チェンジ・ザ・ワールド☆
冷めたコーヒー
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冷めたコーヒー
和葉はポロリと涙を一筋こぼした。
目の前には誰もいない椅子と、すっかり冷めたコーヒーの入ったカップが2つ。
ずっと好きだった。いつか自分に自信が持てる時が来たら伝えようと思っていた。
それなのにーーー
つい2日前の事、和葉は同じテニス部の部長を務める手塚国光からの連絡を受けた。全国大会が始まる前に、会って話しがしたいと言われたのだ。
3年は引退をしなくてはならない。そのための引き継ぎに関する内容だろうくらいに思い軽く返事をし、約束の場所に約束の10分前に到着した。
何度か部活帰りに部活仲間達と行った事のあるカフェで、店内に入ると一番奥の席に手塚が座っているのを見つけた。
「ごめんなさい、待たせてしまって」
背筋を伸ばして姿勢良く座る手塚に謝罪すると、
「いや、俺が早く着いただけだ。気にする事はない」
と、いつもの少し冷めた口調で返してきた。和葉は向かいの椅子に腰掛け、オーダーを取りに来た店員にブレンドコーヒーを注文すると、手塚に問いかけた。
「それで話しって? 電話じゃ難しい事かしら?」
その質問に手塚はじっと和葉を見つめる。どうしたのか珍しく戸惑っているようにも感じられる。何も言わない手塚に和葉は首をかしげると、バッグの中からノートを取り出した。
「ーーーこれ、テニス部の備品について書き出したんだけど、男女で共同で使うネットやボール、カラーコーンtかは次の部長会議で予算を少し……」
「お待たせしました」
話の途中でコーヒーがきて、和葉は言葉を噤む。
「ごゆっくりどうぞ」
店員が下がると再びノートを広げ、続けようと口を開いた時だった。
「ドイツに行こうと思う」
唐突に言われ、和葉は一瞬言葉の意味を理解出来なかった。が、すぐに思考を回転させ、手塚の目を見る。
「ーーードイツ?」
「全国大会が終わったら行くつもりだ。本格的にプロになるための準備を始める」
「あ……そっか。うん、すごいよ! 卒業前から行くんだね」
どう答えて良いか分からない。しかし心の内は激しく動揺しているのだが、頭がやけに冷静でいつもと口調は変わらないでいた。
「ずっとプロを目指していたものね。頑張って、私、ずっと応援してるから」
そう言って微笑むと、手塚がほんの少し悲しそうに眉を寄せたのが分かった。
「いつ、日本に帰って来るか分からない」
「それじゃあたまに日本の食べ物とか送ってあげるよ。プロになったら食事の管理もちゃんと自分でしないといけないし、世界中あちこち行くからスタミナもつけないとね。あ、でね……」
パラリとノートをめくり、半ば強引に会話を戻す。
「次の部長候補なんだけど、男子は決めた? やっぱりレギュラーの桃か海堂? うちは男子と違って弱いから、一番しっかりしてる子にする予定なんだ。やっぱりテキパキ動けて皆をまとめられる子じゃないとね。で、予算を女子のほうに少し回してもらえるとありがたいんだけど、ストップウォッチもこの間立て続けに壊れたし」
「分かった、竜崎先生に話しておこう」
「ありがとう、助かるわ」
会話を途切れさせると、すぐにでも手塚がドイツへ行ってしまいそうで怖い。行くな。などもちろん言わないし、思わない。いつかこういう時が来ると思ってはいたのだが、いざ本人の口から聞くと寂しい。
「手塚はすごいね。早くから将来のことをしっかり考えて行動しようとしてるんだもん」
「お前はテニスが好きではないのか?」
「好きよ。でも、手塚みたいに上手くないし、プロになりたいなんてとても思わないわ。高等部でもテニス部に入って、大人になっても続けていられたらそれでいい」
「ーーーそうか」
とうとう会話が途切れた。和葉は冷め始めたコーヒーを一口飲んだ。
「俺は、もしかしたらお前が違う言葉を言うのではないかと勝手に思っていた」
「え?」
立ち上がった手塚に合わせるように、視線を動かす。
「全国大会は必ず優勝する」
「あ……うん。応援に行くよ」
「ああ……」
それだけ言うと、手塚はレシートを取って去ってしまった。
