうとしたけど絞れず、いい加減な感じに短くしました。
近藤さんは絶対にお妙以外の女性を好きにならないと思います。変態だから。
話しの中で“人柄の良い人物”と書きましたが、あくまでもヒロイン目線なので、恋する人間の目にはゴリラもやや人間よりに見えるようです。不気味な程の変態さもぼやけるんだと思って下さい。大丈夫です。近藤さんは変態です!
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