しばらく手塚の消えた入り口をぼんやり見つめ、開いていたノートをゆっくりとバッグに仕舞う。
手塚は和葉にどんな言葉を求めていたのだろうか。考えても分からない。
ポロリ……
涙がこぼれた。
好きだと伝える事も出来ずに、和葉の気持ちは宙に浮いたまま。近くにいてずっと努力し、苦しみ続ける姿を見てきたのに、何ひとつ助ける事は出来なかった。自分ももっと努力しよう。もっとテニスが上手になって、手塚と一緒にいても恥ずかしくないように頑張ろうとしてきたが、和葉がいくら努力を重ねても手塚はどんどん遠く手の届かない場所へと進んでしまう。こんな事では一生かかっても自分に自信を持つ事などできない。
手塚に相応しい女性にはなれないのだと、今日、改めて思い知らされた。
指で濡れた目尻を拭い、和葉は席を立った。
嫌だ。
気付けば和葉は店を飛び出し走り出していた。
このまま手塚と別れてしまうのは嫌だ。手塚が欲しかった言葉が知りたい。自分の思いを知って欲しい。
ひたすら走り、見慣れた後ろ姿を見止めると、スピードをあげた。
「手塚っ!」
手塚は驚いて振り返り、和葉に気付いて足を止める。
無駄の無い動き。たったそれしきの動作にも目を奪われる。和葉は邪念を振り払うように頭を左右に大きく振ると、手塚の目の前で項垂れた。
「ごめんなさい、私、何て言ったらいいか分からなくて……。手塚に悲しい顔をさせて別れたくないし、どう答えるのが手塚にとっての正解か教えて欲しいの。ずっと手塚と肩を並べて歩きたかったけど、私が頑張っても手塚はどんどん先に行ってしまうし、私が努力した程度じゃ全然駄目で……」
今度は心は冷静なのに、頭が動揺している。上手く言葉が出て来ない。
笑う事などない手塚が、ふと表情を緩めた。
「お前は駄目などではない」
その一言に、和葉はみるみる満たされる。
「俺にとっての正解は、自分で考えろ」
「か、考えたけれど分からなかったの」
「それならば分かるまで何度も俺に尋ねるといい。正解が出たらそれと教える」
やっと手塚の目を見る事が出来、和葉はバツが悪そうに言う。
「……一生、正解出来ないかもしれないけど、いいの?」
手塚との関係が断ち切られないのだと気付き、嬉しさがこみ上げてきた。
くるりと背を向けて歩き出した手塚に並んで歩き出す。
「ならば一生かけて正解を探せばいい」
和葉の瞳から、涙は消えていた。
END 2012.04.28
※あとがき※
最後までお読み頂き、ありがとうございました。テニプリ手塚部長で、お題は「冷めたコーヒー」でした。
出だしだけ書いてずーーーっと放置プレイしてました。ごめんなさい。本当は別れた所で終わりの予定だったんですけど、不眠で変なテンションだったのでなんか手塚が真田とダブって見える……? この部長’sって似てますよね。中学生とは思えない。おっさんが混ざってるっていうか、テニプリが中学生設定なのが謎です。まあ、12歳の天才少年が日本テニス界を変える! 的なヤ~ツ。なんでしょうけど。新テニプリでは高校生達全員実在のプロでも余裕で負けますよ。化け物です。スーパーサイヤ人です。
ほら、あとがきも変なテンションになってきた。人間寝ないと死ぬんです。テツヤなんて麻雀してればいいんですよ。分からない方ごめんなさい。
出だしだけ書いてずーーーっと放置プレイしてました。ごめんなさい。本当は別れた所で終わりの予定だったんですけど、不眠で変なテンションだったのでなんか手塚が真田とダブって見える……? この部長’sって似てますよね。中学生とは思えない。おっさんが混ざってるっていうか、テニプリが中学生設定なのが謎です。まあ、12歳の天才少年が日本テニス界を変える! 的なヤ~ツ。なんでしょうけど。新テニプリでは高校生達全員実在のプロでも余裕で負けますよ。化け物です。スーパーサイヤ人です。
ほら、あとがきも変なテンションになってきた。人間寝ないと死ぬんです。テツヤなんて麻雀してればいいんですよ。分からない方ごめんなさい。
お帰りの際は、窓を閉じてくださいv
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